読書雑記 2001.2〜7 |
語り手の事情 | 酒見賢一 | 文春文庫 | 「後宮小説」の筆者の書く、ポルノグラフィー。ヴィクトリア女王の時代の、とある屋敷に仕える“語り手”が、妄想と、それを妄想で終らせない力について語たる。背徳的な内容が続くにも関らず、“語り手”の冷静な視線が、それをポルノ以上の何かにしている。“語り手”という名の観察者の目線が興味深い。 | 2001.07.29 |
本格ミステリ01 収録 黒の貴婦人 |
西澤保彦 | 講談社ノベルス | 本格ミステリ01というアンソロジーに収められているにしては、全然本格では無い様に思う。「依存」の裏エピソードというのが興味深い。タカチの変化の謎が解ける時、タカチは一段と魅力的になる。でも、個人的には、昔のタカチの方が好みだったかもしれない。 | 2001.07.28 |
数奇にして模型 | 森博嗣 | 講談社文庫 | 最近半ばで挫折の多かった森作品ですが、これは一気に読めました。この犯人の心情、初出の3年前なら、いささかに理解不能な部分も多かったかもとは思いましたが、今のご時世では、居る居る結構居そう!というイメージがあって、妙にリアルな怖さを感じたのが興味深かったですね。しかし、この犀川シリーズ「すべてがFになる」のインパクトを超えるモノは無いなぁ。 | 2001.07.14 |
わたしが選んだ職業 | 「わたしが選んだ職業」編集委員会 | 福音館書店 | 長いので粗筋と感想 は別にしました。 | 2001.07.09 |
愛人[AI-REN] 3(漫画) | 田中ユタカ | 白泉社 | 刻々と近付いてくる死と、性の目覚め。やはり、同じ者同士でないと解り合えることはできないのかなぁ…。死神の姿も、生きたいと言う切実な気持ちも、解りはしないのか…。 | 2001.07.03 |
愛人[AI-REN] 2(漫画) | 田中ユタカ | 白泉社 | 侮れません。「この宇宙が…世界が あなたの存在など 望むことはないわ」。突き付けられる現実。明日があるかどうか解らない…その一日々々を必死で生きるという事。続きが本当に気になります。 | 2001.06.27 |
鷲の驕り | 服部真澄 | 祥伝社文庫 | 服部真澄、第二弾ですが、今回は長かったです。読み慣れてきて冗長に思えるのか、前作ほどのスピード感が無いのか。謀略物とはいえ、ちょっとご都合的に事件が重ならない? という気もします。取り敢えず言えるのは、やっぱり私はダイヤには心が動かないなぁ…という事でした。 | 2001.06.26 |
愛人[AI-REN] 1(漫画) | 田中ユタカ | 白泉社 | 最近の連載に“ク・メル”の文字が出てきて、1巻から読むことになりました。まだ先は見えませんが、侮りがたいモノを感じます。 | 2001.06.25 |
口で歩く | 丘修三 | 小峰書店 | 児童書です。ちょっと長くなったので 粗筋と感想 は別にしてみました。 | 2001.06.14 |
陰陽師 付喪神ノ巻 | 夢枕獏 | 文春文庫 | 「陰陽師」の第三巻である。巻を重ねる毎にしみじみと味わい深くなっていくのが良い。半ば辺りの“ものや思ふと…”が非常に好きであります。第三巻にして、晴明とは対照的な陰陽師、蘆屋道満が出てきます。今後が楽しみですね | 2001.06.10 |
陰陽師 飛天ノ巻 | 夢枕獏 | 文春文庫 | 「陰陽師」の第二巻である。晴明と博雅の掛け合いが、ますます面白い。時に博雅に突っ込まれて困り顔を見せる晴明が、何とも言えない。随所に出てくる今昔物語などの古い書物からの引用で、博雅の像にリアルさが増すのも魅力である。ホケホケと幾つでも読める、スナック菓子の様な気がする。止められない、止まらない、のである。 | 2001.05.30 |
陰陽師 | 夢枕獏 | 文春文庫 | 安倍晴明の飄々感がたまらない魅力である。しかし、その道を知る者からすれば、絵本の如き物なのかもしれないと、ふと思ったりする。語り口の妙で、軽く読めるが、概、嘘は無いらしい。 | 2001.05.26 |
龍の契り | 服部真澄 | 祥伝社ノン・ポシェット | 感想 | 2001.05.23 |
龍の黙示録 | 篠田真由美 | 祥伝社ノン・ノベルス | 帯には吸血鬼とあるけれど、一般的な吸血鬼とはちょっと違うかも。アイテム的には、ちょっとグノーシスが入っているのかもしれません。『龍』の物語はようやくはじまったばかり、とあるけれど、続編の予定はあるのかな? | 2001.05.07 |
てけてけマイハート1(漫画) | 竹本泉 | 竹書房 | ちっこいから、24歳なのに子供に見られちゃう…ってだけの話なんだけどねぇ。竹本泉はそれだけで読ませてしまう処が怖いと思う。 | 2001.05.02 |
「徳永メイ原案作品集」 精霊王(漫画) |
佐藤史生 | 角川文庫 | 密林の部族の人形、というアイテムは、原案者の好みなのだろうか? 果たして呪術は効くのか効かないのか。自己暗示的アイテムの多さがちょっと鼻に付く | 2001.05.01 |
その辺の問題 | 中島らも いしいしんじ |
角川文庫 | 対談集というか、掛け合い漫才。しかし、中島らもという人、ラリっている程面白いのには、困ったものです | 2001.04.30 |
打天楽(漫画) | 佐藤史生 | 小学館文庫 | ワン・ゼロの番外編収録の短編集。この作者、魔と近代的なモノを、無理なく融合させて描く人だとつくづく思う。 | 2001.04.29 |
骨董市で家を買う ハットリ邸古民家新築プロジェクト |
服部真澄 | 中公文庫 | ミステリ作家が、古民家を移築した。思わず家を建てたくなる小気味良い語り口 | 2001.04.10 |
掌の中の小鳥 | 加納朋子 | 創元推理文庫 | 透明感のある色彩的な文章。もう少しキャラが立つと良いのに | 2001.04.02 |
ブレーメンII 2(漫画) | 川原泉 | 白泉社 | しまった、1巻はどこだ? 挙げ句、引くのかぁ? | 2001.03.31 |
SPEEDスピード | 石丸元章 | 文春文庫 | 極めて個人的な、紙一重の向こうの別世界 | 2001.03.22 |
ダヤンとジタン | 池田あきこ | ほるぷ出版 | ジタンとベルさんが、タシルと、アルスの木を救う | 2001.03.11 |
奇憶 | 小林泰三 | 祥伝社文庫 | 物心ついたとき、世界は一つしか見えなくなる | 2001.03.04 |
肉触 睡郷に帰す君に(同収) |
佐藤智加 | 河出書房新社 | 自分で自分を食べて、成長する者とは | 2001.03.03 |
死ぬ者と死なぬ者、住む世界の違う者への憧憬と救い | ||||
さすらいエマノン | 梶尾真治 | 徳間デュアル文庫 | 4億年の記憶を持つ少女、エマノン | 2001.02.28 |
人格転移の殺人 | 西澤保彦 | 講談社文庫 | 文庫版の森博嗣の解説が爆笑物 | 2001.02.22 |
黒祠の島 | 小野不由美 | 祥伝社ノン・ノベルス | 段々価値観が狂ってくる感覚の妙 | 2001.02.17 |
ブギーポップ・パラドックス ハートレス・レッド |
上遠野浩平 | 電撃文庫 | ブギーポップシリーズ第9作 | 2001.02.13 |
我が輩は施主である | 赤瀬川源平 | 中公文庫 | お屋根にニラの花咲く“ニラハウス” | 2001.02.07 |