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− 2001.11.03 −_

 

<インシュレーター 篇>
 CDプレーヤーは、自ら振動を生みながら振動を抑制をしなければならぬという二律背反の宿命を負っている。こう書くとハードボイルド風で格好よさげだが、実はとても困ったちゃんだ。CDを再生するためには盤をグルグル回転させる → 回転させると当然、振動する → 振動を抑えるための努力をする → 高くつく。と、いう仕組みになっているからだ。
 高いオーディオ機器のカタログを見ると「いかに中からと外からの振動を抑えることに尽力したか」を声高に説いている。振動は音の純度を下げる。純度が下がれば原音から遠ざかる。すなわち、彼らの気配からも遠ざかってしまう。振動は音の大敵なのである。

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 振動を制す者、音を制す。振動を少しでも減らすため、オーディオ機器の下に敷く抑振材を「インシュレーター(またはスペーサー)」という。お値段はケーブルよりも更にリーズナブルなものからある。渡辺がつい最近購入したのは、直径3.6cm・厚さ9.5mm・4つで定価1,300円である。1,300円をあなどるなかれ。CDプレーヤーの足下四隅に敷き、CDをかけた途端…。

 『も、申し訳ございませんでしたッ!』
 弾かれたように、sakura と yukihiro の足元に伏して詫びていた。

 元々、金属的な高音は苦手としていた。だから実は2人のシンバルも好きではなかった。とんでもない。本人に向かっていおうものならブッ飛ばされる。
 彼らのシンバルさばきが悪いのではない。インシュレーターを敷いて音が変わったということは、CDプレーヤーに高音域の再現力がなかったということだ。振動のなせる業である。振動が高音域を変にぼかし、耳障りな響きをさせていたのである。

 シンバルには8インチから24インチまで、さまざまな種類がある。それらの音質の違いが、響きの余韻の違いが、意識して聴かずともハッキリ聴きとれる。耳障りなぼやけた高音はどこかへ消えてしまった。音がタイトになった。スティックを振り下ろす yukihiro の手首から先の「気配」も感じとれる。しかし手首から体にかけては見えない。ホラーであるが、しかたない。このオーディオでは「かけら」までしか再現できないのだ。
 それでも、面白い。シンバルは面白い。2人のシンバルさばきの違いは面白い! ちなみに、シンバルが生きたらタンバリンも生きました。はい、タンバリンのチャカチャカした音も苦手でした。

教訓:ミュージシャンを疑う前にオーディオを疑え

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 今、口元がだらしなくなっている。前歯治療の麻酔が切れておらず、唇のしまりが悪くなっているからではない。たった1,300円で yukihiro と sakura が生きた。彼らが生きれば他の3人の音も生きる。これまでとは別の音である。音が変われば音楽も変わる。
 ファンになって1年9カ月も経った今から、新しい気持ちで楽曲を聴きなおすことができるのだ。これがニヤけずにおられよか。

 人間は「慣れ」の動物だ。いま感動している音質にもそのうち慣れてしまう。しかしアクセサリひとつで音は変わる。今度はどのインシュレーターを敷いてみよう。どういうケーブルをつなげてみよう。どんなラルクを聴くことができるだろう? バラコンはこういう楽しみ方ができるのである。

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<購入時の注意>
 インシュレーターには、ゴム製・石製・金属製とさまざまなタイプがあり、それぞれ音質も異なります。じっくり説明書きを読むか、店員に問い合わせるなどして、お好みのものをお探しください。インシュレーターはミニコンポにも適用されます‥‥試したことはないですが、理論上では適用されます。されなかったらごめんなさい。お試しは安い物からどうぞ。

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