５．おまけの統計
今大会のブック群は、

　(1) 全国各地のセプターによって作成された
　(2) 「自分が戦って勝つ」以外の目標が設定された
　(3) 3マップ共通ブックなのでマップ個別の影響が比較的小さかった
　(4) 秘密裏に作成されたため、外部からの影響を受けにくかった

等の理由から、「情報戦を含め、とにかく勝つ」ことを目指す従来の大会に比べ、全国的なセプターの嗜好(或いは思考・志向)がブックに反映されやすくなっているのではないかと思われます。 そこで私は、しばしば機械科ボイラーズ氏やPzKwIVG氏らの間で議論になっている「戦術の分布」について、これらのブックデータから何か分かるのではないかと考えました。もっと端的に言うと、「日本の端っこセプターは本当にアレなのか？」を数値的に検証しよう、ということです。

もちろん、私も戦術の地域差があることは肌で感じてきましたし、それを前提に戦い方を変えるといったことは日常的に行っています。しかしそれを「アレ」で一括りする程、極端な話なのでしょうか？ 一部スターセプターの特異な試合が針小棒大に語られているだけで、むしろエンダネス島の繁栄を経た現在では戦術と呼ばれるものはお互いの地域で影響し合い、だんだん特徴が希薄になりつつあるのではないか。

というように、私は「ちょっとした傾向は存在するけど、アレ呼ばわりするほどのことは無い」という「幽霊の正体見たり枯れ尾花」的な結果が出るだろうと予想しつつ、データ解析に臨んだわけです。

解析は以下の方法で行いました。

(1) カードのメジャー度 (上の表「４．カード別採用ブック数」参照)
カード毎にブックへの採用頻度を調べる。33冊のブックのうち1冊に採用されたカードは、そのブック内の枚数(1〜4枚)に関わらず1度数。
　(例) 「フライ」はブック01で3枚、14で3枚、20で2枚、22で1枚採用されている。
　→4冊で採用されているので4度数。

(2) ブックのメジャー度
各ブック毎にカードメジャー度×採用枚数を計算し、1冊50枚合計のメジャー度を算出する。
　(例) ブック10はアイテムにガセアスフォーム3、グレムリンアムル1、フュージョン1、ホーリーグレイル1を採用している。メジャー度はガセアス：2、グレアム：15、フュージョン：10、ホリグレ：20なので、2×3＋15×1＋10×1＋20×1＝51。同様に計算するとクリーチャー：87、スペル：443なので、合計すると87＋51＋443＝581。
　→ブック10は581度数。

(3) メジャー指数
全33冊の平均度数571.88を100とした場合の各ブックのメジャー指数を算出する。
　(例) ブック10は581度数なので、(581×100)／571.88＝101.59
　→ブック10のメジャー指数は101.59。

そしてその結果が下表。(敬称略)

結論
端っこはアレだがカルド界全体としてはバランスが取れているからOK。