65 ひょっとして、薬好き?

2012.4.8


 ここ2ヶ月ほど。右肩が痛い。四十肩と五十肩とかいうものを経験したことがないので、これを六十二肩というのか知らないが、何かの拍子に痛くなって、これがなかなかよくならない。

 こういう時はよく腕が上がらないというが、幸いなことにまだ腕は上がる。これが腕も上がらなくなったら、授業で板書するのが大変だ。ただ、最近では、ちょっとこれもあやしくなってきた。4月からの授業で、板書が辛くなったら困るなあと思うけれど、まあ、そのときはまた何か工夫するしかないだろう。

 今、一番困るのは、スーパーなどの駐車場の駐車券を取るときに手を伸ばすと、シミジミ痛いということだ。シートベルトをはずして、できるだけ体そのものを伸ばして、腕を140度くらいの角度まで伸ばすにとどめて恐る恐る取るしかない。こういうのは、こうすれば痛いと分かっているから気をつけるのだが、机の後ろに落ちたモノなどを取ろうとうっかり手を伸ばすしたりすると、これがまた痛い。やられたあ、と思う。

 まったく、年はとりたくないものである。少し歩けば腰は痛いし、ちょっと根を詰めて書を書けば、背中やら肩やらが張ってしまって痛い。書の場合は、細かい字をたくさん書いているので、つい時間のたつのを忘れれて2時間とか3時間とかたってしまう。そうすると、もうマッサージ機に30分もかからないとダメになる。このマッサージ機もかなり高価なものだったのだが、背に腹は代えられないと買ったが、これでもダメなときは、鍼灸院に行く。とにかく金のかかる体である。

 痛いといえば、10年ほど前までは、ときどき偏頭痛に悩まされた。数ヶ月に1回はやってきて、これが始まるともう、何にもできない。とにかくバッファアリンを飲んで寝ているしかない。それでも幸いなことに、だいたい30分から1時間で痛みが必ず消えた。けれども、痛んでいるときは、痛む部分をパカッとはずして取り替えたいとよく思ったものである。この偏頭痛が最近はないのはうれしい。

 小学生から高校生にかけての頃は、胃の薬(「胃健錠」といった。)と、下痢止めの薬(「わかまつ錠」といった。)、頭痛薬(薬の名前が思い出せない。)は、家でも、またどこへ行くにも必需品だった。今はそれほどでもないのは不思議で、まあ、年を取るのは悪いばかりではないということなのかもしれない。

 この前ラジオで吉田拓郎が、オレは昔から病弱ですぐに薬を飲んできたので、今でも何かというとすぐに薬を飲むくせがある。胃が痛くなくても胃の薬を飲んでみようかなあと思うこともある、なんて言っていたが、ぼくは胃が痛くないのに胃の薬を飲むなんてことはないにしても、その気持ちはよくわかる。

 最近新しい鎮痛薬で、「ボルタレン」というのが薬局で売られているが、これはつい数年前までは、医者が処方していた薬だ。家内の父は医者だったから、どこか痛いとすぐにこれを飲んでいた、というかこれの座薬を使っていた。これがうらやましいなあと思っていたので、この薬が出たときは、何となく飲んでみたくなった。偏頭痛になったら是非試してみたいと思っているのだが、幸か不幸か、ならないし、なってもいないのに、「ボルタレン」を今から買っておくのもおかしいし、もしやっぱり「バッファアリン」の方が効いた、なんてことになったらもっといやだし、なんて思っているのも変な話だが、ひょっとすると、ぼくは薬好きなのかもしれない。

 そういえば、高校時代の友人で、山へ一緒に行くと、決まって一辺が20センチほどもある大きなブリキ缶にぎっしり薬を詰めて持ってくるのがいたが、あれも、変なヤツだなあと思いつつも、何となくうらやましかった、ような気がする。


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