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− 2000.10.25 −
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 1月から揃え始めたCDがシングル7枚、アルバム7枚の計14枚になった。買い過ぎである。6年かけて発表されてきた全29枚のうちの半分をたったの10ヶ月で掻っ込むさまは、CD屋へ行って「こりゃあいいもんみっけた。陳列棚の在庫総ざらえだワッハッハ」てなものだ。
 そこには長年のファンが毎年1枚しか出ないアルバムを今か今かと待ち焦がれ、出たら出たで次の新譜までの間ワインを熟成させるように大切にじっくり聴き込んでゆくという純情な行程は存在しない。品位にも欠ける。
 だからといってチビチビ買っていたのでは、いつまでも遅れを取ったままだ。悲しいかな「遅れてきたファン」には、品がなかろうと、純情でなかろうと、こういう買い方をするしか道がないのである。
 そうして手に入れたCDをズラリ並べて悦に浸るとき、毎度決まって無意識に手に取っているジャケットが3枚ある。
 「White Feathers」の前奏並に長い前ふりだったが、推理小説を読むようにジャケットを見る〜の巻。その3枚とは「REAL・ectomorphed works・NEO UNIVERSE」。

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 「REAL」のジャケットに写っているのは、パリにある世界遺産・ノートルダム寺院の鐘塔部分に鎮座する怪獣でガーゴイル(GAGOYL=米、ガルグイユ・GARGOUILLE=仏)という。ノートルダム寺院は前後左右の4面それぞれから見る外観がとても同一の建物とは思えないほど異なって見えるという、ユニークな造りをしたゴシック建造物だ。ガーゴイルはステンドグラスと並んで典型的なゴシック様式の特徴であリ、用途は水落としだが守り神という意味合いもある。
 …といった一般的なことは辞書や辞典を見れば書いてある。しかし肝心なことが書かれていない。
 ノートルダムといえばフランス・キリスト教の総本山である。奉っているのは神であり、描かれているのは聖人であり天使なのだ。なのになぜそこに怪獣が? なぜ寺院の守り神が怪獣なのだ。天使たちは守ってくれないのか? まぁ「私たちは神の言葉を伝える使いにすぎません」とニッコリ微笑まれて終わりそうではある。戦う神がおわしますのはギリシャであった。

 ウ〜ム『目には目を、歯には歯を、怪獣(邪悪)には怪獣を』か? それはハムラビ法典。いやまて、ハムラビ法典は後にイスラエル人に伝えられ、イスラエル人はモーゼと共に出エジプトしてユダヤ教典(旧約聖書・救世主の出現を預言)を作ったら、めでたくキリストが誕生して新約聖書が出来たのだから、おぉ、まったく繋がりがないわけでもない。それなら怪獣が守り神という公式も成り立たなくもない。本当にそうだったら面白い。

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 またジャケットの中面には、顔は「虎」、首から下は鱗が覆っている所からして「蛇」であろう怪獣を題材にしたシンボルが描いてある。
 キリスト教美術では悪魔の化身である動物としてライオン・虎・豹・ドラゴン・蛇・バジリスク(鶏+蛇÷2)といったものを挙げている。とするとこれは悪魔の化身だ。パッと見、クラシックCDかと見まごう表紙を開けばそこはそれラルクである。表に守護神、中に悪の化身。羊の皮をかぶったオオカミであった。

 実際には装丁家の真意や意図する所がどこにあるのか定かでない。それでもお気に入りのアルバムを聴きながらジャケットを眺め、世界史へ芸術界へ様々な方向へ思いを巡らす秋の夜長もまた楽し。そのうちガーゴイルがなんだか歌っている様にも見えてきてなお愉し。

_ 続・ガーゴイルくん





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   ‥‥‥‥(中)
   ‥‥‥‥(下)
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