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8.「旅の恥はかき捨て」はみっともない、ナノダ!


 世界中で、トラベラーの評判ワーストNo.1がチャイニーズで次がジャパニーズだといった話を聞いたことがあるが、今回アンボンからバリ島へ戻ってみて観光客の人数が増えるに従い、この言葉を納得させられた。

 チャイニーズは辺り構わず仲間とギャーギャーと騒ぎ、回りの迷惑などお構いなし、他人の家へ土足でズカズカと上がり込んで、われ関せずと言った感じである。

 デンパサール空港で出発便の時間が遅れることを知った我々は、時間つぶしのためにタクシーでプラザバリへ買い物へ出かけたが、そこには日本人をしのぐチャイニーズ達が押し寄せていた。そこで私はトンデモナイ光景を見てしまったのだ。

 バリの伝統的音楽、ガムランを演奏中の楽団のど真ん中へ、あるチャイニーズが自分の好奇心の為だけにズカズカと上がり込んで写真を撮りまくり、演奏のじゃまをして平気で喜んでいるではないか。
 楽団のメンバーは困った顔をしていたが、途中で演奏を中止し、親切にもその家族と一緒に並んで写真におさまってあげたのである。真に優しい連中である。

 いくらお客様相手とはいえ、この国で楽士になるためには芸術大学を卒業し、国家資格を取らないとプロとして人前でガムランを演奏できないのである。
 つまり彼らは国が認めたきちんとした資格を持つ、プロの演奏家達なのだから、そこらの旅芸人とはわけが違うのだ。
 その演奏中のなかへズカズカと上がり込んで行く姿を見たときには、あまりの身勝手さに私は開いた口が塞がらないと共に、自分の身勝手で演奏を中断させたチャイニーズに腹が立ってしかたがなかった。

(バリの音階は、「ドレミソラ」の5音階でした。そして「ド」を基準とすると、「レミソラ」の音程はすべて低めで、平均率よりも大体四分の一音低めであるようです。この音程が、ガムランの重厚な和音を醸し出しているのです。この音階によく合う日本の童謡は、「ショジョジのタヌキばやし」です。)

 一方我々ジャパニーズも似たり寄ったりで、自分のわがままの為に他人への迷惑を考えない行動を取ることがよくある。
 空港の待合い室で、少し探せば空いた椅子があるにも関わらず、通路にしゃがみ込んで騒ぎまくり通行人の邪魔をして平気でいたり、搭乗手続きが開始されるやいなや、われ先にと他人を押しのけてまで中に入ろうとする。しまいに飛行機の中で、気圧が低く酔いやすい事を知ってか知らずかここぞとばかりに無料酒をしこたま飲んで酔っぱらい、スチュワーデスにクダを巻くなど、誠にもってみっともない行動である。

 私もつい同じ様な行動を取りがちだが、今回アンボンからの帰り道ではこれらの真に紳士的ではない行動が目に付いてしまい情けなくなってしまった。と反省した矢先に、遂に私もヤッテもうた!

 何度かガルーダインドネシア航空を利用してきた私だったが、今回は飛行機の整備不良で出発が2時間遅れ、そしてさらに飛行機交換の為に1時間遅れとのアナウンスに半分頭に来ていたのだが、ようやく機内に入れたと思ったら今度は飛行機が変わったために座席の無い人が出てきてしまった。急な機体変更のためにシートアレンジまで修正が間に合わなかったようなのだ。
 そこで座席を変わってくれとスチュワード達が右往左往するが、他人よりも仲間と一緒に座りたいのは皆同じである。収集が付かなくなってしまったのだが、中に一組新婚旅行帰りのカップルがどうしても離ればなれになってしまい、しまいに新婦がべそをかき始めてしまったのだ。
 いっそのことビジネスかファーストクラスの空いた所へ席を用意してあげれば良いのにと思うのだが、どうも融通が利かずにそのカップルだけが宙に浮いてしまっているのだ。
 ここで私はついにプッツンしてしまい。「何であなた達航空会社の不手際のせいで我々がこんな不愉快な思いをしなければならないのか!」と怒りを爆発させてしてしまったのだ。

 とうとうヤッテもうた!ナノダ。

 アンボンの、紳士的でゆったりとした非常に良い雰囲気の中から、いきなりチャイニーズとジャパニーズのガサガサした雰囲気の溢れるバリへ、そしていよいよこれから忙しさに目の回る日本へ帰る事への心のイライラからなのか、後から考えてみると何であんな所でプッツンしてしまったのかと、変なところで冷静さを失ってしまった自分が情けなく思えてしかたがないのだ。

 この国では定刻通りに出発出来る航空機はむしろ珍しいお国柄だし、航空機の入れ替えは日常茶飯事な事ぐらい良く知っているはずではなかったのか。

 余談だが、デンパサールからジャカルタ到着の間に出された機内食は、とても変わった食べ物だった。おそらく急に飛行機が変わったために機内食の変更も間に合わなかったのだろう。どうもイスラムの人達のために用意してあった機内食のように思えた。
 ジャカルタでは無事に機内食が間に合ったようで、通常の料理が出てきた。こんな経験も、後から考えれば一つの思い出である。

 いづれにしても、海外で「ノーと言えない日本人」「ポリシーの無い日本人」「常識の無い日本人」はそろそろ返上したほうが良さそうだ。

 「旅の恥はかき捨て」で勝手気ままに行動したのでは、日本人は海外でさらにバカにされるだけであろうし、利用してやろうと思っている連中の格好のカモにされるだけであろう。
 もっと自分に誇りと自信と責任を持ち、回りを気遣い、迷惑をかけない様心がける。そしてその土地の慣習を尊重して行動する事により、より楽しい旅行が出来るのではないだろうか。

 他の国の旅行者達は、皆これらをきちんと実践しているように見えたし、素朴で素敵なアンボンの人達は彼らに真心で応えていた様に思えた。
 自分が楽しむためには、まず回りの人たちから。決して自分のわがままの為に他人に迷惑はかけない事。今回のツアーで私が学んだ、海外旅行の極意である。


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