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障子は一枚の和紙で、風をさえぎる一方、光を透し、光を拡散あるいは放散させているわけです。しかし、ふすまは、紙を張り重ねてゆく過程を見ていると、障子とは対照的に、その中に光を封じ込んでいくというか、光を包み込んでいくというか、そういう感じが強くするのです。光がふすまの内側の格子のなかにだんだん没していくのだともいえます。

 


 

向井周太郎・向井一太郎『ふすま──文化のランドスケープ』中公文庫
本文は周太郎の言葉。


 

 

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