2年前のドンジョバンニに続き、再びアクトシティ浜松大ホールでプラハ国立劇場オペラを観ることができました。ひとことでいってかなり好感の持てる舞台でした。僕が今までビデオで観た2つのフィガロより、しっくりくるものがありました。
演出はあまり時代考証にこだわらず、むしろキャラクターを「立てる」ことに重点をおいていたようで、そういう意味では物語の卑近な部分を強調したような仕上がりになっていました。スザンナは威勢のいいおネエちゃんといった感じだし、バルトロ、バリシオ、バルバリーナといったわき役も細かに性格づけされていました。バルバリーナはなんかバカっぽくて印象に残った。僕自身は「フィガロ・・」という物語は、登場人物がだましだまされる一種のコメディーだと思っているので、こうした演出には全く違和感がありませんでした。ただ、最後に伯爵夫人が傷ついたハートのゴンドラに乗って降りてきたのは、いかがなものか(ナンシー関風に)。まあ、あそこで伯爵夫人が登場することで物語は一挙に大団円へと向かうから、その節目ということでしょうかねえ。
歌の方は専門ではないので何とも言えないのですが、 ケルビーノ役(ヤロスラヴァ・ホルスカー=マフォバー)がなかなかいい声だと思いました。スザンナもイメージにあっていたし、男声では伯爵(イワン・クスニエル)の声が魅力的でした。それぞれ声や歌い方にクセが少なくアリア以上に重唱を楽しむことができました。
つけ加えると、近くの席に座ったおじさんがは、第2幕で伯爵夫人が額にタオルをあてているぶざまな姿(伯爵の愛を失い床に伏せっている)でアリアを歌ったことに不満がいっぱいあるようで、幕間にぶつぶつと文句を言っていました。ちょっと可笑しかったです。(97/1/12)
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