23 いよいよ発売!

2004.3


 「栄光学園物語」と題して、タウン誌の老舗「かまくら春秋」に連載を始めたのが2001年の9月のことだった。そのきっかけとなったのが、この「100のエッセイ」の第1集を、かまくら春秋社から単行本として出版してくれないかという、いわゆる「持ち込み」だった。そのときは既に自費出版の形で本にはなっていたのだが、これをきちんとした出版社から出版できないだろうかと考えたのだ。自己推薦文までつけてかまくら春秋社の社長である伊藤玄二郎さんあてに本を送った。

 しばらくは何の反応もなかったが数ヶ月たったある日、伊藤社長から手紙が届いた。かまくら春秋社から出し始めた短歌雑誌「星座」にエッセイを書かないかという依頼だった。これが、教育関係以外のところから来た初めての原稿依頼だった。嬉しかった。それで「新緑の窓から」という随分きどった文章を書いた。

 それから1月もたたない頃、かまくら春秋社から電話があって、相談があるから来てくれないかとのこと。何だろう、「かまくら春秋」にエッセイの連載かな、などと期待して出かけた。

 ところが意外なことに依頼は「栄光学園物語」ということで学校の歴史について1年ほど連載してくれないかということだった。ちょっとがっかりしたが、これはこれで大変なことである。その場で承諾はしたものの、9000人にも及ぼうという卒業生の目、在校生、その父母の目、そして同僚の目、ありとあらゆる目がある。その中で、ぼくが勝手なことを書いていいものだろうかと随分悩んだ。

 しかし、結局は書いてしまった。これも本質的に楽観的な性格のなせるわざである。何を言われてもいいや、なんとかなるさ、と思ってしまうのである。

 最初は1年という話が、好評だとかで2年になった。後半は、「栄光学園物語」というより、ほとんど「山本洋三物語」である。

 完結後、単行本となることとなり、巻末には養老孟司(解剖学者)、松信裕(有隣堂社長)、水沢勉(神奈川近代美術館企画課長)の3氏とぼくの座談会まで載ることとなった。

 連載時の原稿に加筆したり、座談会の原稿に手を入れたり、表紙のデザインを検討したりする過程の中で、隅から隅までこちらの意向が生かされる本作りに、かまくら春秋社の誠意を実感している。いい出版社と出会ったものである。

 単行本は「栄光学園物語」として4月の上旬には発売される。税込み1400円。どうぞお買い求めのほどを。

(注)書店の店頭にない場合はお取り寄せできます。またかまくら春秋社に直接申し込むこともできます。amazonも便利です。


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