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3.あまりの雄大さにとうとうヤッテモウタ!減圧停止無視

 エントリーして早速スピアのシャフトにスリングをチャージ。今回は久しぶりにダイブウエイズのマグナムを持ってきたのだが、新品のスリングが強すぎてなかなかチャージが出来ない。ようやくチャージしてドロップオフを駆け下りると、水深30メートル付近で急に水温が冷たくなった。その瞬間、眼下に大きな魚影が通り過ぎるのが見えた!
 急いで水深45メートルまで降りて行くと、目の前をこちらをギロリと睨みながらマグロが悠々と通り過ぎて行くではないか。しばし呆然とその容姿に目を奪われていたが、ふと我に返り、マグロまでの距離を考えてみた。残念ながらラインがマグロまでは届きそうもない。しばらくじっとしていたが一向に射程距離まで近付いて来る気配は無いのだ。
 あきらめて横を向いた瞬間、視界の縁にキラリと光る二つの魚影。大きなアジが2匹、私の方へ回ってきた。狙いを定め引き金を引いたが、ラインぎりぎりで届かない。急いでチャージし直して、今度は射程距離まで引きつけてから引き金を引く。
カシャッ、シュー、ドン。よし命中した!
 頭を狙ったつもりだったが、胴体の真ん中へ当たってしまった。しかし貫通したおかげでヘッドの羽根が開き獲物は逃げられない。ラインを手繰るが水中では思うように引き寄せられない。ようやく獲物を掴み、エラへナイフを差し込んで動きを止めた。

 ほっとして時計を見ると15分が経過。そしてゲージを見ると、ヤバイ!残圧が10しか残っていない。ダイブコンピュータは完全に減圧停止を示唆している。夢中でファイトし過ぎ、深場で長居してしまったのだ。

 慌てたが、エア切れが一番危険と判断し捕った獲物をシャフトに差したまま脇に抱え浮上する事にした。残圧ぎりぎりまで出来るだけゆっくりと浮上。水面に出てホーンで船を呼び、急いで獲物をスピアごと船に投げ上げて自分も船へ。次にスタッフに命じてタンクをもう1本持ってこさせて急いでセット。驚いているスタッフを尻目に再度海中へ飛び込んだ。その間約10分。

 一般のスポーツダイバーはまねをしないでほしいが、フカシ減圧潜水という減圧方法を試みたのだ。ダイブコンピュータは示唆を無視した私に対しフラッシュを繰り返すだけで役に立たない。あとは自分の勘で減圧時間を決めるしかないが、往々にしてこういう場合にはコンピュータよりも自分の勘ピュータの方が良い結果を招く。
9メートル、6メートル、3メートルと残り時間を計算しながら減圧を行った。最大潜水時間45分、1度目の潜水時間が20分として水面で10分、残り15分だが、安全のため20分かけて減圧を行う。
ダイビングテーブルの減圧停止時間にはかなり余裕がある。ある程度減圧時間を稼げば何とかなる。あとは自分の体が残留窒素を吸収してくれるはずだ。人間の体は結構丈夫なのだ。
(決してまねをしないでください。潜水病になっても知りませんよ!)

 減圧時間が過ぎ、浮上してみるとすでに全員がボートに上がっていた。普段は時間をオーバーする事の多いSさんも、今回はきちんと時間を守ったようだ。
事情を説明するとやはりみな何らかの経験があるせいか笑っていたが、深場へ潜る時は滞在時間を決めて深追いしないよう諭された。
我々の潜り方の約束事は、自由に潜る代わりに自分で自分に責任を持つという事であるが、私は取り決めた潜水時間をオーバーして皆に心配をかけてしまったのだ。

 最後の私がボートへ上がりアンカーを打ち終わると、急に今まで潜っていた海が騒ぎはじめた。かなり激しい潮流である。ボートから眺めるとまるで川が流れているようにザワザワと音を立てている。もし、あと10分長く海の中にいたらこの流れで湾の外へ押し出されて、外海の潮流に流されてしまうところだ。まさに危機一髪、潮が干潮に変わる時間だったのだ。
 今回の全員の釣果を見ると、アジが2匹、ハタが2匹、コショウダイが1匹である。今晩のパーティーで、この魚と昨日捕った魚を料理してメインディッシュにしようと全員の意見が一致。Yさんは刺身を作ると張り切っている。その為にわざわざ日本から出刃包丁と刺身包丁を持参して来たのだから、この人の意気込みが伺える。

 潮流がおさまるとボートの上でランチタイムとなったが、私は昨晩迎えに来たスタッフにミーゴレン(焼きそば)と注文していたのでそれが用意されていた。しかし他の連中はちゃっかりと特製を注文していたのだ。
こういう場合はつい他人の飯が旨そうに見えるものであるが、中を覗くとミーゴレンとナシプチ(ライス)それにアヤムゴレン(フライドチキン)、タレに特製サンバル(唐辛子ソース)が添えられている。私も何度かインドネシアを訪問しているうちに唐辛子が好きになり、サンバルの残りを分けてもらいミーゴレンに混ぜて腹に収めたが、明日からは私も同じランチにしてもらうと強くスタッフに申し入れた。

 次に水面休息時間を利用して釣りを始めたが、掛かるのは青黒い色をしたハギ(アカモンガラ)ばかりである。
この魚は浅瀬に沢山いるが、ダイバーが近付くとすぐに近くの窪みに逃げ込んでしまう臆病者だ。しかし窪みが小さいため、アタマ隠してシリ隠さずの言葉通り尻尾を出したまま窪みに縮こまっている。つい隠れているつもりのこの魚に悪戯をしたくなり、手で突ついたりすると大慌てで砂を巻き上げ、さらに身を縮めようともがくが、結局アタマ隠してシリ隠さずはそのままなのだ。
この魚はスタッフに進呈と言ったところ、ニコニコしてビニール袋に入れ、大切そうにしまっていた。こちらでは新鮮な魚は大変な御馳走なのだ。

 2本目は先ほどの減圧不足の残りを稼ぐ意味もありカメラを持ってエントリー。昨年マクロレンズを持って来なかった為に残念な思いをしたので、今年はマクロ105mmをセットしてある。しかし流れの激しい今回のポイントでは思うような被写体にはなかなか巡り会えない。
かと言ってまた深場へ行ってしまっては元の木阿弥だ。今回は自分の体を気遣う事にして減圧中心にダイビングを行った。これで潜水病の症状が現れる様なら自分にはツキが無いと諦めるしかないが、幸い症状は現れずに済んだ。

 今回は皆あまり深場へは行かなかったようで、釣果はハタとコショウダイを上げてきた。アジ以外はすべてスタッフへ進呈する事にしたが、ガイドのトゥデは大きなハタを貰い、家でお母さんに料理して貰うと喜んでいた。

 帰りのボートは潮流に逆行する形となり時間がかかったが、無事サヌールビーチへ帰って来た。ビーチでは潮が引いてしまい浅瀬をかなりの距離歩く事になったが、皆本日の釣果に満足。どうやって魚を捌くかあれこれ話し合いながら帰りの車へ。途中スーパーマーケットへ立ち寄り、タレの材料のニンニクとショウガを仕入れてホテルへ戻った。


ダ イ ビ ン グ ロ グ

1 ダ イ ブ

2 ダ イ ブ
エントリー 10:57 エントリー 13:33
エキジット 11:43 エキジット 14:16
潜水時間 00:38 潜水時間 00:43
最大水深 45.9m 最大水深 23.7m
平均水深 21.0m 平均水深 10.8m
水  温 26.7度C 水  温 29.4度C

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