ここでいよいよジャヌールガーデンへ出かける話となるところだが、初日からずいぶん話が長くなってしまった。これではイカン!まだぜんぜん本題に入っていないではないか。
バリ直行便のおかげで到着初日から十分満喫出来たと言うことにして、話を次へ進める事としよう。いよいよ私のダイビングの初日である。
1998/12/30
昨日の旅の疲れもそっちのけで、今朝も相変わらず早起きしてしまった。時計を見ると現地時間で朝5時、外はまだ真っ暗だ。
今回私は2階の部屋、同室のS2さんを起こさないように気をつけながら、ダイビング機材をすぐ運び出せるように準備してベランダで一休み。ビール片手に徐々に西(本当は東?)の空が明るくなってゆくのを眺めていると、小鳥たちの鳴き声も合わせたように強くなってくる。
カッカラ・カッカラと鳴く、バリのおみやげ風鈴と同じ鳴き声の鳥の声も聞こえる。懐かしいバリ独特の夜明けの雰囲気だ。
しばらくするとベランダの私を見つけ、下からYさんが声をかけてきた。いつもの朝の散歩に行こうというのだ。
待ってましたとばかりに私もデジカメ片手に朝の散歩へ。今朝はダイビングボートのあるビーチまで足を延ばし、ビーチ沿いにホテルまで戻る事にする。
途中、何人かダイビングセンターのスタッフと顔を会わせたが、ずいぶん朝早くから仕事をしている事に感心。お客のために早朝からボートに積み込みをしているのだ。タンク、機材、燃料、丸1日ボートでダイビングに出かけるとなると積み込む量も相当な量だ。しかも今は繁忙期でボートはフル稼働。本当にご苦労様だが、我々を見つけると笑顔で挨拶を返してくれた。
ボートハウスのそばで不思議な光景を発見。木の下に綺麗な細い束がたくさん落ちているので近付いてみると、何と木から落ちた花だった。上をのぞくと、もうすぐ落ちそうな花がまだいくつか残っている。どうも夜咲いて朝には落ちてしまう花のようだ。真っ白な根本から濃いピンクの先へのグラデーション、美しい鳥の羽のようで日本では見たこともない不思議な花に感激。夜中にこっそり咲いて朝には落ちてしまうのが何とも幻想的ではないか。
ビーチをのんびり戻ると昨年とずいぶん様子が違う。前回は遠くまで潮が引いていて磯が見えていたのだが、今年はビーチぎりぎりまで潮が上がってきている。潮で砂が持ち去られ、遊歩道が壊された部分もあるほどだ。これもエルニーニョの影響だろうか。
ふと不思議な行動の人物を発見。腰の袋から何かを指にひたし、波の引いた上にパッパと振りかける。じっと砂浜を眺めたかと思うとヒョイヒョイとつまんでバケツへ入れている。近付いてみて何となく判った。釣りの餌にするゴカイを採っているのだ。
後で聞いた話では腰の袋に入っているのは石灰水で、苦しくなったゴカイがモゾモゾと顔を出した所をすかさずつまみ上げるらしい。パッパ、ヒョイヒョイと簡単そうにやっているが、誠に見事な手付きである。
欧米人はジョギングが大好きである。せっかくのバカンスぐらいのんびりすれば良いのにと思うが、朝からセッセとせわしなくビーチを走り回っている。誠にご苦労な事だ。
ジョギング中の欧米人が通り過ぎた後、せわしなく走る姿とは対照的にのんびりとS2さんがこちらへ歩いてきた。我々の後を追いかけたらしいが見つからず、いつもの散歩コースをのんびり歩いて来たらしい。一緒に付いて来るかと思ったが、きまり悪そうに逆の方向へ歩いて行ってしまった。
突然、Yさんがホテルへ戻る裏道を見つけたからそこを通って戻ろうと言い出した。たしかこの辺だ、と言いながらどんどん藪の中へと入って行ってしまう。草ぼうぼうの藪の中に、わずかに人が通れるほどの細い道が出来ているが、ここはどうも他人の敷地のように見える。かまわず進むYさんに付いて行くと、途中でさまざまな不思議な花を発見。さすが南半球、ふだん見た事もない花がそこらじゅうに咲いているのだ。
特に不思議なのが、マリモみたいにモジャモジャの毛の固まりの中から顔を出す花だ。これは茶色に熟すと食べられるらしい。我々も毎朝の散歩で探し歩いたが、ついに食べられるほど熟した実にはお目にかかれなかった。
当然現地の人達はよく知っているはずで見つけ次第すぐに食べてしまうだろうから、我々が探してももう後の祭り、そう簡単には見つかる訳がないのだ。聞いた話ではほんのり甘い味がするらしい。
藪を抜け、人家の脇道を通るといきなりホテルの目の前へ出た。よくまあこんな道を見つけたとYさんの行動力に感心してしまうが、無事ホテルへ戻れたわけだ。
食堂へ行くとすでに戻っているS2さんとMさん、大沼氏が朝食を食べている所だった。我々も同席して朝食を注文。当然昨年同様、バリカピではなくボイルドウオーターを注文して、持って来たモンカフェ・ブルマンブレンドでモーニングコーヒーである。
今回はチューブ入りのおろしニンニクとマスタードを持って来たので、早速トーストに付けてガーリックトーストに、そして付け合わせのケチャップにマスタードを混ぜて食べたところなかなか具合が良い。特にこちらのガリガリトーストには良く合う。コーヒー、ガーリック、マスタードの三種の神器は、我々の毎朝の定番となってしまったのである。
三種の神器で二日酔いを吹き飛ばし、元気になったオジサン達はいよいよ今日もダイビングへと出発するのである。
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