2009.08.22; 16.05.09 ↑UP  (その6)へ  26%削減のパブコメに「地球温暖化はエセ科学」と意見提出<オススメ 2015年の史上最高の暑さ等について江守正多様と議論 <New

二酸化炭素は本当に地球温暖化の原因か?(その5)
井上雅夫
目次
29.「ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント」の発表文と要約の翻訳(11.08.02; 10.20)
30.温暖化ツイッター小説第13集[特集:2013年の猛暑](13.08.15; 10.01)<オススメ
31.「IPCC第5次報告書 第1作業部会 政策決定者向け要約」の翻訳(13.10.02; 14.11.08)
32.グリーンピース共同創設者ムーア博士の人為的地球温暖化否定証言 日本語訳(14.03.01) <オススメ
33.NHK「バークレー白熱教室」に虚偽の温室効果実験では?と意見送信(14.06.05; 07.20)
34.BSフジ「ガリレオX」に「2100年の海面上昇が4m」は虚偽と意見送信(14.06.17)
35.地球温暖化の研究に関する驚くべき真実(14.07.28; 10.19) <オススメ
 【気候モデルと数値予報モデル】(2014.08.17; 09.15) <オススメ
1〜10(その1)へ 11〜20(その2)へ 21〜24(その3)へ 25〜28(その4)へ   36〜39(その6)へ


29.「ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント」の発表文と要約の翻訳(11.09.26; 10.20)

 2011年6月14日、国連環境計画(UNEP)と世界気象機構(WMO)は「ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント」を発表しました。このアセスメントは、すす(ブラックカーボン)とスモッグ(対流圏オゾン、地表レベル・オゾン)汚染を抑制する活動が地球の気温上昇の制限に寄与するであろうというものです。

 「ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント」の「政策決定者向け要約」とその「発表文」を要約しました。

 「ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント」の「政策決定者向け要約」の翻訳文(←クリックすると、「政策決定者向け要約」の翻訳文が表示されます)


 以下は発表文の翻訳文(翻訳:井上雅夫)です。


‘すす’と‘スモッグ’汚染を抑制する活動が地球の気温上昇の制限に寄与するであろう

多様な利益は、改善された大気の品質と人間の健康、より高い作物の収穫高、短期の気候変動率の減少、および北極の深刻な溶解を遅くするチャンスを含む

国連環境計画−世界気象機構(UNEP-WMO)の新アセスメントは、国連の気候条約に基づくCO2排出削減を必要とする緊急の活動を補完する

ボン、2011年6月14日 − ブラックカーボン、地表レベル・オゾン、およびメタンのような汚染物質に関する迅速な活動により、短期の地球の気温上昇を制限することができ、2℃、恐らく1.5℃以下に気温上昇を保つチャンスをかなり増大させることができる。新アセスメントは次のように述べている。

短期の気候保全は、陸海両方の北極の氷の急速かつ広範囲な減少と関連する“増幅された地球気候変動”のリスクを低下させることが中心となる。

迅速な活動により、ブラックカーボンの付着に一部関連する山岳氷河の減少を少なくし、今後数十年の北極の予期された温暖化を2/3に減少させることができるかもしれない。

国連環境計画(UNEP)と世界気象機構(WMO)によってコーディネイトされたこのアセスメントを推進する科学者は、気候変動に関連するものだけでなく、多くの公衆の健康および食料の安全保障についても指摘する。

このアセスメント(事務局:ストックホルム環境機構)は、ブラックカーボンの排出の大きな削減は呼吸器に関する健康を増進させ;入院と病気による仕事ができない日数を減少させるだろう、と述べている。実際、屋外の大気汚染による250万人近くの若死が、平均して、2030年まで毎年、世界中で(アジアにおいて救われる多くの命を含む)、避けられるであろう、と推定している。

地表レベル・オゾンの大きな削減も、年間の世界のトウモロコシ、米、大豆、および小麦の生産の1−4%の収穫の被害の減少に貢献できるであろう。

この報告書は、これらのいわゆる‘短寿命気候強制力因子’の削減により、即座に気候、健康、農業の利益を受けることができる、と結論している。これは、数世紀にわたり大気中に残留する二酸化炭素(CO2)とは異なり、例えばブラックカーボンは数日または数週間のみ存続するからである。

しかしながら、研究者は、ブラックカーボンと地表レベル・オゾンに関する迅速な活動が短期の気候を制限する上で重要な役割を果たすとはいえ、もし気温上昇が長期間にわたって制限されるべきであるのなら、即座のかつ持続したCO2を削減する活動が重要であるという事実もはっきりと示している。[訳注1]

21世紀を通して2℃の目標以下に保つチャンスを高めるのは、短寿命の気候強制力因子と長寿命の温室効果ガスに関する活動の組み合わせである。

本日、ドイツのボンにおいて、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の会議中に発表された研究結果は国立航空宇宙局(NASA)のDrew Shindellが議長を務める50人以上の研究者の国際チームによって作成された。

Achim Steiner国連事務次長兼UNEP執行理事は次のように述べた:「今や、メタンと共にブラックカーボンと対流圏オゾンのような汚染物質のレベルを減少させる明確かつ強力かつ豊富かつ強制的な複数の理由がある:それらの気候変動への増大する寄与はその複数の理由の一つに過ぎない」。

彼は次のことも付け加えた:「このアセスメントは、短寿命の気候強制力因子の科学が、今や国々による強力な政策レスポンスを必要かつ要求する成熟レベルに如何に発展したのかをはっきりと示している。専門家は、少数の排出削減対策(例えば、石炭、石油およびガス部門におけるメタンの回収、よりクリーンに燃える料理用コンロの提供;ディーゼル車のための粒子トラップおよび農業廃棄物の開放型の燃焼の禁止)が、如何に劇的な公衆の健康、農業、経済および環境の利益を提供するのかにスポットライトをあてている」。

UNEP/WMOブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメントは、国連気候条約のプロセスを通してだけでなく、例えば、現存する国や地域の大気の品質に関する協定の強化によっても、活動を起こしうることを示唆している。

Michel Jarraud WMO事務総長は次のように述べた:「気候変動と戦うための最大の注意が、主要な温室効果ガスCO2の削減に焦点を合わせている。しかしながら、最近数年、ブラックカーボンと対流圏オゾンのような汚染物質がその戦いを更に悪化させていることが明確になってきた」。[訳注2

彼は次のことも付け加えた:「この報告書は、気候システムの変動に関するこれらの汚染物質の役割の科学的理解を増大させるために、より強力な観測の基盤および研究の努力の必要性をはっきりと示している。WMOの地球大気監視プログラムは、これらの挑戦を優先して取り組んでいる」。

NASAゴダード宇宙研究所のDrew Shindellは次のように述べた:「この報告書は、ある範囲の汚染物質による温暖化効果および寒冷化効果の複雑さに明快さを与え、短中期の地球の気候保全に寄与するために取りかかれる明確かつ具体的な措置があることを示すために科学を使用している」。

彼は次のことも付け加えた:「恐らく、メタンの排出と対流圏オゾンの形成の間に最も興味をそそる関連がある。メタンはそれ自身、強力な温室効果ガスであるが、かなりのレベル(実際、以前に考えられていた以上)の地表レベル・オゾンの形成に寄与することによっても大きな更なる地球温暖化を引き起こしていることが明らかになった。ここにおける気候変動の制限と大気の品質改善のためのウインウインの関係は自明であり、かつこのアセスメントの結果として、より明確になった達成すべきやり方である。」

本日、スウェーデン政府は、短寿命気候強制力因子に関する迅速な活動に向けての次のステップに関して国々を援助する包括的かつ前向きな政策アセスメントを支持すると表明した。これは、スウェーデンのSLCF(短寿命気候強制力因子)に関する戦略および気候変動と大気汚染政策を統合する政策を含む方針である。

UNEPによってコーディネイトされたこの研究は、南アフリカのダーバンにおいて今年遅くに予定されている次の気候条約会議のために先だって準備されるものである。[訳注3]

アセスメントされた汚染物質

ブラックカーボンはすすの主要な成分であり、化石燃料、木材およびバイオマスの不完全燃焼から生成される。主要なソースは、車およびトラック;山火事およびいくつかの産業施設からの排出を含む。

ブラックカーボンは日光をさえぎり吸収し、付着した場合に雪と氷を薄黒くし、雲の形成に影響を与えることによっても気候に影響を与える。また、健康有害因子でもある。

対流圏オゾンは都会のスモッグの主要な構成要素であり、強力な温室効果ガスであり、人間の健康とエコシステムに有害な大気汚染物質である。

対流圏オゾンは、過去100年間で北半球の濃度が3倍に増加し、第3番目の最も重要な地球温室効果ガスになった。

対流圏オゾンは、メタン(それ自体が廃材、家畜および石油・ガス産業から排出される潜在的温室効果ガス)を含むガスから生成される。

研究がなされた方法

ブラックカーボンと対流圏または地表レベル・オゾンを生成するガスは典型的には他のガス及び粒子(それらのいくつかは温暖化の原因になり、他は寒冷化の原因になる)と共に排出される。

約2000の別々の対策から比較的少数の政策的措置が選択された。排出削減の大きな潜在力を有し大気の品質およびその他の利益をもたらす地球温暖化を減少させる対策の影響は2070年までモデル化された。[訳注6]

ブラックカーボンと地表レベル・オゾンを低減させる対策[訳注4]

ブラックカーボンに関して指摘された9つの活動(その全ては現在取りかかれるであろう)は以下を含む:

*車の排出と燃料に関する統合基準の一部として車のディーゼル粒子フィルタ

*先進国における木材燃焼ストーブからリサイクル木材とおが屑燃料を使用するペレットストーブおよびボイラーへの交換

*開発途上国におけるクリーン燃焼バイオマス料理用コンロおよびストーブ

*農業廃棄物の開放型燃焼の禁止

*伝統的レンガ窯から垂直シャフト及びHoffman窯への交換

メタン排出による地表レベル・オゾンに関して指摘された7つの活動は以下を含む:

*堆肥の奨励および埋立ゴミ処理される有機廃棄物を抑制する対策

*ガス回収を含む水処理作業のアップグレード

*長距離ガスパイプラインからのリークの削減、牛および豚の厩肥の嫌気性分解の促進、石炭、石油およびガス産業からメタン排出を削減する対策

*継続的に水が張られた水田の間欠的な通気

エディターへのノート

ブラックカーボンと対流圏オゾンの詳細な統合アセスメントからの重要な知見

気候変動排出を削減する対策なしでは、気温は今世紀中頃までに平均1.3℃以上上昇すると予測されており、工業化前のレベルからでは約2.3℃の温暖化をもたらす。

北極

このアセスメントは次のように述べる:「敏感な地域で短期の温暖化が生じるかもしれず、北極の陸氷の減少、北極の永久凍土層からのメタンとCO2の放出、種の減少のような本質的に不可逆的変化を起こしうるであろう」。

このアセスメントは次を付け加える:「これゆえ、短期の温暖化率の削減は数世紀に渡る地球気候システムに影響を与えうる非可逆的遷移のリスクを減少させる」。

*ブラックカーボン、対流圏オゾンとメタンに関するこのアセスメントにおいて概説された対策の完全な実施は現在から2030年代までの間に予期された地球の気温上昇を約半分(0.5℃前後)にすることができるだろう。

*そのような対策は2040年に0.7℃前後(推定された温暖化の約2/3)まで北極の温暖化を減少させることができるであろう

氷河

ヒマラヤおよびチベット高原のような高い山岳地帯におけるブラックカーボンのレベルの削減は氷河の溶解率(すすの付着による日光の吸収の増加が溶解の原因の一つ)を低下させ、氷河湖の形成および関連する破局的な突発的洪水のリスクを減少させうるであろう。

例えば、ヒマラヤの高地の谷における現在のブラックカーボンのレベルは中都市におけるのと同様に高い

アジア・モンスーンとアフリカの降雨に関する影響

このアセスメントによれば、ブラックカーボンのような粒子の濃度の増大は、「干ばつと洪水による水の供給と農業生産性の変化を原因とする人間の健康」に密接に関連するアジア・モンスーンのタイミングとパターンにも影響を与えるかもしれない。

ブラックカーボン対策の実施により、アフリカの伝統的な降雨パターンの崩壊をかなり減少させるであろう。

健康の利益

地表レベル・オゾンと微細粒子(ブラックカーボンを含む)は、早死、主に心臓病および肺ガン、さらには気管支炎および低体重出産のような病気と関連している。

推奨された対策の実施は特にアジアやアフリカにおける公衆の健康のためになるであろう。

収穫の利益

地表レベル・オゾンとブラックカーボンの両方は、健康、作物、樹木、その他の植物の成長と生産性に影響を与える。

メタンと地表レベル・オゾンを減少させる対策の実施は、4つの主要産物の収穫の約2千5百万トンの年間産出の損失を避けることに寄与するであろう。

ブラックカーボンの排出の抑制により、更に2千5百万トンの年間の収穫の損失を避けることができるであろう。

UNEP/WMOブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント報告書の政策決定者向け要約および原本[訳注5]は次で見つけることができる:

政策決定者向け要約および原本


2011年6月国連気候変動会議

気候変動に関するUNEPの研究

天気、水および気候に関するWMO、国連システム当局の意見は www.wmo.int

更なる情報は以下にコンタクトを取ってください:

Nick Nuttall, UNEP Spokesperson/Head of Media, on Tel: +254 733 632755, e-mail: nick.nuttall@unep.org

Clare Nullis, WMO Press Officer, on Tel: + 41-22-7308478, email: cnullis@wmo.int



訳注
[訳注1]二酸化炭素犯人説は嘘ですが、国連環境計画(UNEP)や世界気象機構(WMO)の立場としては、これまでのいきさつ上、「もし気温上昇が長期間にわたって制限されるべきであるのなら、即座のかつ持続したCO2を削減する活動が重要であるという事実もはっきりと示している。」と言わざるを得ないのだと思います。しかし、「もし気温上昇が長期間にわたって制限されるべきであるのなら<if temperature rises are to be limited over the long-term>」という控え目な表現からみて、国連環境計画(UNEP)や世界気象機構(WMO)は二酸化炭素犯人説にかなり弱気になっているのではないでしょうか。

[訳注2]これまでの気候シミュレーションは100km×100kmの広い格子を使って計算していたので、大気中至る所で濃度がほぼ一定な二酸化炭素を犯人にすることにより簡単に温暖化の結果を出せたのだと思います。ところがスパコンの処理速度が速くなり、より狭い格子を使うことができるようになって局地的なすす(ブラックカーボン)やスモッグ(対流圏オゾン)を扱わざるをえなくなり、二酸化炭素の寄与を下げざるを得なくなったのだと思います。更に狭い格子を使うようになれば、ヒートアイランド現象や雲の温室効果や局所的な大気の汚れ等も考慮せざるを得なくなり、更に二酸化炭素の寄与を下げざるを得なくなるはずです。

[訳注3]「南アフリカのダーバンにおいて今年遅くに予定されている次の気候条約会議」はCOP17です。一般にはCOP17では、京都議定書を延長するか、あるいは次の約束期間をどうするか、が主要な議題になると思われていますが、もしかすると、ブラックカーボンと対流圏オゾン(地表レベル・オゾン)の削減が主要な議題になるかもしれません。日本の代表団も、京都議定書延長反対だけでなく、これに関する準備もすべきです。

[訳注4]これまでは低炭素にビジネスチャンスがあると思われてきましたが、もしCOP17で、ブラックカーボンと対流圏オゾン(地表レベル・オゾン)の削減が決定されるとすれば、これからは、ブラックカーボンと対流圏オゾン(地表レベル・オゾン)の削減にビジネスチャンスがあるということです。対策の最初に記載された「車のディーゼル粒子フィルタ」は何年も前に石原都知事が条例を制定してトラックに取り付けを義務づけたフィルタと同じものではないでしょうか。そうだとすれば、それと同じものが世界中で売れるということです。ここに列挙された対策のための製品やサービスが次のビジネスチャンスです。早いうちに準備をすれば利益も大きくなるはずです。

[訳注5]「政策決定者向け要約および原本」と記載されていますが、次に記載されたurlは「政策決定者向け要約」のurlです(表示されるまで時間がかかります)。原本のurlはわかりません。政策決定者向け要約の翻訳文はこちら(←クリックで翻訳文表示)です。


[訳注6]「ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント」の「政策決定者向け要約」に記載された2070までの気温上昇の予測は次の図37のとおりです。
【図37】
f37
 2040年以降は対流圏オゾン+ブラックカーボン対策の効果がなくなるのは、対流圏オゾンとブラックカーボンの対策は2040年までに完了するというシナリオになっているからです。

30.温暖化ツイッター小説第13集[特集:2013年の猛暑](13.08.15; 10.01)<オススメ

 温暖化ツイッター小説(作:井上雅夫)を集めた「温暖化ツイッター小説第13集」です。ツイッター小説は140字の小説です。1話完結ですが、温暖化というテーマでつながっています。( )内は公表日です。

 第1集[海面上昇]<オススメ第2集[赤外線の吸収放射]<オススメ第3集[東京都環境条例]第4集[実測値と予測]第5集[金星探査機]第6集[クライメートゲート事件]<オススメ第7集[二酸化炭素犯人説の嘘]<イチオシ第8集[気候変動枠組条約の嘘]第9集[温暖化説明図の嘘][先生と学くんの温暖化教室]<オススメ第10集[放射と対流]第11集[放射対流モデル]第12集[IPCCの非科学性]<オススメ もどうぞ。
388. 温子「温暖化ツイッター小説を再開しま〜す」 候助「3年前の第1話http://bit.ly/b515qeから1年間毎日連載して2年前に一旦終了」 温子「今回再開するのは、7月28日に放送された『池上彰の学べるニュース』の今年の猛暑の解説が素晴らしかったからよね」 (13.08.03)

389. 池上さんって二酸化炭素犯人説を信じてる人と思ってた。 ところが今回の『池上彰の学べるニュース』では、今年の猛暑を正しく解説したのでビックリ! それを、みんなに知らせたくって温暖化ツイッター小説を再開しました。 (13.08.04)

390. これhttp://bit.ly/19DBGL9が『池上彰の学べるニュース』の今年の猛暑の説明図。 普通はピンク色の太平洋高気圧だけなんだよね。 ところが今年はその上に緑色のチベット高気圧が重なってるから猛暑なんだって。 2つの高気圧が重なって強い高気圧になると、なぜ猛暑なのかな? (13.08.05)
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391. 池上さんはこの図http://bit.ly/16hDvItで、低気圧の所で湿った暖かい空気が上昇して上で冷やされて雲ができ雨が降る、そこから空気が流れていって高気圧の所で乾燥した空気が降りてきて晴れる、そこから流れて低気圧に入って、大気(空気)がぐるぐる回るって説明。 (13.08.06)
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392. 池上さんはhttp://bit.ly/15CuOtc夏の高気圧が熱い理由として「空が晴れる」「空気が圧縮される」の2つを挙げてる。 高気圧は乾燥した空気だから晴れ、晴れれば太陽が照りつけるから暑いのは私でもわかる。 でも空気が圧縮されるから暑いっていうのは簡単にはわからないね。 (13.08.07)
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393. 池上さんは空気が圧縮されると暑い理由をこれでhttp://bit.ly/15ooBU4説明したよね。 高地は上に乗る空気が少ないから気圧が低く、低地では上に乗る空気が多いから気圧が高い。 池上さんは空気をギューと押して、空気が圧縮されるから気圧が高い低地は気温が高いって言ってる。 (13.08.08)
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394. 池上さんはこの図http://bit.ly/1bWawRmで、高気圧だと空気のかたまり(ピンク色)がギューと押されて外からエネルギーが入って来てそのエネルギーが空気の分子(青の○)の運動に変わって熱が発生、これを断熱圧縮と言うと説明。 出演者達は「わかんないよ〜」っていう顔ね。 (13.08.09)
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395. 池上さんは「高気圧だとなぜ暑いのか」をこの装置http://bit.ly/16qK6lUで実験。 ペットボトルの口に血圧計のゴム球(注)をつけたのかな。 ボトルに斜めに差し込んであるのが温度センサー、左の表示装置をみると今の温度は22.5℃だね。 (13.08.10)
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(注)ペットボトルの口につけたのは「血圧計のゴム球」ではなく、「炭酸キーパー」(飲みかけの炭酸飲料の入ったペットボトルの口に取り付けて空気を押し込み圧力をかけて気が抜けないようにするもの)のようです。「WEATHER GIRLS 気象・天気」(日本気象萌協会編、森田正光監修)の27頁に「霧を発生させる実験」として記載されていました。この本は、萌イラストはアレですが、気象予報士の森田さん監修のため内容はレベル高いです。 (13.08.21)
396. ゴム球を押してペットボトルに空気を押し込むと温度は24.8℃http://bit.ly/16qK9xWに。 2.3℃上昇ね。 断熱圧縮で熱が発生して温度が上がったことが実証できたね。 なぜ「断熱」っていうの? 熱が周囲に逃げるのより速く圧縮するから。 だから温度が上がるのね。 (13.08.11)
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397. ペットボトルに空気を押し込んだ後、ゴム球を外すと周囲と同じ気圧に下がり霧が発生http://bit.ly/1eiwKbZ。 池上さんは雲ができたって言ってる。 気圧が下がり断熱膨張で温度が下がって雲ができることが実証されたね。 ボトルの下に少し水が入ってるよ。 だから霧ができたのさ。 (13.08.12)
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398. 今回の『池上彰の学べるニュース』は生放送で電話で質問を受け付けていたけど、猛暑のコーナーは質問の受付が終わってから。 二酸化炭素との関係を質問されたら池上さんが答えられないからかな。 僕らなら二酸化炭素犯人説は嘘http://bit.ly/hHxk8rって答えられたんだけどね。 (13.08.13)
399. 池上さんは今年の猛暑の理由http://bit.ly/14EwLbCは2重の高気圧って解説してる。 でもそれは7月の猛暑で、8月の猛暑の原因は背の高い太平洋高気圧らしい。 どちらも強い高気圧ね。 高気圧で空気が圧縮されるから暑いっていうのわかった? わかんなかった。 じゃ復習しよっか。 (13.08.14)
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400. この図http://bit.ly/12U8IV2に高気圧と低気圧が書いてあるけど、これって天気図なの? い〜い質問ですね。 池上さんのマネのつもり? この図はいわば立体的に見た天気図。 ふ〜ん。 下の部分が地表、大気がぐるぐる回っている部分が対流圏、対流圏は地表から高度11kmまで。 (13.08.15)
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401. この立体的な天気図http://bit.ly/12U8IV2の地表部分を上から見たのが普通の天気図だよ。 高気圧から時計回りに回転しながら風が吹き出して、反時計回りに回転しながら低気圧に風が吹き込んでるね。 低気圧に吹き込んだ風(空気)はどうなると思う? (13.08.16)
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402. 低気圧に吹き込んだ風(空気)がどうなるのかは、普通の天気図では絶対わからない。 けど、この立体天気図http://bit.ly/12U8IV2なら低気圧に吹き込んだ空気が上昇するのが一目瞭然ね。 正確には、暖まって軽くなった空気が上昇して周りから空気を吸い込んでる所が低気圧。 (13.08.17)
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403. この立体天気図http://bit.ly/19aPmKDで低気圧は上の方では空気を吹き出してるね。 その空気が高気圧で下降して地表で吹き出すんだ。 地球規模の対流だね。 対流圏の上は成層圏。 旅客機は成層圏を飛ぶの? 冬は成層圏、夏は対流圏の上端が高くなるので対流圏を飛ぶらしい。 (13.08.18)
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404. 読売新聞http://bit.ly/13a7W6pによると8月9〜10日に高温になったのは太平洋高気圧の高さ(対流圏の高さ)が12kmになったかららしい。 7月猛暑は池上解説通り2重の高気圧、8月猛暑は背の高い高気圧かも。 どっちにしろ強い高気圧による空気の圧縮が猛暑の原因なんだ! (13.08.19)
  otn13_404
405. 毎日見る気象情報の天気図では高気圧と低気圧の間の距離はかなりあるよね。 少なくても1000kmぐらいかな。 でも対流圏の高さは11kmぐらいだから、この図http://bit.ly/1blVuRfの高さ方向を数十分の1にしたのが実際の高さ。 対流圏って地球表面の凄く薄い空気層なんだ! (13.08.20)
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406. 気象情報で天気図を毎日見てるよね。 低気圧が来ると天気が悪くて、高気圧が来ると天気がいいね。 この図http://bit.ly/12U8IV2の低気圧と高気圧が日々の気象の大部分を決めてるんだ。 ということは大気の対流で気象の大部分が決まるってこと? そのとおりさ。 (13.08.21)
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407. 日々の気象の大部分はこの図http://bit.ly/12U8IV2 (以下の上の図)の低気圧と高気圧、つまり対流で決まるのよね。 日々の気象を平均化したのが気候だよ。 でも地球の気候はこの図http://bit.ly/1d7vjkt (以下の下の図)のように放射で決まるんじゃなかった? そう言われてるね。 (13.08.22)
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408. 地球の気候は対流で決まるの、それとも放射で決まるの? い〜い質問ですね。 また池上さんのマネ! [先生と学くんの温暖化教室]http://bit.ly/13jCSkO (以下の273以降)を読むとわかると思うよ。 何故か気候に詳しい中学校の女の先生と何故か気候学者の中学生の学くんの温暖化教室ね。 (13.08.23)
273. 学くん、先生とお勉強しましょ。 ぼく気候学者で1000億円のスパコンでシミュレーションやってんだ。 じゃ熱の伝わり方わかるわね? 熱は放射で伝わります。 あと2つは? 放射だけでしょ? 宿題よ、これhttp://j.mp/bdILsw (以下の文)で対流と伝導を勉強してね。  (10.11.23)
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409. 学くんは気候学者で、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)を信じているから、熱は放射だけで伝わるって言い張ったhttp://bit.ly/1eJ6LdX (以下の274)。 でも先生は伝導と対流を勉強しないと中学を卒業できませんって怒ったんだよね。 そして先生は理科の実験を始めた。 (13.08.24)
274. 学くん、何見てるの? IPCCの温暖化説明図http://j.mp/by9gZ6 (以下の上の図)。 宿題は? IPCCによると熱は放射だけで伝わるんだ。 こっちhttp://j.mp/bdILsw (以下の下の文)で勉強して! IPCCはノーベル賞取ってんだぜ。 でもそれじゃ中学を卒業できません!  (10.11.24)
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410. 先生はビーカーに水を入れてガスバーナーにかけたんだよねhttp://bit.ly/hedfUq。 すると、学くんはお湯が沸く原理をIPCCの温暖化説明図と同じように説明したんだ。 私ですらわかっているお湯が沸く原理を、気候学者の学くんが間違ったので、笑っちゃったよ。 (13.08.25)
275. 学くん、理科の実験よ、ビーカーに水を入れてガスバーナーにかける。 ガスでビーカーの底が加熱されるね。 そうね。 加熱されたビーカーの底が赤外線を放射、その赤外線を水が吸収してお湯になる(以下の上の図)。 間違い! これhttp://j.mp/by9gZ6 (以下の下の図)と同じさ。 どっちも間違い! (10.11.25)
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411. 先生は学くんに、熱くなったビーカーの底を触らせたり、手をかざさせたりして、教えたんだよねhttp://bit.ly/14rvlyU (以下の276〜277)。 IPCCの教えを丸暗記していた学くんに、実体験で真実を教えた先生は素晴らしい。 学くんは伝導と対流でお湯が沸くってやっと理解したね。 (13.08.26)
276. 学くん、ビーカーを上にあげて底をちょっとだけ触ってみ て。 あち! それが伝導よ。 火傷しちゃうよ。 今度は触らずにビーカーの底の近くに手をかざして。 少し暖かい。 それが赤外線の放射よ。 放射より伝導の方が熱をめちゃくちゃよく伝えるってこと? 学くん、わかってきたわね。 (10.11.26)

277. 学くん、ビーカーの底がガスで加熱された後は? ビーカーの底の水に伝導で熱が伝わる。 その とおりよ。 伝導でお湯がわくの? 固体なら伝導で少しずつ熱が伝わるけど、水は液体で動けるでしょ。 伝導で暖まったビーカーの底の水が対流で上昇して、全体がお湯になる(以下の図)。 よくできました。 (10.11.27)

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412. 次に先生は学くんに、夏の砂浜で裸足になった経験を聴いたんだよねhttp://bit.ly/1f8YSPt (以下の278〜279)。 IPCCの教え通りの結果を出すことに熱中していた頭でっかちの学くんも、実体験を思い出して虚構から現実に戻ってきたね。 学くんはIPCCの温暖化説明図が嘘ってわかったんだよね。 (13.08.27)
278. 学くん、IPCCの温暖化説明図http://j.mp/by9gZ6 (以下の図)見せて。 太陽光で地面が加熱されるよね。 夏の砂浜で裸足になったら? 足の裏が熱くてすぐ足を上げる。 足をついた時が伝導、離れた時が赤外線の放射よ。 地面の場合も放射より伝導の方が熱をよく伝えるんだ!  (10.11.28)
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279. 学くん、温暖化説明図http://j.mp/by9gZ6 (以下の図)で地面が加熱された後は? 地面に接してる空気に伝導で熱が伝わる。 その後は? 対流で全体の空気に熱が伝わる。 そう、地面の熱は伝導と対流で空気全体に伝わるの、放射も少しはあるけどね。 温暖化説明図は嘘なんだ!  (10.11.29)
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413. 学くんが正しく理解した水の対流http://bit.ly/17jj9AM (以下の上の図)と大気の対流http://bit.ly/14CYBTr (以下の下の図)を比較してみよっか。 ビーカーの中央は熱せられて水が上昇してるから低気圧と同じよね。 ビーカーの周辺は水が下降してるから高気圧に対応してるといえるね。 (13.08.28)
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414. 水の対流http://bit.ly/17jj9AM (以下の上の図)も大気の対流http://bit.ly/14CYBTr (以下の下の図)も対流としては同じだね。 大気の対流では空気が反時計方向に回転しながら低気圧に吹き込んでるけど、ビーカーの水の対流でも回転するの? い〜い質問ですね。 また池上さんのマネ! (13.08.29)
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415. 大気の対流http://bit.ly/1dOSoaAは地球規模だから地球の自転(コリオリの力)でねじれるんだ。 だから低気圧に反時計回りに風が吹き込むのね。 南半球では逆回転だよ。 へー。 赤道上では回転しないから、回転力が必要な台風(強い熱帯低気圧)は北緯5〜15度で発生するんだ。 (13.08.30)
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416. ビーカーの水の場合http://bit.ly/15wl6JAはコリオリの力は無視できて水は真っ直ぐ進むんだ。 どうして? ビーカーのサイズは地球と比較して小規模で、水が端から中央へ流れる時間は地球の1回転(24時間)と比較して短時間だから、水はねじれる前に中央に到着するからだよ。 (13.08.31)
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417. 水の対流http://bit.ly/14dBlYM (以下の上の図)では、水の上は空気だよね。 うん。 大気の対流http://bit.ly/1a59OAE (以下の下の図)では、対流圏も成層圏も空気でしょ。 そうだよ。 同じ空気がなぜ対流圏と成層圏に分かれるの? い〜い質問ですね。 池上さんのマネはいいから! (13.09.01)
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418. この図http://bit.ly/15lszbkで地表を高度0として、高度0の気圧をP0、温度をT0とするよ。 それで? 低気圧の部分で地表が太陽光で加熱されると伝導で地表に接する空気塊の温度がt0に上がり(t0>T0)、空気塊は周囲の空気より軽いので上昇する。 水の対流と同じね。 (13.09.02)
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419. この図http://bit.ly/1dH4GnDで高度1の気圧P1は地表より低く(P1<P0)、高度1に上昇した空気塊の気圧もP1になるので、断熱膨張で温度が下がりt1となるけど、t1が高度1の周囲の温度T1より高ければ軽いので空気塊は更に上昇する。 ふ〜ん。 (13.09.03)
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420. この図http://bit.ly/18kLUvwで高度2の気圧P2は高度1より低く(P2<P1)、高度2に上昇した空気塊の気圧もP2になるので、断熱膨張で温度が下がりt2になり、t2が高度2の周囲の温度T2と同じなら空気塊の浮力はゼロ。 高度2以上には上昇しないっていうことね。 (13.09.04)
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421. この図http://bit.ly/14kuQ6pで、もし空気塊が高度3に達したとすると、断熱膨張で空気塊の温度が下がりt3になり、t3が高度3の周囲の温度T3より低ければ、空気塊は周囲の空気より重いので高度2に戻る。 空気塊が高度3まで上がったとしても高度2まで押し戻されるのね。 (13.09.05)
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422. この図http://bit.ly/17E5MY9のように対流が起こる対流圏と対流が起こらない成層圏に分かれて、その境界を対流圏界面っていうんだ。 その高さが11kmね。 11kmは日本の緯度での平均値で、夏は高く、冬は低い。 緯度で変わるの? 赤道では17km、北極では9kmだよ。 (13.09.06)
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423. 上昇した空気塊が断熱膨張で温度が下がったのに、周囲の温度より高いのはどうして? 実はこの図http://bit.ly/1aVaYOBのように周囲の温度も1km上がる毎に平均6.5℃づつ下がっているからさ。 11kmで−56.5℃にもなるの? 11km〜20kmは変化ないけどね。 (13.09.07)
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424. 高度5kmの−17.5℃は地表の15℃より温度が低いから重くて地表まで落ちてくるんじゃない? 高度5kmでは気圧は地表の53%で密度も60%に下がるんでhttp://bit.ly/14zY5Co、−6.5℃/kmの温度変化で上下の空気層と重さのバランスが取れて落ちてこないのさ。 (13.09.08)
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425. この図http://bit.ly/15aGeFKで地表の空気塊が16℃とすると周囲の15℃より高く軽いから上昇、断熱膨張で冷却されても周囲より温度が高いから更に上昇、11.15kmで空気塊と周囲の温度が等しく浮力ゼロ、12kmで周囲より低温で降下。 それで対流圏界面ができるのね。 (13.09.09)
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426. 対流圏界面http://bit.ly/15aGeFK (以下の上の図)って目に見えるの? 局所的な上昇気流の断熱膨張で入道雲(積乱雲)ができ、更に成長して対流圏界面で上を押さえられ横に広がって鉄床(かなとこ)雲http://bit.ly/181z1u5 (以下の下の写真)になる。 上の平らな部分が対流圏界面なのね。 (13.09.10)
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427. 池上さんはこれhttp://bit.ly/17YYdeIで解説してたよね。 池上さんは、温かい海水が蒸発して低気圧が発生し雨が降り、そこから乾いた空気が上昇して日本列島の近くで上から乾燥した空気がグーと下りてくる(赤い矢印)、これが太平洋高気圧だって言ってたね。 (13.09.11)
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428. 池上解説http://bit.ly/17YYdeI (以下の上の図)を立体天気図http://bit.ly/14EDe6m (以下の下の図)に当てはめてみよっか。 低気圧があるのは熱帯の海ね。 だから熱帯低気圧。 高気圧は太平洋高気圧で場所は日本ね。 今年は熱帯の海水温が高く太平洋高気圧が日本に張り出してるんだ。 (13.09.13)
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429. この図http://bit.ly/1aBQ6g0のように熱帯の海では空気が暖められ上昇するので周囲から空気を吸い込むのね。 太平洋高気圧からは気圧の低い周囲に空気が吹き出して、コリオリの力でねじられながら熱帯低気圧に吸い込まれるんだ。 これが夏の気圧配置の地表の空気の流れよね。 (13.09.13)
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430. この図http://bit.ly/1aBQg7fのように熱帯低気圧で上昇した空気は対流圏界面で押さえられ横に吹き出すんだ。 太平洋高気圧では空気が下降するので対流圏界面で熱帯低気圧からの空気を吸い込むのね。 だから対流圏界面では熱帯低気圧の上が高気圧で、太平洋高気圧の上が低気圧さ。 (13.09.14)
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431. 夏の気圧配置http://bit.ly/1fYUnavって正に対流ね。 熱帯の海で暖まった空気が熱帯低気圧の上昇気流で上昇すると気圧が下がるので断熱膨張で冷却され対流圏界面に達する時には−数十℃になってる。 その空気が横に吹き出して対流圏界面に沿って太平洋高気圧の上に流れるのね。 (13.09.15)
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432. この図http://bit.ly/17Z07Mwで対流圏界面に沿って流れてきた−数十℃の空気は太平洋高気圧の下降気流で下降すると気圧が上がるので断熱圧縮され昇温して地表に達する頃には熱帯と同じぐらいの温度になっているんだ。 だから日本の夏は熱帯と同じくらい暑いのね。 (13.09.16)
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433. 大気の対流も水の対流http://bit.ly/18blO1Nも同じだから、ビーカー中央のバーナーで熱せられた水塊が上昇すると水圧が低くなって断熱膨張で冷却され、ビーカーの端で下降すると水圧が高くなって断熱圧縮で昇温するのよね。 もしそうなら美味しい味噌汁つくれる? 間違ってる? (13.09.17)
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434. 水は液体でhttp://bit.ly/17Z0tTc (以下の上の図)水圧が変わっても体積は変化しない。 断熱膨張も断熱圧縮もしないってこと? その通り。 だから美味しいお味噌汁がつくれるんだ! 空気は気体で気圧で体積を大きく変えるから、こうhttp://bit.ly/155zkhM (以下の下の図)なるのさ。 (13.09.18)
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435. 池上さんの断熱圧縮の話は難しかったなー。 じゃこの図http://bit.ly/1aSDSQdで説明するよ(A)空気の分子が速度vでピストンに衝突すると速度vで跳ね返る(B)ピストンを速度Vで押し込むと速度v+Vで跳ね返える(C)速度Vで引くと速度v−Vで跳ね返る。 だから何なの? (13.09.19)
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436. 気体では飛び回る分子の平均速度が遅ければ温度が低く、早ければ温度が高いんだ。 ふ〜ん。 この図http://bit.ly/1eP7v6Hの(B)ではピストンを押して圧縮したので分子の速度が速くなって温度が上がり(C)では引いて膨張させたので分子の速度が遅くなって温度が下がったのさ。 (13.09.20)
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437. 夏の気圧配置http://bit.ly/1eP7Czoでは熱帯の海で加熱された空気が対流で日本まで届くのね。 途中に冷却・昇温があるけど「断熱」つまり熱の出入りがないから熱帯の熱い空気が日本に届くのさ。 熱帯の空気が旅客機みたいに成層圏近くを飛行して日本にやってくるって驚きだわ。 (13.09.21)
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438. 日本の気温が熱帯より高かったのは、どうして? フェーン現象って知ってる? うん。 この図http://bit.ly/16l0u4iで、20℃の空気が山を吹き上がると気圧が下がり断熱膨張で冷却されて0℃、山を吹き下りると断熱圧縮で昇温して30℃。 温度が上がってる、インチキ! (13.09.22)
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439. 実は断熱膨張には2種類ありhttp://bit.ly/18xl69l山を吹き上がる時は−10℃/kmの温度低下、空気中の水蒸気が雲粒(水滴)になり雲ができ雨が降る、水滴になる時に凝結熱が出るので−5℃/kmの温度低下、吹き下りる時は+10℃/kmの昇温。 凝結熱で加熱されるのね。 (13.09.23)
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440. 大気の対流でもhttp://bit.ly/18fCdPeフェーン現象と同じように熱帯低気圧では−10℃/kmの温度低下、雲ができ雨が降ると−5℃/kmの温度低下、太平洋高気圧では+10℃/kmの昇温。 熱帯低気圧で水蒸気が水滴となった時の凝結熱の分、日本の方が熱帯より暑いのね。 (13.09.24)
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441. 熱帯低気圧で水蒸気が雨になって落ちるから太平洋高気圧で下降する空気は乾燥してるね。 中心は太平洋上で日本は西の端なのでhttp://bit.ly/18fzNlq中心から吹き出した空気(風)はコリオリの力でねじられながら海上を進み水蒸気を吸って南風で日本へ。 だから高温多湿なのね。 (13.09.25)
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日本の夏は南風が吹き高温多湿なので、熱帯の空気がそのまま日本に吹きつけてくるような気がしますが、熱帯にあるのは空気を吸い込む熱帯低気圧なので、熱帯から暑い空気がそのまま日本に吹きつけることはできません。この図のように、熱帯の海で水蒸気を吸った暑い空気が熱帯低気圧の上昇気流による断熱膨張によって−数十℃の乾燥した空気になり、その空気が対流圏界面に沿ってコリオリの力でねじられながら進み、中緯度の太平洋高気圧の下降気流による断熱圧縮によって暑い空気に戻り、コリオリの力でねじられながら太平洋上を進むうちに水蒸気を吸い、南風として日本に到着するのです。
442.この図http://bit.ly/16u6Bnaの左は今年、右は平年、矢印は水蒸気の流れ、色は気圧。 図より右に太平洋高気圧の中心があるのね。 平年は僕が言った通り水蒸気が南から流入。 今年は太平洋側は水蒸気の流入が少なくて渇水、日本海側は流入が多くて豪雨になったみたいね。 (13.09.26)
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443. 左の図http://bit.ly/16u6Bna (以下の上の図)で立体天気図http://bit.ly/17OAyRK (以下の下の図)を書き換えてみたよ。 今年は太平洋高気圧が日本より西まで張り出したのね。 だから水蒸気を吸った空気が太平洋高気圧の周辺に沿って日本海側に流入して豪雨、太平洋側は渇水になったのさ。 (13.09.27)
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444. 池上さんはhttp://bit.ly/1aYKGfaインド洋の風がヒマラヤ山脈に向かって吹き付け、上空にワーと上がってチベット高気圧になるって解説していた。 チベット高気圧は高いところにできる高気圧なのね。 太平洋高気圧とチベット高気圧は全く違った高気圧なのさ。 (13.09.28)
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445. 池上さんはhttp://bit.ly/14pXvKk (以下の上の図)今年は風が強くてチベット高気圧が東に出てきて太平洋高気圧の上に重なったって言ってたね。 気象庁の資料http://bit.ly/1fh6Hp7 (以下の下の図)の方が正確だよ。 気象庁も太平洋高気圧とチベット高気圧が強いから猛暑って言ってるね。 (13.09.29)
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446. 夏の高気圧が暑いのわかったけど冬の高気圧は寒いんじゃない? 冬のシベリア高気圧はhttp://bit.ly/15aau5D放射冷却で冷えた空気の重さで気圧が高い寒冷高気圧、高さは2〜3kmで対流圏界面に届かない背の低い高気圧。 これが冬将軍ね。 高気圧によって性格が全く違うのさ。 (13.09.30)
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冬のシベリア高気圧の原因は「放射冷却」です。日本でも「今夜は晴れるので放射冷却により寒くなります」という冬の天気予報があります。日本の天気予報で放射冷却が登場するのはこの場合だけで、それ以外の天気予報は高気圧と低気圧(台風は強い熱帯低気圧)つまり対流に基づくものです。「放射冷却」とは、地表から放射された赤外線がそのまま宇宙に逃げてしまうことにより地表が冷却される現象です。「地表から放射された赤外線は大気中の二酸化炭素で吸収されるはずなのに、どうして赤外線がそのまま宇宙に逃げてしまうの?」とか、「放射冷却が起こるのは冬のシベリアや日本に二酸化炭素が少ないから?」のような疑問を感じる方も多いかもしれません。そのような方は「温暖化ツイッター小説第2集[特集:赤外線の吸収放射]」をお読みいただければと思います。
447. 温暖化ツイッター小説第13集[今年の猛暑]http://bit.ly/1eLNVmG出たよ。 候助さんの立体天気図の説明は勉強になったわ。 気象庁は平面の天気図つくってるけど、CGで立体天気図つくれば予報精度上がるかも。 今回はここで一旦終了です、また再開する時はよろしくお願いしま〜す。 (13.10.01)

31.「IPCC第5次報告書 第1作業部会 政策決定者向け要約」の翻訳(13.10.02; 14.06.23)

 「IPCC第5次報告書 第1作業部会(自然科学的根拠) 政策決定者向け要約」の日本語訳(井上訳)です。以下のリンクをクリックしてください。


 
「IPCC第5次報告書 第1作業部会 政策決定者向け要約」の日本語訳(井上訳)

 この要約の原文はIPCCのサイトのこちらで入手できます

 気象庁訳の「政策決定者向け要約」、「概要」、「よくある質問と回答」がこちらで入手できます。

 また、IPCC第5次報告書 第1作業部会報告書の全体はこちらで入手できます。

IPCC第5次報告書 第1作業部会報告書は次の要約、各章等からなります。

  政策決定者向け要約<Summary for Policymakers>
  技術要約<Technical Summary>

  第1章:序<Introduction>
  第2章:観測:大気および地上<Observations: Atmosphere and Surface>
  第3章:観測:海洋<Observations: Ocean>
  第4章:観測:雪氷圏<Observations: Cryosphere>
  第5章:古気候の記録からの情報<Information from Paleoclimate Archives>
  第6章:炭素および他の炭素および他の生物地球化学循環<Carbon and Other Biogeochemical Cycles>
  第7章:雲およびエアロゾル<Clouds and Aerosolst>
  第8章:人為起源および自然起源放射強制力<Anthropogenic and Natural Radiative Forcing>
  第9章:気候モデルの評価<Evaluation of Climate Models>
  第10章:気候変動の検出および原因特定:世界から地域へ<Detection and Attribution of Climate Change: from Global to Regional>
  第11章:短期の気候変動:予測および予報<Near-term Climate Change: Projections and Predictability>
  第12章:長期の気候変動:予測、気候の安定化、既定性および不可逆性<Long-term Climate Change: Projections, Commitments and Irreversibility>
  第13章:海面水位の変動<Sea Level Change>
  第14章:気候事象およびその将来の地域の気候変動との関連<Climate Phenomena and their Relevance for Future Regional Climate Change>

  添付資料I:世界および地域の気候予測の地図<Atlas of Global and Regional Climate Projections>
  添付資料II:気候システムシナリオ・テーブル<Climate System Scenario Tables>
  添付資料III:用語集<Glossary>
  添付資料IV:略語集<Acronyms>
  添付資料V:IPCC第5次報告書第1作業部会報告書への貢献者<Contributors to the IPCC WGI Fifth Assessment Report>
  添付資料VI:IPCC第5次報告書第1作業部会報告書の専門家査読者<Expert Reviewers of the IPCC WGI Fifth Assessment Report>

  インデックス<Index>

 気象庁のサイトで第1作業部会報告書(自然科学的根拠)の政策決定者向け要約の気象庁訳が公開されています。

 第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)は2014年3月31日に日本の横浜で公表されました。IPCCのサイトで第2作業部会報告書(英語)が公開されています。環境省のサイトで第2作業部会報告書の政策決定者向け要約(環境省訳)が公開されています。

 第3作業部会報告書(気候変動の緩和)は2014年4月13日にドイツのベルリンで公表されました。IPCCのサイトで第3作業部会報告書(英語)が公開されています。第3作業部会報告書の政策決定者向け要約の和訳は作成中のようです(6月23日現在)。

 統合報告書は2014年11月2日にデンマークのコペンハーゲンで公表されました。IPCCのサイトで入手できます。

 IPCC第5次報告書 統合報告書の政策決定者向け要約の日本語訳(井上訳)はこちらです。



32.グリーンピース共同創設者ムーア博士の人為的地球温暖化否定証言 日本語訳(14.03.01)

グリーンピース共同創設者の一人であるパトリック・ムーア博士<Ph.D Patrick Moore>が2014年2月25日に米国上院の公聴会で人為的地球温暖化を否定する証言行いました。グリーピースは世界規模の環境問題に取り組む温暖化脅威派の国際環境NGOですので、ムーア博士は自分らが創設したグリーンピースの温暖化に関する活動を否定する証言を行ったことになります。

 地球温暖化が政治問題となったのは1988年のジェームス・ハンセン博士の米国上院の公聴会での証言からです。今回のムーア博士の証言が地球温暖化の終わりの始まりかもしれません。以下のリンクをクリックしてください。ムーア博士の証言の翻訳文が表示されます。

グリーンピース共同創設者ムーア博士の人為的地球温暖化否定証言 日本語訳


33.NHK「バークレー白熱教室」に虚偽の温室効果実験では?と意見送信(14.06.05; 07.20)

  【6月12日追記へジャンプ】  【6月30日追記へジャンプ
  【7月17日追記へジャンプ】

 2014年5月16日(第1回)から6月13日(第5回)までNHK・Eテレでバークレー白熱教室「大統領を目指す君のためのサイエンス(注6)の再放送が行われました。講義するのは、カリフォルニア大学バークレー校のムラー物理学教授。(画像の下に続く)
(注6)リンク先のNHKのウェブページの「お知らせ」欄に、『バークレー白熱教室第3回のなかで、ドライアイスを箱に入れ温度をはかる実験を行いました。これは温まった二酸化炭素が空気より重いために箱の中に留まり毛布のような効果を発揮することを示す実験であり、いわゆる「二酸化炭素による地球温暖化」のメカニズムそのものを表現したものではありません。』と記載されていますが、これは私(井上)がここで追求したことによりNHK側が渋々記載したものです(7月17日追記参照)。
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 5月30日放送の第3回「地球温暖化の真実」では、上の画像に示す温室効果の実験が行われた。

 一方の箱にはKenとBill(以下「Ken」)の人形が置かれ(赤枠内)、他方の箱にはBestyとMelinda(以下「Besty」)の人形が置かれている(青枠内)。2つの箱の側面はガラス張りで上部は開放されている。そして箱の上から白熱電球で加熱されている。ムラー教授はKenの箱にドライアイスを入れる。昇華したCOは重いのでKenの箱はCOで満たされる。

 ドライアイスを入れたKenの箱の温度(グラフの赤線)はドライアイスの冷却により一旦温度が下降した後、温度が上昇する。一方、ドライアイスを入れていないBestyの箱の温度(グラフの青線)はほぼ一定。

 ドライアイスを入れたKenの箱の温度上昇について、ムラー教授はブランケット(毛布)効果または温室効果であると説明する。もし、これが本当に温室効果の実験であるとすれば、白熱電球で熱せられた人形や箱の底が赤外線を発し、Kenの箱内の高濃度COの強い温室効果により温度が上昇したことになる。でも、本当だろうか?

 私(井上雅夫)は、COが空気より重いのでKenの箱では通常の対流が阻害され熱が籠もって温度が上昇したと考えます。

 ドライアイスを入れていないBestyの箱では、箱の中も箱の上も同じ空気なので、教室全体で対流が起こります。つまり、白熱電球がBestyの人形や箱の底を熱する→人形や箱の底に接する空気が伝導で暖められ軽くなる→暖まり軽くなった空気が箱の上端を超えて上昇し箱から熱を逃がす→暖まった空気が箱から流出したのを補うために教室内の空気が箱に流入する→Bestyの箱の温度は一定。

 ドライアイスを入れたKenの箱では、空気より重いCOで満たされているので、箱内でCOの対流が起こります。つまり、白熱電球がKenの人形や箱の底を熱する→人形や箱の底に接するCOが伝導で暖められ軽くなる→暖まり軽くなったCOが箱の中を上昇する→暖まり軽くなったCOが箱の上端に達すると空気に接する→COの比重は空気に対して1.53なので暖まり軽くなったCOでもその上の空気より重い→暖まり軽くなったCOは箱の上端を超えて上昇できず箱の中で対流する→暖まったCOが箱から出られないのでKenの箱は熱が籠もり温度がどんどん上昇する。

 例えばシュリーレン法を使って対流を可視化すれば、Bestyの箱では教室全体の対流で、Kenの箱では箱内の対流であることが見えるはずです。また、両方の箱の上をガラス板で塞げば、どちらも箱内の対流になり同じ温度上昇になるはずです。

 実験は行っていませんが、COが空気より1.53倍も重いという事実を考慮すれば、実験を行うまでもなく、上記のとおりKenの箱では箱内の対流となるのは確実であると考えます(注1)
(注1)Kenの箱の上端では、比重1.53のCOの上に比重1.0の空気が接しています。COの温度がどんどん上昇し熱膨張で体積が1.53倍以上になれば比重は1.0以下になり、空気より軽いので箱の上端を超えてCOが上昇しKenの箱でも教室全体の対流が実現します。しかし、COの体積が1.53倍以上になるためには、百数十℃以上にならなければならず、白熱電球による加熱ではそのような高温は得られません(他のメカニズムで熱が逃げるから)。したがって、Kenの箱ではCOが箱内で対流するだけで、Bestyの箱のような教室全体の対流は起こりえません。
 以上のように、Kenの箱の温度上昇は通常の対流が阻害され熱が籠もったことによる温度上昇であり、COの赤外線の吸収・放射に基づく温室効果の実験ではありません。したがって、NHKは虚偽の温室効果実験を放送したことになります。

 そこで、6月5日NHKに対して次の意見を送信しました。
名前:井上 雅夫
件名(番組名など):バークレー白熱教室
メディア:Eテレ
ご意見・お問い合わせ:
 5/30の第3回「地球温暖化の真実」の温室効果の実験http://bit.ly/1kkthStは疑問。
 電球で熱せられた人形や箱の底が赤外線を発しKenの箱で高濃度CO2の強い温室効果で温度上昇なら温室効果の実験。
 しかし私は次のように考えます。

 Betsyの箱:人形や箱の底に接する空気が暖まり軽くなって教室全体の対流が起こり箱から熱を逃がして温度一定。
 Kenの箱:暖まり軽くなったCO2は箱内を上昇し上端で空気に接する。CO2の比重は空気に対して1.53なので、軽くなったCO2でも空気より重く箱内の対流となり熱が籠もり温度上昇。
 シュリーレン法で対流を可視化すれば上記が見えるはず。また両方の箱の上をガラス板で塞げば、どちらも箱内の対流になり同じ温度上昇のはず。
 検証実験を行っていただき私の考えが正しければ、虚偽の温室効果実験であることをムラー教授と視聴者に知らせるべきです。
【以下、2014年6月12日追記】
 6月5日に温室効果の実験は虚偽ではないかという上記の意見をNHKに送りましたが、まだ対応がなされていませんので、6月12日に次の意見2をNHKに送りました。
名前:井上雅夫
件名(番組名など):バークレー白熱教室
メディア:Eテレ
ご意見・お問い合わせ:
 6月5日に問い合わせ番号**で、第3回「地球温暖化の真実」で行われた温室効果の実験は虚偽ではないかという意見をお送りしましたが、ご検討いただけましたでしょうか。
 私のサイトhttp://bit.ly/1p8QUNdにより詳しく記載しております。これをお読みいただければ、検証実験を行うまでもなく、ムラー教授の実験は虚偽の温室効果実験であることをご理解いただけると考えます。
 もし、このままの状態が続きますと、学校等でこの虚偽の温室効果実験を使って温室効果を教えることが行われるようになると考えられます。それは生徒達に嘘を教えることですので絶対に避けるべきです。一刻も早く、ムラー教授の実験は虚偽の温室効果実験であることが公表されなければならないと考えます。
【以下、2014年6月30日追記】
 以上のように、NHKに対して6月5日に意見を送り、更に6月12日に意見2を送ったところ、6月25日にNHKの『「バークレー白熱教室」担当』から回答メールを受けました。NHKに対して意見を送るときには、「NHKからの回答は、みなさま宛てのものであり、内容を転用、二次使用することは固くお断りいたします」と表示されます。

 しかし、一刻も早くムラー教授の実験が虚偽の温室効果実験であることが周知されなければ、学校等でこの虚偽の温室効果実験を使って子供たちに嘘が教えられることになります。子供たちに嘘が教えられるのを防ぐという公益の方が、NHKによる転用や二次使用の禁止よりも、優先されなければならないと考え、NHKからの回答メールを以下に公開します。
ご質問の件ですが、正確を期すためムラー教授に問い合わせていたため返信が遅くなり申し訳ありません。
ご承知のように「二酸化炭素による温室効果」については科学者の間でも様々な論議があります。
一般的には「二酸化炭素など温室効果ガスが放射エネルギーを吸収することが温室効果の主な要因」といわれており、ムラー教授もその立場をとっておられます。
ムラー教授は今回の講義でわかりやすく「二酸化炭素の増加が温度を高める」ということを見せるためにこの実験を考案してくれました。
詳細なメカニズムは異なりますが、「広い意味での温室効果」を視覚的に表現する手段として、番組でも放送させていただきました。
ムラー教授からは
「「温室効果」という用語を二酸化炭素による地球温暖化に使うのは間違っているのではないかという科学者がいます。理由は、温室のガラスの主要な効果は、赤外線を閉じ込めることではなく、通常は地面から熱を逃がす対流を弱めるものだからです。
これは定義の問題です。本物の温室効果と二酸化炭素の温室効果の物理学は詳細においてかなり異なります。しかしながら、物理学者は類似点にフォーカスするのが好きなのです。どちらの場合でも、主要な特徴は、それがなければ逃げたはずと熱が閉じ込められ、結果として表面が温まります。
私の実験は、大気中の二酸化炭素の効果と詳細においては同じではありません。しかし、実際に熱を閉じ込めており、その点では同様です。
メカニズムがどうであれ、熱を閉じ込める原因となるものは何でも、温度を上げることになります。「温室効果」という言葉を大気中の二酸化炭素に利用することが広まっているため、この場合、広い定義を使うことが理にかなっていると思います。」
という返事が来ました。
ご理解いただければ幸いです。
しかしながらご指摘いただいたように正確なメカニズムは異なりますので、再放送に向けては「この場合は二酸化炭素の重さのせいで熱が逃げない」ことがわかりやすいようにナレーションを修正したいと思います。
貴重なご指摘をどうもありがとうございました。
 以上の回答メールには全く納得できませんので、更に問題点を指摘させていただきます。

 回答メールの最後の方で番組担当者は『再放送に向けては「この場合は二酸化炭素の重さのせいで熱が逃げない」ことがわかりやすいようにナレーションを修正したいと思います』と述べています。しかし、「再放送に向けて」という対応では全く不十分です。子供たちに嘘が教えられるのを防ぐために、一刻も早くムラー教授の実験が虚偽の温室効果実験であることが周知されなけれなりません。

 直ちに、「バークレー白熱教室」のサイトに、『第3回「地球温暖化の真実」でムラー教授が行った実験は虚偽の温室効果実験でした。学校等でこの虚偽の温室効果実験を使って温室効果を教えるのは絶対にやめてください』と表示すべきです。大きな文字で目立つように表示する必要があります。そして、現在放送されている「白熱教室」の5回以上にわたって冒頭部分で上記と同趣旨の説明を行い、虚偽の温室効果実験であることを周知させる必要があると考えます。また、「バークレー白熱教室」と視聴者が重なると考えられる「サイエンスZERO」で次に温室効果を取り上げる回にも、上記と同趣旨の説明を行うべきと考えます。

 回答メールで番組担当者は『ムラー教授は今回の講義でわかりやすく「二酸化炭素の増加が温度を高める」ということを見せるためにこの実験を考案してくれました』と述べています。これからすると、「今回の講義」つまりこの番組のためにムラー教授がこの虚偽の温室効果実験を考案したのであり、NHKがムラー教授の虚偽の温室効果実験を誘発したということになります。したがって、NHKの責任は極めて重いと考えます。

 回答メールの中でムラー教授は「温室のガラスの主要な効果は、赤外線を閉じ込めることではなく、通常は地面から熱を逃がす対流を弱めるものだからです」と、植物を育てる温室に言及しています。これは私が温室効果について最初に疑問に思った点で、このサイトを始めた時に「2.温室効果ガスの原理と温室の原理は80%相違する」を書いています。植物を育てる温室は「ガラスの温室効果」と「閉じ込め効果」の両方を有しています。これに対して、大気中のCOは「COの温室効果」のみを有し、ムラー教授の実験は「閉じ込め効果」のみを有しています(注2)
(注2)植物を育てる温室の温度上昇への寄与は、ガラスの温室効果が20%で、閉じ込め効果が80%です。
 温室の場合、太陽光はガラスを透過し地面を暖めます。暖まった地面は赤外線を放射し、その赤外線を温室のガラスが吸収し、ガラスは上方と下方に赤外線を放射します。この下方に放射された赤外線が温室内の温度を少し上げます。これがガラスの温室効果で、大気中のCOの温室効果と原理的に同じです。
 暖まった地面は赤外線を放射するだけでなく、地面に接する空気を伝導で暖めます。伝導で暖められた空気は膨張し軽くなり対流で上昇し、温室でなければ、そのまま上空に上昇し熱が逃げるので温度はあまり上がりません。これはBestyの箱と全く同じです。
 温室の場合は、温室内を対流で上昇した暖かい空気が温室のガラスで閉じ込められるので熱が籠もり温室内の温度が上昇します。これが温室の閉じ込め効果で、Kenの箱と原理的に同じです。ただし、Kenの箱では、温室のガラスによる閉じ込め効果とは違い、COと空気の比重差による閉じ込め効果です。
 ムラー教授の『私の実験は、大気中の二酸化炭素の効果と詳細においては同じではありません』や、番組担当者の『正確なメカニズムは異なります』(アンダーライン付加)は全く不適切な言い逃れです。原理が完全に異なると言わなければなりません。ムラー教授の実験は「虚偽の温室効果実験」なのです。

 Kenの箱の温度が上昇する原理は、COの比重が1.53で、比重1.0の空気より、かなり重く、その比重差でCOがKenの箱内に閉じ込められ、通常の対流が阻害され、熱が籠もり温度が上昇するというものです。したがって、ムラー教授の実験は、COでなくても、比重が空気よりかなり大きい気体であれば、どんな気体を使っても同じように温度が上昇します。このことからも、ムラー教授の実験が、COの温室効果とは全く無関係であるは明らかです。

 回答メールで番組担当者は『ムラー教授は今回の講義でわかりやすく「二酸化炭素の増加が温度を高める」ということを見せるためにこの実験を考案してくれました』と述べています。しかし、「二酸化炭素の増加が温度を高める」は誤りです。正しくは、「Kenの箱が空気よりかなり比重の大きい気体で満たされたので、その比重差で比重の大きい気体がKenの箱内に閉じ込められ、通常の対流が阻害され、熱が籠もり温度が上昇した」のです。その気体としてCOを使い「二酸化炭素の増加が温度を高める」と主張するのは物理学の講義としては絶対に許されません。

 回答メールの最後で番組担当者は「貴重なご指摘をどうもありがとうございました」と述べ、あたかも私の指摘で初めて「虚偽の温室効果実験」であることを知ったように装っています。しかし、以下に示すように、番組担当者はこの番組を作成していた時点で、「虚偽の温室効果実験」であることを認識していた可能性が極めて高いと考えます。

 以下の画面A〜Cは「画面A→画面B→画面C」の順序で放送された画面です。画面Aはムラー教授が実験を開始する直前の画面、画面Bはムラー教授がKenの箱を紹介している時のKenの箱のクローズアップ、画面Cはムラー教授がKenの箱にドライアイスを入れている場面です。(画面の下に続く)

33_f2.jpg
 何かおかしなところがあるのに気がつきませんか? 画面AではKenの箱(むこう側の箱)の中にローソクが立っています。ところが画面BのKenの箱のクローズアップではローソクがありません。そして画面CではKenの箱にローソクが復活しています。その後はローソクがある状態で実験が進みます。

 このローソクは、目に見えないCOを「視覚的に表現する手段」としてKenの箱に設けられたとしか考えられません(「視覚的に表現する手段」は回答メールの中で番組担当者が実験全体に対して使用している言葉です)。ローソクに点火してからドライアイスを入れると昇華したCOは重いのでKenの箱の底から溜まりCOが炎の部分に達すると炎が消え、Kenの箱がCOで満たされたことが視覚的にわかるというわけです。もしかすると、このローソクは番組担当者の発案でKenの箱に設けられたのかもしれません。

 しかし、なぜか放送ではローソクに点火されることはなく、せっかくの「視覚的に表現する手段」が使われていません。なぜでしょうか? リハーサルで点火して実験を行ったら、ローソクの炎が消えた後、燃えかすや煙がKenの箱内に漂ったのではないでしょうか。これでは「虚偽の温室効果実験」であることがバレてしまいます。それで本番では点火しなかったのではないでしょうか。

 本番ではローソクに点火せず実験を行い収録が無事終了した後、映像を確認して番組担当者は失敗に気づいたのかもかもしれません。ローソクが写っていたのでは、視聴者から「なぜローソクがあるのですか?」という質問を受けるリスクがあります。しかし、学生たちを呼び戻してもう一度収録するわけにもいきません。そこで、Kenの箱のクローズアップの部分だけローソクなしの映像を取り直し、元のクローズアップ映像を取り直し映像で差し替えたのではないでしょうか。

 以上は私の推理に過ぎませんが、ローソクの謎を解く他の推理は考えにくいと思います。

 以下の画面1〜6は「画面1→画面2→画面3→画面4→画面5→画面6」の順序で放送された画面です。ムラー教授は、画面1でKenの箱にドライアイスを入れ、画面2でブランケット効果の説明を行い、画面3で上のスクリーンに投影されている温度のグラフを確認した直後から、画面4の右下の小さな画面の中でKenとBestyの箱の温度のグラフを説明し(画面全体には温度のグラフが表示されている)、(画面の下に続く)
33_f3.jpg
画面5で黒板に円(地球)を描きながら地球温暖化の説明を始め、画面6で地球温暖化を説明しながら黒板に描いてきた図が完成します。

 画面6の黒板の図で、内側の円が地球、外側の円との間が大気、右から地球への波線の矢印が太陽光、地球から外向きの波線の矢印が地球から放射された赤外線、赤外線の中には大気から地球に戻ってくるものもあります。図の上には、CO、IR(赤外線)、CH(メタン)などの文字も書かれています。

 何かおかしなところがあるのに気がつきませんか? 画面3の黒板には画面6と同じ図が描かれています。画面4の右下の小さな画面の中の黒板にも同じ図が描かれています。そして、画面5でムラー教授は図を描き始め、画面6で図が完成します。もしかして、ムラー教授はタイムマシンを使って時間を操作したのでしょうか?

 そんなことはありませんよね。番組担当者が時間順序を入れ替える編集を行ったのです。ムラー教授の講義は「画面1→画面2→画面5→画面6→画面3→画面4」の順序で行われたのです。それを番組担当者が「画面1→画面2→画面3→画面4→画面5→画面6」に順序を入れ替える編集を行ったのです。なぜ、番組担当者はこのような編集を行ったのでしょうか?

 まず、番組担当者が編集時点でムラー教授の実験は「真実の温室効果実験」であると信じていたと仮定します。この場合は、わざわざ時間順序を入れ替えることはないはずです。順序を入れ替えるよりも、ムラー教授の講義の通りに、画面5、6で地球温暖化の説明を行った後、画面3、4でKenの箱の急激な温度上昇を説明する方が、COによる地球温暖化の脅威を視聴者に強く印象づけることができるからです。

 次に、番組担当者が編集時点でムラー教授の実験は「虚偽の温室効果実験」であることを知っていたと仮定します。この場合は、ムラー教授の講義の通りでは、虚偽だと指摘された場合に、言い逃れができないというリスクがあります。画面1でドライアイスを入れ、図2でブランケット効果の説明し、画面3、4でKenの箱の温度上昇を説明し、その後に図5、6で地球温暖化の説明をした方が、虚偽だと指摘された時に、言い逃れしやすいです。

 ブランケットとは毛布のことですが、ムラー教授も番組中で述べているように、電気毛布ではなく普通の毛布です。このたとえは地球温暖化の説明で時々使われます。大気中のCOは、電気毛布のような発熱源ではなく、普通の毛布が体から逃げる熱を逃げにくくしているのと同様に、地球から逃げる熱を逃げにくくしているのです。

 番組担当者は、放送したように順序を入れ替えておけば、虚偽と指摘されたとしても、ムラー教授の実験は、毛布やその他の熱を逃げにくする効果一般についての実験であると、言い逃れができると考えたのかもしれません。実際、回答メールで、番組担当者は『詳細なメカニズムは異なりますが、「広い意味での温室効果」を視覚的に表現する手段として、番組でも放送させていただきました』(アンダーライン付加)と述べています。

 以上は私の推理に過ぎませんが、時間順序編集の謎を解く他の推理は考えにいと思います。

 ムラー教授の実験結果は実に見事なものです。Kenの箱とBestyの箱の温度を比較すればCOの恐ろしさを直感的に理解できます。そして、いかにも「真実の温室効果実験」であるかのようにみえます。これが「虚偽の温室効果実験」であると見破れる人は少ないと思います(注3)。疑り深い人でも、公共放送のNHKが「地球温暖化の真実」というタイトルで放送した実験なので、「真実の温室効果実験」に違いないと思うのではないでしょうか。
(注3)地球温暖化に関しては放射(太陽光、赤外線)のみが語られます。放射だけで考えていると、ムラー教授の実験は「真実の温室効果実験」であるとしか見えないと思います。「虚偽の温室効果実験」と見破るためには、中3理科で、熱の伝わり方には対流、伝導、放射の3つがある(「先生と学くんの温暖化教室」参照)と習ったことを思い出す必要があります。
 しかも、この実験に費用はそれほどかかりません。材料も簡単に入手できます。この番組を視聴した学校の先生達が、善意でこの虚偽の温室効果実験を使って子供たちに嘘を教えている可能性が非常に高いと推測します。しかし、子供たちに嘘を教えるのは絶対にいけません。

 この虚偽の温室効果実験を放送してしまったNHKには、ムラー教授が行った実験は虚偽の温室効果実験であり、学校等でこの虚偽の温室効果実験を使って温室効果を教えてはいけないことを、周知する責任があると考えます。

 そこで、6月30日NHKに対して次の意見3を送信しました。今回は、私の意見が番組担当者に届かずに、放送倫理担当者に届くように、番組名は伏せています。この意見3に対する回答が納得できない場合は、BPO(放送倫理・番組向上機構)に意見を送ることも考えています。
名前:井上 雅夫
件名(番組名など):放送倫理について
メディア:Eテレ
ご意見・お問い合わせ:
 ある番組に対して、6月5日と6月12日に意見をお送りしましたところ、6月25日に番組ご担当者様からご回答メールをいただきました。しかし、納得できませんので、もう一度意見をお送りいたします。今回は、私の意見が番組ご担当者様ではなく、放送倫理ご担当者様にお届けいただくために、番組名は伏せています。
 私のサイトhttp://bit.ly/1p8QUNdにこれまでお送りした意見も含めて私の意見を全て記載しておりますので、ご検討をお願いいたします。
 7月15日までにご回答をいただければ幸いです。ご回答に納得できない場合は、BPOに意見をお送りさせていだくことも考えています。
【以下、2014年7月17日追記】
 以上のように、6月30日にNHKの放送倫理担当者に届くように意見3を送ったところ、7月15日に放送倫理担当者からではなく、前回と同じ『「バークレー白熱教室」担当』から以下の回答メールを受けました(以下、これを「回答メール2」といいます)。
バークレー白熱教室の実験について、再度のご意見を頂きました。
私どもとしては、先日お答えいたしましたように、ムラー教授の「広い意味での温室効果を視覚的に表現する」という実験趣旨をふまえ、そのまま紹介させていただいたものです。
ただ今後再放送の際には、誤解を招かないようにナレーションやスーパー等で補足するなどの措置を行いたいと考えております。
さらに、番組ホームページでも実験の趣旨について誤解を招かないよう、補足情報を掲示することにしました。
以上、ご理解願えれば幸いです。
 6月30日の追記ローソクの謎時間順序編集の謎についての私の推理を記載しておきましたが、これらに対する反論はありませんので、番組担当者はこの番組を作成していた時点で「虚偽の温室効果実験」であることを認識していたものと考えます。

 今回の回答メール2では番組担当者は2つの点について譲歩しています。前回は再放送の際にナレーションの修正を行うだけでしたが、今回はナレーションに加えてスーパー等が加わりました。もう一つは「番組ホームページでも実験の趣旨について誤解を招かないよう、補足情報を掲示することにしました」という点です。

 実際、番組ホームページは修正され、右下の「お知らせ」欄に次の文章が記載されています。
バークレー白熱教室第3回「地球温暖化の真実」のなかで、ドライアイスを箱に入れ温度をはかる実験を行いました。これは温まった二酸化炭素が空気より重いために箱の中に留まり毛布のような効果を発揮することを示す実験であり、いわゆる「二酸化炭素による地球温暖化」のメカニズムそのものを表現したものではありません。
 残念ながら、この曖昧な表現では番組担当者が述べる「実験の趣旨について誤解を招かない」ではなく、実験の趣旨について誤解を招いてしまいます。『二酸化炭素が空気より重いために箱の中に留ま』ることが、『いわゆる「二酸化炭素による地球温暖化」のメカニズムそのもの』とは異なっていると解釈されるからです。

 大気中のCOは、僅かな地域的・季節的な変動を別とすれば、基本的には大気中至る所で一定の濃度で約0.04%です。水平方向だけでなく、鉛直方向でも濃度一定です。高度が高くなると気圧が下がりますが、約0.04%のCO濃度は一定です。空気の比重1.0に対してCOガスの比重は1.53ですが、COが空気に混ざってしまうと比重差は無関係になります。現実の大気では地表付近のCO濃度が高く上空のCO濃度が低くなることはないのです。

 これに対してムラー教授の実験ではKenの箱内はCO100%で、箱の上端より上はCO濃度は約0.04%です。上記の曖昧な表現では、この点は現実の大気と違っているが、Kenの箱内の濃度100%のCOが、大気中のCOの温室効果と同じように、赤外線を吸収・放射して温度が急上昇していると誤解される可能性が高いのです。

 回答メール2において番組担当者は、『私どもとしては、…ムラー教授の「広い意味での温室効果を視覚的に表現する」という実験趣旨をふまえ、そのまま紹介させていただいたものです』と述べています。しかし、「広い意味での温室効果」を知る視聴者は皆無であり、この番組を見ても視聴者が「広い意味での温室効果」を認識するのは不可能です。ムラー教授や番組担当者は、自分たちだけにしかわからない「広い意味での温室効果」と、誰でも知っている当たり前の「温室効果」を渾然一体とさせて視聴者を騙しているのであり、これはペテンといわざるをえません。(この段落2014.07.20追加)


 そこで、以下に私が提案する「お知らせ(修正案)」を示します。アンダーライン部分が修正箇所です。
バークレー白熱教室第3回「地球温暖化の真実」のなかで、ドライアイスを箱に入れ温度をはかる実験を行いました。これは温まった二酸化炭素が空気より重いために箱の中に留まり毛布のような効果を発揮することを示す実験であり、「二酸化炭素による赤外線の吸収・放射に基づく地球温暖化」とは原理が異なります。したがって、学校等で地球温暖化や温室効果を教える時には、この実験は絶対に使わないでください
 本来であれば、「Kenの箱は通常の対流が阻害され熱が籠もって温度が上昇した」と明記されるべきと考えます。しかし、前回の回答メールの中でムラー教授はこの点を明瞭には述べていませんので、番組担当者も書きにくいと思います。そこで、上記修正案ではこの点は割愛しました。

 地球温暖化の温室効果が赤外線の吸収・放射によることは周知であり、ムラー教授もこの考え方ですので(注4)、番組担当者もムラー教授の許可なしで上記修正案の通りに『「二酸化炭素による赤外線の吸収・放射に基づく地球温暖化」とは原理が異なります』と書くことができると考えます。また、修正案の最後の「したがって、学校等で地球温暖化や温室効果を教える時には、この実験は絶対に使わないでください」は、これが子供たちに嘘を教えるのを防ぐ上で最も重要なことですので、この点は明記されなければならないと考えます。
(注4)今回のムラー教授の講義の講義録である『リチャード・A・ムラー著、NHK「バークレー白熱教室」制作チーム+杉田昌子著「バークレー白熱教室講義録、文系のためのエネルギー入門」早川書房、2013年12月25日』の101頁には、「地球には大気が存在する。そのおかげで、地球から放射された赤外線が宇宙へ逃げてしまうことはない。一部は大気に吸収されて、地球の方へ放射される。」と記載されています。
 番組トップページの「お知らせ」欄を上記の「お知らせ(修正案)」の通り修正するのに加えて、上記の「お知らせ(修正案)」と同趣旨の文章が、第3回「地球温暖化の真実」のページにも記載されなければならないと考えます。

 また、上記の「お知らせ(修正案)」と同趣旨の文章が、「NHK for School ブログ」にも記載されなければならないと考えます。このページの上の方には「小中高生・先生方にお勧めの番組…の最新情報をお届けします」と記載されていますので、子供たちに嘘を教えるのを防ぐためには、このページにも記載が必要です。「投稿者 番組制作スタッフ」とありますので、番組担当者はこのブログを修正する権限を有していると考えます。もし、修正できないブログ・システムであるのなら、番組担当者がコメントを投稿すればよいと考えます。

 そこで、今日(7月17日)NHKに対して次の意見4を送信しました。
名前:井上 雅夫
件名(番組名など):バークレー白熱教室
メディア:Eテレ
ご意見・お問い合わせ:
 6月30日の問い合わせ番号*に対して7月15日にご回答をいただきましたが、納得できませんのでもう一度意見をお送りいたします。番組ホームページの「お知らせ」欄の最後の部分『いわゆる…ではありません』を『「二酸化炭素による赤外線の吸収・放射に基づく地球温暖化」とは原理が異なります。したがって、学校等で地球温暖化や温室効果を教える時には、この実験は絶対に使わないでください』に修正し、また同趣旨の文章を以下のurl http://bit.ly/W907M4http://bit.ly/1t1jWzI にも記載していただきたいと思います。詳しくは私のサイト http://bit.ly/1tUm8gB をご参照ください。8月1日までにご回答をいただければ幸いです。ご回答に納得できない場合はBPOへの意見を含む対応策を考えさせていただきます。

 以上の意見4における私の提案は私としては最大限譲歩した内容です。番組担当者が自分だけで対応できることのみを提案していますので、番組担当者の負担が最も少ない解決策です。番組担当者はこのチャンスを是非生かして、この問題を解決していただきたいと思います。このチャンスを逃がすと番組担当者だけでは解決できなくなると推測します。

 以下、6月30日の追記以降にわかったことについて述べさせていただきます。

 6月30日の追記で、前回の回答メールの文言に基づいて「この番組のためにムラー教授がこの虚偽の温室効果実験を考案した」と述べましたが、実際その通りでした。ムラー教授の本来の物理学の講義の講義録は『リチャード・ムラー著、二階堂行彦訳「サイエンス入門」(株)楽工社、2012年6月20日』として刊行されています。この講義録の第10講「気候変動」には、この虚偽の温室効果実験は記載されていません。

 したがって、この番組のためにムラー教授はこの虚偽の温室効果実験を考案したわけですが、次の(1)〜(3)の場合が考えられます。
(1)ムラー教授が自発的にテレビ番組には「視覚的に表現する手段」が必要であると考え、この虚偽の温室効果実験を考案した。
(2)番組担当者がムラー教授に「視覚的に表現する手段」をお願いして、ムラー教授がこの虚偽の温室効果実験を考案した。
(3)番組担当者が「視覚的に表現する手段」としてこの虚偽の温室効果実験をムラー教授に提案し、ムラー教授がその提案を受けた。
 (1)(2)(3)の順番で番組担当者の責任が大きくなります。「視覚的に表現する手段」は前回の回答メールの中で番組担当者が使用していた言葉であり、テレビ関係者なら常に考えているはずです。しかし、テレビ関係者でない人が自発的に「視覚的に表現する手段」を考えることはないと考えられるので(1)でないことは明らかです。(2)(3)のどちらかは番組担当者の証言がなければわかりません。

 (1)〜(3)のいずれにしても、NHKのこの番組のために、カリフォルニア大学バークレー校の世界最高クラスの秀才たち(注5)に嘘が教えられ、かつNHKの放送を通じて日本の視聴者にも嘘が教えられたことになります。終わったことは仕方がないですが、今後、学校等でこの虚偽の温室効果実験を使って温室効果が教えられることは何としても防がなければなりません。
(注5)ウィキペディアによれば、カリフォルニア大学バークレー校は世界の国立・公立大学においてランキング第1位。
 今回のムラー教授の講義はNHKのための特別講義ですが、その講義録は『リチャード・A・ムラー著、NHK「バークレー白熱教室」制作チーム+杉田昌子著「バークレー白熱教室講義録、文系のためのエネルギー入門」早川書房、2013年12月25日』として刊行されています。この講義録には放送と同じ虚偽の温室効果実験が掲載されています。

 以下の図はこの講義録に掲載された虚偽の温室効果実験の温度のグラフです。左側は実験スタート時のグラフで、右側はKenの箱の温度が急上昇した後のグラフです。この右側のグラフについてのムラー教授の説明を図の下に示します。
33_f4.jpg
 温度のグラフ(右側のグラフ)を見ると、差が出てきたのがわかるね。ケンとビルの方は、最初のうちは温度が下がっている。投入したドライアイスにより一時的に冷えたからだ。でもそのあとは、溜まった二酸化炭素が毛布と同じ効果を発揮し、熱を吸収している。これが「ブランケット効果」または「温室効果」だ。
 一方で、ドライアイスがなく二酸化炭素が発生しないベッツィとメリンダの場合は熱を逃がすことができるから、熱エネルギーが逃げていき、温度は低いままだ。でもケンとビルの方は右肩上がり。これが温室効果であり、地球温暖化で私たちが懸念している現象だ。
 以上は放送と完全に同じというわけではなく講義録用に修正されたものですが、内容的には放送と同じです。順番も6月30日の追記の画面1〜6と同じで、上記の説明は画面4におけるムラー教授の説明です。この講義録でもこの温度のグラフの説明が行われた後、画面5〜6の地球温暖化の説明が行われます。

 ただし、一つだけ違いがあります。放送では、ムラー教授の温度のグラフの説明が終わった後、次の画面(番組担当者は赤色で温度が上がったCOガスを視覚的に表現しています)と、画面の下に示したナレーションによって、虚偽の温室効果実験について番組側の説明が行われ、その後にムラー教授の地球温暖化の説明が始まります。
33_f5.jpg
ナレーション:
 教授の実験ではっきり確認できたのは二酸化炭素による温室効果でした。この実験では空気より重い二酸化炭素は容器の中にとどまり熱を逃がさない毛布と同じ働きをしたのです。
 今回の回答メール2で番組担当者は「今後再放送の際には、誤解を招かないようにナレーションやスーパー等で補足するなどの措置を行いたい」と述べています。これはこの部分のナレーションを今回番組担当者が番組ホームページのお知らせの欄に記載した内容に沿って修正し、さらにスーパー等で文字の説明を加えるということです。

 しかし、これでは、前述のとおり、誤解を招きますので、ダメです。ナレーションおよびスーパー等による説明を、私が提案する「お知らせ(修正案)」に沿って作成しなければなりません。

 NHKは、今後再放送する際にも、ムラー教授の実験は地球温暖化に関する温室効果とは原理が異なることを明らかにして、子供たちに嘘が教えられることがないように細心の注意を払って放送する責任があると考えます。

 以下は私の空想です。
 番組の収録が無事終了した後、ムラー教授は学生たちに向かってニヤニヤしながら、「ところで、君たち、さっきの実験のトリックを見破れたかね?」。学生たちは唖然とした表情。教授は続けて「あの実験はテレビ用の視覚的に表現するトリックさ。実際の地球温暖化の温室効果とは原理が全く違う。君たちは文系だけど、中学理科で熱の伝わり方をきちんと学んでいれば、トリックの原理がわかったはずだ。わかった者はいないのかね。では、次回までの宿題としよう」。
これは私の空想に過ぎませんが、こうであって欲しいと思います。テレビの収録があるとはいえ、大学教授が学生たちを騙すのは許されないと思うからです。



34.BSフジ「ガリレオX」に「2100年の海面上昇が4m」は虚偽と意見送信(14.06.17)

 BSフジ「ガリレオX」の2014年6月8日の放送は「コンピュータの中の地球、未来の地球環境を予測する」でした。コンピュータ・シミュレーションによる温暖化予測に関する番組ですが、2100年に4m近い海面上昇の可能性があると放送されたので、ビックリ。同日夜に次の意見をガリレオXとBSフジに送りました。
「コンピュータの中の地球」で2100年の海面上昇が4mの可能性があると放送されましたが、IPCC第5次報告書http://bit.ly/TuHBMYによれば2081−2100年の海面上昇は最大でも0.82mなので、虚偽の放送です。訂正放送が必要です。
 1週間後の6月15日の再放送で、私の意見に対して何らかの対応がなされていれば、矛を収めようと思っていましたが、残念ながら全く同じ番組の再放送でした。このままでは多くの視聴者が間違った予測によって温暖化に対して必要以上の恐怖をいだきかねません。そこで、以下、なぜ虚偽なのかを明らかにさせていただきます。

 この番組の最初の方に出てくる次の画面には「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による地球温暖化予測」と記載されています。
34_f1.jpg
 この後、国立環境研究所の江守さんがIPCC第5次報告書 第1作業部会報告書(英語版)を持って現れ、IPCCの予測について説明します。視聴者としては、この番組で放送される予測はIPCCの予測であると考えることになります。

 番組に送った上記の私の意見では、その時点で目についた表SPM.2に基づいて、IPCCによれば2081−2100年の海面上昇は最大でも0.82mと記載しましたが、政策決定者向け要約のセクションE.6には、2100年の予測値も記載されていました。IPCCの2100年の海面上昇の予測は、南極の氷の崩壊が起こったとしても、最大1m数十cmです。

 以下、この番組の海面上昇の部分を画面と文字で再現します。
ナレーション:
 皆さんは100年後の未来を想像できますか?
 実は、温暖化の影響として、ひょっとしたら起こりうる最悪のシナリオがあるのです。
34_f2.jpg
 もしも…地球上にある氷が大量に融け出したら、最悪の場合、世界で4m近い海面上昇が起こる可能性があります。
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34_f4.jpg
 そして、日本の主要都市の大部分が海の底になってしまうのです。
34_f5.jpg

34_f6.jpg
 本当に、こんなことが起こってしまうのでしょうか?
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海洋研究開発機構 河宮未知生さん:
 とんでもないことが起こるんじゃないかという懸念がいくつか認識されているので、それに対する予測はきちんとしていかなければいけないという話です。よく言われるのは、南極大陸とかグリーンランドとか、そういった陸地の上に何千mの厚さの大きな氷が乗っているんですけれども、温暖化が一定以上になると、徐々に融けるといよりは、パカッと割れてしまって、大規模な海面上昇が急激に起こるのではないかと。

ナレーション:
 地質学データからは地球の歴史の中で盛んに氷が割れていた事実を示す証拠が見つかっています。こうした最悪のケースを避けるための予測研究が進められているといいます。

海洋研究開発機構 河宮未知生さん:
 100年後までに起こるかどうかっていうと、そんなに起こらないんじゃないかなと思っていますけども、全く心配ないだろうと言ってしまうのも科学的態度ではないし、かといって氷が割れて大変なことになるぞって触れて回るのも科学的態度ではない。どこがバランスの取れた科学者としてのあるべき態度かということを、それを見るためにもシミュレーションモデルを組み立てているという、そういう面もあると言えますね。
 以上の番組を視聴した人は、IPCCの2100年(100年後)の予測では最悪の場合4m近い海面上昇が起こる可能性があり、これが起こらないかもしれないが全く心配ないということもできないと感じたはずです。

 しかし、IPCCの予測では、RCP8.5(最も多くCOを排出するシナリオ)でも2100年の海面上昇は0.52〜0.98mが可能性の高い範囲であり、最大でも0.98m(約1m)です。これは温暖化による海水の熱膨張と氷河が徐々に融けることによる海面上昇です。この他にIPCCは、南極の氷が急激に崩壊した場合(河宮さんの言う「パカッと割れてしまっ」た場合)について数十cmを超えない追加的な海面上昇の可能性を予測しています。これを加えても、IPCCの2100年の海面上昇の予測は最大1m数十cmです。

 実際のIPCCの2100年の海面上昇の予測である最大1m数十cmでも十分に恐怖を感じさせる海面上昇です。でも1m数十cmなら堤防でなんとかなるかもしれないし、もし堤防が決壊しても2階に避難すれば助かります。

 これに対して、この番組の「2100年の4m近い海面上昇」の場合は、仮に巨大な堤防を建設したとしても、堤防が決壊したら大惨事になることは明らかです。堤防を建設しなければ、極めて多数の個人や企業の土地が放棄されなければなりません。2100年はそれほど遠い将来ではありません。海抜4mの土地に建てられた家で今年生まれた赤ちゃんが86才になった時、自分が生まれた家に住めないことになるのです。

 「2100年の4m近い海面上昇」は虚偽放送といわざるをえないのではないでしょうか。

 訂正放送が必要と考えます。まず、「2100年の4m近い海面上昇」を記載した論文を提示し、「2100年の4m近い海面上昇」はこの論文の予測であり、IPCCはこのような予測は支持しておらず、IPCCの2100年の海面上昇の予測は、南極の氷の崩壊が起こったとしても、最大1m数十cmであることを説明する必要があるでしょう。また、ビルや住宅が水没する映像や、大阪や東京の水没地域を示す映像を、1m数十cmの場合に作り直すことも必要かもしれません。

 そこで、以下の意見2をガリレオXとBSフジに送信しました。
 6/8放送の「コンピュータの中の地球」について虚偽の放送であると意見をお送りしました。6/15の再放送でも全く同じ番組でした。このままでは多くの視聴者が間違った予測によって温暖化に対して必要以上の恐怖をいだきかねませんので、私のサイトhttp://bit.ly/1uzQ9NYで、なぜ虚偽かを明らかにしました。
 ガリレオXは優れた科学番組で毎週見ています。番組中で江守さんが「気候変動は政治的な重要性が高く、偏りのあることを書くといけない」と述べていますが、政治が絡む温暖化関連番組は十分に注意して作成していただければと思います。
 この意見はガリレオXとBSフジの両方にお送りしています。


35.地球温暖化の研究に関する驚くべき真実(14.07.28; 10.19<オススメ

   追記【気候モデルと数値予報モデル】へジャンプ

 2014年6月8日放送のBSフジ「ガリレオX」の「コンピュータの中の地球、未来の地球環境を予測する」では、上記のように、虚偽の事実が放送されました。

 しかし、この番組の最後の部分では、次に示すように地球温暖化の研究に関する驚くべき真実が放送されたのです。

 この番組の最後の部分で、国立環境研究所の江守さん(以下の画面の右側)が、同研究所の小倉さん(左側)を紹介します。小倉さんは予測精度の向上を目指した研究をしています。
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国立環境研究所 江守正多さん:
 難しい部分っていうのは雲なんですけれども、雲が今の気候モデルの中で現実と比べてどうか…を彼はズッと調べていて。

ナレーション:
 予測の幅ができてしまう最大の理由は雲ができる過程を現実の地球のようにうまく再現しきれないことです。雲の役割は太陽の光を反射する、地表の熱を逃がさないなど、気候変化と密接にかかわっています。つまり、それによって起こる現象を再現できないことが、気候予測に誤差が生じる原因となっているのです。
 小倉さんはこの雲の問題を解決するための研究を続けています。
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国立環境研究所 小倉知夫さん:
 実際の作業を説明しますと、このプログラムの中のこの行をこう変えればいいんじゃないか、ああ変えればいいんじゃないか、というアイディアに基づいて、この1行か2行かを書き換えて、本来あるべき姿に戻せたらいいなって思って試しているところです。

ナレーション:
 それにしても、なぜ雲の再現は難しいのでしょうか。それはコンピュータの計算能力の限界と関係します。
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 予測で計算されるマス目の大きさは計算能力の問題から現時点で100km程度のスケールになります(左の画面:地球全体、右の画面:一つのマス目)。
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 しかし、実際の雲の動きはより微細な現象です。正確に再現するには遙かに小さいマス目で計算をしなければならず、計算能力が足りないのです(左の画面)。
 そこで小倉さんは別の数式を加えることによって、計算能力の限界を補いながら、正しく雲を再現することを目指しています(右の画面)。
 しかし、加えられる数式は一般的な物理法則ほど理解が進んでいません。そのため小倉さんは約1年間にわたって80回もの数式の修正を続けてきました。
  …
 プログラムが書き上がったようです。これらのプログラムはスーパー・コンピュータへ送られ計算されます。
  …
 3日後、データの計算が終わりました。果たして結果はどうだったのでしょうか。

国立環境研究所 小倉知夫さん:
 では見てみましょう。これは非常に青いといいますか、変化の幅があまりにも大きすぎるっていう結果になっています。良くしようとして悪くなってしまったことは往々にしてあるんですけれども、気候モデルの性能としては受け入れがたい結果です。
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ナレーション:
 この図(上の画面)は、実際に起きた過去の観測データと計算結果を比較したものです。青い部分は観測された雲に比べて計算上の雲が太陽エネルギーを反射しすぎた場所です。つまり、計算上の雲は現実とかけ離れてしまっているのです。

国立環境研究所 小倉知夫さん:
 そうですね、何も変わらないのよりはいいですけど、これはないよなーと。

ナレーション:
 より精度の高い温暖化予測を実現するため、小倉さんは挑戦を続けています。
 以上の放送から明らかになった地球温暖化の研究に関する真実は、小倉さんが、気候モデルと呼ばれるプログラムの1〜2行を修正し、スーパー・コンピュータ(以下「スパコン」)で3日間計算した結果、計算上の雲は現実とはかけ離れていて、失敗に終わったということです。そして、驚くべきことは、小倉さんは約1年間にわたって80回もの数式の修正を続けてきたということです。

 2008年発行の江守さんの『地球温暖化の予測は「正しい」か?』(以下「江守さんの本」)の103頁に「僕のグループで現在開発中の新しい雲のパラメタ化」と記載されています(注7)。この江守さんの本に記載されている雲のパラメタ化は、主に資料(右クリックして「新しいウインドウで開く」を選択すると別のウインドウで開きます)のものを指しています。これに対して、小倉さんが行っている「数式の修正」は、上記資料の31頁(ポインタを下の方に移動して頁を入力するとジャンプできます)の「shallow convection」を、より現実的に再現するための別プログラムです。上記資料20頁にあるように、雲のパラメタ化の工夫がうまくいくと、それ以前と比べて大きく精度が向上します。大きく改善された上で、まだ改善の余地のある箇所があるため、小倉さんはそこを約1年間にわたって80回、修正を試みています。
(注7)研究者の方からご意見をいただきましたので、ご意見に基づいて書き換えました。ご意見に基づいて書き換えた部分を緑色で記載しています。これにともない私(井上)の考えで修正した部分を紺色で記載しています。 (2014.08.21)
 小倉さんはノートパソコンでプログラムを修正していましたが、そのプログラムはスパコンに送られ、3日間計算され、計算結果が小倉さんのノートパソコンに表示されていました。番組で紹介されたスパコンは地球シミュレータです。
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 左の画面の体育館のような建物が地球シミュレータの格納容器で、右の画面は内部に格納された地球シミュレータです。ウィキペディアによると、地球シミュレータの開発費は600億円、年間維持費は約50億円です。(2014年10月11日に海洋研究開発機構(JAMSTEC)の横浜研究所施設の一般公開で地球シミュレータを見学してきました。)

 小倉さんは、この地球シミュレータを3日間×80回/年=年間240日間も使用している計算になります。スパコンは同時に膨大な量のプログラム実行を並行して行っていますので、地球シミュレータを長期間占有しているわけではありませんが(注8)
、小倉さんが使っている研究費(地球シミュレータ側が負担しているのかもしれません)は、かなりの金額になるのではないでしょうか。
(注8)これまで「他の科学者のプログラムも同時並行的に処理されているのかもしれませんが、そうだとしても」と記載していましたが、研究者の方のご意見に基づいて緑色で修正しました。これにともない私の考えで修正した部分を紺色で記載しています。(2014.08.21)
 上記資料(右クリックして「新しいウインドウで開く」を選択すると別のウインドウで開きます)の23頁(ポインタを下の方に移動して頁を入力するとジャンプできます)には、「積雲パラメタリゼーション(パラメタ化)の歴史」の表が示されています。表の下には、「1970年代半ばには、基本的な型が出そろった」、「その後、様々な改良が試みられたが、性能面で大きな進歩はなかった」と記載されています。また、ガリレオXの上記の引用部分より前で、ナレーターが下記の予測の幅の画面を説明した後、江守さんは「その予測の幅っていうのが、1990年に最初にIPCCのレポートが出た時からほとんど変わっていないんですよ」と述べておられます。したがって、雲のパラメタ化は様々な改良が試みられ精度が向上した部分もあるのでしょうが、少なくともこれまでは、性能面で大きな進歩はなく、予測の幅は1990年に最初にIPCCのレポートが出た時からほとんど変わっていないのです。(注9)
(注9)この段落は、研究者の方のご意見に基づいて書き換えたことにともない、私の考えで追加した段落で、紺色で記載しています。以下の紺色部分も同様です。(2014.08.21)
 1990年にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した第1次報告書には次のように記載されていました。
 我々は以下のことを確信<certain>する。
 ・人間活動に起因する排出によって二酸化炭素…といった温室効果ガスの大気中濃度は著しく増加している。これらの増加は温室効果を強めるため、その結果、全体として地球表面に一層の温暖化をもたらすだろう<will>。…
  …
 ▼…枠組み条約についての国際交渉は、この報告書発表後、…可能なかぎり早く開始されるべきである。…
 この第1次報告書の僅か2年後の1992年に気候変動枠組条約が締結されました。この条約には世界中の国が加盟しています。気候変動枠組条約の前文には次のように記載されています。これはIPCCが第1次報告書で確信したことに悪影響を付け加えたものです。
この条約の締約国は、…
 人間活動が大気中の温室効果ガスの濃度を著しく増加させてきていること、
 その増加が自然の温室効果を増大させていること並びに
 このことが、地表及び地球の大気を全体として追加的に温暖化することとなり、
 自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼすおそれがあること
を憂慮し、…
 …次のとおり合意した。

 以上の気候変動条約の前文に記載されていることは、要するに、「人為的温室効果ガスによる温暖化とそれによる悪影響」です。したがって、人為的温室効果ガスによる温暖化とそれによる悪影響は、科学的真偽はともかく、気候変動枠組条約に基づいていますので、政治的、法律的には真なのです。

 IPCCは数年ごとに報告書を発表していますが(最新版は第5次報告書)、各報告書に記載された知見を煎じ詰めれば、上記の気候変動枠組条約の前文に記載された「人為的温室効果ガスによる温暖化とそれによる悪影響」と同じものになります(注2)。逆に言えば、地球温暖化の科学とは上記の気候変動枠組条約の前文に記載された「人為的温室効果ガスによる温暖化とそれによる悪影響」の裏付けを行う学問であるということです(注3)(注4)
(注2)温暖化の原因が人為的温室効果ガスによる可能性は、2001年発表の第3次報告書では66〜90%の可能性、2007年発表の第4次報告書では90〜100%の可能性、2013年発表の第5次報告書では95〜100%の可能性です。次の第6次報告書では99〜100%の可能性になると予測します。

(注3)2014年7月19日に国立環境研究所の夏の大公開で行われた『ココが知りたい生パネル「地球温暖化と国際協力・将来の社会」』で、モデレータの江守さんや3人の温暖化の科学者のパネリストの話を聞いていると、気候変動枠組条約の話なのか、科学的知見の話なのか、渾然一体で区別が付きませんでした。地球温暖化の科学は気候変動枠組条約に基づく学問であることを確信しました。

(注4)江守さんの本の16頁には「地球温暖化というのは、ひと言でいうと、人間活動のせいで地球全体の温度が上がっていくという問題です」と記載されています。この地球温暖化の定義は、気候変動枠組条約の前文に記載された「人為的温室効果ガスによる温暖化」と同じです。物理学や化学のような通常の科学は、実験や理論を駆使して、未知の自然法則を発見しようとする学問です。これに対して、地球温暖化の科学は、観測やシミュレーションを駆使して、気候変動枠組条約に記載された「人為的温室効果ガスによる温暖化」を裏付けようとする学問です。
 温暖化の科学者はそれぞれの国の政府から研究費をもらいます。世界中の国が上記の気候変動枠組条約の前文に記載された「人為的温室効果ガスによる温暖化とそれによる悪影響」を憂慮しているのですから、各国政府は多額の研究費を自国の温暖化の科学者に注ぎ込みます(注5)しかし、雲のパラメタ化の研究に関しては、上記のように、これまで様々な改良が試みられたものの性能面で大きな進歩はなく、予測の幅は1990年に最初にIPCCのレポートが出た時からほとんど変わっていないのです。今後、雲のパラメタ化の研究が飛躍的に進み、21世紀末の予測の幅が縮小することを期待しています。
(注5)『ココが知りたい生パネル「地球温暖化と国際協力・将来の社会」』((注2)参照)では、福田政権が掲げた2050年60〜80%削減目標を実現するには革命が必要、しかし革命が成功すると損をする既得権益者が抵抗するので革命は難しいということでした。モデレータの江守さんは温暖化の自然科学者であり、3人のパネリストは温暖化の社会科学者ですが、自分たちが気候変動枠組条約で保護された既得権益者であることには気づいていないようでした。

【気候モデルと数値予報モデル】(2014.08.17; 08.29; 09.15)


 以上のように、地球温暖化の予測は、気候モデルと呼ばれるプログラムをスパコンで計算して行われます。一方、現在の天気予報は、数値予報モデルと呼ばれるプログラムをスパコンで計算して行われています(気象庁サイトの「数値予報とは」参照)。江守さんの本の111頁には「気候モデルによる大気や海の計算の仕方は、じつは日々の天気予報に使っている技術とほとんど同じなのです」と記載されています。

 しかし、地球温暖化の予測に用いられる気候モデルと、日々の天気予報に用いられる数値予報モデルとは、似て非なるものなのです。

 地球温暖化の予測に用いられる気候モデルは100kmのマス目で21世紀末を予測します。一方、気象庁で天気予報のために使われている数値予報モデルは、地球全体を計算する全球モデルでは20kmのマス目で11日間、日本周辺を計算するメソモデルでは5kmのマス目で39時間、局地モデルでは2kmのマス目で9時間の予報をしています(「数値予報モデルの種類」参照)。

 地球温暖化の予測に用いられる気候モデルは大気も海も計算しますが、天気予報に用いられる数値予報モデルは大気だけの計算です(江守さんの本の111頁)。ただし1ヶ月を超える予報は大気も海も計算します(「大気海洋結合モデル」参照)。気候モデルのマス目が100kmと数値予報モデルのマス目より遙かに大きいのは、気候モデルが大気と海の両方を計算し、しかも21世紀末まで計算するからと推測します。

 気候モデルによる21世紀末の地球温暖化の予測は、21世紀末にならなければ予測値と観測値を照合できません。したがって、地球温暖化の予測が当たったかどうかは21世紀末までわかりません。一方、数値予報モデルによる天気予報は、9時間〜11日間(3ヶ月予報、暖寒候期予報では7ヶ月間)の予報であり、予報値と観測値を照合して改良できるので、予報誤差(予報値と観測値の差)が年々小さくなる実用的な技術です(「数値予報の精度向上」、「予報誤差」参照)。

  気候モデルの将来の予測は検証することはできませんが、過去にさかのぼって、過去に起きたこと・変化してきたことを再現することができるのか、を検証すれば、気候モデルの性能を評価することができます。(注10)
(注10)研究者の方から再びご意見をいただきましたので、ご意見に基づいて書き換えました。ご意見に基づいて書き換えた部分を緑色で記載しています。これにともない私(井上)の考えで修正した部分を紺色で記載しています。(20014.08.29)
 図1の黒は気温の観測値、赤はIPCC第5次報告書で使われた気候モデル群がシミュレートした過去の気温の平均値、薄黄色の細線群は各気候モデルがシミュレートした過去の気温です(詳しくは図Y19.1の説明参照)。グレーの細線群が上書きされていますが、この部分にも薄黄色の細線群があると考えてください。
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 図1を見ると、気候モデルが再現した過去の気温(赤)は観測値(黒)をうまく再現しています。江守さんの本には、「過去の気候変化がうまく再現できることを額面どおり受け止めて、同じようにうまく将来が予測できると考えるのは危険であるということです。過去が再現できることは、将来が予測できることの必要条件であっても、十分条件ではありません」(124頁)と記載されています。したがって、過去の気温をうまく再現できる気候モデルは、将来の気温が予測できることの十分条件は満たしてはいませんが、将来の気温が予測できることの必要条件は満たしているということになります。

 ただし、図1の2000年以降を見ればわかるように、21世紀に入ってからは気温の観測値(黒)は横ばいで(ハイエイタス(地球温暖化の停滞)と呼ばれています)、観測値(黒)は気候モデルが再現した気温(赤)に対して下の方向にズレています。しかし各気候モデルのシミュレーションのバラツキ(薄黄色の細線群)の中には観測値(黒)は入っています。雲のパラメタ化の研究が飛躍的に進めば予測の幅が小さくなりますが、そうなれば、図1のバラツキ(薄黄色の細線群)の幅も小さくなり、観測値(黒)がバラツキ(薄黄色の細線群)の下に出てしまう恐れもあるかもしれません。

 ハイエイタスの原因は、海洋の約700mを超える深い層の熱の取り込みによると考えられているようです(「近年の地球温暖化の停滞は海洋熱吸収の増大によるものか」参照)。そうだとすると、いつまで熱の取り込みが続くのか、取り込んだ熱がいつ大気に移るのか、を正確に予測できなければ、気候モデルによる気温の予測の信頼性は低下するのではないでしょうか。(注11)
(注11)2014年8月30日のNHK「異常気象"暴走"する大気と海の大循環」で、NHKによるハイエイタスの説明後、タモリさんの「温暖化が止まってきたということじゃないの?」という質問に対して、東京大学大気海洋研究所の木本昌秀教授は、
今まで私は地球温暖化起こっているんだよ、って言ってるのに、これでは私の体面がもちません。科学者は地球温暖化は進んでるんだ、これからもっとはっきりしてくるんだ、って言って、データ見たら、なんだよ止まってるじゃないか、ということになって、一生懸命調べております。
と述べておられました。体面を保つため研究しておられるようです。同番組で同研究所の渡部雅浩准教授は、
ハイエイタスの原因になっていると考えられる自然の変動というのが10年とか20年、そういった時間で変化を繰り返してきています。ですから、遠い将来の話ではなくて、少なくとも10年とか、そのぐらいの間に今のハイエイタスが終わって、また温度上昇が急になってくる時期が現れると考えています。
と述べておられます。また、2014年9月1日に同准教授他は、「地球温暖化の停滞現象(ハイエイタス)の要因究明 〜2000年代の気温変化の3割は自然の変動〜」で、
気候の内部変動の地球全体の気温変化に対する寄与は、1980〜2010年までの各年代で47%、38%、27%と無視できない大きさであることが分かりました。
と発表しておられます。これまで1980年代、1990年代の大きな気温上昇は、ほぼ100%人為起源強制力によるとされてきたと思いますが(図Y19.1参照)、1980年代の47%、1990年代の38%は内部変動(自然の変動)ということになると、人為起源強制力による寄与は1980年代約53%、1990年代約62%となります。2000年代は内部変動27%ですから、人為起源強制力の寄与は約73%で、30年のうち最も人為起源強制力が貢献した2000年代がハイエイタスなのですから、IPCC第5次報告書の21世紀末の気温上昇の予測(最大4.8℃)は大きく修正されるのではないでしょうか(注12)。体面を保てるかどうか注目されます。(2014.09.01; 15)

(注12)(注11)の最後の方に書いた「最も人為的強制力が貢献した2000年代がハイエイタスなのですから、…大きく修正される」は私の誤解でした。毎日新聞2014年09月03日「温暖化:人類起因7割 21世紀平均気温分析…東大チーム」を読んで、ようやく渡部准教授他のお考えがわかりました。自然の変動は正の時(気温を上げる時)も負の時(気温を下げる時)もありますが、その大きさは昔も今も21世紀末も同程度のはず。今は人為的地球温暖化はまだそれほど進んでいないので、21世紀に入ってから負の自然の変動によって人為的地球温暖化が打ち消されハイエイタス。このままCOを排出し続けると21世紀末は人為的地球温暖化は極めて大きくなっているはず。その時、自然の変動は、正であっても負であっても、極めて大きな21世紀末の人為的地球温暖化と比較すれば相対的に無視しうる程度。したがって、負の自然の変動で現在のハイエイタスを説明すると同時に、COを排出し続けると21世紀末には自然の変動にかかわりなく極めて大きな人為的地球温暖化が実現します。素晴らしい! これなら体面を保てるかもしれません。

実は、1990年代にも、気候モデルが再現した気温が観測値より大きいという問題があったのです。この時は英国のハドレーセンターが、COの大きな正の強制力(気温を上げる力)をエアロゾルの負の強制力(気温を下げる力)で打ち消すことにより、気候モデルが再現した気温を観測値に一致させ、「人間活動による地球温暖化の旗を守る」ことができたのです(『住明正「さらに進む地球温暖化」17〜19頁』参照)。一見、COの強制力を小さくして観測値と一致させても同じに見えますが、そうではありません。今はエアロゾルの負の強制力で打ち消しておいて21世紀末にエアロゾルをゼロにすることによって、21世紀末の地球温暖化を加速させることができるのです(『(訳注20) 「21世紀末温暖化加速のカラクリ」および「気候モデルの正体」』参照)。例えば、今の中国はCOを大量に排出して地球を加熱すると同時に、大量のエアロゾル(PM2.5、公害物質)も排出して冷却もしていることになるのです。しかし、PM2.5が社会問題になり、今後は公害防止技術によりエアロゾルを減らさざるを得ないのです。その結果、21世紀末には、今より遙かに大量のCOを排出して地球を今より遙かに強く加熱し、冷却はしないことになるのです。

今回の渡部准教授他の研究は、1990年代のハドレーセンターの業績に勝るとも劣らない素晴らしい成果かもしれません。でも、私(井上)はどちらも信じませんけどね。「旗を守る」とか「体面を保つ」とかいうのは、真理を探究する科学とは別物だと思うからです。(2014.09.04; 11)
 また、地球温暖化の気候モデルには予防原則という強い味方がついています。1992年の国連環境開発会議(UNCED)リオ宣言は、予防原則について次のように記載しています(EICネット参照)。
環境を保護するため、予防的方策は、各国により、その能力に応じて広く適用されなければならない。深刻な、あるいは不可逆的な被害のおそれがある場合には、完全な科学的確実性の欠如が、環境悪化を防止するための費用対効果の大きい対策を延期する理由として使われてはならない。(アンダーライン付加)
 IPCC第5次報告書は、「CO排出に起因する人為起源の気候変動の大部分は、…数世紀から千年の時間スケールで不可逆的である」(アンダーライン付加)と認定しています。したがって、気候モデルの予測には予防原則が適用され、科学的な不確実性を口実に対策を拒否または遅らせる動きは牽制されることになるのです(EICネット参照)。

 地球温暖化の気候モデルでは初期値は重要ではありませんが(江守さんの本113頁)、天気予報の数値予報モデルでは初期値が重要です(「客観解析」参照)。数値予報モデルでは近い将来の予報であり初期値から変化が少ないので、モデル自体が不完全でも初期値が正確であれば予報はかなり正確なはずです。一方、気候モデルでは遠い将来の予測であり初期値は全く関係なくなるので、モデル自体が不完全なら予測も不完全なはずです。

 地球温暖化の気候モデルでは上記のように雲はパラメタ化しています。天気予報の数値予報モデルでは、20kmのマス目の全球モデルと5kmのマス目のメソモデルは雲をパラメタ化しているようですが、2kmのマス目の局地モデルでは雲をパラメタ化せず物理法則に基づいて計算しているようです(気象庁資料1の9頁の「積雲対流パラメタリゼーション」参照)。

 地球温暖化の気候モデルでは、雲のシミュレーションは極めて重要です。雲は太陽光を反射するので、雲の量によって太陽から地表が受けるエネルギーが変わり、21世紀末の気温上昇に大きく影響するからです。しかし、上記のように、雲のパラメタ化に様々な改良が試みられたものの性能面で大きな進歩はなく、予測の幅は1990年に最初にIPCCのレポートが出た時からほとんど変わっていないのです。そのため
以下のガリレオXの画面のように、21世紀末の気温上昇の予測には2.2℃という大きな幅があるのです。
35_f7.jpg

 一方、気象庁のサイトの「天気分布予報」には20kmのマス目の天気分布予報が示されています。オレンジ色は晴、グレーは曇、青は雨、白は雪です。「動画開始」をクリックすると1日分の予報が動画で表示されます。また、「>」をクリックすると3時間先に進み、「<」をクリックすると3時間前に戻ります。
「地方」を選択すれば地方の天気分布予報が表示されます。テレビの天気予報でこれが使われることもあります。雨や雪が降っている時は上空には雲があるはずなので、「グレー+青+白」が雲の予報範囲です。この天気分布予報は、20kmのマス目の全球モデルを用いて作成されています(「数値予報モデルの種類」の表の「分布予報」参照)。

 また、気象庁のサイトの「天気予報」には全国の天気予報がお天気マークで表示されています。「日・項目の選択」で選択すれば、今日、明日、明後日の天気が表示されます。「地方」、「府県」を選択するか、地図をクリックすると地方や府県の天気が表示されます。これがテレビの天気予報で主に使われているものです。これも20kmのマス目の全球モデルを用いて作成されています(「数値予報モデルの種類」の表の「府県天気予報」参照)。

 また、気象庁のサイトの「全般週間天気予報」には全国の週間天気予報がお天気マークで表示されています。「各府県の週間天気予報」で選択すると各府県の週間天気予報が表示されます。これもテレビの天気予報でよく使われます。これも20kmのマス目の全球モデルを用いて作成されています(「数値予報モデルの種類」の表の「週間天気予報」参照)。

 なお、テレビの天気予報で雲の衛星写真が表示されることがありますが、これは過去の雲の写真(観測データ)であり、雲の予報ではありません。

 天気予報にとっては、雲よりも雨が重要です。降水確率が多くの人に利用されているだけでなく、台風や豪雨の時の防災のために降水量の予測は特に重要です。

 気象庁のサイトの「全球モデル」のページには、20kmのマス目の全球モデルの予報例の動画が示されています。降水量が色で表示されています。降水量の予報ができるのは、雨量を含む観測データが初期値として入力されるからと思います。

 気象庁のサイトの「メソモデル・局地モデル」のページの下の方に予報例の動画が示されています。左図には実際の降水量、中図には2kmのマス目の局地モデルで予報した降水量、右図には5kmのマス目のメソモデルで予報した降水量が色で示されています。左図の実際の降水量は解析雨量といわれるもので、レーダーによる観測データをアメダス等による観測データで補正したものです(「解析雨量」参照)。

 以下の画面は、2014年8月7日21:00〜22:00のNHKニュースウオッチ9の天気予報の画面です。
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 左の画面は雨の予想動画の最初の7日23時の雨の予想の画面で、その後コマ送りで予想動画が進み、右の画面が予想動画の最後の8日21時の雨の予想の画面です。つまり、現在から24時間後までの雨の予想の動画です。これは5kmのマス目のメソモデルの結果に基づいていると推測します。このようにテレビの天気予報では動画で24時間の雨の予報が行われていますが、残念ながら、気象庁のサイトでは24時間の動画の雨の予報は提供されていません。その代わりに次の3つの雨の動画が気象庁のサイトで利用可能です。

 気象庁のサイトの「解析雨量・降水短時間予報」で「動画開始」をクリックすると、6時間前から現在までの解析雨量(観測値)と、現在から6時間後までの降水量の予報が動画で表示されます。また、「>」をクリックすると1時間先に進み、「<」をクリックすると1時間前に戻ります。「地方」で選択すると、地方の降水量の予報も利用可能です。この降水量の予報は、1kmのマス目の予測で、解析雨量の降水量分布の移動速度を使って直前の降水分布を移動させて、6時間後までの降水量分布を作成します(注6)、後半ではズレが大きくなるので数値予報の結果(2kmのマス目の局地モデルの結果と推測します)も加味されます(「降水短時間予報と降水ナウキャスト」参照)。
(注6)この降水短時間予報の前半の予測方法は、レーダ等による降水量と、ドップラーレーダによる雨領域の移動方向と移動速度(「気象レーダー観測」参照)、つまり、初期値だけに頼った予測です(以下の「レーダー・ナウキャスト」や「高解像度降水ナウキャスト」も同様)。現在から3時間後までの予測では、この初期値だけに頼った予測の方が、物理の方程式を計算する数値予報モデルの予測より正確なのかもしれません。
 気象庁のサイトの「レーダー・ナウキャスト(降水・雷・竜巻)」で「動画開始」をクリックすると、1時間前から現在までの気象レーダーによる降水強度分布(観測値)と、現在から1時間後までの降水強度分布の予報が動画で表示されます。また、「>」をクリックすると5分先に進み、「<」をクリックすると5分前に戻ります。「地方」で選択すると、地方の降水量の予報も利用可能です。この降水量の予報は、1kmのマス目の予測で、降水域の移動の状態がその先も変化しないと仮定して、降水の強さに発達・衰弱の傾向を加味して、降水の分布を移動させることにより作成されています(「降水短時間予報と降水ナウキャスト」参照)。結局、レーダー・ナウキャストでは数値予報モデルの結果は全く使われていないということになります。

 気象庁のサイトの「高解像度降水ナウキャスト」で「動画開始」をクリックすると、1時間前から現在までの降水強度分布(観測値)と、現在から1時間後までの降水量の予報が動画で表示されます。また、動画停止状態で「>」をクリックすると5分先に進み、「<」をクリックすると5分前に戻ります。拡大表示や表示部分を移動させることもできます。この降水量の予報は、250mのマス目の予報で、予測前半では3次元的に降水分布を追跡する手法で、予測後半にかけて気温や湿度等の分布に基づいて雨粒の発生や落下等を計算する対流予測モデルを用いた予測に徐々に移行して作成されています(「高解像度降水ナウキャスト」参照)。結局、高解像度降水ナウキャストでも数値予報モデルの結果は全く使われていないようです。

 「高解像度降水ナウキャスト」は外出中にスマホで今後1時間以内の雨を知るために使えるかもしれません。「解析雨量・降水短時間予報」は、台風や豪雨の時に自治体が防災用に6時間前〜6時間後の降水量を知るために適しているかもしれません。しかし、夜に明日の雨の予報が知りたい人にとっては、上記のNHKのニュースで放送された今後24時間の雨の予報が便利だと思います。これが気象庁のサイトで何時でも利用できるようになればいいのですが…。

 ご意見等は、井上雅夫el_conditions_i.JPG )までお願いいたします。

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