2011.09.26; 11.08  ↑UP   温暖化ツイッター小説第7集[特集:二酸化炭素犯人説の嘘]<イチオシ 二酸化炭素は本当に地球温暖化の原因か?

ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント
政策決定者向け要約

Integrated Assessment of Black Carbon and Tropospheric Ozone
Summary for Decision Makers

の翻訳文[訳注1]

翻訳:井上雅夫
 目  次
はじめに
主要メッセージ
 課題
 排出削減
 排出削減の利益
 対応
イントロダクション
 ボックス1:ブラックカーボンとは何か?
 ボックス2:対流圏オゾンとは何か?
短期の気候変動の制限および大気品質の改善
 効果的な対応策の特定
 大きな排出削減の達成
 短期地球温暖化を減少させる
 臨界気温閾値の範囲内にとどめる
 早期の実施による利益
 地域的な気候の利益
 熱帯の降雨パターンおよびアジアモンスーン
 極域および他の氷結地域における温暖化の減少
 対策による人間の健康の利益
 対策による作物の収穫高の利益
 対策の相対的な重要性および科学的信頼性
 迅速な実施のためのメカニズム
 可能性のある国際的な規制の対応
 国際的な資金供給および協力の好機
 ボックス3:対策実施のケーススタディ
 ボックス4:地域的大気汚染協定の例
結びの言葉
用語集
頭字語および省略形
謝辞
脚注
訳注



はじめに

《人物写真2枚:省略[訳注2]

現在の重要な気候変動の課題の一つは、特に、拡大する食料、水およびエネルギーの必要性を適切に満たす能力を含み、同時に化石燃料の燃焼による二酸化炭素排出をできるかぎり制限する、持続可能な開発の道が全ての国々に利用可能で有り続けることを確実なものとすることである。

多くの種類の浮遊する汚染物質が、健康、農業生産、および森林や淡水のような重要なエコシステムに悪い影響を与えるだけでなく、気候変動の増大にも寄与していることがますます知られるようになってきた。ブラックカーボンおよびメタンから対流圏オゾンおよびフッ化ガスまでに及ぶ、これらの物質の多くは二酸化炭素と比較して大気中で「短寿命」である。

したがって、国際、地域および国の条約、法律ならびにガイドラインに基づいて行われた多数の初期の活動は観測された気候の傾向を抑制する短期の解決策を提供しているかもしれないのである、とりわけ、地球平均の地表気温の上昇を2℃以下に維持し国連ミレニアム開発目標の達成のようないくつかの主要な国際的な課題をかなえることに寄与しているかもしれないのである。

本報告書「ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント」はそのような2つの短寿命気候強制力因子を扱っている。とりわけ、多数の科学的知識の状態の認定もWMO(世界気象機関)およびUNEP(国連環境計画)に招集された50名を超える執筆者によって提供された排出削減の政策提言も反映されている。

以前のアセスメントは本質的にこれらの汚染物質の直接の効果あるいは関連する気候の影響のどちらかに焦点を当て、両方の問題には焦点を当ててこなかったが、本報告書は、ブラックカーボン(主要なススの成分)も対流圏オゾンの生成に寄与するガス(特にメタン)も削減する実際的な対策によって引き出すことができる並立する利益の包括的アセスメントを提供する。その過程において、最も良い利用可能な科学的知識をレビューし、一群の対策がより大きい利益を生むこと ができると結論した。

さらに、この報告書はいくつかの誇張のない知見、とりわけ、ブラックカーボンで汚染された大気の吸入により開発途上世界において数百万人が若くして病に倒れ死亡している、オゾンの作物生産高への影響により数百万トンの小麦、トウモロコシおよび米が毎年失われている、雪氷に付着したブラックカーボンが極域およびヒマラヤの氷河および氷の溶解に寄与しているという知見を提供している。

励みになるのは、現存する技術、政策および対策(それらのいくつかはエネルギープロセス、持続可能な輸送および健康を改善するために始められた活動につながっている)を急速かつ広範に実施することにより、人間の幸福、気候システムおよびより広い自然環境にかなりの利益を直ちに提供し始めることができるであろうというかなりの証拠が存在することである。

したがって、特定された対策のより完全な実施は関連する地域にかなりの利益を提供することが期待されており、とりわけ、短寿命汚染物質がアジアモンスーンのようなその地域の気候の特徴に影響を及ぼすかもしれないアジアにおいて期待されている。

この極めて重要な分野における科学的知識は急速に拡大しており、本報告書は、生活を改善し人類のためのより持続可能な未来を建設するために、適切な政策決定が費用効率のよい好機をとらえるのに大いに寄与しうるであろう部門に対する明確な推奨を含んでいる。

Achim Steiner
UNEP執行理事
国連事務次長

Michel Jarraud
世界気象機関事務総長



主要メッセージ

折り紙付きの排出削減策の迅速な実施を通したブラックカーボン粒子および対流圏オゾンの管理が人間の幸福に即座に多様な利益を与えるであろうことを科学的証拠および新しい分析が示している。

ブラックカーボンは大気中に粒子として存在し、ススの主な成分であり、人間の健康および気候に重要な影響力を有する。地表レベルにおいて、オゾンは人間の健康およびエコシステムに有害な大気汚染物質であり、対流圏の至る所であるいは下層大気において、重要な温室効果ガスでもある。オゾンは直接は排出されず、前駆体(ここではメタンおよび一酸化炭素に特に関心がある)の排出から生成される。
《写真:省略》 南アジアの伝統的なレンガ窯(かま)はブラックカーボンの主な排出源である。この地域において設計された改善された窯は著しく排出を減少させる。[訳注2]
課題

1.今、気候は変動しており、極域および高緯度地域において最も高い変化率で温暖化 している。気候変動は、短期においてさえも、融解する永久凍土層からの炭素放出および生物多様性の低下のような突然の移行の引き金を引く可能性を持つ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によって報告されたように、世界は工業化前のレベルから約0.8℃温暖化した。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の当事者らは、温暖化は工業化前のレベルから2℃を超えるべきでな いことに合意している。

2.ブラックカーボンおよび大気下層のオゾンは地域および地球の気候にかなりの影響を及ぼす有害な大気汚染物質である。それらは熱帯の降雨およびアジアモンスーンのような地域の循環パターンを乱し、数百万人の生活に影響を及ぼす。

3.ブラックカーボンは雪氷の表面を薄黒くし日光の吸収を増加させ、これが、大気の加熱に加えて、北極、ヒマラヤならびに他の氷結された地域および雪で覆われた地域を含む世界中の雪氷の融解を激化させる[訳注4]これが水循環に影響を与え、洪水のリスクを増大させる。

4.ブラックカーボン(微粒子物質の成分)およびオゾンはどちらも人間の健康に悪い影響をもたらし、世界中で若死をもたらす。また、オゾンは作物の生産高に対して最も重要な大気汚染物質でもあり、食料安全保障に影響を及ぼす。

排出削減

5.今、ブラックカーボンおよび対流圏オゾンを削減すれば、今世紀の前半の気候変動の変化率を遅くすることができるだろう。オゾンの削減による気候の利益はそのいくつかの前駆体(特に、強力な温室効果ガスでもあるメタン)の排出の削減により達成できる。これらの短寿命気候強制力因子(メタン、ブラックカー ボンおよびオゾン)は長寿命温室効果ガスとは基本的に異なり、大気中に比較的短い期間だけ存続する。奥深い即時の二酸化炭素削減が長期の気候を保護するために必要とされる、これは短期気候強制力因子を扱うことによっては達成することができないからである。

6.ブラックカーボンおよびオゾン前駆体を標的としたわずかな数の排出削減策が、気候、公衆の健康、水および食料の安全保障、ならびにエコシステムを保護するために、直ちに始めることができうるであろう。対策は、石炭、石油およびガスの採収および輸送からのメタンの回収、廃棄物管理におけるメタンの捕獲、住宅で料理に使うクリーン燃焼コンロの使用、ディーゼル車用微粒子フィルタおよび田畑での農業廃棄物の燃焼の禁止を含む。広範囲の実施は現存する技術で達成可能であるが、かなりの戦略的投資および制度的取り決めが必要であろう。

7.特定された対策は、期待される二酸化炭素削減対策に置き換わるものではなく、補完するものである。主要な二酸化炭素削減戦略はエネルギーおよび大規模産業部門を主に標的としており、それゆえブラックカーボンまたはオゾン前駆体であるメタンおよび一酸化炭素の排出における大きな削減を必ずしももたらさないであろう。短寿命気候強制力因子の大きな削減は、多くが多数の小さな排出源から排出されるから、特別な戦略が必要とされる。

排出削減の利益

8.特定された対策の完全実施は将来の地球温暖化を0.5℃(0.2−0.7℃の範囲、図1)削減するであろう。この対策が2030年まで実施されるとすれば、現在の政策ならびにエネルギーおよび燃料の予測に基づいたこのアセスメントの参照シナリオと比較して2050年における予測される地球の気温の増加を半分にしうるであろう。地域の気温上昇率も減少するであろう。

【図1】
bc_f1

9.短期および長期戦術の両方が気候を保護するために欠くことができない。短期の温暖化の低減は短寿命気候強制力因子の制御により達成できるのに反して、今始める二酸化炭素排出削減は長期の気候変動を制限するために必要である。両方の削減戦略の実施が地球の世界平均気温の増加をUNFCCC(国連気候変動枠組条約)の2℃の目標以内に留めるチャンスを改善するために必要である。

10.特定された対策の完全実施は、北極、ヒマラヤおよび他の氷結された地域および雪で覆われた地域にかなりの利益を与えるだろう。次の30年の北極の温暖化をこのアセスメントの参照シナリオの予測と比較して2/3に低減させうるであろう。気象パターンの変動および北極の変動に起因する地球温暖化の増幅のリスクをかなり低減させる。雪氷で覆われた地域または地域的降雨パターンにおける影響のようなブラックカーボン対策の地域的利益は、地球平均の温暖化の影響とは十分に独立している

11.特定された対策の完全実施により、240万人(70−460万人の範囲)の若死およびトウモロコシ、米、大豆および小麦の毎年の世界生産高の1−4%、5200万トン(3000−1億4000万トンの範囲)の損失を避けられるであろう(図1。最も大きな利益は排出削減活動が行われた地域内または 近くで直ちに感じられ、アジアにおいて最大の健康および作物の利益が得られるだろう。

対応

12.特定された対策は全て、様々な環境および開発の目的の達成のために、世界中の異なった地域で現在行われている。このアセスメントで特定された利益を完全に達成するために、より広範囲でより急速な実施が必要とされる。

13.特定された対策の広範囲の実施の達成は、国および地域固有のものである場合、最も効果的であろう、また少なからぬ現存する知識および経験で支援されうるであろう。短期の気候共通の利益を考慮することにより、対策のより急速な実施を促進する、より広い国際規模の追加的な活動および資金をてこ入れできうるであろう。多くの対策は時間に関してコスト節減を達成する<Many measures achieve cost savings over time>[訳注3]。しかしながら、最初の資本投資についてはいくつかの国で問題があり、追加的な支援および投資が必要である。

14.国家およびサブ国家の規模で、特定された対策の多くは、大気品質および開発関係を扱うために立案された現存する政策に基づいて実施されうるであろう。地域内および地域間の協力の改善により、広範囲な実施が拡大し、国境を越えた気候および大気品質問題が処理されるであろう。短寿命気候強制力因子の排出削減の共通の利益を扱う国際的な政策および資金供給機関の発達および増強が必要である。現存する関連した地域的協定を支援し拡張することにより、より効果的な協力、実施および評価ならびに追加的な監視および研究の機会が提供されるかもしれない。

15.このアセスメントは、特定された対策の実施により即座に多様な利益が実現されるだろうと確信していると結論する。確信の度合いは汚染物質、影響および地域により異なる。例えば、特にバイオマスの燃焼に関連する地球気温に関するブラックカーボンの効果より、メタン対策の効果の方により高い確信がある。 ブラックカーボンを含む粒子の削減による人間の健康の利益および対流圏オゾン濃度の削減による作物の収穫高の利益の実現にも高い確信がある。この問題の科学的複雑さを考えれば、異なった地域における短期の戦略を最大化するためおよび個別の対策の費用対利益を評価するために、さらなる研究が必要である。



イントロダクション

ブラックカーボン(BC、ボックス1)および対流圏オゾン(Oボックス2)は有害な大気汚染物質であり、気候変動にも寄与している。最近、BCとO がどのように気候および公衆の健康に影響を及ぼすかについて、科学的理解がかなり進歩した。これが政府、市民共同体および他のステイクホルダーからの知識と活動の要求を引き起こした。国連(UN)はこれらの汚染物質の影響を減少させる活動に関する科学に基づいた勧告を至急提供するよう要請された[1]

国連環境計画(UNEP)は、協力者と協議し、知識と活動、科学と政策の間の接点を提供し、情報に基づく政策決定のための科学的に信用できる基礎を提供するために計画されたアセスメントを開始した。その成果は、排出の駆動体、濃度の傾向、ならびにBC、対流圏Oおよびその前駆体の気候、人間の健康およびエコシステムへの影響の包括的な分析である。BC、対流圏Oおよびメタン(CH)は、二酸化炭素(CO)と比較して大気中において短寿命(数日から 約10年)であるから、しばしば短寿命気候強制力因子(SLCF)と呼ばれる。

このアセスメントは、これらの汚染物質が孤立して排出されるのではないという事実(ボックス1ボックス2)を反映する複合排出汚染物質<multiple co-emitted pollutants>[訳注3]の統合された分析である。このアセスメントは、現在の政策では、更なる緩和活動が行われない限り、BCおよびO前駆体の排出は世界的に増加するかあるいは概略一定に留まると結論した。

ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメントは、これらの汚染物質に関する科学の状況および現在の政策の選択肢を評価するために50名以上の執筆者を招集した。アセスメントチームは政策の対応を調査し、今政策が決定された場合の利益および活動が遅れた場合の次の数十年にわたる気候、人間の健康および作物の生産高のリスクを示す2070年までの見通しを行った。このアセスメントは、強固な科学および分析を重視しながら、4つの主要な政策関連の質問によって駆動された:

・ どの対策が気候と大気品質が一体となったかなりの利益を提供しそうか?
・ 特定された対策の実施は今世紀の中頃までの世界の平均気温の上昇率をどれだけ減少させるか?
・ その対策の実施により達成されるであろう気候、健康および収穫高の複合した利益は何か?
・ どんな仕組みによりその対策は急速に実施されるうるだろうか?

これらの質問に解答するために、アセスメントチームは新しい分析が必要であると結論した。それゆえこのアセスメントは可能な限り多数の刊行された文献と2つの独立した気候化学エアロゾルモデルによる新しいシミュレーションに基づいている:1つはNASAゴダード宇宙科学研究所(GISS)によって開発運用されており、もう1つはドイツのハンブルグにあるマックスプランク研究所(ECHAM)で開発され、イタリアのイスパラにある欧州委員会の共同研究センターで運用されている。このアセスメントの作成において使用するために特定された対策および排出の推定は、国際応用システム解析研究所 温室効果ガスと大気汚染の相互共同作用(IIASA GAINS)モデルを使用して選択されたものである。モデリングのより詳細な記述はアセスメント報告書原本[訳注5]の第1章参照。

ボックス1:ブラックカーボンとは何か?

ブラックカーボン(BC)は大気中に粒子として存在し、ススの主要成分である。BCは温室効果ガスではない。その代わりに、日光を途中で捕らえ吸収することにより大気を温暖化させる。BCおよび他の粒子は、車やトラック、住宅用ストーブ、森林火災およびいくつかの産業施設のような多くのありふれたソースから排出される。BCの粒子は、大気中において、付着時に雪を薄黒くすることにおいて[訳注4]、および雲の形成への影響において、強力な温暖化効果を有する。他の粒子は大気中において寒冷化効果を有するかもしれない、また全ての粒子は雲に影響する。人為的な粒子は、気候に影響を及ぼすのに加えて、人間の健康に対する負の影響力を有することも知られている。

ブラックカーボンは化石燃料、木材および他のバイオマスの不完全燃焼に起因する。完全燃焼は燃料の中の全ての炭素を二酸化炭素(CO)に変えるであろう。実際には燃焼は完全ではなく、CO、一酸化炭素(CO)、揮発性有機化合物(VOC)、有機炭素(OC)およびBC粒子の全てが形成される。BC(温暖化因子)およびOC(寒冷化因子)の排出の間に密接な関係がある。それらは常に一緒に排出されるが、異なった排出源では異なった比率となる。同様に、異なった緩和対策はBC/OC混合に関する異なった効果を有するだろう。

BCにおける黒はこれらの粒子が可視光を吸収するという事実に関連する。この吸収は地球の放射バランスを攪乱しそれにより温暖化する。100年間にわたる1グラムのBCの温暖化への寄与は1グラムのCOの寄与より100から2,000倍高いと推定された。BC粒子の重要な側面は大気中における寿命が短く、数日から数週間であり、そのため排出削減により直ちに気候および健康の利益を受ける。
《写真:省略》 このベンガル湾上空のようなBCおよびOCを含む高濃度微粒子物質を有する薄煙は多くの地域において広く存在する。

《写真:省略》 多くの国で排煙の多い車両はブラックカーボンおよび他の汚染物質のかなりの排出源である。

bc_pms

ボックス2:対流圏オゾンとは何か?

オゾン(O)は大気の2つの層、すなわち成層圏(上の層)と対流圏(地表から10−15km)に存在する反応的なガスである。成層圏では、Oは太陽の有害な紫外(UV)放射から地球上の生命を守るので有益であると考えられている。対照的に、地表レベルでは、人間の健康とエコシステムに有害な大気汚染物質であり、都会のスモッグの主要な成分である。対流圏において、Oはかなりの温室効果ガスでもある。過去100年間に北半球においてOが3倍に増加したことにより、Oは地球温暖化効果の人為的増加に対する寄与において(COおよびCHに次ぐ)3番目に重要なものとなった。

対流圏において、Oは自然のまたは人為的なO前駆体に日光が作用することにより形成される。これらの前駆体は、CH、窒素酸化物(NO)、 VOC (揮発性有機化合物)およびCOである。CHとCOの両方の排出削減がO濃度を実質的に減少させ、地球温暖化を減少させる可能性を有していることを理解することが重要である。対照的に、VOCの削減は明らかに有益であろうが地球規模においては影響は少なく、NOの削減は多くの他の効果を有しているものの、気候への正味の影響はわずかである。
《写真2枚:省略》 対流圏オゾンは都会のスモッグの主要な成分である、左の写真は日本国東京;右の写真は米国コロラド州デンバー



短期の気候変動の制限および大気品質の改善

効果的な対応策の特定

このアセスメントは、BC(ブラックカーボン)およびO前駆体は異なったガスや粒子(それらのいくつかは温暖化の原因となり、有機炭素(OC)や二酸化硫黄(SO)のよう なものは寒冷化を導く)と共に排出されるという事実を考慮し、総合した利益を最も提供しそうな対策を特定した。選択の基準は、対策が地球気候変動を減少させると共に、大気品質の利益を提供すること、いわゆるウインウイン対策であることである。大気品質には利益を提供するが温暖化させる対策は、この選択された対策の中には含まれていない。例えば、主にSO排出を削減する対策は含まれていない。

特定された対策(表1)は、IIASAのGAINSモデルで適用可能な2000の別々の対策の部分集合から選択されたものである。この選択は温暖化に関する正味の影響に基づき、その対策によって影響を受けるガスと粒子全ての計量地球温暖化係数(GWP)を使用して推定された。この選択は気候における勝利を実現する可能性に役に立つ目安を与える。全ての排出削減対策は微粒子物質および/またはOの濃度による大気品質に利益を与えると考えられている。

この選択プロセスは比較的少ない対策の集合を特定したが、そのにもかかわらず、GAINSにおける2000の対策の全ての実施と比較して気候の利益の約90パーセントを提供する。気温、人間の健康および作物の収穫高に関する利益の最終分析では、2つの地球組成−気候モデルGISSおよびECHAMを通して特定された対策の完全実施から得られる全ての物質の排出を考慮した
(アセスメント報告書原本[訳注5]の第4章参照)。この対策の世界的な100パーセントの実施は、気候および大気品質の影響を削減する現在の可能性を示すために使用されたが、これは至る所における完全な実施の実行可能性を仮定するものではない。この対策の世界中での実施に関する課題の議論は、可能性のある利益を説明した後に行う。

大きな排出削減の達成

表1の対策のパッケージが参照シナリオ(表2)と比較された。図2は2005年の排出と比較した政策パッケージと参照シナリオの効果を示している。

【表1】
  bc_t1


【表2】
bc_t2

【図2】
bc_f2


参照シナリオに基づく2030年までの排出の変動の予測には地域的に大きな違いがある。CH(主要なO前駆体であり有力な温室効果ガスでもある)は将来増加すると予測されている(図2)。この増加は、現在および計画されている規制にもかかわらず、主に予想される経済成長およびそれに伴って見積もられる化石燃料生産の増加により生じるだろう。対照的に、BC(ブラックカーボン)およびそれに伴って共に排出される汚染物質の世界的な排出は2030年までほぼ一定のままである。 地域的には、BC排出の削減は、増大する活動および経済成長によってある程度相殺されるが、道路交通における更に厳格な基準および住宅および業務部門におけるバイオ燃料の使用への置き換えによる更に効率的な燃焼によると期待されている。それゆえ、地域的なBC排出の傾向は極めて変化に富み、北アメリカおよびヨーロッパ、ラテンアメリカおよびカリブ海地域、ならびに東北アジア、東南アジアおよび太平洋地域では排出減少が予想され、アフリカならびに南、西および中央アジアでは排出増加が予想される。

選択された対策を2030年までに完全に実施することにより、現在の排出または参照シナリオの2030年の排出と比較してSLCF(短寿命気候強制力因子)の排出はかなり削減される(図2)。GAINSモデルにおける全体で2000ほどの対策の実施による最大の削減と比較しても高い割合の排出を削減できる。BCを削減するように立案された対策はOC、全微粒子(PM2.5)およびCOの排出に対してもかなりの影響を及ぼし、全人為的排出の半分以上を除去する。 BC排出の最大の削減はバイオマスの不完全燃焼を管理する対策およびユーロVIパッケージの一部であるディーゼル粒子フィルタを通して得られる。

COの主要な排出源はほとんどのBC、OC、CHおよびCOの排出源とは異なっている。ディーゼル車のようなオーバーラップするわずかのケースでも、BC、OCおよびCOを削減する粒子フィルタはCOには極小の効果しかない。それゆえ、次の20年にわたってCOを削減する対策(表2)はBC、OC またはCOの排出にほとんど影響を及ぼさない。したがって、CHおよびBC対策の影響はCO対策が課されるかどうかにかかわらず同じである。

短期の地球温暖化を減少させる

地球は過去数十年急速な温暖化を継続していると見積もられており、追加的な緩和努力がない参照シナリオに基づけば、地球温暖化は今世紀の中頃までに更に約1.3℃(変動の範囲0.8−2.0℃)上昇し、工業化前のレベルに対する温暖化では約2.2℃(図3)になると見積もられている。このアセスメントは、BC(ブラックカーボン)およびCHの排出削減を目標とする対策が次の20〜30年間の世界平均温暖化率を大幅に減少されるであろうことを示している。図1は、地球平均温暖化の減少の半分以上がCH対策によって達成され、残りはBC対策によって達成されることを示している。温暖化に対するCH対策の効果のより大きな確信はより狭い範囲の推定に反映されている。

【図3】
bc_f3

全ての対策の完全実施は、いかなる活動も行わない場合と比較して、現在から2030年代までの温暖化を半分にするであろう。対照的に、CO対策シナリオ[訳注6]に基づくCO排出を削減するかなり意欲的な戦略でさえ次の20〜30年の温暖化の緩和はわずかである。実際、硫黄粒子(大気中に存在する短期間のあいだ関連する温暖化を相殺する粒子)は、発電所におけるような大規模燃焼における石炭の燃焼を含む最も高い排出活動のいくつかにおいてCOと共に排出されるSOに起源を持つ。それゆえ、CO対策だけでは、硫黄が減少するので、短期の温暖化を一時的に増大させる(図3;2020年−2040年の期間、CO対策シナリオにおける気温は参照シナリオにおける気温よりわずかに高い)。

CO対策は明らかに長期の利益を導き、短期のCH+BC対策だけのシナリオに基づくより2070年における劇的に低い温暖化率が得られる。COの大気中の長期滞在により、もしCO排出削減が急速になされるなら、これらの長期の利益がもっぱら達成されるだろう。このアセスメントにおいて調査された短期のCHおよびBC対策は、CO対策とは、それらが異なった排出源部門を標的とする点、およびそれらの気候変動に対する影響が異なった時間スケールにおいて生じる点の両方で効果的に切り離されている。

短期の温暖化は敏感な地域で生じるかもしれず、北極の陸氷の喪失、北極の永久凍土層からのCHまたはCOの放出、種の喪失のような、本質的に不可逆的変化をもたらしうるだろう。実際、参照シナリオにおける予測される温暖化は世界全体より北極において大きい。それゆえ、短期の温暖化率の削減は、数世紀に渡る世界の気候システムに影響を与えうる不可逆的変動のリスクを減少させる。

臨界気温閾値の範囲内にとどめる

このアセスメントで述べられている短期の排出管理対策の採用は、CO排出削減対策と共に、地球の気温上昇を工業化前のレベルに対して2℃以下に保つチャンスを大きく改善するであろう(図3)。CO対策だけでは2050年以前に2℃を超える。同じIEA450シナリオに基づくCO対策とCH対策の両方を行ってさえも、温暖化は2060年代のうちに2℃を超える(アセスメント報告書原本[訳注5]の第5章参照)。しかしながら、CO、CH、およびBC(ブラックカーボン)対策の組み合わせにより2070年頃まで2℃以下に気温上昇を保つことができる。CO対策シナリオ[訳注6]以上のCO排出削減を行えばもちろん温暖化はより緩和するであろうが、過去10年の実際のCO排出はIPCCの最も悲観的な排出シナリオを常に超えてきた。したがって、CO対策シナリオ以上に厳しい削減が次の20年の間に行われることはありそうもない。

より厳しいUNFCCC(国連気候変動枠組条約)の1.5℃の閾値に基づけば、CO対策シナリオは2030年までにこれを超えるが、このアセスメントで提案されている短期の対策により2040年以降までその超過を遅らせることができる。再度述べれば、CO対策シナリオよりかなり奥が深い早期のCO削減も1.5℃の閾値との交差を遅らせることができうるであろうが、そのような削減を実行するのは、疑う余地がないほど、全くより困難であろう。しかしながら、CO削減に加えてこのアセスメントの短期の対策(CH+BC)を採用すれば、次の30年間、地球の気温上昇を1.5℃以下に保つかなりのチャンスが提供されるであろう。

早期の実施による利益

この対策の実施は遅いより早いほうが、2020年−2060年の間の温暖化がより少なくなることは明らかであろう(図4)。それゆえ、特定された対策のいくつかは一般的な大気品質や開発関連のために結局は採用されるとしても、特定された対策の実施の加速により、短期の気候の利益をかなり受けることができる。 より早期の実施により、かなりの追加的な人間の健康および作物の生産の利益を受けることは明らかである。

【図4】
bc_f4

しかしながら、特定された対策の加速的な採用は、長期の気候変動に対しては、これからの20年と比較して、控え目な効果しか有しない(図4)。このことが、O前駆体およびBC(ブラックカーボン)の排出削減により短期においてかなりの利益を受けるが、長期の気候変動の緩和はCOのような長寿命温室効果ガスの排出削減によるという結論を強固にする。

地域的な気候の利益

世界平均気温は気候の影響のいくらかの兆候を提供するが、長寿命温室効果ガスによる比較的均一な強制力の応答においてでさえ、気温の変化は場所によって劇的に変化しうる。図5は、参照シナリオでは多少の変化はあるものの全ての地域で温暖化が増加するが、このアセスメントの対策が全ての地域における温暖化を減少させる利益を提供していることを示している。

【図5】
bc_f5

また、気候変動は気温の変化以上のものをもたらす。降水、雪氷の溶解率、風のパターンおよび雲の全てが影響を受け、次に、これらが、水の利用可能性や農業および陸域の利用のような影響力を有する要素によって、人間の生活状況に影響を与える。

およびBC(ブラックカーボン)の両方は、他の粒子と同様に、雲の形成および降水をもたらす多くのプロセスに影響を及ぼしうる。それらは蒸発に影響を及ぼし地表気温を変える。大気中で日光を吸収することにより、Oおよび特にBCは雲の形成、降雨および天気のパターンに影響を及ぼすことができる。それらは、どこに雨や雪を降らすかに影響を及ぼし、風を駆動する地域的な気温の相違に影響を与えることにより、風のパターンに影響を及ぼすことができる。これらの効果のいくつかの面は地域的であるが、それらは排出源から遠く離れた所の気温、雲量、および降水にも影響を及ぼすことができる。これらの地域的変化はこれらの気候に関する全ての面において重要であろうが、現在は十分には定量化されていない。

熱帯の降雨パターンおよびアジアモンスーン

アジアモンスーンに関するいくつかの詳細な研究が、(先のセクションで説明したように)吸収粒子による地域的強制力が降水パターンをかなり変化させていることを示唆している。Oおよび粒子の両方の変化が北半球において顕著である事実は、これらが、熱帯のいたるところの降雨パターンに影響を及ぼす二つの半球間の温度勾配の原因になっていることを意味している。このアセスメントで分析された対策の実施は、粒子による地域的な大気の加熱をかなり減少させ(図6)、それゆえ、降水の地域的な変化を減少させるのは確実である。大気の強制力の削減はインド亜大陸およびアジアの他の地域にわたって最大であるから、その排出削減は、伝統的な降雨パターンの崩壊を緩和し、アジアモンスーンにかなり影響を与えうる。しかしながら、世界全体の気候モデルの結果では、モンスーンの変化の強さとタイミングが温室効果ガスの増加と吸収粒子の変化のどちらの結果であるのかは未だはっきりしていない。それにもかかわらず、気候モデルの結果は予想されるであろう変化のタイプの例を提供する。降水のタイミングと強さの変化は、水の供給および農業生産性、干ばつおよび洪水により、人間の生活状況に重要な影響を与えうる。図6に示された結果は、BC(ブラックカーボン)対策の実施はアフリカの伝統的な降雨パターンの崩壊もかなり減少させることができるであろうことを示唆している。

【図6】
bc_f6

極域および他の氷結地域における温暖化の減少

この対策の実施は、極域および高緯度の氷結地域で既に起こっている気温上昇および他の変化の現在の急速なペースを、停止させることはないとしても、かなり遅らせるであろう、また、これらの地域の温暖化の減少は世界全体より大きそうである。大きな利益が生じる理由の一つは、BC(ブラックカーボン)と共に排出される反射粒子の寒冷化効果よりBCが雪/氷を薄黒くする効果がかなり大きく[訳注4]、雪氷で覆われていない地域よりこれらの地域においてより大きな温暖化の影響を導くからである。

北極における研究は、北半球の中緯度における汚染物質の気候への影響と同様に、地域的な汚染物質の排出と北極に近い排出源から運ばれてきた汚染物質の両方に極域が極めて敏感であることを示している。緩和対策の必要性の多くはヨーロッパおよび北アメリカ内にある。特定された対策は、2040年の北極において約0.7℃(0.2−1.3℃の範囲)まで温暖化を減少させる。これは参照シナリオに基づいて予測された北極の1.1℃(0.7−1.7℃の範囲)の温暖化の2/3に近く、地球のアルベドに影響する海氷の喪失や永久凍土層の溶解のような、この敏感な地域における変動による地球全体への影響のリスクをかなり減少させるはずである。このアセスメントにおいて行うべき対策として特定されてはいないが、亜寒帯の森林火災の管理も北極における影響を減少させる上で重要かもしれない。

南極はSLCF(短寿命気候強制力因子)の影響に関して極めてわずかしか研究されていない地域である。しかしながら、南極大陸の中央部分においてさえ、BCの付着を証明する研究があり、OおよびCHの削減は、地球全体で現在最も急速な気温上昇を示している場所である南極半島のような場所における温暖化を遅くさせるはずである。

ヒマラヤおよびチベット高原はBCが深刻な影響を与えそうな地域である。例えば、ヒマラヤの標高の高い谷において、BCのレベルは中規模都市と同じように高いことがありうる。地域の排出源からの排出および長距離の輸送によって運ばれる排出の削減は、この地域における氷河の溶解を低下させ、破滅的な氷河湖の噴出のような影響のリスクを減少させるはずである。

対策による人間の健康の利益

(BC(ブラックカーボン)を含みPM2.5(2.5μm以下の直径を持つ全微粒子物質)として測定された)微粒子物質および地表レベルOは人間の健康を害する。PM2.5は主に心臓病および肺ガンによる若死の原因となり、Oは主に呼吸器疾患による死亡の原因となる。このアセスメントにおける健康の利益の推定はこれらの特定の死亡の原因における変化に限られており、推定方法における不確実性を含む。しかしながら、これらの汚染物質は、急性および慢性気管支炎、他の呼吸疾患、致命的でない心臓麻痺、出産時の低体重を含む他の健康の影響にもかなり寄与し、結果として、仕事や学校へ行く日数の喪失だけでなく、救急処置室診療と入院を増加させる。

参照シナリオによれば、すなわち特定された対策を実施しなければ、2005年に対する2030年のPM2.5およびOの濃度の変化は、世界的な大気汚染 に関連した若死にかなりの影響を及ぼすであろう。地域により、屋外の汚染による若死は排出に従って変化すると予測されている。後者については、現存するおよび予想される規制の実施により北アメリカおよびヨーロッパにわたってかなり減少すると予想されている。アフリカおよびラテンアメリカおよびカリブ海地域にわたっては、これらの汚染による参照シナリオの若死の数は控え目な変化を示すと予想されている(図7)。東北アジア、東南アジアおよび太平洋地域にわたって、いくつかの地域においてPM2.5の削減により若死はかなり減少すると予測されている。しかしながら、南、西および中央アジアでは、若死は排出の増加によりかなり増加すると予測されている。

【図7】
bc_f7

参照シナリオとは対照的に、このアセスメントで特定された対策の完全実施は、大気の品質をかなり改善し、屋内および屋外の大気汚染のかなりの削減によって世界的に若死をかなり減少させるであろう。BC対策によるPM2.5濃度の削減は、2030年まで、年間70−460万人と推定される屋外の大気汚染による若死を防ぐであろう(図1)。

地域的には、特定された対策の実施は大気の品質を著しく改善し、特にアジアにおける若死を著しく減少させるであろう(図7)。実際、全ての対策の実施による健康の利益の80%以上はアジアにおいて生じる。その利益は十分に大きく、屋外の大気汚染による人間の健康を悪化させる全ての傾向を逆転させ2005年に対して改善する。アフリカにおいては、利益はアジアにおけるほど大きくはないが、かなりのものである。

対策による作物の収穫高の利益

オゾンは植物に有毒である。膨大な文献が、多数の作物、木および他の植物の見て分かる葉の健全性、成長および生産性に関するOのかなりの効果を示す実験および観察を記述している。オゾンは草木の構成および多様性にも影響を与える。世界的に、CH対策の完全実施により、O濃度はかなり削減され、毎年約 2500万トンの4つの主要作物の生産の損失を避けることができる。BC(ブラックカーボン)対策の実施により、参照シナリオと比較して更に約2500万トンの損失を避けることができるであろう(図1)。これは、Oの濃度を減少させる前駆体CO、VOCおよびNOの排出のかな り減少による。

地域的状況はかなりの相違を示している。参照シナリオでは、東北、東南アジアおよび太平洋地域のO濃度は増加し、作物の産出高の損失が追加されると予測されている(図8)。南、西および中央アジアにおいては、健康および農業の損害が増えると予想されている(図7図8)。北アメリカおよびヨーロッパについては、農業の損害は大きく減少すると予測されているが、アフリカおよびラテンアメリカおよびカリブ海地域では変化はわずかである。アジア地域全体では、トウモロコシの産出高は1−15%の減少を示しているが、小麦および米の産出高は5%以下の減少である。これらの産出高の損失は、インドの高いO濃度に曝されるかなりの耕作地域を反映して、アジア地域全体の全ての作物の4000万トン近くと換算される。米の生産も影響を受け、特に高いO濃度が 2030年まで増加し続けそうなアジアにおいて影響を受ける。しかしながら、米の生産高の損失の評価は、濃度−応答関数についての実験に基づく証拠が不足しているため、不確実である。対照的に、ヨーロッパおよび北アメリカの地域的分析は、2005年から2030年の参照シナリオに基づく生産高は全ての作物について改善が見られることを示唆している。この対策の実施により、より大きな改善が見られるであろう。

【図8】
bc_f8

特定された対策はO濃度を大きく減少させ、特にアジアにおける作物の生産高にかなりの利益を与える(図8)。この対策の利益は大きく、農業の生産高において見られる全ての悪化傾向を反転させ、東北および東南アジア並びに太平洋地域における作物生産高を除き、2005年に対して改善させる。その場合でも、 完全実施の利益は極めて大きく、この対策により参照シナリオで描かれた作物の損失を60%減少させる。

このアセスメントの分析は、汚染物質への暴露の変化を通した、健康および農業に対する大気の組成の変化による直接的な効果だけを含んでいることが強調されるべきである。直接的な効果には、避けられた気候変動が人間の健康および農業に対して有するであろう利益(降水パターンの崩壊の減少、暗化、および熱波の頻度の減少のような要素による利益)は含まれない。更に、それどころか、生産高に対する直接の影響は4つの主要作物だけに対する予想に基づいており、また、葉の多い作物、生産的な牧草地および食物の質に対する影響は含まれていない、その結果、計算された値は全体の影響の過小評価になりやすい。加えて、エコシステムに対するOの影響を評価する多くの実験的研究結果の外挿により、Oの削減は正味の主要な生産性をかなり増加させうるであろうということが強く示唆される。これが炭素除去にかなりの影響を及ぼし、追加的な気候の利益を提供しうるであろう。

対策の相対的な重要性および科学的信頼性

メタン対策は地球および地域温暖化に大きな影響を及ぼし、それは温室効果ガスCHおよびOの削減によって達成される。また、CH対策の気候緩和に関する影響力は、この温室効果ガスの温暖化効果に高い信頼性があるから最も確かなものでものある。メタンおよびそれゆえO濃度の削減は作物の生産高に対するかなりの利益ももたらす。

ここで特定されたBC(ブラックカーボン)対策は、BC、OC(有機炭素)およびO(主としてCOの排出削減を通して)の濃度を削減する。BCおよびOの温暖化効果およびそれを埋め合わせるOCの寒冷化効果は、地球温暖化に関するいくつかのBC対策の正味の効果に大きな不確実性をもたらす(図1)。また、BC対策の影響の不確実性はCH対策のそれよりも大きい、なぜなら、BCおよびOCが、完全には理解されていない気候に対する多様な影響力を持つ雲に影響を与えることができるからである。地球に対する影響のこの不確実性はバイオマス料理用コンロおよびバイオマスの開放型燃焼に関連した対策によって特に大きいものとなっている。 それゆえ、地球温暖化に関して、バイオマスの燃焼よりもディーゼルの排出を緩和する対策の方に遙かに高い信頼性がある、なぜなら、共に排出される寒冷化OC粒子の比率がディーゼルの方が遙かに低いからである。

《写真:省略》 このアセスメントで特定された対策は、この写真に示されるような伝統的な料理用コンロのクリーン燃焼コンロへの交換を含み、これにより大気の品質をかなり改善し屋内および屋外の大気汚染による若死がかなり減少するであろう。
他方、BC対策が、吸入粒子の濃度削減による人間の健康、Oの削減による作物の生産高、および熱帯の降雨、モンスーンおよび雪氷溶解のような気候現象に関して影響が大きいことには高い信頼性がある。これらの地域的影響は地球温暖化に対する対策の影響とはほとんど無関係である。実際、地域的には、バイオマス料理用コンロおよび開放型バイオマス燃焼は化石燃料より遙かに大きな影響力を有しうる。これは、BCが日光を収集することにより大気を直接加熱し、多数の刊行された研究によれば、モンスーンと熱帯の降雨に影響を及ぼし、そしてこれは共に排出されるOCの効果とはほとんど関係ないからである。同じ結論が雪氷に対するBC対策の影響に関しても適用できる。BCは、黒いから、氷雪の輝く表面に付着すると氷雪による日光の吸収をかなり増加させる[訳注4]。BCと共に付着するOCは、雪氷の表面は既に非常に白いから雪氷による日光の反射にほとんど影響を与えない。それゆえ、これらの地域的影響の知識は、いくつかの場合、地球規模の影響より確実であり、地域的影響の縮小に関しては、全てのBC対策はかなりのものでありそうである。健康および作物の利益の大部分がアジアにおいて実現されるであろうことも高い信頼性がある。

《写真:省略》 ヒマラヤにかかる広範囲に及ぶ薄煙、BC濃度は中規模都市と同程度に高くなりうる。

《写真:省略》 排出削減は氷河の溶解を減じ氷河湖からの噴出のリスクを減少させる。
迅速な実施のためのメカニズム

2010年12月、UNFCCC(国連気候変動枠組条約)の締約国は今世紀のあいだ工業化前のレベルに対して2℃を超えるべきでないことに合意した。このアセスメントは、SLCF(短寿命気候強制力因子)を削減する対策はCO管理対策と組み合わせて実施されることにより、2℃の目標以下にとどめるチャンスが増加するであろうこと示している。この対策は短期の気温上昇の速度も遅らせ、健康のかなりの改善ももたらし、地域的な降水パターンおよび水の供給の崩壊も減少させ、食料の安全保障も改善させる。気候変動に対するこの対策の影響は大きな地理的地域にわたって得られるが、大気の品質への影響は排出が変化した地域の近くに制限される。それゆえ、排出を管理する地域は最も大きな人間の健康および食料安全保障の利益を受けるだろう;加えて、気候の利益の多くは活動がなされる地域の近くで得られるだろう。

この利益は短期で実現され、それによって、これらの対策の採用に対する財政的および制度的ハードルを乗り越えるための追加的なインセンティブが提供されるであろう。全ての地域の国々は、多様な環境および開発の目的のために、特定された対策の実施にある程度成功している。これらの経験は、活動を行おうとする他者に対して、少なからぬ知識や可能性のあるモデルを提供する。


ほとんどの国において、大気汚染問題に関する国民全体の問題を解決するために、異なったレベルではあるが、メカニズムは既に整っている。人為的温室効果ガスに取り組むメカニズムはそれほど展開されておらず、大気汚染の削減および気候変動に対処する対策による共通の利益を最大化するシステムは事実上存在しない。気候、大気汚染、エネルギーおよび開発政策を扱う制度間の調整は、これらの目的全てを同時に達成するために、とりわけ重要である。

多くのBC(ブラックカーボン)管理対策は、ディーゼル車、野焼き、料理用コンロおよび住宅の暖房を含む様々な排出源に対する多様な関係者による実施が必要である。微粒子問題のための大気品質と排出の基準はいくつかの地域において存在するが、それらはBCを削減するかもしれず削減しないかもしれず、実施は依然として努力目標である。異なった対策の妥当性、利益およびコストは地域によって異なる。多くの対策はコスト削減が必要とされるが、かなりの前もった投資が必要である。大気品質、気候および開発の共通の利益に対する評価が実施を拡大するためのキーだろう。
《写真:省略》 農業廃棄物の野焼きは多くの地域において作物の残留物を処理する普通の方法である。
メタンは京都議定書により管理される6つの温室効果ガスの1つであるが、そのための明示的な目標は存在しない。CH対策は費用効率が高く、その回収は、多くの場合、経済的に利益を生む。ほとんどは資金調達の不足により最近始まったプロジェクトではあるが、従来から重要なCH排出部門における多数のクリーン開発メカニズム(CDM)プロジェクトが存在してきた。
《写真2枚:省略》 裸眼では石油貯蔵タンクからの排出は見えないが(左の写真)、赤外線カメラの助けを借りると漏れ出るCHが明らかとなる(右の写真)。
先進国および開発途上国の両方におけるケーススタディ(ボックス3)は、対策の全てを実現することができる技術的な解決策が存在することを示している(報告書原本[訳注5]の第5章参照)。適切な政策メカニズムがあれば対策は実施できるが、記載された規模で利益を得るためには、より広い実施が必要とされる。

ボックス3:対策実施のケーススタディ

CH対策

埋立ゴミ処理バイオガス・エネルギー
埋立ゴミ処理CH排出はメキシコにおける温室効果ガス排出全体の10%である。Bioenergia de Nuevo Leon S.A. de C.V. (BENLESA)は埋立ゴミ処理バイオガスを燃料として使用している。現在、プラントは17メガワットの設備容量を持っている。2003年9月の開始以来、81,000トン以上のCHの放出を防いでおり、これはCOの170万トンの排出削減に匹敵し、409メガワット時の電力を発電している。政府と私企業間の協力が埋立ゴミ処理ガス(LFG)を電力に変え、昼には公共輸送システムを走らせ、夜には街路を照明するのを助けることによってマイナスをプラスに変えた。LFGプロジェクトはアメリカ、ブラジル、中国、インド、南アフリカ、および他の国々でも行われている。

石油および天然ガス生産からの回収および燃焼
石油掘削は石油と共にしばしば天然ガス(ほとんどはCH)を地表にもたらし、その天然ガスは油井の圧力を安全に保つためにしばしば大気中に放出される。 これらの排出を減少させるために、関連するガスを燃焼させCOに変換するか、回収することにより、その温暖化の潜在力の大部分を除去すると共にオゾン(O)を生成する能力を除くことができる。インドにおいて、国立石油会社であるOil India Limited(OIL)は、Kumchai油田で現在燃焼させているガスを回収し、そのガスをガス処理プラントに送り、最終的に輸送および天然ガス網で使用するプロジェクトに取り組んでいる。アンゴラ、インドネシアおよび他の国々におけるイニシアチブは関連するガスの燃焼および回収を行い、CH排出を 大きく削減させかつローカルマーケットのための新しい燃料源を生み出している。

家畜厩肥の管理
ブラジルにおいて、Mina Gerais州の大きなCDMプロジェクトは、動物廃水に伴うCHおよび他の温室効果ガス排出の総量を減少させるために、廃棄物管理システムの改善を試みている。そのプロジェクトの核心は、屋外の池を、結果として生じるバイオガスを捕獲し燃焼させる環境温度嫌気性分解装置<ambient temperature anaerobic digesters>に交換することである。このプロジェクトは、10年間(2004年−2014年)で、CHおよび他の温室効果ガス排出を全体で CO換算50,580トン減少させることを計画している。インドのHyderabadのCDMプロジェクトは、家禽ゴミCHを使用して電力を生成しそのプラントに供給すると共に余剰電力をAndhra Pradesh州電力網に供給することになるだろう。

《写真:省略》 家畜厩肥(きゅうひ)の農場規模の換気性分解は重要なCH対策の一つである。

BC(ブラックカーボン)対策


ディーゼル粒子フィルタ
Santiago市当局は、大気汚染に関する公衆の懸念に対応して、ディーゼル粒子フィルタ(DPF)装備を要求する都市バスの新しい排出基準を採用した。現在、全車両の約1/3にフィルタが装備され、2018年までに全車両に装備される予定である。ニューヨーク市は市バスおよび市のプロジェクトで使われるオフロード建設機械にDPFの使用を要求する規制を2000年および2003年に採用した。ロンドンは2003年から始まる数年間に市バスの全車両にDPFを装備した。ロンドンおよび他の市の低排出ゾーンでは、市の制限内のドライブのみが許可され、ディーゼル車のオーナーに粒子フィルタを装備する動機を作り出した。開発途上地域における実施は、DPFの使用に必須の低硫黄ディーゼルのより大きな入手可能性が要求されるだろう。

改良されたレンガ窯
小規模の伝統的レンガ窯(かま)は多くの開発途上国における重要な大気汚染源である;メキシコだけで20,000基が大量の微粒子を排出していると推定されている。アメリカ合衆国の国境近くのCiudad Juarezで試験的に用いられた改善された窯は効率を50%改善し微粒子汚染を80%減少させた。ベトナムのBac Ninh地方で、環境の大気汚染レベルおよび周囲の米の田畑への堆積を減少させる目的で始められたプロジェクトが、簡単な石灰洗浄排出管理装置<limestone scrubbing emissions control device>を試験的に用い、規制、経済手段、監視および技術移転の組み合わせが如何に大気の品質を著しく改善できるのかを証明した。

《写真2枚:省略》 伝統的なレンガ窯(左の写真)とメキシコで使われている改善された窯のデザイン(右の写真)。

可能性のある国際的な規制の対応

国際的な対応は、対策の急速で幅広い実施を促進するであろう。SLCF(短寿命気候強制力因子)の気候、健康、食料安全保障およびエコシステムへの影響の大部分は本質的に地域的または局地的であるから、国の活動と結合した地域的アプローチが費用効率の高い削減のために有望であることを証明するであろう。このアプローチは世界のほとんどの地域においてまだ極めて初期の段階である。例えば、長距離越境大気汚染条約(CLRTAP)は、2011年のGothenburg議定書においてBC(ブラックカーボン)を扱うことおよびより長い期間におけるO前駆体としてのCHの影響を考慮することに最近合意した。

他の地域的協定(ボックス4)はかなり新しく、主に科学的協力および達成能力構築に集中している。これらの協定はBCおよび対流圏Oによる大気汚染に関連して明らかになった課題を処理するための基盤として役割を果たし、財政、技術移転および達成能力開発のための可能性のある手段を提供しうるであろう。北極評議会内において起きたように、調整された方法で、国際的な規模で良い実践の分かち合いは前進に役立つ方法を提供しうるであろう。

ボックス4:地域的大気汚染協定の例

長距離越境大気汚染条約(CLRTAP)は、ヨーロッパ、中央アジアおよび北アメリカをカバーする成熟した政策の枠組みである。同様の地域的協定が世界の他の部分において最近数十年間に出現した。大気汚染および南アジアに対して起こりそうな越境効果の管理および防止に関するMa´le宣言は1998年に合意され、対流圏Oおよび微粒子物質を含む大気品質を扱っている。東南アジア諸国連合(ASEAN)薄煙議定書は、東南アジアにおける森林火災によ微粒子汚染を扱う法的義務協定である。アフリカには、多数の各国間の枠組協定(南アフリカのLusaka協定、東アフリカのNairobi協定、および西・中央アフリカのAbidjan協定)が存在する。ラテンアメリカおよびカリブ海沿岸には、大気汚染に関する閣僚級政府間ネットワークが形成され、UNEPのリーダーシップの元に、大気問題に関する枠組協定案および進行中の協力が存在する。


このアセスメントは、異なった国々の環境における異なった、特定された対策または政策の選択肢の費用効率は評価しなかった。それを行えば、国の大気品質および気候政策決定者に知識を与える助けになり、より広い規模での実施を支えるであろう。BCおよび対流圏O削減の技術、コストおよび規制のアプローチの地域的適用のさらなる研究および分析は多様なレベルでの効果的な活動の採用を前進させるのに貢献しうるであろう。この仕事は地域的な知識に基づいてなされるのがベストであろう。同様に、地域による具体的な対策の実施の地域的および世界的な利益のさらなる評価は、政策努力の目標をより良く定める助けになるであろう。これらの努力を支持して、追加的なモデリングおよび監視および測定の活動が残された知識の間隙を埋めるために必要である。

国際的な資金供給および協力の好機

他の緊急の開発の必要性のために国のかなりの資金供給がこれらの問題に割り当てられそうにない地域で、最大の利益が得られるであろう。国際的な資金供給および技術援助が、サブ国家レベル、国家レベルおよび地域レベルで、特に開発途上国において、特定された対策の採用を引き起こし、加速させるであろう。資金供給は、特に大気品質および気候の利益を最大化する汚染減少活動を目標に定めた場合、最も効果的であろう。

CHを扱う基金および活動(例えば、世界メタン・イニシアチブ;および世界メタン基金またはプロトタイプ・メタン資金供給機関)および料理用コンロを扱う基金および活動(クリーン料理用コンロのための世界連盟)が存在しあるいは検討中であり、これらは他の部門のためのモデルとして役に立つかもしれない。活動の拡張は、世界全体および特に世界の敏感な地域の両方における短期の気候変動を扱う極めて効果的な手段としてSLCF(短寿命気候強制力因子)削減によって描かれる好機の供給者認識<donor recognition of the opportunity represented by SLCF reductions as a highly effective means>によるだろう。

ブラックカーボンおよび対流圏Oは、バイラテラル援助、国連開発援助枠組、世界銀行エネルギー戦略、UNEPおよび国連開発計画(UNDP)の貧困・環境イニシアチブ、環境管理グループおよび国連エネルギーのような国連の機関間の協力イニシアチブ、国連基金、ならびに持続可能開発の制度枠組の持続可能開発(リオ+20)に関する国連協議会により考慮されているもののような他の環境、開発およびエネルギーに関するイニシアチブの一部としても考慮されるかもしれない。これら、およびその他のものは、それらの目的を達成するために、このアセスメントにおいて特定された好機の利益を得ることができるであろう。
《写真:省略》 エアロゾル測定装置

《写真:省略》




結びの言葉

このアセスメントは、ブラックカーボンおよび対流圏オゾンおよびその前駆体(特にCHおよびCO)を扱う大気品質対策の気候の共通利益を証明している。 これらの短寿命気候強制力因子を扱うために特定された対策は、世界中で首尾良く試みられてきており、実施された地域に、かなりのかつ即座の開発および環境の利益を与えてきた。

特定された対策のコストおよび利益は地域特有であり、実施は財政、規制および制度上の障壁にしばしば直面する。しかしながら、特定された対策の広範囲な実施は、短期の戦略が世界および地域の温暖化率を低下させ、主要な破壊的気候事象の可能性をかなり低下させる範囲に世界気温の上昇を保つチャンスを増やすことができることを認識することによって、効果的にてこ入れすることができる。そのようなてこ入れにより、地域的な優先度に焦点を合わせかつ世界の共有財産に貢献するマルチラテラルのイニシアチブに拍車がかけられるであろう。

それにもかかわらず、このアセスメントは、いかなる方法によっても、人為的温室効果ガスに関する即座の意欲的な世界的活動を下位に置くことを提案していないことが強調される;実際、COに関するそのような活動を求めている。このアセスメントは、そのような長期の対策と共に、短寿命気候強制力因子を同時に扱う ことにより、成功のチャンスが著しく高められると結論する。

このアセスメントにおいて特定された利益は、ブラックカーボンおよび対流圏オゾンの濃度を世界的に減少させる共同の努力で実現することができる。これを達成する戦略は、開発され実施されたときに、人間の幸福にかなりの利益を導くだろう。



用語集

エアロゾル 浮遊する固体または液体の粒子(純水を除く)の集まり、典型 的なサイズは0.01〜10μm、大気中に少なくとも数時間存在する。エアロゾルは自然または人間起源のどちらもありうる。エアロゾルは二つの方法で気候に影響を与えうる;放射を散乱または吸収することにより直接的に、および雲の形成の凝結核として活動することによりまたは雲の光学的性質および寿命を変更することにより間接的に。
バイオ燃料 バイオ燃料は非化石燃料である。植物材料および動物の廃棄物 を含む有機材料(バイオマス)のエネルギーを蓄えるエネルギー担体である。
バイオマス エネルギー関係においては、用語バイオマスはしばしば、エネルギーを生むために燃やすことができ、ガスに変換することができ、燃料のために使用することができる木材および農業廃棄物のような有機材料に言及するために使用される。
ブラックカーボン 光の吸収およ び化学的反応および/または熱安定性の測定に基づいて便宜的に定義されたエアロゾルの種類。ブラックカーボンは化石燃料、バイオ燃料、及びバイオマスの不完全燃焼により生成され、人間および自然の両方により生じるススの状態で放出される。いくつかの結合形態の純粋な炭素からなる。ブラックカーボンは、大気中で熱を吸収することにより、また、雪氷上に堆積したときにアルベド(日光を反射する能力)を減少させることにより、地球を温暖化させる。
炭素除去 カーボンの取り込みおよび蓄積。例えば、木および植物は二酸化炭素を吸収し、酸素を放出し、カーボンを蓄える。
意図せざる排出 煙突を通らずにプロセスまたは製品から大気に逃れる物質(気体、液体、固体)、例えば、石炭、石油から逃れるメタンの排出、および捕捉システムによって捕らえられないガスの抽出。
地球温暖化係数(GWP) ガスまたは粒子の地球温暖化係数は、参照ガス(二酸化炭素、1の値が割り当てられる)の1ユニットと比較してそのガスまたは粒子の1ユニットの排出による 特定の時期の地球温暖化への全体の寄与を評価するために言及される。
高排出車 平均より数倍多い大気汚染物質(微粒子物質)を排出する不適切にチューニングされた車または欠陥車(機能不全の排出制御システムを含む)。
Hoffman窯 Hoffman窯は、レンガの生産において最も普通に使われる窯である。Hoffman窯は、レンガのパレットが入るいくつかの小さな室によって各側壁が取り囲まれた主な火の通路からなる。各室は火からの熱いガスを運ぶ通路によって次の室に接続されている。この設計は熱と燃料の極めて効率的な使用のためになされている。
不完全燃焼 燃料の一部のみの燃焼を伴う反応または経過。燃焼はほとんど常に不完全であり、これは完全な化学反応を妨げる酸素の欠乏または低温のためでありえる。
酸化 物質の酸素との化学反応またはある元素の原子が電子を失いその原子価がそれに対応して増加する反応。
オゾン オゾン、3個の酸素を有する形態(O)、は気体の大気構成成分である。対流圏では、自然による生成と人間活動による気体を含む光化学反応による生成の両方がある(光化学スモッグの主な構成要素)。高濃度では、対流圏オゾンは幅広い範囲の生きている有機体にとって有害でありえる。対流圏オゾンは温室効果ガスとして活動する。成層圏では、オゾンは太陽の紫外線放射と酸素分子の相互作用により生成される。成層圏オゾンは。紫外線B(UVB)放射のシールドを提供している。
オゾン前駆体 太陽放射の存 在により他の化学物質と反応し対流圏でオゾンを生成する化学物質、例えば、一酸化炭素(CO)、メタン(CH)、非メタン揮発性有機化合物 (NMVOC)、および窒素酸化物(NO)。
微粒子物質 スス、ほこり、または他のエアロゾルの粒子のような固体または液体の物質の極めて小さな破片。
工業化前 広範囲の工業 化およびその結果としての環境における変化の前。典型的には、1750年以前の時代をいう。
放射 電磁波による エネルギー伝達または対象物によって吸収された時にエネルギーを解放する粒子の形態によるエネルギー伝達。
放射強制力 放射強制力 は、宇宙を伴った地球−大気システムを強制するエネルギーバランスにおける変化の物差しである。気候変動の外部駆動体における変化(例えば、二酸化炭素濃度または太陽出力の変化)による対流圏界面における正味(下向きマイナス上向き)の放射照度(W/m)の変化として定義される。
スモッグ 古典的には、 人間および他の有機体に有害な濃度で発生した炭化水素、微粒子物質および硫黄と窒素の酸化物のような燃焼の産物を有する煙と霧の組み合わせ。 より一般的には、日光が窒素酸化物および炭化水素に作用して対流圏オゾンを生成する時に生成される光化学スモッグとして生じる。
成層圏 対流圏と中間圏の間の大気の領域、下の境界は約8km(極 域)〜約15km(赤道)、上の境界は約50km。緯度および季節に依存して、成層圏下層の気温は高度と共に増加、等温、あるいは減少さえするが、成層圏上層は一般にオゾンによる太陽放射の吸収により高さと共に増加する。
越境移動 1つの国の管轄権に基づく地域から他の国の管轄権に基づく地域へまたはいかなる国の管轄権にも基づかない地域への移動。
(大気の)輸送 大規模な大気の動きの結果としての大気を通した化学物質の動き。
対流圏 地表から中緯度では高度約10km(平均して高緯度の9kmから熱帯の16kmの範囲)までの大気の最も下の部分、ここで雲および「気象」現象が起こる。 対流圏の気温は一般に高度と共に減少する。
 
頭字語および省略形
ASEAN Association of Southeast Asian Nations 東南アジア諸国連合
BC black carbon ブラックカーボン(黒色炭素)
BENLESA Latin America Bioenergia de Nuevo Leon S.A. de C.V.
CDM Clean Development Mechanism クリーン開発メカニズム
CH methane メタン
CLRTAP   Convention on Long-Range Transboundary Air Pollution 長距離越境大気汚染条約
CO  carbon monoxide 一酸化炭素
CO  carbon dioxide 二酸化炭素
DPF  diesel particle filter ディーゼル粒子フィルタ
ECHAM   Climate-chemistry-aerosol model developed by the Max Planck Institute in Hamburg, Germany ドイツのハンブルグにあるマックス研究所で開発された気候化学エアロゾルモデル
Euro  VI Vehicle emission standard; for diesel vehicles sets emission limits for CO, PM, NOx, HC+NOx; requires sulphur free (≦10ppm S) fuel; mandatory in Europe for all new cars from 2015 車両排出基準;ディーゼル車に対してCO、PM、NO、HC+NOの排出限度を設定;硫黄なし(≦10ppm S)を要求;2015からの全ての新車に対するヨーロッパにおける義務
G8 Group of Eight: Canada, France, Germany, Italy, Japan, Russian Federation, United Kingdom, United States 8カ国グループ:カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、イギリス、アメリカ
GAINS  Greenhouse Gas and Air Pollution Interactions and Synergies 温室効果ガス と大気汚染の相互共同作用
GISS  Goddard Institute for Space Studies ゴダード宇宙科学研究所
GWP   global warming potential 地球温暖化係 数
HC hydrocarbon; organic compound consisting entirely of hydrogen and carbon 炭化水素;水素と炭素のみからなる有機化合物
IEA International Energy Agency  国際エネルギー機関
IIASA International Institute for Applied System Analysis 国際応用システム解析研究所
IPCC  Intergovernmental Panel on Climate Change 気候変動に関する政府間パネル
LFG  landfill gas 埋立ゴミ処理ガス
NASA   National Aeronautics and Space Administration アメリカ航空宇宙局
NO   nitrogen oxides 窒素酸化物
ozone オゾン
OC  organic carbon 有機炭素
OIL  Oil India Limited
PM  particulate matter (PM2.5 has a diameter of 2.5μm or less) 微粒子物質(PM2.5は2.5μm以下の直径を持つ)
ppm parts per million 100万分の1
SLCF short-lived climate forcer 短寿命気候強制力因子
SO  sulphur dioxide 二酸化硫黄
UN  United Nations 国連
UNDP  United Nations Development Programme 国連開発計画
UNEP    United Nations Environment Programme 国連環境計画
UNFCCC   United Nations Framework Convention on Climate Change 国連気候変動枠組条約
UV   ultraviolet 紫外線
VOC  volatile organic compound 揮発性有機化合物
WMO  World Meteorological Organization 世界気象機関


謝辞

国連環境計画および世界気象機関は、本アセスメント作成の貢献に関して、このアセスメントの議長および副議長、ハイレベル諮問グループのメンバ、全ての執筆責任者および執筆協力者、査読者および査読編集者、ならびに総括チームに謝意を表したい。

以下の個人はこのアセスメントに情報を提供した。執筆者、査読者および査読編集者は彼らの個人の能力によりこの報告書に貢献し、彼らが属する組織は確認の目的でのみ言及される。

議長: Drew Shindell (National Aeronautics and Space Administration Goddard Institute for Space Studies, USA).

副議長: Veerabhadran Ramanathan (Scripps Institution of Oceanography, USA), Frank Raes, (Joint Research Centre, European Commission, Italy), Luis Cifuentes (The Catholic University of Chile, Chile) and N. T. Kim Oanh (Asian Institute of Technology, Thailand).

ハイレベル諮問グループ:Ivar Baste (UNEP, Switzerland), Harald Dovland (formerly at the Ministry of Environment, Norway), Dale Evarts (US Environmental Protection Agency), Adrian Fernandez Bremauntz (National Institute of Ecology, Mexico), Rob Maas (The National Institute for Public Health and the Environment, Netherlands), Pam Pearson (International Cryosphere Climate Initiative, Sweden/USA), Sophie Punte (Clean Air Initiative for Asian Cities, Philippines), Andreas Schild (International Centre for Integrated Mountain Development, Nepal), Surya Sethi (Former Principal Adviser Energy and Core Climate Negotiator, Government of India), George Varughese (Development Alternatives Group, India), Robert Watson (Department for Environment, Food and Rural Affairs, UK).

科学総括者:Johan C. I. Kuylenstierna (Stockholm Environment Institute, University of York, UK).

総括執筆責任者:Frank Raes (Joint Research Centre, European Commission, Italy), David Streets (Argonne National Laboratory, USA), David Fowler (The Centre for Ecology and Hydrology, UK), Lisa Emberson (Stockholm Environment Institute, University of York, UK), Martin Williams (King’s College London, UK).

執筆責任者:Hajime Akimoto (Asia Center for Air Pollution Research, Japan), Markus Amann (International Institute for Applied Systems Analysis, Austria), Susan Anenberg (US Environmental Protection Agency), Paulo Artaxo (University of Sao Paulo, Brazil), Greg Carmichael (University of Iowa, USA), William Collins (UK Meteorological Office, UK), Mark Flanner (University of Michigan, USA), Greet Janssens-Maenhout (Joint Research Centre, European Commission, Italy), Kevin Hicks (Stockholm Environment Institute, University of York, UK), Zbigniew Klimont (International Institute for Applied Systems Analysis, Austria), Kaarle Kupiainen (International Institute for Applied Systems Analysis, Austria), Johan C. I. Kuylenstierna (Stockholm Environment Institute, University of York, UK), Nicholas Muller (Middlebury College, USA), Veerabhadran Ramanathan (Scripps Institution of Oceanography, USA), Erika Rosenthal (Earth Justice, USA), Joel Schwartz (Harvard University, USA), Sara Terry (US Environmental Protection Agency), Harry Vallack (Stockholm Environment Institute, University of York, UK), Rita Van Dingenen (Joint Research Centre, European Commission, Italy), Elisabetta Vignati (Joint Research Centre, European Commission, Italy), Chien Wang (Massachusetts Institute of Technology, USA).

執筆協力者:Madhoolika Agrawal (Banares Hindu University, India), Kirstin Aunan (Centre for International Climate and Environmental Research, Norway), Gufran Beig (Indian Institute of Tropical Meteorology, India), Luis Cifuentes (The Catholic University of Chile, Chile), Devaraj de Condappa (Stockholm Environment Institute, USA), Greg Faluvegi (National Aeronautics and Space Administration Goddard Institute for Space Studies, USA), Sarath Guttikunda (Urban Emissions, India/Desert Research Institute, USA), Syed Iqbal Hasnain (Calicut University, India), Christopher Heyes (International Institute for Applied Systems Analysis, Austria), Lena Hoglund Isaksson (International Institute for Applied Systems Analysis, Austria), Jean-Francois Lamarque (National Center for Atmospheric Research, USA), Hong Liao (Institute of Atmospheric Physics, Chinese Academy of Sciences, China), Zifeng Lu (Argonne National Laboratory, USA), Vishal Mehta (Stockholm Environment Institute, USA), Lina Mercado (The Centre for Ecology and Hydrology, UK), George Milly (National Aeronautics and Space Administration Goddard Institute for Space Studies, USA), N. T. Kim Oanh (Asian Institute of Technology, Thailand), T. S. Panwar (The Energy and Resources Institute, India), David Purkey (Stockholm Environment Institute, USA), Maheswar Rupakheti (Asian Institute of Technology-UNEP Regional Resource Center for Asia and the Pacific, Thailand), Michael Schulz (Norwegian Meteorological Institute, Norway), Stephen Sitch (University of Leeds, UK), Michael Walsh (International Council for Clean Transportation, USA), Yuxuan Wang (Tsinghua University, China), Jason West (University of North Carolina, USA), Eric Zusman (Institute for Global Environmental Studies, Japan).

外部査読者:John Van Aardenne (European Environment Agency, Denmark), John Bachmann (Vision Air Consulting, USA), Angela Bandemehr (US Environmental Protection Agency), Ellen Baum (Clean Air Task Force, USA), Livia Bizikova (International Institute for Sustainable Development, Canada), Elizabeth Bush (Environment Canada), Zoe Chafe (University of California, Berkeley (Energy and Resources Group and School of Public Health), USA), Linda Chappell (US Environmental Protection Agency), Dennis Clare (Institute of Governance and Sustainable Development, USA), Hugh Coe (University of Manchester, UK), Benjamin DeAngelo (US Environmental Protection Agency), Pat Dolwick (US Environmental Protection Agency), Neil Frank (US Environmental Protection Agency), Sandro Fuzzi (Istituto di Scienze dell’Atmosfera e del Clima . CNR, Italy), Nathan Gillett (Environment Canada), Michael Geller (US Environmental Protection Agency), Elisabeth Gilmore (US Environmental Protection Agency), Peringe Grennfelt (Swedish Environmental Research Institute, Sweden), Andrew Grieshop (University of British Columbia, Canada), Paul Gunning (US Environmental Protection Agency), Rakesh Hooda (The Energy and Resources Institute, India), Bryan Hubbell (US Environmental Protection Agency), Mark Jacobson (Stanford University, USA), Yutaka Kondo (University of Tokyo, Japan), David Lavoue (Environment Canada), Richard Leaitch (Environment Canada), Peter Louie (Hong Kong Environmental Protection Department, Government of the Hong Kong Special Administrative Region, China), Gunnar Luderer (Potsdam Institute for Climate Impact Research, Germany), Andy Miller (US Environmental Protection Agency), Ray Minjares (International Council on Clean Transportation, USA), Jacob Moss (US Environmental Protection Agency), Brian Muehling (US Environmental Protection Agency), Venkatesh Rao (US Environmental Protection Agency), Jessica Seddon (Wallach) (US Environmental Protection Agency), Marcus Sarofim (US Environmental Protection Agency), Erika Sasser (US Environmental Protection Agency), Stephen E. Schwartz (Brookhaven National Laboratory, USA), Sangeeta Sharma (Environment Canada), Kirk Smith (University of California, USA), Joseph Somers (US Environmental Protection Agency), Darrell Sonntag (US Environmental Protection Agency), Robert Stone (The Cooperative Institute for Research in Environmental Sciences, National Oceanic and Atmospheric Administration, USA), Jessica Strefler (Potsdam Institute for Climate Impact Research, Germany).

査読編集者:Umesh Kulshrestha (Jawaharlal Nehru University, India), Hiromasa Ueda (Kyoto University, Japan), Piers Forster (University of Leeds, UK), Henning Rodhe (Stockholm University, Sweden), Madhav Karki (International Centre for Integrated Mountain Development, Nepal), Ben Armstrong (London School of Hygiene and Tropical Medicine, UK), Luisa Molina (Massachusetts Institute of Technology and the Molina Center for Energy and the Environment, USA), May Ajero (Clean Air Initiative for Asian Cities, Philippines).

総括チーム:Volodymyr Demkine (UNEP, Kenya), Salif Diop (UNEP, Kenya), Peter Gilruth (UNEP, Kenya), Len Barrie (WMO, Switzerland), Liisa Jalkanen (WMO, Switzerland), Johan C. I. Kuylenstierna (Stockholm Environment Institute, University of York, UK), Kevin Hicks (Stockholm Environment Institute, University of York, UK).

管理支援:Nyokabi Mwangi (UNEP, Kenya), Chantal Renaudot (WMO, Switzerland), Emma Wright (Stockholm Environment Institute, University of York, UK), Tim Morrissey (Stockholm Environment Institute, University of York, UK).

UNEPおよびWMOは、アセスメントの調査および制作ミーティングの主催に関して the Department for Environment, Food and Rural Affairs (Defra), UK; Joint Research Centre (JRC)-European Commission, Italy; International Centre for Integrated Mountain Development (ICIMOD), Nepal; および International Institute for Applied Systems Analysis (IIASA), Austriaにも、また、価値あるコメント、データおよびアドバイスの提供に関して世界中からの以下の個人にも、謝意を表したい。

Joseph Alcamo (UNEP, Kenya), Sribas Bhattacharya, (Stockholm Environment Institute, Sweden), Banmali Pradhan Bidya (International Centre for Integrated Mountain Development, Nepal), Tami Bond (University of Illinois, USA), David Carslon (International Polar Year/British Antarctic Survey, UK), Bradnee Chambers (UNEP, Kenya), Paolo Cristofanelli (EVK2CNR, Italy), Janusz Cofala (International Institute for Applied Systems Analysis, Austria), Prakash Manandhanr Durga (Department of Hydrology and Meteorology, Nepal), Joan Eamer (formerly at the GRID-Arendal, Norway), David Fahey (National Oceanic and Atmospheric Administration, Earth System Research Laboratory, USA), Sara Feresu (Institute of Environmental Studies, Zimbabwe), Francis X. Johnson, (Stockholm Environment Institute, Sweden), Rijan Bhakta Kayastha (Kathmandu University, Nepal), Terry Keating (US Environmental Protection Agency), Marcel Kok (Netherlands Environmental Assessment Agency, Netherlands), Richard Mills (International Union of Air Pollution Prevention and Environmental Protection Associations, UK and Global Atmospheric Pollution Forum), Lev Neretin, (UNEP, USA), Neeyati Patel (UNEP, Kenya), Kristina Pistone (Scripps Institution of Oceanography, USA), Peter Prokosch (GRID-Arendal, Norway), Mark Radka (UNEP, France), N. H. Ravindranath (Centre for Sustainable Technologies, India), A. R. Ravishankara (National Oceanic and Atmospheric Administration, USA), Lars-Otto Reiersen (Arctic Monitoring and Assessment Programme, Norway), Vladimir Ryabinin (WMO, Switzerland), Wolfgang Schopp (International Institute for Applied Systems Analysis, Austria), Basanta Shrestha (International Centre for Integrated Mountain Development, Nepal), Ashbindu Singh (UNEP, USA), Clarice Wilson (UNEP, Kenya), Ron Witt (UNEP, Switzerland), Valentin Yemelin (GRID-Arendal, Norway).


脚注

[1]地域民の気候変動世界サミットで採択された2009年4月24日のアンカレッジ宣言;北極評議会の第6回閣僚会合および国連経済社会評議会に基づく地域問題に関する継続フォーラム第8回(2009年5月)で採択された2009年4月29日のツロムソ宣言は、BCの排出を削減する国際合意の交渉の開始を視野に入れた気候変動の短期駆動体(特にBC)の緊急アセスメントの実行をUNEPに要請した。BCのようなCO以外の重要な気候強制力因子に関する迅速な活動の必要性は2009年G8首脳宣言(2009年イタリア、ラクリア、持続可能な未来のための責任あるリーダーシップ)において反映されている。


訳注

[訳注1]原文(←クリックで原文表示)は国連環境計画(UNEP)のサイトの発表文(←クリックで発表文表示)のページで公開されています。原文の公開日は2011年6月14日です。この翻訳文の公開日は2011年9月26日です。発表文の翻訳文はこちらです。

原文の著作権者である国連環境計画(UNEP)および世界気象機関(WMO)から、この翻訳文を公開することについて許諾を受けてはいませんが、誰にでも無料で広告なしにインターネット上で公開された英文の著作物を日本語に翻訳して、誰にでも無料で広告なしにインターネット上で公開することは著作権法上問題ないものと考えます。例えば、アメリカの著作権法のようにフェアユースの規定がある場合は、フェアユースに該当すると考えます。日本ではフェアユースは検討はされているようですが、まだ日本の著作権法にフェアユースの規定はありません。しかし、この翻訳文のインターネット上の公開は著作権者のいかなる財産権もいささかも損なっておらず、著作人格権にも十分に配慮しているので、日本の著作権法においても問題ないと考えます。

原文が発表された時点では刊行された本そのもののPDFファイルがそのままインターネット上で公開されていましたが、2011年9月26日時点ではインターネット上で公開されているPDFファイルからは表紙、裏表紙、著作権表示等は削除されています。


翻訳はできる限り正確に行っているつもりですが、翻訳文に誤訳およびその他の誤りがあったとしても翻訳者(井上雅夫)はいかなる責任も負いません。この翻訳文は自己責任でご利用ください。

私(翻訳者)は温暖化懐疑派ですが、翻訳は私見をまじえず客観的に行っていますので、温暖化脅威派の方も安心してご利用ください。


[訳注2]
原文には 多数の写真が掲載されていますが、これらの写真は第三者の著作物ですので、この翻訳文には掲載していません。写真なしでも内容は十分理解できると思いますが、写真をご覧 になりたい方は原文をご参照ください。なお、写真に説明文がついている場合には、その説明文は翻訳しています。

[訳注3]< >内は、原文の英語です。

[訳注4]「アルプス氷河で集団ヌード撮影会、温暖化防止訴え」←この記事で注目すべきは、写真に写っているヌードの集団ではなく、写真に写っている氷河の薄黒さです。この記事の写真で、ブラックカーボンが如何に氷河を汚し、それにより氷河に熱を吸収させ、氷河を溶解または昇華させているのがわかります。

[訳注5]「ブラックカーボン・対流圏オゾン統合アセスメント」の原本はインターネット上には公開されていないようです。

[訳注6]「CO対策シナリオ」は表2に示されているように「
世界エネルギー見通し2009 の450シナリオの仮定およびIIASA GAINSデータベースを使用してモデル化された排出。CO対策のみ含む。CO対策は他の排出(特にSO)に影響を及ぼす 」です。「450シナリオ」は表2の注2に記載されているとおり「長寿命温室効果ガス(この場合のCHを含む)による全強制力が今世紀末までCO 450ppmに等価なレベルで保つと設計」されたシナリオです。「IIASA GAINSデータベース」は「国際応用システム解析研究所 温室効果ガスと大気汚染の相互共同作用データベース」です。450シナリオはCO 450ppmに等価なレベルなので、長寿命温室効果ガスの内訳やCOの排出に伴って排出されるSO等をIIASA GAINSデータベースにより得ているのではないかと推測します。





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