_     CONTENTS

(前)_

− 2001.04.28 −_

 

 2000年1月のはじめ、なにかの音楽番組で「持ち歌の中から1曲だけ21世紀に持っていけるとしたら?」との問いかけに、あるミュージシャンが間髪入れずに答えていた。ただでさえバンド名もアルバム名も覚えない人間が行きずりの曲名など覚えるはずがない。たまたま合っていたチャンネルもすぐに変えた。まだラルクのラの字も知らない頃だった。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 2000年1月中旬、友人から拝借したCDは曲名も覚えぬうち早々に返却した。このまま持っていたら2度と返さぬだろう自信が湧いてきたからだ。そうして自分で購入しはじめ、アルバム「HEART」を手に入れたとき5番目に並ぶ曲名を見て驚いた。『貴方はあの時の』『嬉しい、覚えていて下さったんですね』2人はメロドラマのような再会を果たした。
 漢字1文字の曲名が珍しかったのと、いくら前もって質問内容が伝えられていたにしても一応は『そうですねぇ』などと考えて見せそうなものを何のためらいもなく答えた姿が印象的で記憶に残っていたのだ。曲名は「虹」といった。
 このときはまだ誕生の背景などつゆ知らず、いつものようにガンガン聴き込んで通り過ぎていった。出会いは仮初めに終わった。

 2001年、c/w曲の「THE GHOST IN MY ROOM」を目当てに1997年10月発売のシングル「虹」購入。ヒットさせることを大前提とした1曲目は良くて当然。c/w曲には趣味や遊び心がふんだんに盛り込まれた面白い曲が多いと信じる者としては、1曲たりとて捨て置けない。
 ところでなんだこのジャケットは。「虹」と名乗っておきながら白黒写真である。表に5人、裏面に2人、身を寄せ合う計7人の美女。芸術神ミューズ…にしては2人足りない。音楽に直接関係のない歴史担当と天文担当には座を外してもらったのか? それではミューズの意味がない。
 スピーカーから流れてきた音楽を聴いて、アッと閃いた。『そうか!』『嬉しい、やっと気がついて下さった』メロドラマ再び。2人は今度こそ本当の出会いを果たしたのであった。7人の美女は虹のイメージである。

 1997年2月、ドラマーの思わぬ交代劇が起こり、ラルクは表舞台からしばらく姿を消した。といってその間、空に架ける橋を下ろしていたわけではない。虹は空中の水滴に光が当たって輝き、初めて目に見える。つまり、長い間モノクロのまま空に架かっていた「虹」は、活動再開を待ちこがれていたファンが胸高鳴らしこのCDに*針を落とした瞬間、再び鮮やかに発色する、ということだ。ジャケットがプロローグで楽曲が本編になっているのである。うむ。我ながらなんと洒落た推理だろう。

_ *注 : 『針を落とす』
 レコード時代の表現。CDに針を落としたら使い物にならなくなるが『プレイボタンを押した瞬間』よりも動作性と緊張感が得られるためあえて用いた。誤用だと指摘してこぬように。

yukihiro攻略
ジャケットは口ほどに物を言い
バンド名なぞ知らずとも
続・バンド名なぞ知らずとも
オレ達にクリスマスはない
遅れてきたファンVer. ライブ!_
正しいCD購入法
yukihiro攻略2
見知らぬtetsu
この1曲を聴く作法
   ‥‥‥‥ (後)
見知らぬtetsu外伝
ストーリー=テラーに挑戦
真実の音



CONTENTS  NEXT
..................................................................................................................................................................................

Copyright(C)2000−2003 Watanabe All rights reserved.