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セプターズカップ2001本選大会

キャップ氏のレポート


新橋の駅に降り立つと、降り出していた雨がより激しいものになっていた。傘を持たない私は、道すがらコンビニででも買えばいいかと思っていたが、それらしき店がちっとも見当たらない。とにかくリクルートビルを目指そうと、道行く人に尋ねることはしてみても、横断歩道の向こうまで傘に入れて行ってくれとは頼めず。

店先の庇の下で雨宿りをしつつ進んでいると、少し先にいる初老の紳士が手招きをする。こんな所に知り合いなどいる訳も無く、誰か他の人を呼んでいるのかと思ったが、手にしているビニール傘を高く掲げたことで察した。 ありがたい。都会の人は他人に無関心で冷たいというのは、ただの偏見だった様だ。丁寧に礼を述べ、そこから道なりに少し進むと目指すリクルートビルはあった。傘を恵んでもらい、方向音痴の私が僅かのロスも無く目的地に到着するとは、今日はツイている。

対戦相手を決めるクジを引いてエレベータに乗り込むと、後からそこへやって来た世代交TAIさん(以下世代さん)が私と当たることになったと言いつつ、同じ6番の紙を見せる。全く知らない人よりかいいやと考えたが、優勝者予想で幾人かに支持されていたのを思い出した。 即ち、実力は周りも認めるものを持った人なのであろう。あっという間にエレベータは試合会場のあるフロアへと到着し、目の前に戦いの舞台が広がってきた。それを見て、この場に来れて本当に良かったと改めて思い直す。

早速6番のテーブルへ行くと、既に1人座っていた。それが誰なのか気付き、途端に頭を抱える世代さん。はぁ、BLT-phiveさん(以下ふぁいぶさん)ですか。ふぁいぶさん?……。何ですとー!?面識は無くとも、前回大会準優勝者の名前をさすがに知らない訳は無い。 そうこうしている内、そこにやって来たのはケムさん。カタカタカタ(私の脳内コンピュータが参加者リストを検索する音)チーン!ケムさん=KENJIさん=やはり優勝者予想では優勝候補に挙げられる人だ。はっはーん、理解した。今日はツイているのではなく、ツイていた、と訂正せねばならない様だ。朝の時点で、今日のツキを使い切ってしまったらしい。

プレイ順は、ふぁいぶさん、世代さん、私、ケムさん。これは謙遜ではなく、実際のところカルドのプレイングレベルでは私が一番下であろう。対人戦の経験、特に様々な人との対戦経験が一番少ないのもきっと私だ。 正直なところ、本選出場を決めた時点で自分の勝負に対する執着は萎えてしまい、本選は楽しむことに重きを置くつもりで臨んでいたが、この様なメンツに囲まれて逆にモチベーションが上がった。高レベル者の戦いを体感し、出来ることなら一矢報いてやろうと。

ふぁいぶさんは無属性主体。私はこの大会用のブックを考えている最中、前回大会の優勝準優勝者のブックを元にして考えるのが手っ取り早くて良いのではないかと、ふぁいぶさんが使用したブックをアレンジして使ってみたりしていた。実際に本選の場で使用するつもりも幾らかはあった。 今回、ふぁいぶさんの手元に「ティラノサウルス」が見えた時、自分でアレンジしたものとピタリ一致して、他に自分の考えたものやプレイとどう違うのか確認する絶好の機会だと思い、一段と楽しみも増した。

しかし困ったのは、その ふぁいぶさんがいきなり水地形にティラノサウルスを配置したことだ。水はいけない。そこは私が取らねばならない場所なのだ。次いで世代さんの順番。世代さんの手札は水主体。私ともろ被りだ!即ち、現時点で3人が水。 ふぁいぶさんは今後の展開によっては別の土地へと目標を替えることもあるが、世代さんは替える訳にいかない。私は戦略上水の2連鎖が欲しいので、何とか世代さんと折り合いをつけて土地を確保するしかない。そして、護符の数でも上回っておかないと、アドバンテージが握れなくなってしまうだろう。

私の最初の手札にあったのは、「リヴァイアサン&シーモンク」。駄目だぁ。仕方無いので護符を買って大人しく過ごす。 「コラプション」は恐かったが、多分 ふぁいぶさんは持っておらず、世代さんとケムさんが持っていたとしても、どちらも全体を見て行動を起こすことが出来る方であろうから、短絡的に護符の数が多い者を狙うものでもないだろうと読んだ。

その後、何とか水土地1つを確保したものの、後は無属性が1つという何とも寂しい状況に。「ハウント」を何度か掛けられ、「スワップスペル」され、コラプションを食らった後のことだ。無属性の土地をやっと水へと変化させ、リヴァイアサンのデビュー準備OK! とは言えこの状況は、正に一矢報いるだけしか出来ずに終わるかもしれないという煮詰まったものであった。

ケムさんは地主体。私の、4人対戦で1人は地主体がいるという事前の予想は何とか当たった。が、地主体が1人であると、「ドリアード」を使用してあっという間に連鎖は完成する。 私が危惧していることは当然他の2人も考えていただろうが、中盤に差しかかった頃、ケムさんが聖堂上側の「サンドマン」レベルアップで、次に城で報酬を受ければ目標達成という状況になってしまう。場に緊張が走る。

それに先立ち、私は聖堂下側に「カリブディス」を配置していた。その時はまだサンドマンのレベルは3(か4)であったが、「チャリオット」で攻め込むつもりでこっそり置いておいたものだ。しかし、ケムさんは「グレムリンアムル」と「ネクロスカラベ」をがっちりキープしている。 何かのタイミングで「リンカネーション」してくれないものかと考えたが中々そうはならず、ならば自分の「シャッター」でと思うが引いて来ず。仕方が無いので、ここで1つの賭けに出た。

サンドマンの横にはやはりケムさんの「ディーダム」(レベル1)がいたが、更にその横にいる世代さんの「バルダンダース」を「テレキネシス」で攻め込ませることにより、ケムさんのネクロスカラベを消費させようとするものだ。 後になって思えば、レベル1とは言えディーダムを倒せるクリーチャーはかなり少ない。確率を知った上では尻込みしてしまったかも知れないが、低い確率はガッツで補えばいいからと、世代さんに「頑張って」と声を掛けて送り出す。

私のいたテーブルの近くの観戦者の中に1人口の悪い人がいて、私が長考の末バルダンダースをテレキネシスした時に「何やってんだ馬鹿」と言われ、私のやろうとしていることに気付いていないことが逆に心強くもあった。 確かに、もう目標を達成せんとしているケムさんを貶めるには、そこだけを見れば余りに遠い一手だ。だからこそいい。本当の狙いから遠いからこそ意味を成す。

手は打った。後はケムさんの判断を待つのみ。じっくりと考えた末、ケムさんはネクロスカラベを使用した。あと僅かで勝利を掴まんとしているケムさんにしてみれば、万が一にもここで連鎖を崩されれば城での魔力到達が無くなる。更にレベル5サンドマンの土地も安泰とは言えなくなってくる。 ふぁいぶさんが着々と風地形に土地を確保しつつある今、ここさえ守れば、という意識が働いたといったところだろうか。ここは、本人の弁を待ちたい。

次のラウンド、私はチャリオットを使用してレベル5サンドマンをカリブディスで落とし、ここで一気に最下位から1位へと踊り出た。ここから、ミスの許されない残り10ラウンドの攻防が始まる。この時既に、未だ試合途中なのは2〜3テーブルを残すのみ。 自分は興奮と集中の中にいるので周りのことは余り気にならなくなっていたが、ただ長い勝負になっていることだけは感じられた。ついでに、このレポートも長くなっている。

いざレベル5の土地を奪ったとは言え、属性が合っていない内は侵略の脅威に怯えて過ごすこととなる。ケムさんにスワップスペルで「シンク」を奪われ、隣のディーダムが「フュージョン」を抱えて攻め込んで来る。HPは残り10。頼みの綱の「ホーリーグレイル」は引いて来ず。何とか周回回復はしたが、全く安心出来る状況では無い。 ふぁいぶさんがカリブディスをテレキネシスで動かす。それにより別のクリーチャーに交換するタイミングが無くなり、自分の番に弱いまま再びレベル5土地へ移動させることしか出来ず。

そうこうしている間に、ふぁいぶさんが風土地レベルUPにより城で報酬を受ければ目標達成となる状況になってしまう。そんな時の2択。ふぁいぶさんの「スウォーム」と「ホーリーワードX」、どちらを壊すか? 私はスウォームを壊したのだが、先のケムさんがネクロスカラベを使用したのを失敗とするなら、これは大失敗と言えるものだった。その選択は、カリブディスが落とされることを恐れてのものだったが、HPの22が2になったところで意味は大して違わないものだと割り切れば良かった。 日和ったばかりにホーリーワードXを使われ、ふぁいぶさんの勝利がぐっと近づいてしまった。

世代さんが土地レベルアップ、次いで私も土地レベルアップで対抗。この時総魔力は未だ私が1位。2位世代さんで、3位がふぁいぶさん。3人共城へ戻れば目標達成となる。しかし、城までの距離を考えると、スペルが無いとすればふぁいぶさんが有利で残り僅かに5歩。私は8歩。 ふぁいぶさんのダイスは2。助かる。私のダイスは3。はうっ!そこはふぁいぶさんの高レベル土地だ。それでも先に城へ戻れば問題無しだからと気を取り直す。30ラウンド。ふぁいぶさんのダイスは3!丁度城へと辿り着き、試合は終了した。


第2回全国大会 ??ラウンド
順位 セプター 魔力 枯渇
1 BLT-phive    
2 世代交TAI    
3 キャップ    
4 KENJI    


後になり、自分が勝利する可能性、そして2位抜けする可能性が充分にあったことに改めて気付くが、不思議と悔しさは無い。ミスの部分も含め、やれるだけのことはやったと満足出来ていたからであろう。上を目指すのは次でいい。そう、次だ。第3回大会で、再びここへ戻ろう。その時を信じて、今は筆を置く。



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