導入

グレート・ブルー・ダイヤモンド、通称ホープ・ダイヤモンドは、世界で最も魅惑的な宝石の一つである。この石には多くの伝説や逸話があり、不幸をもたらす呪われた石とも呼ばれている。

インドから持ち込まれた112カラットのブルーダイヤは、1669年にルイ14世の手にわたり、1672年に68.8カラットのハート型に加工される。1749年に、この石とルビーを組み合わせて、TOISON D'ORという作品が作られる。しかし、フランス革命の混乱の中で盗まれ、歴史の表舞台から一時姿を消す。
盗まれた石は、ロンドンに持ち込まれて、1830年に現在我々の知るあの44.5カラットの宝石として加工される。銀行家ヘンリー・フィリップ・ホープがこのダイヤを買い取り、ホープ・ダイヤモンドと名づけられるのである。
その後、借金に苦しんだホープは、1909年に旧トルコ皇帝にダイヤを売却する。1911年に、革命に脅かされた旧皇帝は、フランスの宝石商ピエール・カルティエにダイヤを売却する。
そして、アメリカのワシントンポストのオーナーであるエドワード・マクレーンが妻のためにこのダイヤを購入した。彼女の死後、1947年に宝石商ハリー・ウィンストンがダイヤを買い取り、1958年にワシントンスミソニアン博物館に寄贈した。

それ以後、このブルーダイヤモンドは、現在にいたるまで多くの人々に公開されている。

シナリオの背景(マスター用情報)

このシナリオには、2組の思惑の異なる悪役が登場します。一方は、希代の宝石泥棒にして俳優のナイル帝国総督ミルトン・アプリー卿、もう一方は、コアアース的な狡猾さを身につけたゴタックです。

ミルトン・アプリー卿の事情

ある日ミルトンは、ファラオからフィラデルフィアにおける対リビングランド戦の状況を確認するように命ぜられた。霧たちこめる鬱陶しいジャングルなど、彼の華麗な仕事の舞台にはまったくふさわしいとは言えなかった。しかし、ファラオの命令であればやむ負えないので、彼は少数の部下だけを従えて旅立った。
ミルトンは、新聞記者メイヤー・ブラッドショウとしてフィラデルフィア市内に潜り込むことに成功した。幸い、難民の受け入れに対しては非常にルーズであり、難民のふりさえすれば潜入に苦労することはなかった。
新聞記者としての偽の肩書きを利用して、合衆国軍や市の役人たちに接触して情報を集めるうち、スミソニアン博物館トカゲたちが奇妙な儀式をしているという情報と、博物館にはかつてホープダイヤが展示されていたことを知る。
宝石泥棒としての野心が疼いてきたミルトンは、市長室に忍び込んで盗聴機を仕掛けた。役人たちがその儀式とやらを調べに行く算段がついたら、自分も同行するつもりだったのだ。 そしてついに、旅のストーマーたちがやってきた。彼らこそが、宝石泥棒ミルトン・アプリーの華麗な舞台を引き立たせる脇役となるのだ……。

ゴタック僧ベウアーの事情

オレは狂喜に打ち震えていた。今までにない興奮、今までに満たされたことのない欲求。エディーノスにとっては理解を超えた概念であるはずの、謀略、姦計。それが心の中で踊り、そして渦巻いている。恍惚とさせられる。
バラク・カーの言う教えに従い、ゴタックとして死せるものを扱いながら、他のジャカットたちには味わえない感情を味わい続けてきた。そして、このアメリカという名の死せる地の住人たちから、様々な事を学んだ。素晴らしい。地球人というのは何と素晴らしい生き物なのだ。彼らの使う死せる武器よりも、彼らが思い巡らす策略や陰謀の方が、オレには魅力的だった。
そして、ホープダイヤという地球人の宝が「呪い」と「美しさ」という2つの側面を持ったエタニティシャードだと知った時、オレの頭の中には一つの計略が生まれた。この瞬間の興奮、地球人の言う一瞬のひらめき、これはエディーノスが持ち合わせない感情のはずである。
この計画は、実にエディーノスらしくないものだ。ホープダイヤリビングランド護符(タリスマン)とし、さらにダイヤの「呪い」の側面を強く引き出す。これを媒介にして、周囲の人間に狂気をもたらすのだ。ダイヤをフィラデルフィアに持ち込ませれば、立てこもる地球人どもは自ずと瓦解し、外から簡単に突き崩すことが出来るだろう。
ケタ=カルズの教えに従う元地球人を難民に仕立ててフィラデルフィアに潜り込ませ、「スミソニアン博物館エディーノスたちが怪しい儀式をやっている」と吹聴させた。いずれ連中は調査に来る。そして、ダイヤをフィラデルフィアに持ち帰ってくれるだろう。
「郷に入っては郷に従え」である。地球人のやり方で地球人を追い落とす。これはとても愉快なことではないか……。


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はじめに
☆導入 <
第1幕 シーン1 シーン2 シーン3 インターミッション
第2幕 シーン1 シーン2 シーン3 シナリオの終了
プレイ時間配分
用語集
適用ルール集(抄)
あとがき
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