46 「花の白虎隊」

2000.11


 

 『ああ、白虎隊』というエッセイを書いて、半年ほどたったつい先日、突然、見知らぬ人のメールが舞い込んだ。三重県のTさんという方で、何でも、会津が好きで何度も旅行をしてきたが、最近仕事の関係で、行くことが出来ないので、ネット上での旅を楽しんでいたら、あなたのエッセイに出会ったとある。「会津」で検索をかけたら、ぼくのページに飛んだということのようだ。

 こういう事態は、今までの紙のメディアでは起こり得ない、まったく新しいことで、ちょっとワクワクしてしまう。

 Tさんは、ところであなたがお聴きになりたいと言っていた「白虎隊」の歌というのは四曲あります、と言って、次のように丁寧に列挙してくださった。

1曲目は、三橋美智也が歌うもので、歌詞は「会津の山河風荒れて 葵に勝る菊の花 二十歳の春を待たずして 蕾のままで散るも武士 眦決す白虎隊」

2曲目は、霧島昇が歌うもので「戦雲晦く陽は落ちて 孤城に月の影悲し 誰が吹く笛か識らねども 今宵名残の白虎隊」

3曲目は、橋幸夫が歌うもので「会津若松鶴ヶ城 二十日篭りて城落ちぬ 血潮にまみれたその旗は 哀れ少年白虎隊」

最後が、私の母親が尋常小学校で習ったというもので、会津秋祭りの際に鶴ヶ城前にて地元の一箕中学校生徒が剣舞白虎隊を奉納する時の入場に流れる音楽です。歌詞は「霰の如く乱れくる 敵の弾丸身に受けて 命を塵と戦いし三十七士の勇少年 これぞ会津の落城に その名聞えし白虎隊」

 と、以上です。

 なんと、親切な人なんだろうと感激すると同時に、いやあ、世の中は広い、知っている人は、とことん知っているんだなあと、ひたすら感心してしまった。しかも、歌詞をよくみると、ぼくが覚えている歌詞は、3曲目のもので、ということは、三橋美智也ではなく、橋幸夫が歌っていたことになる。ぼくは、てっきり三橋美智也が歌っていたと思い込み、CDも三橋美智也のものばっかり探していたのだが、橋幸夫だとすると話は振り出しに戻る。

 何はともかく、お礼のメールを送った。私の探していた曲はどうやら、橋幸夫のもののようですと書いた。すると、すぐに返事が来て、橋幸夫のものだとすると、歌の題名は『ああ、白虎隊』ではなく、『花の白虎隊』です。私の従兄弟が橋幸夫のファンなので、探してみましょうとのこと。

 ぼくは恐縮して、私も探してみます、とまた返事を書いてから、さっそく橋幸夫のCDを探しに出かけた。









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