第1幕:人類の宝を求めて

あらすじ

フィラデルフィアに補給物資を届ける仕事を請け負ったPC一行は、エディーノスたちに襲われる女性、ミーシャと出会う。フィラデルフィア駐留軍の協力者である彼女は、スミソニアン博物館での儀式の噂について、真偽を確認するために派遣されていた。そして、その儀式が真実で、しかも尋常なものではないと知った彼女は、フィラデルフィアに戻って対策を打つよう進言するつもりだった。しかし、その帰途にエディーノスたちに襲われたのである。(シーン1)
ミーシャとともにフィラデルフィアに到着したPC一行は、アドルスン市長と面会し、儀式に関する詳細な調査とホープダイヤの回収を依頼される。おかしな新聞記者メイヤーたちを同行して、博物館へと出発することになる。(シーン2)
博物館に辿り着き、そこで行われた凄惨な儀式のあとを見ることになる。死体の中に隠れていたゴスポグに襲われ、しかも博物館が崩れようとする状況で、先行したミーシャメイヤーを救い、そしてホープダイヤを回収した一行は、一旦フィラデルフィアに戻るのであった。(シーン3)

シーン1(スタンダード)リビングランド優勢

テーマリビングランドの雰囲気を掴んでもらう

状況説明

以下をプレイヤーに読んで聞かせるか、コピーして読ませてあげてください。
道無き道を進む一台のトラック。荷台には医薬品・食料品・衣料品などを完全密閉したものが積まれている。これをフィラデルフィアまで運ぶのが、君たちの役割である。周囲には深い霧に立ち込めている。かつては舗装された道路や文明的な街並みだったであろう場所は、鬱蒼と茂るジャングルと化していた。霧の中からは時折、鳥の囀り、獣の遠吠え、そして野太い咆哮といった動物の声が聞こえる。
そんな中で、時々車をエンストさせ、道に迷いながらも、君たちは何とかここまでたどり着いた。フィラデルフィアはもう少しのはずだ、多分。この霧立ち込める密林の世界、リビングランドの領域では、時間という概念が随分曖昧に感じられるのだ。そして、霧のせいですぐ道に迷い、機械などもたびたび故障するという有り様だ。君たちの知る地球とは違う価値観に支配された領域。まさに原始世界という言葉がふさわしい場所である。
2足歩行のトカゲ人エディーノスたちがこの場所に侵略を開始してから、多くの人たちがこの地を追われ、あるいは殺され、あるいはトカゲたちの信じる神の教えに帰順した。しかし、辛抱強くこの地に踏みとどまり、ぎりぎりの抵抗を続ける人たちもいる。その多くは、なぜか元々の地球の価値観が保ちつづけられているハードポイントと呼ばれる場所を拠点に、何とか侵略者を撥ね付けているのである。フィラデルフィアも、そうした抵抗運動の拠点のひとつである。
しかし、霧深きジャングルに囲まれた陸の孤島とも言うべき場所では増援も望めず、いずれは物資も底を尽きてしまうだろう。そんな絶望的な状況で戦う人たちのために、物資を届けるため霧深いジャングルに立ち入るのは、非常に危険な任務である。それを果たすことができるのは、違う価値観の場所でも自分の本来の価値観を保つことができる、非常に希有な才能を持つものだけである。侵略者と直接戦い、あるいは侵略者と戦うものに援助を与え、侵略に苦しむ人々に希望をもたらすこと、それが君たちストームナイトに課せられた本当の使命である。

マスター用情報

一行はトラックに乗り、リビングランドを抜けてフィラデルフィアを目指している。トラックはほろ付きで、わりと古い型のものであるが、その整備のしやすさとオフロード性能から、今回の任務にはうってつけといえる(荷台には、箱に詰め込まれたたくさんの真空パックが入っている。中身は医薬品、食料、衣料品などである。PCに対して、運転は誰がするか、誰がどこに乗るかを決めさせること。前部座席には最大3人が乗れる。残りは荷台に乗ることになるだろう。

トラック(技術アクシオム22、スピード基本値13、乗員3、《耐久力》22)

前部座席に座っているPCは、<発見>(難易度9)を行う。成功すると、進行方向の霧の中に一団の人影がいるのに気づく。まあよい以上なら、戦っている最中であることがわかる。この判定に失敗した場合、急に車の前にたくさんの人影が現れるため<地上車操縦>(難易度10)を行う。成功すれば車は人影たちの前で急停車する。失敗すると、そばの木に激突し、各PCはボーナスを求め「10+ボーナス−<軽業>(なければ《敏捷度》)」を戦闘結果表に当てはめただけのダメージを受ける。

人影の正体は、エディーノスたちであり、一人の人間の女性(ミーシャ・ライアット)を取り囲んで襲っている。ミーシャも懸命に銃で反撃をしているが、重傷(2レベル負傷)を負っているらしくふらふらである。
車を止めてこっそり近づくなら、<隠れ身>(難易度8)に成功すれば、エディーノスたちに気づかれないので通常の不意打ちとなる。判定に失敗したり、車に乗ったまま近づくなら、相手はPCたちに気づいて攻撃を仕掛けてくる。
エディーノスの攻撃方法は、基本的に槍で攻撃するだけである。半数以上が戦闘不能(あるいは逃げ出した)場合、残ったエディーノスたちも逃走を試みる。

エディーノス(PCと同じ数)
敏捷度:11
白兵戦12、格闘12、投擲武器12
筋力:9
耐久力:10
知覚:9
語学10、追跡10、トリック10
知力:9
威圧11、意志力10、サバイバル10
魅力:8
挑発10
精神力:10
威嚇11、信教(ケタカルズ)12
武器:フロクトの槍(+4/13)、爪(+3/12)、牙(+2/11)、しっぽ(+0/9)
注意シー・スルー・ミストの奇跡を受けているため、深い霧に視界が阻まれることはない。

ミーシャ・ライアット
敏捷度:10
銃器戦闘11 隠れ身13 手品13 錠前破り13 軽業11 回避12 白兵戦11
筋力:9
耐久力:9
知覚:10
発見11、地上車操縦11
知力:8
裏街10
魅力:11
魅了12 説得12 挑発12
精神力:9
リアリティ(コアアース)10
ポシビリティ:4
武器:9mmベレッタ(15)[22]3-10/25/40、ナイフ(+3/12)[7]
装備:バックパック(無線機、懐中電灯、ロープ10m、携帯用食料が入っている)、IDカード
説明:アメリカ国籍、20歳。孤児(ストリートチルドレン)で、フィラデルフィアのストリートで犯罪に手を染めた過去を持つ。侵略の際にポシビリティ能力に目覚め、その隠密行動の技術を買われて、フィラデルフィア駐留軍に斥候として協力している。登場時、2レベル負傷を負っている。ちょっと勝ち気な性格だが、基本的には気さくな白人女性。軍人を相手にすることが多かったので最初は固い口調で話すが、PCたちに対してはすぐにざっくばらんな口調で話すようになる。

エディーノスを蹴散らした後、ミーシャは自己紹介をする。「私はミーシャ。フィラデルフィアの駐留軍に協力しています。エディーノスたちがワシントンスミソニアン博物館で不穏な儀式を行っているのを見たんです。その事を報告するために街へ戻る途中でバイクが故障し、仕方なく歩いているとエディーノスたちに襲われました。助けてくれてありがとうございます。」と、無理に礼儀正しい口調で告げる。そして、何とかフィラデルフィアまで連れていって欲しいと頼んでくる。
儀式については「十数名のエディーノスが博物館の入り口のホールでまじないめいた怪しい詠唱を行い、縛り付けられた人間に野獣にをけしかけたりしていた。儀式の中心は屈強そうな赤銅色の肌のエディーノスと、浅黒い肌の華奢なエディーノスのようだった。そのあまりの残虐さに、慌てて逃げ出してきた。その途中でも、時折絶叫とも断末魔ともつかない叫びが聞こえたりした。」というのが彼女の知っている全てである。

なお、彼女を襲ったエディーノスは、ただこのあたりを巡回していただけであり、博物館から追ってきたわけではない(彼女もそう考えている)。

ミーシャは街へ向かう途中にこう告げる。「子供の頃、近所の牧師さんにスミソニアン博物館に何度も連れて行ってもらったことがあったの。子供心にもホープダイヤの美しさに心ときめいたもんだったわ。でも、今じゃ博物館はあの有り様だし、ダイヤはいったいどうなっちゃったのかしらね。」

困ったときには

もし、PCたちがフィラデルフィアではなく博物館に直接行こうとした場合、フィラデルフィアまでの距離は車であと1時間程度であること(ミーシャは地元民なのでこのあたりの地理に詳しい)、ミーシャが怪我をしていること、運んできた物資を引き渡すのが先であること、などを引き合いに出して、上手くフィラデルフィアまで誘導するのが良いでしょう。

スタック

ロマンス
男性PCがロマンスを使った場合、ミ−シャはそのPCに対して好意を抱く。怪我をしているのでつい弱音を吐いてしまったり、怪我が治ったあとはかいがいしくPCに付きまとったり、気を引くために無茶な行動に及んだり、という感じでしょう。詳細は、マスター(とプレイヤー)の趣味にお任せします。

シーン2(スタンダード)コアアース優勢

テーマフィラデルフィアの現状を掴んでもらう

状況説明

以下をプレイヤーに読んで聞かせるか、コピーして読ませてあげてください。
ミーシャの案内でフィラデルフィアに到着した一行。かつての街並みは残っているものの、街の周辺にはバリケードが築かれ、幾多の戦闘の結果として血と硝煙の匂いが充満している。ゲートをくぐり市内に入ると、街の人たちは一見ごく普通の生活をしているようにも見える。しかし、兵士たちは疲弊しきっており、多くの難民たちが憔悴しきって苛立ちを露わにしている。絶望的なジャングルから逃げ出し、命からがら何とかこの街に辿り着いた幸運な難民たちは、しかしここでも食料や生活物資の不足に苦しめられているのだ。
君たちは、ミーシャの案内で、市長ティム・アドルスンに面会する。彼は、君たちを心からの笑顔で歓迎し、君たちの運んでくれた医療物資が特に貴重で重要であることを告げ、君たち一人一人に握手を求めて丁寧に礼を言う。宿泊所と食事の手配は済んでいるので、どうかゆっくり休んで欲しいと告げる。

マスター用情報

アドルスン市長スミソニアン博物館での儀式について告げると、急に神妙な表情になり、「現状では、軍を動かすように依頼するわけにはいかない。その儀式がフィラデルフィアの存続に極めて重大な危機をもたらす可能性があるかどうか調べてもらえないだろうか?」とPCに告げる。彼自身は軍の行動に口出しする権限はなく、非常時に意見するのが限界なのである。フィラデルフィアを最前線として維持するために、合衆国軍は莫大な投資を行っており、軍に市民を守らせているという手前、確実な情報がなければ軍に対して意見もできないのである。
必要であれば、成功報酬として5000ドルの小切手を支払う用意があると告げる。この街で換金することは難しいが、合衆国に戻ることができれば換金は可能である。PCが、現金の代わりに物資を欲しいという場合、最低限の物資(往復分の食料と燃料、懐中電灯やロープなど、ごく普通の道具に限定される)であれば何とか調達できると告げる。こういった工業製品は、フィラデルフィアでは貴重品なのである。

部屋を後にしようとすると、市長が思い出したように呼び止める。「スミソニアン博物館には、ホープ・ダイヤモンドというブルーダイヤの装飾品が展示してあったのです。ワシントンは現在無人らしいので、今も展示されているかどうかはわかりません。そこで、もし可能ならホープ・ダイヤの有無を確認し、可能なら回収してきて欲しいのです。あれは我が合衆国の、いや人類にとってもかけがえの無い宝なのです。」

スミソニアン博物館に行くという話が終わった後(市庁舎から出た後など)、2人の人物が現れる。一人は30代の白人男性で、ブンヤ(マスコミ関係者)という感じの、非常にハイテンションでオーバーアクション気味な人物である。もう一方は無言かつ無表情でかなりの巨漢で、同じく30代の黒人男性である。二人はそれぞれ、メイヤー・ブラッドショウガラク・ロドリゲスと名乗る。フリーのライターとカメラマンで、フィラデルフィアの現状を取材しに来たところ、PCたちがワシントンへ行くと言うのを聞きつけたのだ、是非同行して、かつての合衆国首都の現状を報道する義務がある、と告げる。市長室で話していた場合など、「密室での会話を何故知っているのか」というような質問をプレイヤーにされた場合、「企業秘密デース!」という感じではぐらかす。

メイヤー・ブラッドショウ(ミルトン・アプリー卿)
敏捷度:10
格闘12、隠れ身18、騎乗12、銃器戦闘、11、錠前破り16
筋力:8
耐久力:8
知覚:11
応急手当て12、語学12、船舶操縦13、知識(土地勘)13、知識(犯罪王)16、地上車操縦14、トリック12、発見13、ヒエログリフ13、変装16
知力:9
威圧11、意志力12、芸術(演劇)13
魅力:14
説得17、魅了16
精神力:12
信教(エジプト神)13、リアリティ(ナイル帝国)16
ポシビリティ:15
本性:悪
武器:ワルサーP38(15)
装備ナイル帝国ソースブックp.20を参照
説明メイヤーの姿でいるときは、ちょっとおばかでハイで明るいという振る舞いをする(いわゆる、極端なアメリカーンという感じ「Great!」「Oh! ×××デスネー!」というような言動が良いかと)。

ガラク・ロドリゲス
敏捷度:11
銃器戦闘14、回避15、格闘15、コミックパワー(ファイヤーブラスト)17、隠れ身12、間合い14
筋力:11
耐久力:11/20
知覚:8
トリック10、発見10、変装10、写真撮影10、追跡9
知力:10
意志力12、サバイバル12、芸術(演技)12
魅力:9
魅了11、説得11、挑発12
精神力:11
威嚇14、信教(エジプト神)14、リアリティ(ナイル帝国)14
ポシビリティ:PCの人数×2
本性:悪
武器:.45口径コルト(16)[20]3-10/15/40、ナイフ(+3/14)[7]、手榴弾×2(14)[21]
防具:フォースフィールド発生ベルト(アーマー基本値20、20ラウンド有効)
装備:探検服、カメラ一式とフィルム
コミックパワー:[ファイヤーブラスト/ウォール]、アクション基本値21(疲労なし)
弱点:バケツ一杯程度の水をかぶるとパワー喪失(6ポイントの弱点)
説明:ベテランショックトルーパーで、ミルトンに抜擢された。戦いの中で火だるまになって生死をさまよったことがあり、それ以来炎の力に目覚めた。火傷は奇跡でほとんど治ったが、コミックパワーを使うと、全身に火傷の跡が痣のように浮き出てくる。普段は探検家ルックだが、戦いの前に脱ぎ捨てて、ショックトルーパーのコスチュームになる。カメラマンのふりをしており(実際に写真撮影に長じている)、無口、無表情。ただし、メイヤーがかましたボケに冷静にツッコミを入れるなどして、存在感をアピールするのが吉。カメラマンの時は、メイヤーに対してタメ口をたたくが、ミルトンが正体を現したあとは、軍人らしい言動に戻る。戦士の誇りを大事にしており、強い者には素直に敬意を払う。

困ったときには

もしPCたちがスミソニアン博物館の儀式について市長に告げなかったなら、PCたちと市長の話が終わったところで、ミーシャが市長に報告する。
もしPCたちが依頼を断ったなら、ミーシャは別行動をとり、傷をおして一人で出かける。もしそうなったら、数時間後に市長がやってきて、ミーシャが一人で出ていった事を告げ、ミーシャを無事に連れ帰るようにPCたちに依頼する。
ミーシャを追跡すると、最終的にはワシントン市街の入り口で追いつくことになる。

PCたちがメイヤーたちの同行を拒むなら、彼らは勝手についてきて、そして騒ぎを起こす(転んで大きな音を立てるとか、巨大な動物などを見て大声を上げる、など)。実に迷惑な存在であることをアピールする。追跡を振り切ろうとしても、何故か必ず追いついてくる(メイヤーは、PCの一人に護符付きの発信機をつけているのである)。
最終的には、困り果てて同行させた方がマシという状況になるだろう。もしミーシャがいるなら、「彼らは目立つので同行させた方が良い」とPCたちに勧めるだろう。

スタック

ロマンス
女性PCがロマンスを使った場合、メイヤーまたはガラクが好意を持ってくる。どちらか(あるいは両方か)は、マスターとプレイヤーの趣味にお任せする。メイヤーの方は大胆かつ明確な求愛(「あぁ、君の瞳はきっとホープダイヤより美しいだろう!」とか)であり、ガラクの方はさりげない好意(座りやすいような場所を選んで勧めてくれたりとか。基本的に無表情で細やかに行われる)である。

個人的利害
アドルスン市長と個人的に面識がある。そのため、互いにできる限りの援助をするべく振る舞うことになるだろう。

シーン3(ドラマチック)リビングランド優勢

テーマ:潜入行動と時間制限戦闘を楽しんでもらおう

状況説明

以下をプレイヤーに読んで聞かせるか、コピーして読ませてあげてください。
無人のワシントン市街に入り込んだ君たちが目にするのは、ジャングルに取り込まれた街並みだった。ビルの窓や壁を突き破って伸びる巨木、壁に這い伸びるツタ。そして霧の中から何かの叫びが聞こえる。それは、人のものとも獣のものともつかない。
スミソニアン博物館にたどり着くまで、特に何にも出会わなかった。博物館の周囲にも、見張りは見当たらない。
博物館内に踏み込むと、建物がきしみ、天井からぱらりぱらりと破片が降ってくる。博物館のホールには、多数の人の死体がある。立ったまま死んでいるもの、壁に張りついて死んでいるもの、さながら死人展示室という状況である。どの死体も苦悶の表情を浮かべ凍り付いている。ほとんどの死因は、狂暴な野獣による外傷であると思われる。

マスター用情報

特に気にせず博物館に立ち入った場合、死体の中に紛れいて、不意に動き出したゴスポグ通常の不意打ちを受ける。警戒しながら入った場合、<発見>(難易度9)に成功すると、不意打ちを受けずにすむ(警戒カードを使えば、不意打ちは受けない)。もし忍び足で踏み込むなら、<隠れ身>(難易度11)に失敗したPCがいる場合だけ死体は動き出す。

状況説明

以下をプレイヤーに読んで聞かせるか、コピーして読ませてあげてください。
動き出した死体だと思ったもの、それはどうも死体ではなかったようだ。人型のそれは不格好な棍棒を手に、のそりのそりと君たちを取り囲んでいく。その中に一体だけ、エディーノスのような、しかしそれとは違う4つ腕の怪物が混じっていた。奴らが動き出すと同時に、建物がきしみ始める。崩れるのも時間の問題だろう。ひとまず撤退を考える君たちを尻目に、ミーシャが急に走り始める。それを追うようにメイヤーも走る。そして、二人を追うように2体の敵が奥へと入っていく。2人を追いたくても、残った敵が君たちの前に立ちはだかる。
ミーシャメイヤーを救い出し、他の敵を食い止め、そして脱出用の退路を確保しなければ、大変なことになってしまうだろう。博物館崩壊まであと3分ほどしかない!

マスター用情報

ゴスポグは、博物館に侵入したものを攻撃するように命じられている。ゴスポグについては、《知覚》あるいは適当な<知識>技能(難易度10)に成功すれば知っている。ぎりぎりなら、ゴスポグという侵略者の使う兵隊であることがわかる。ふつう・まあよいなら、ゴスポグは植物兵であることを知っている。かなりよい以上なら、死者を畑に埋めて種を植えることで、ゴスポグが成長することを知っている。

攻撃してくるゴスポグは、第2世代が1体と、第1世代がPCの人数+2体である。戦いが始まると建物の軋みが激しくなり、戦闘開始から3分(18ラウンド)で完全に崩壊する。崩壊に巻き込まれた場合、「20+ボーナス」のダメージを3回受ける。

ミーシャメイヤーは、すでにホープダイヤの展示室へと走っている。第1世代ゴスポグのうち2体が彼らの後を追っている。PCの人数に等しい第1世代ゴスポグは、PCを食い止めるため、できるだけ分散して一対一になるように行動する。第2世代ゴスポグは、一番強そうなPCかフリーになったPCと、それに隣接するPCに毎ラウンド合計2回攻撃する。
入り口のホールから、ホープダイヤの展示室までは、誰にも邪魔されなければ1ラウンドで移動できる。もしミーシャ達に追いついたなら、以下の様子が分かる。

ミーシャはすばやい動きで死体のころがる通路を抜け、展示室へとたどり着く。展示室の扉は開いており、ショーケースは降ってきた瓦礫のせいか大きく割れている。ケースの中、小さなビロード張りの小箱の上で、ホープダイヤは青い光を放っている。メイヤーは、ダイヤを見て激しく興奮しているが、ふと周囲を見て何かがっかりした態度を取る。ミーシャはすばやい手つきでダイヤを奪い取り、宝石ケースごと鞄の中に押し込み、さっと廊下へと飛び出そうとする。その動きは実に俊敏であった。

リビングランド第2世代ゴスポグ(1体)
敏捷度:12
エネルギー兵器13、回避14、格闘13、銃器戦闘13、投擲武器13、白兵戦13
筋力:11
登はん12
耐久力:12/14
知覚:9
追跡10、発見11
知力:8
威圧(11)、意志力11
魅力:7
挑発(10)
精神力:7
威嚇11
武器:槍(+4/15)2本、爪(+2/13)、牙(+3/14)、しっぽ(+0/11)
防具:皮膚(+2/14)
特記:左右に二本ずつ腕が付いていて、左右別々に2回攻撃ができる。

第1世代ゴスポグ(PCの人数+2体)
敏捷度:9
エネルギー兵器9、格闘9、銃器戦闘9、投擲武器9、白兵戦9
筋力:8
登はん9
耐久力:8/10
知覚:7
追跡8、発見10
知力:7
意志力10
魅力:7
精神力:7
武器:棍棒(+3/11)
防具:皮膚(+2/10)

困ったときには

PCたちが苦戦していてどうにもならなくなったなら、残り2ラウンドの時点(普通であれば17ラウンド目)でガラクが戦闘に乱入して、「俺が奴等を食い止めるから先に逃げろ!」と告げる。PCたちが脱出して振り返ると、崩れ去った博物館の瓦礫の下からガラクの声が聞こえる。彼は、フォースフィールドベルトを使い、何とかしのぎきったのである。
もしメイヤーや他のPC、ミーシャが建物内に取り残されていたなら、そのうち一人をかばっていたことにして構わない。優先順位は、メイヤーが最優先で、次が(もしいたら)ロマンスの相手、ミーシャ、他のPC、の順である。ガラクとかばわれたキャラクターは、どちらも崩壊によるダメージを受けない。代わりに、ガラクのフォースフィールドベルトの持続時間が5ラウンド分減少する。

スタック

戦闘中に逆転負けが発生すると、上から降ってきた瓦礫によって、たとえば以下のような効果が起きる。マスター裁量で好きな効果を選んだり組み合わせたりする。
・急に建物の崩壊が早まり、残り時間が2ラウンド減る
・降ってきた瓦礫が手に当たって、持っていたもの(武器など)をとりおとす
・降ってきた細かな破片が目に入って、数ラウンド目が見えなくなる
・降ってきた大き目の瓦礫が頭に当たって気絶する(敵側のみ)、あるいは転倒する

正体
この博物館の秘密ルートについて知っている。このルートを使えば、ホープダイヤの展示室まで戦闘せずに無事に辿りつけるが、ダイヤを手に入れた時点で建物が崩れ始める。しかも、今抜けてきた抜け道は真っ先に崩れるのである。結局、正面ホールを抜けて脱出しなくてはならず、ゴスポグたちと一戦交えなければならない。しかし、ただ脱出路を作れば問題ないはずなので、普通に正面から攻めるよりはずっと戦闘が楽になるはずである。

インターミッション

状況説明

以下をプレイヤーに読んで聞かせるか、コピーして読ませてあげてください。
崩れ落ちた博物館を前に、ミーシャは感慨に耽って思わず涙する。そして、鞄を開けてビロード張りの小箱を取り出し、君たちに見せるようにふたを開く。青く輝く宝石、まさに人類の宝と呼ぶにふさわしいこの装飾品は、この場所でずっと輝きつづけていたのだ。しかし、その輝きはなんとなく曇っているような気もする。それがただの気のせいならいいのだが。
結局、エディーノスたちの行っていた儀式の詳細は分からなかったが、これ以上は調べようも無いので、君たちはダイヤを手にフィラデルフィアへと帰ることにした。

マスター用情報

この幕が終了した時点で、各PCに1点のポシビリティを与える。サイドストーリーが成立し、それにしたがってある程度以上のロールプレイをしていた(させられていた^^;)なら、そのPCにはさらに1点のポシビリティを与える。勇敢に行動したPC(ミーシャメイヤーを助けるために単身で突貫したとか)には、さらに1点のポシビリティを与えても構わない。

「青い宝石の呪い」メインページ
はじめに
導入
第1幕 シーン1 シーン2 シーン3 インターミッション
第2幕 シーン1 シーン2 シーン3 シナリオの終了
プレイ時間配分
用語集
適用ルール集(抄)
あとがき
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