ホテルの周辺は土産物屋やマネーチェンジ(至る所に両替屋が店を出しており銀行よりも高率でチェンジしてくれる)が軒を並べており、町中を歩いているとさかんに片言の日本語で声をかけて来る。私はまだ両替を済ませていなかったので、きちんとしていると評判のマネーチェンジを教えてもらい、YENをルピアに替えることにした。
表に出ている看板のレートは毎日変動する。さすが世界中から観光客の訪れるバリである。様々な通貨のレートが記載してあり、店によって通貨の得意、不得意があるようだ。USドルの強い店、ポンドやマルクの強い店、そしてYENの強い店。レートを見ているとその店の得意が見えてくる。どこが一番交換率が良いか、そして今の相場がどのくらいなのか、普段あまり気にしない世界経済の動きを見ているような気になる。
この時の相場は、1YEN=65〜70Rp程度である。前回来た時、1YEN=25Rp程度だったから、1年でルピアが半分以下に下がってしまった計算になる。ここまで下がっては、海外援助借款に頼るこの国の経済が大変だろうと心配するが、こちらの子供達を見ているととても元気で目が澄んでいる。彼らが元気な限りこの国はまだまだ大丈夫だ。
さっそく教えられたマネーチェンジで一万円札を出し両替を頼むと、まずは電卓を見せながら計算。次に机の上に10,000Rp札を1枚づつ10枚の山を作る。そして次々に山を作って行き、最後の端数まで間違えなく換金してくれた。その後大きな札を細かくしてもらったが、誤魔化す気配など全くなく納得するまで両替してくれた。さすが評判通りの店である。
今まで何度か空港や町のマネーチェンジを利用したが、外国人と見るや、わざととんでもなく大きな札で両替し、細かくする際に交換する札が足りないとか言いなが適当に誤魔化される事がしばしばであった。一度両替カウンターを離れてしまえば気が付いてももう後の祭り、知らぬ存ぜぬで全く取り合ってもらえないのが常である。
だが今回はきちんと両替が済んだ。誠にもって気分爽快、たった1枚の一万円札が厚さ2センチの札束になり、何となく大金持ちになった気分。
ルピアの準備も済んでホテルに戻ると、YさんとS2さんが大きな袋をぶらさげて戻って来た。どうしたのかと聞くと、近くのスーパーマーケットへ行って、捕った獲物を料理するのに使えそうなものを物色して来たのだと言いながら袋の中身を並べ始めた。洗面器、カゴ、トレイ、大鍋、おたま、キッチンタオル、ミネラルウオーター、その他諸々。今回日本から味噌を持って来たので、良い場所があれば昼に浜へ上陸して魚のアラのみそ汁と刺身で昼食にしようとニコニコしながらYさんが説明を始めた。なるほど、この道具があれば十分出来そうだ。
Mさんはどうしたかと聞くと、バリへ来る直前まで風邪で体調が悪く、体がだるいので今マッサージ中だとの説明を聞いている矢先、部屋からのこのこと我々の所へやって来た。ついでにMさんとマッサージのオバサンとで記念写真を撮った。Mさんは「これはうちのカミさんにはみせられないな。」などと言っていたが独断で載せてしまった。
全員そろったところでどこからともなく、またいつもの屋台探しをやろうと意見が一致、さっそくオジサン達の屋台探検隊出発である。
町中をぶらぶらとジャランジャラン(散歩)しているとたいていすぐに屋台に出くわすのだが、今日はどうも見つからない。S2さんは昨日はすぐに見つかったのにと言う。どうも時間帯がズレているようだ。
しばらく歩いて行くとようやく1台の屋台を発見。BAK WAN(肉団子汁)の屋台だ。とりあえずここで注文開始。変な外人達に囲まれて、作る方も気になるのかこちらをチラチラと見ながらBAK
WANを作っている。
私は思いきり辛いのが食べたくなったので"More Hot !!"と言いながら唐辛子をどんどん追加させたが思った通り大正解。こちらの気候では、思い切り辛い物を食べて汗をかくと気分が爽快になる。
今日は朝から寒い日本を出発して空調の利いた飛行機の中で座りっぱなし、汗腺機能が完全に落ちている体を、即座にバリの熱気と湿気に慣らすにはこの方法が一番である。こちらの唐辛子は辛いだけではなく香りとコクがあり、屋台のスープの味もさらに旨味が増すのだ。ドッと汗をかいて気分爽快。やっと体がバリの気候に慣れてきたなと感じながら、オジサン達はジャヌール・ガーデンへ出かけるためにみやげ屋を冷やかしつつ(Yさんなどは、我々に向かって吠えかけてくる犬を見つけるやいなや、相手が尻尾を巻いて逃げ出すまで脅かしては喜んでいるのだ。陽気というか、徹底的にバカやって楽しんでいる。いやいや負けた!)一路ホテルへ戻ったのである。
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