1997年1月中旬

1月11日
 DTIから書類が届いたので、さっそく試しにアップロードして調子を見る。まずまずの感じなので、とりあえずあとリンク関係などを完成させて、12日にも試験スタートすることにする。明日から遅ればせながらの正月休みなので、その間に大幅に内容を充実させよう。

1月12日
 午後3時からアクトシティ浜松大ホールで「フィガロの結婚。庶民的というか、卑近な感じのする演出で好感がもてた。特にケルビーノとスザンナがよかった。
帰宅してからは、ひたすらホームページ製作。リンクページもある程度製作したので、後は全く手がついていないのは「動画的迷宮」だけになった。これは難物だ。あと、書棚放浪にもアップしたい本がたまっているので、ちょっと大変。

1月13日
 そういえば書き忘れていたが「アクション2(セカンド)」という雑誌でルパン3世スタート!。内容はややシリアスな新ルパンといったところ。旧ルパン的なアンニュイ感はなかったが、不二子がルパンと一線を引いている部分が「新」より明確になっていた。僕は映画「マーヴェリック」ってほとんどルパンだと思っているので(例:主人公の性格ともみあげが似ているし、ジョディ・フォスター演ずるヒロインの役回りが不二子そっくり)、新たな視点でのルパン再生には賛成なのだった。年1回のスペシャルはけっこう内容的につらいしなあ。この雑誌には西村しのぶの新作も掲載されていた。
 今日は基本的にホームページのメンテナンスしかしていない。なんだか最近こればっか。

1月14日

 ストレス解消のためにばんばん本を買っている。記録のために最近ここ1週間ほどで購入しためぼしい本を書いておく。「おもちゃ革命」(森下みさ子、岩波書店)「子どもの笑いは変わったのか」(村瀬学、岩波書店)「異界を生きる少年少女」(門脇厚司・宮台真司、東洋館出版社)「本気で作家になりたければ漱石に学べ」(渡辺直己、太田出版)「ビリーワイルダー自作自伝」(ヘルムート・カラゼク、文芸春秋)「ジャンボジェットのネズミ」「悪魔のほくろ」(ともにロルフ・ヴィルヘルム・ブレードニヒ、白水社)「お笑い北朝鮮」「私の愛した金正日」「お笑い大蔵省極秘情報」(総てテリー伊藤、コスモの本、宝島社、飛鳥新社)「超科学をきる」「同パート2」(テレンス・ハインズ、化学同人)「クレジットタイトルは最後まで」(川本三郎、中央公論社)「エヴァンゲリオン オリジナルT」「同U」(庵野秀明他、富士見書房)「幻想の普通少女」「同A」(内田春菊、双葉社)「かちかちやま」(高寺彰彦、講談社)「チャンバラピープル」(ウイリアム・トルーマン、扶桑社)。このほか「VOW」などを少々ゲット。
 13日から今朝にかけて徹夜してしまったので、夜はワインを飲んで12時過ぎに眠る。ワインはスズキ(自動車メーカーのです)が輸入しているハンガリーワイン。2年ほどまえにもらったものよりはおいしかった。まあ、それなりってことですけど。
 ワインのお相手は「クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険」「同 雲黒斎の野望」「ガメラ2 レギオン襲来」。何れ劣らぬお気楽ごく楽な映画ばかり。

1月15日
 今日も朝からせっせとほーむぺーじをつくる。本当はカメラを修理に出さなくてはいけないんだけれど、めんどくさいのでやらない。おすすめコーナーを完成させたのはいいけど、アレにコメントつけるだけでまた一仕事だなあ。あと、書棚放浪を2本書く。この4日間はなんかひたすらモニターに向かっていて、現実感がなんか狂ってきているような気がする。社会復帰できるのだろうか。

1月16日
 なんとか社会復帰して仕事。これからしばらく仕事続きだが、がんばって日記を更新しよう。(ファイトの持ち方が間違っているって? そうかもしれない)。
 地元紙の夕刊を読むと、桜井哲夫東京経済大教授がインデペンデンス・デイを枕に「自己本位を考える年」という一文を寄せていた。その文の趣旨はよく分かる(では、僕はどう行動すべきか、となると難しくて同感するしかない)が、2、3気になったところもあるのでで少し。これはやや重箱の隅をつつく作業で、桜井教授の本論を否定するものでないことを書いておきます。
 一つはインデペンデンス・デイについて「映画ファンの私としては、あまりの出来の悪さに目を覆いたくなる様な映画であった」という部分。うーん、あの内容を全力投球で製作し、完成度が高いからこそあの映画の特殊性というか、偏り具合が際立っているのだ思うんだけれどなあ。シナリオにしてもストーリーが拡散しそうなところをうまくまとめていたと思うし、特撮の完成度は言うに及ばずだ。ただ、映画の思想性だけを問題にしていたら「あまりの出来の悪さ」という人がいるのもよく分かるけど。そこで、僕は自戒を込めて「映画はストーリーの入れ物ではない」という言葉を思い出すのだ。
 もう一つはシンドラーのリストに関する部分だ。これは西井一夫氏の著作を引用している部分だが、僕はこれを未読なので、ちょっと誤読しているかもしれない。でも少し書くと・・・。
 ポイントはシンドラーのリストのラストが囚人の開放で終わることが、あの「悲劇」を忘れることにつながっているかどうか。僕はあの映画を「良心と現実の狭間でどうやって折り合いをつけられるか」という映画だと思ってみていた。悲惨な状況になれば、普通、人は現実だけに応じてしまう。あの映画はそういう普通の人(シンドラー)が自分の出来る範囲で、積極的に折り合いをつけていく姿を描いている。その成果として彼は彼の手のひら分ほどでしかないが、あの絶望的な状況から確かに人を救ったのだ。だから、感動の肝は(こう書くと身もふたもないが)その部分にあると思っていた僕からすると、囚人が救われないとあの物語は完結しないのだ。
 僕はあの映画を「ホロコーストを素材に、そういった厳しい現実の中で英雄でない人物に何ができるかを描いた作品」だと思っているけれど、桜井教授(いや、西井氏か?)は「ホロコーストを描いた作品」と捉えているようらしく、違和感の原因は結局そのスタンスの差だと思う。まあ、傑作「火垂の墓」を「反戦映画」として捉える人も多い世の中、こういうスタンスのぶれは当然あると思うけれど。
 もっともホロコーストは事実をもってのみ語らしめるべしという運動(つまりアンネの日記の映画化などに反対するスタンス)があることは僕も知っているし、否定しない。ただこれはまた別問題なのでまた今度。長くなりそうだから。
 ただ「死者の叫び」を考えるべきという意見には重いものがある。明日は17日。阪神淡路大震災から丸2年が経過する。

 少し話題を変えて。僕の今年の目標の一つは「パソコンをコミュニケーションツールにしよう」です。ホームページの開設もその一環。そこでですが、実は今日このページを見た人からメールを頂いて、ひじょーにうれしかった。いやー、よくあのしつこく理屈っぽい映画評を読んでくださったと、感謝の言葉もないです。これからもがんばってページを充実させようという気になります。 これまで僕は同人誌なんかに全く手を出しておらず、映画批評なんて大学生の時に「8月の狂詩曲」で書いて以来だったけれど(これはキネ旬に投稿、2次選抜で落ちた)、反応があることがこれほど楽しいとは。
 「また野望(目標)に」一歩近づいた!」とサル漫風に今日は終わります。

1月17日
(欠番!!)

1月18日
 昨夜は夜勤のためマイ・パソコンを会社に持ち込んでいた。そこで、ここしばらくMSIE3.01の調子がいま一つなので、ああだこうだと素人考えでいじっていたら、いくつかのソフトが正常に動かなくなってしまった。そのため日記が更新できないだけでなく、いくつかのメールも紛失してしまった。
*個人的伝言*
先日畑中佳樹(だと思った)さんの著作を紹介してくれた方、すみませんが書名をもう一度教えてください。メールを紛失したので、注文できなくなってしまいました。筑摩書房だということは覚えているのですが・・・。急ぎませんので気がついた時でけっこうです。よろしくおねがいします。
*伝言 終わり*
 今日はホームページビルダーとMSIEを再インストールして、なんとか持ち直した、とういうわけです。
 
 17日には、朝日新聞が社告で「手塚治虫文化賞」の創設を案内していた。選考委員の顔ぶれがすごい。船頭多くて山が船にのぼらないか?というような余分な心配もしたくなるようなメンバーだ。
便宜的にジャンル分けしてみると。
 ☆作家系 荒俣宏、小松左京、三代目魚武濱田成夫、鈴木光司、関川夏央、高橋源一郎、夢枕獏
 ☆評論家系 石上三登志、大月隆寛、岡田斗司夫、唐沢俊一、呉智英、鶴見済、荷宮和子、村上知彦、養老孟司、米沢嘉博
 ☆マンガ家系  いしかわじゅん、里中満智子、長谷川邦夫
 ☆タレント系 斉藤由貴、タケカワユキヒデ
 ☆僕の存じ上げない方(誰か教えて下さい) 印口崇、古川益蔵(まんだらげの方でしたっけ?)、フレデリック・ショット
 マンガを俯瞰できる視野を持っている評論家を中心に、選んだということでしょうか。単にマンガに関するこ好著がある人をピックアップしたのかなあという皮肉な言い方もできるか。ここまでメンツがそろっていて入っていないのが不思議なのが、大塚英志さん、四方田犬彦さんかなあ。あと中森明夫さんて線もあるか。
 で、謎な人。
 斉藤由貴>高校時代の漫研のキャリアが買われてか? 
 三代目魚武濱田成夫、鈴木光司>単に僕がお二人がどれだけマンガ読みかどうか知らないからだけど・・・。鈴木氏は浜松市出身ですね。 
 タケカワユキヒデ>なんともいいようがないくらい僕は理由がわかりません。999の主題歌を歌ったからか?
 でも、「最近のマンガは読んでいない」とおっしゃってとんちんかんな選考理由を話す大家よりはいいと思う。どちらにろ、マンガ界における賞の難しさというのがある以上、選考委員の方は投票方式とはいえ、かなり苦しむのではないだろうか。少なくとも1作品を選ぶのは不可能な作業なのだから。
 個人的にはマンガ編集者と評論家を交えて投票するマンガ・アカデミー賞の方がまだいいと思うけど。そもそも文化賞って名前がちょっとピントがずれているよね。(この項作品が発表になったころに再び丁寧に考えます)

 この文化賞の創設と前後してジャンプは「読者杯」を発表。世界中の総てのマンガ家を対象に、読者からジャンプで読みたい人をはがきで集計。上位10位の作家で短編のコンペを行うという。作家に対しては賞金も出るらしい。これがマンガ業界の活性化になるのか、それとも単なるジャンプの囲い込み政策なのか。さらに、他誌の人気作家が一位になったらどうするのか、など今後の展開を編集部がどのように想定しているのか、目が離せない。
 
 今日はセンター試験だったそうだ。僕も2回にわたって受験した共通一次を思い出す。浪人のときは、同じ寮の友人と「なんだこのプレッシャーは!!」とZガンダムの引用(?)をしながら、試験会場に向かって歩いていったなあ。(こんなこと書くとお里が知れるなあ)。 

1月19日
 キネマ旬報社から出版されたキネ旬別冊「動画王」を買う。特集はロボットアニメ。悪くない内容で、最近出版されたこの種の本の中では、読みごたえのある方だった。長浜監督を改めて取り上げたのも、いい視点だったと思う。
 そのほかでよかったのはアニメーター金田伊功氏へのインタビュー。ドンデラマンチャとザンボット3で金田アニメを紹介するというのは、「うんうん、よく分かってる」という感じ。確か記憶だと、アニメージュのインタビューで「クジラのホセフィーナ」での追っかけも気に入っていると、本人は言っていたはずだが、それがあまり紹介されていなかったのは残念だった。
 「アニメ第3世代の旗手」(アニメージュで初登場の時には、こういう見出しがついていた)、でも、こうして再検証される時代になったのだなあと、オールドファンは感慨深く思うのだった。
 あとは唐沢俊一氏の「カリ城」に関するコラムとオタク・アミーゴスの鼎談がよかった。鼎談の題材は「ID4」。(^^;;やっぱり僕のものの見方って、「こっち方面」の人の影響を受けているなあと、読みながら実感する。
 ただ、残念なのはそれ以外が「薄い」こと。特に99作品のロボットアニメを紹介する部分は、もともとジャンクな分野だけに、紹介する側も苦戦している感が強い。はっきりとしたアニメ観がないまま(そんなものはこの世の中にないのだが)、見どころとポイントを紹介している。これなら、わざわざ老舗「キネ旬」が出版しなくてもいいのでは、とも思う。各ページの切り口がありきたり過ぎた。
 また、気になるのは特集が回顧調なところ。現役で活躍している注目の演出家などを、特集とからめて映画雑誌的な感覚でもっと扱ったほうが、雑誌として「生」な感じになるのでは。

 17日から気になっている古川益蔵さん。まんだらけの方は確認したら、益三さんだった。人違いだったようだ。

 上々のスタートだと思った、鳥山明の「トキメカ」はあっという間に終わってしまった。「充電十分」という柱のわりには、あまりに普通すぎる展開だった。僕はああいうおなじみの異世界ものではなくて、学園ものなどの新しい世界を見てみたい気もする。

 更新情報を新設。雑談的独白に新作を加え、映画印象派の「打ち上げ花火」を全面改訂。文章が下手だと苦労します(^^;; それから、雑談的独白の新作 松本人志「一人ごっつ」を考える は、
子どもの笑いは変わったか」
の笑いの定義を下敷きにしました。

1月20日
 僕のある友人にいわせると、服を買うときには「お前を身請けする!!」というぐらいの愛情が必要なのだそうだ。僕は服にはそれほどの愛情は注いでいないが、本になら注いでいると思う。夜勤明けの今日も、本をいろいろと買ってしまった。「DISTANCE 映画をめぐる断章」(西井一夫、影書房 2884円)「インターネットバブル−その虚と実−」(亀井義明、情報管理発行 2266円)「爆笑問題の日本原論」(爆笑問題、宝島社 1000円)「別冊宝島299 スキャンダル読本」(宝島社 900円)。爆笑問題の本は宝島30に掲載したネタを集めたもので、この本を買ったおかげでやっと宝島30を捨てることができる(^^;;それからこの間ついに「テクノスタルジア」(香山リカ、青土社 1800円)も購入。ちょっと内容が難しいようで、拾い読みしながら読み終わるにはしばらくかかりそう。
しかしどこの本屋にいってもないのが、「インターネット中毒者の告白」。こういうときはやはり「文化不毛の地」ということを実感する。 
 ホームページを開いてから、ほんとうに睡眠時間がへっているようだ。文章を書いているとアドレナリンがでてくるのか、今までより寝つきが悪くなっているみたい。でも、モニターの前だとなぜか眠気が薄れるんだよなあ。猿だね、こうなると。
 仕事の方もつつがなく終わり、変哲もない一日でした。


もっと過去

偽名日記へ

RN/HP

もう少し未来