82 やっぱり相撲は面白い 

2012.7.22


 最近はさっぱり人気のない大相撲だが、やっぱり面白い。祖父がコタツに入って、ずっと相撲を見ていて、相撲には人生があるというようなことを言っていたような気がするが、今になってつくづくそうだなあと思う。

 野球にだって、サッカーにだって、人生はあるだろう。特に、野球には、先日のオールスターゲームでのベイスターズの中村のような苦労人が久々に脚光を浴びたりするのを見ると、いろんな人生があるなあという感慨をもよおすが、野球はそれほど熱心に見ていないし、第一、中継そのものが少ないので、そこまで感じる場面が相撲に比べると少ない。サッカーに至っては、そもそもあんまり興味もないので、人生を感じるまでにはいかない。

 それにしても、サッカー選手というのは、どうしていまだに茶髪が多いのか。昨日の、メキシコ戦をちらっと見たが、メキシコ人は黒っぽい髪なのに、日本人はほとんど茶髪で、どっちが「外人」だか一瞬疑った。

 先場所の優勝力士の旭天鵬が、今場所は怒濤の13連敗で、見ているのも哀れだったが、昨日、ようやく勝った。すると、会場からは割れんばかりの拍手で、まるで優勝したかのような大騒ぎ。みんな心配していたのである。先場所の涙の優勝にしても、いってみればタナボタ優勝にすぎないけれど、それでも誰も優勝するなんて思っていなかった旭天鵬が、横綱、大関の惨敗につぐ惨敗で、あれよあれよいう間に残ってしまい、とうとう最後は1横綱6大関という 前代未聞の場所にもかかわらず平幕決戦などという、考えてみればみっともない事態となり、挙げ句の果てに優勝してしまったのだから、この人には二度とこんな幸せはないだろうなあ、長いこと辛抱してやっているとこんなプレゼントもあるんだなあと思って、おもわずホロリとさせられたのである。

 だから、今場所の13連敗というのも、それほど意外ではないと思うのだが、今までの優勝力士の次の場所での連敗記録は7連敗ですなんて言われると、さすがに気の毒になって、応援したくなるのが人情である。

 外国人力士の活躍ばかりが目立つ昨今だが、これだけ多くなると、「相撲は外国人ばかりだから面白くない。」なんて言ってられなくて(言ってる人は、たいした大相撲ファンではない)、会場でも、どこの国の力士だろうが声援が飛ぶというのが、また面白い。

 そうはいっても、日本人力士として期待されて久しい稀勢の里という力士を見ていると、何とかならないもんかなあとつくづくナゲカワシイ。しかし、それが稀勢の里という力士の持ち味なのだと考えてみると、これまたつくづく面白い。

 昨日14日目。白鵬との取り組み。白鵬を倒せる数少ない力士のひとりであり、なんといっても白鵬の連勝記録をストップさせた力士なのだから当然期待は高まる。時間一杯になって、顔を真っ赤にして気合いも十分。一方白鵬はこのところどうも往年の圧倒的な強さがないから、これはひょっとしてと思わせる。ところが、立ち会いで、二度も稀勢の里はつっかけてしまう。いくら気合い十分だとはいっても、あれでは白鵬もたてない。それで、やっと三度目にたったら、おんなじように前のめりに突っ込んでいくものだから、ちょっと白鵬が体をかわしたら、自分で土俵の外に飛んでいってしまった。バカである。勝った白鵬も、なにやってんだオマエみたいな顔をして唇をゆがめた。こういう機微も面白い。

 テレビの前に寝っ転がって、バカとか、ヨシとか、ウマイとかヤジを飛ばして見ている時間というのは、なかなか他では得がたい時間である。それに、「もっと早く攻めなきゃ。」とか「あ、立ち会い失敗だ。」とか呟くと、それとおんなじことを解説者が言うことが多いので、オレも相撲の解説できるかもなんて得意になったりして、これもまた結構快感である。


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