97 iPhone5を手に入れたぜえ 

2012.10.27


 iPhone5が発売になってから一ヶ月が経つが、ようやく手に入れることができた。発売日に真っ先に手に入れようと店の前に並ぶような趣味はぼくにはないから、つとめて冷静に、発売日から数日経ってからヨドバシカメラに予約した。それが9月24日。いったいいつごろ手に入るのかは分からなかったが、まあiPhone4sは持っているから、急ぐことはなかったわけである。

 ヨドバシカメラのサイトに、入荷した人の予約番号が毎日掲載されるのだが、これが遅々として進まない。一日おきぐらいに数台しか入荷しない。10月も中旬を過ぎると、さすがに苛立ってきて、毎日ヨドバシのサイトにアクセスしてはため息の日々だった。そして昨日、10月26日にようやく順番が回ってきたのだ。

 その日、学校を出るときに、心の中でスキップしながら「さあ、これからiPhone5を受け取りに行くんだあ。」と国語科の若い教師に言ったら、「ヤマモト先生は、若いなあ。そういうことで、そんなにウキウキすることなんか、ぼくにはないですもん。」と言う。まあ、こんなことで浮かれている団塊の世代というのも少ないだろうね、と言い残し、学校を出てヨドバシカメラに直行。

 予約した製品が来て、それを受け取りにいく気持ちというのは、いくつになってもいいものである。待たされれば待たされただけ、その喜びも大きい。徹夜してでも発売当日に手に入れたいという熱狂的なファンの気持ちも実は十分に分かるのである。

 26日は、ちょうどWindowsの新しいOS、Windows8の発売日でもあった。タッチ式のパソコンの画面をみて、相変わらずWindowsはMacのものまねだなあなんて思いながら、世の中変わったもんだという感慨もひとしおであった。

 アップルという会社が低迷していたころ、今にもアップルはつぶれるかマイクロソフトに買収されるかといったような噂が飛び交い、パソコンはMacを使っていますというと、そのうちなくなるようなパソコンをどうして使っているのかとバカにされ、このヨドバシカメラだって、アップルの製品はいつもほんの申し訳程度に売り場の片隅に置かれていたに過ぎなかった。

 Mac用のソフトを買うと、これはMac用ですけど、よろしいんですね、などとわざわざ念を押されたり、学校でも教師用のパソコンルームにはマックはあるけれど、いまだにネットにもつなげてもらえない始末で、まあ、何かとマック使いは肩身の狭い思いを味わってきたわけだ。

 それが、いまや、飛ぶ鳥を落とす勢いのアップルとなった。これだけの巨大企業になると、もう「応援」などしなくてもいいようなものだが、でも、やっぱりがんばってほしいと思ってしまう。

 それにしても、日本の企業は、何をしているのだろうか。アップル再生のきっかけとなったiMacが大ヒットしたその後、NTT docomoは、恥ずかしげもなく携帯電話に「imode」という言葉を使った。これ以後、「i」のつく製品がどれだけ売り出されたか知れない。しかし、この製品名の冒頭に小文字の「i」を使うという発想は、「iMac」以前には、なかったはずだ。少なくともぼくの記憶にはない。この発想の斬新さ、これがやっぱり今日のアップルを作り上げたのだろう。ものまねはいつまでたってもものまねでしかない。


Home | Index | Back | Next