まずブック名ですが、全国大会は1回戦や2回戦で目立とうと思ってもなかなかうまくいきません。それどころか、あまりに特徴的なブック名にしてしまうと、次の対戦者の仲間がうしろで見ていた場合、内容をばらされ、情報戦による不利益が生じる可能性すらあります。
そこで私は、無難な名前で、かつ、2回戦であたった人に「1回戦と違うブックなんだよー」ということが単純かつ明快にわかるようにブックを2つ作り、それぞれに「1回戦」「2回戦」と名づけました。
結論から言いますと、2回戦であたったカチモリさんは、私の1回戦を見ていた(?)らしく、コンセプトがばれていましたが、序盤に特徴的なカードが出てきても、完全に同じブックを使ってるとは断定できない状況だったと思います。
次にブックコンセプトですが、言うまでも無く「デモニックトレード」をキーカードとした魔力爆発型のブックです。勝ち型としては、西もしくは東エリアの護符100枚(もしくはそれに準ずる枚数)購入後に、風土地2連鎖レベル5(護符の枚数が少ない場合3連鎖)で城に突入という形です。
それに至るまでの過程、できれば常時4位でいることが望ましいです。(下手に走るとアンチマジックの枚数が足りなくなるため) 以下は、それぞれのカードの用途です。
グラニットアイドル
いわずと知れたニット帽。デモニックトレード(以下デモトレ)時に発生する大量の手持ちを脅かす「ドレインマジック」や、通常周回では通らない聖堂で護符を買うことをメリットとしたこのブックの天敵「コラプション」を防ぎつつ、コンセプトかぶりのセプターAのデモトレが別のセプターBにサプレッション(以下サプレ)されるのを防ぐ。
このコンセプトにおけるキーカードの一つ。
バード
北エリア周回中に他人の領地にぶつかったときに迷わず召喚するナイスガイ。序盤「フィースト」による当座魔力獲得の立役者としても活躍。後半はどちらかというと生贄要員。
スペクター
攻めてはST70、守ってはHP70の、コロッサスに準ずる最強クリーチャー。低コストを活かして ばら撒き召喚することができ、攻めては相手のアイテムを浪費させることも。
ホーリーラマ
コンセプトかぶり時のアンチマブレイカー。「ライフフォース」とセットで使う。場合によってはHP40が役に立つ。(スカルプチャーの影響を受けない)
ガセアスフォーム
一人当たりの土地数の平均10ということと、東、西エリアにクリーチャーを展開する特殊コンセプトから、戦闘は少ないと判断、グラニットアイドル(以下グラニット)も守れる安定性のあるガセアスフォームを選択した。
このマップ、攻撃成功時の能力を持つクリーチャー(またはアイテム)はあるかもしれないが、巻物は無いだろうとの判断からであったが、何より警戒されないその風貌がナイス。
アースシェイカー
DC版宇宙一の私のSPカード。デモトレをサプレされ、40R使い切る覚悟ができた、つまり「もう、あとがない」際に使用するカード。デモトレサプレ時の想定は何度と無くやったが、勝ちきることは難しいと判断。遅延カードがどうしても必要という結論に至った。
その場合の勝ち型は、「ゴブリンズレア」(以下ゴブレア)で大量発生させたゴブリンをフィーストで手持ち魔力に反映させ、「パーミッション」(以下パーミ)とゴブレア、「アンチマジック」(以下アンチマ)のアドバンテージで護符を買い、理想的な勝ち型に近づけて行きつつホープ、フォーサイトは無条件に使ってブックの回転を早め、ブックの一周を待つ。
その間ずっとアースシェイカーは持っておくといった感じだが、いずれにしても全国の舞台でデモトレが消えたら勝ち目は薄い。
アンチマジック
デモトレで消えたグラニットの補助として機能するスペル。「アシッドレイン」がいた場合などにも対応できる。また、セプター単体呪いを封じることもできる。いずれにせよ、ステルスで4位をキープしておけば、割られることはなかなか無い。
初手でグラニット、アンチマのいずれか(総計8枚)があれば、キーカードのサプレを未然に防ぐことができるかもしれないといった狙いもあった。
ウェザリング
地形変化スペル(地変)は、デモトレブックの場合「インフルエンス」がよく用いられるが、私はウェザリングを採用した。インフルエンスの場合、勝ち型を意識した戦略概念が揺れ動き、色が定まらずに、最悪の場合撃ちたい局面で撃てないといったことも起こりうる。
さらに、戦闘に弱いこのブック、恒常的足止めのクリーチャー「ケルピー」をきっちり置かれたらどうにもできない可能性もある。火属性にも「オールドウィロウ」がいるかもしれない。(99%いないだろうが。)
風属性ならこのマップにおいては使いやすく、属性が被る可能性もあり、地変が撃ち込まれ護符が大暴落することを未然に防げるかもしれないとの判断からの採用となった。
ゴブリンズレア
押しも押されぬこのブックの最重要カードで、下手するとデモトレより重要であり、クリーチャーカードが少ないこのブックにおいて、サプレされたらほぼ投了なカード。序盤で引くことがすべてなので4枚。このカードを引くまでは、手札が一杯であろうがなんであろうが、とにかくホープ、フォーサイトを撃ちまくり、引いたら最終ラウンドまで手札に持ってゲームを進める。
基本的にはクリーチャーをばら撒くために用いる。生贄は、場合に応じたカードが選択されるが、ここでそのパターンを示すのはほぼ不可能なほどの量になるため説明省略。
ちなみにデモトレ被りの場合、二番目に撃つセプターの収入は一番目のほぼ倍になるため、「先には撃たない」という選択肢を採らざるを得ない場合があるが、デモトレ発動前から8割方ゴブリンのゴブレアブックなら、相手は一番目に撃ってもそれほどのビハインドにならないので、二人でデモトレ持って牽制しあう状態(膠着状態)を防ぐのにも一役買ってくれる。
ついでに安い(10G)。
スカルプチャー
戦局を変えることのできるカード。他のセプターのブックの雰囲気から、いらないと判断すればゴブレアの生贄にもなる。テンペストを主体とした全滅系ブックの対策、嫌らしいアイドルの対策も兼ねている。
デモニックトレード
クリーチャーを10体程度置けていれば周回を絡めることにより、2枚ないし3枚でエンドカードになりえる。聖堂の直前や、レベルを上げる土地の直前で使うのがリスクを分散する上での常道。スカルプチャーと同じく、全滅系にもそれなりに対応できる。
パーミッション
北エリアはほとんど回らず東・西エリアを回る上で必須のスペルであり、サプレされるとデモトレサプレ並みにつらい。ちなみに、普段クリーチャーはゴブレアでの召喚がメインとなるが、パーミを使うラウンドはゴブレアを使わないため、その前のラウンドでクリーチャーを置いておくのが効率的。
ピース
九州特有のリスク分散型ブックの典型ともいえるカード。序盤で引いたら生贄に、終盤はレベルを上げた(これから上げようとする)土地にかけ、保身を図る。たいていのセプターは、リーチがかかるまで東、西エリアのクリーチャーを放置してくれるからこのやり方が成り立つ。
相手の高額地に撃ち込むというのもありえるスペルである。すなわち汎用。
フィースト
ステルスにはもってこいのこのスペル。理想は、トップ目と自分が高額を手に入れる状況である。他の二人は、デモトレの危険性を感じつつも、トップ目を止めに行かざるを得ない。そこを抜けていくのである。
いざというときの手持ちが200Gを切ってる場合にこのスペルが救済となることもあるが、デモトレがサプレされたあとも十分に機能する良カードである。
フォーサイト
序盤のゴブレア引き、中盤のパーミ引き、終盤のデモトレ引きと、このブックに対する相性は極めて良いドローサポート。血行を良くするピップエ○キバンのような(ローカルか?)カードである。終盤は生贄にもなる。
ホープ
生贄の多いこのブックの補充用カード。これを使う直前もパーミ同様、クリーチャーは置いておくほうが良い。
ライフフォース
グラニットとの相性も良い邪魔カード。デモトレ被りの際はホーリーラマとセットで、そうでない場合も気楽に撃てる強力カード。序盤はやはりゴブレアの生贄か。しかし最終局面では、絶大な力を発揮する。
とまぁ、こんな感じです。
次にこのブックの弱点ですが、たくさんあります。(オイオイ)
ブックパワーの源がクリーチャー配置数であるがゆえに、それを阻害するコンセプトは苦手です。
例:
全滅系(テンペスト、エレメンタルレイジ等)
戦闘重視系(チャリオット、ラクサス等)
また、先ほど述べたとおり、キーカードが数種存在するのでサプレは天敵です。さらに、終盤において、レベルを上げるクリーチャーがゴブリンになることが多く、守りカードもガセアスフォームのみであることから、ピンポイント対策カードに弱いです。
例:
バニシングレイ、メテオ
グレムリンアムル、巻物各種等
といった感じで、弱点だらけです。そこを乗り切るのがカルドの面白さであり、プレイングの妙味だと私は思ってます。
最後に、全国大会でのこのブックの実際ですが、詳しいことは控えますが、1回戦、2回戦共に、勝機十分の試合であったことは述べておきます。リプレイを見てないので断定的なことはいえませんが、プレイングミスもあったかもしれません。
全国で激突した方々は、本当に強く、誰が勝ってもおかしくありませんでした。実力だけでは勝てない。そんな言葉がよぎった今回の大会でした。
参考: SIN氏が用意していた本選決勝用ブック
|