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− 2001.02.03 −_

 

 yukihiro はこれまで ken の曲しかリミックスをしたことがない。作曲打率5割を誇る ken である。yukihiro が石を投げれば当たる確率は一番高いが、そんなお手軽な選択理由では面白くない。

 2000年夏。8th アルバム「REAL」発売直前、ken は音楽雑誌のインタビューで「突出した感情がなくとも作曲できることを知った」といっていた。「REAL」以前に作られた曲群は、元は感情から発していたということになる。意外な。なにしろ ken の曲から強く受ける印象は「理性的・理論的」なのである。
 「ken の旋律はあんなに感情豊かではないか」と思われた方、あなたは騙されている。ドラマチック製造機 hyde の歌詞・歌唱に。彼らの自由自在なアレンジに。

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 前奏が終わり、いざ歌い出さんとする hyde の口を無理矢理ふさぎ、tetsu ベースがうねり始めたら弦をチョン切り、yukihiro がウルトラDを披露しかけたらスティックをへし折り、ギターソロにさしかかったらアンプは蹴破ってしまえ。数々の荒技を駆使し、目を閉じ、ただひたすら旋律のみを追って聴くとお気づきになるだろう。
 こと yukihiro がリミックスした5曲(花葬・fate・浸食・真実と幻想と・metropolis)に関して、骨格となる旋律は決して感動的ではない。

 別段、感動的ではない旋律に yukihiro が血潮を通わせ、tetsu が肉付けし、さらに ken が綿密に形を整えていき、そうして出来上がったボディに hyde が感情を吹き込んでいるのだ。感動的に聴こえるのは、生み出す旋律より本人の口より雄弁に物語るギターソロと、自身を感情そのものにして歌を表現しようとする hyde の歌唱法ゆえである。

 ken の旋律自体が感情豊かな曲(古くは「Lies and Truth」新しくは「NEO UNIVERSE」など)と比べるとより面白い。hyde の歌唱に変わりはない。が、あの雄弁なギターソロはすっかりなりをひそめ、アッという間に引き上げてしまう短さである。群を抜いて表情明るい「NEO UNI〜」に至ってはギターパート自体ほとんどアレンジに加わっていない。

 表情少なの旋律には胸を打つアレンジを。表情豊かの旋律には抑えたアレンジを。そうやって ken は均衡を保ったのだろう。

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