21 Macは太郎の嫁になる〜

2011.8.2


 6月に新しいマックを購入し、7月末になって新しいOSをインストールして、実に楽しいパソコンライフを満喫していたのに、つい先日、アップルから、あなたのお使いになっているマックのハードディスクが壊れる可能性があることがわかりましたので、交換されることをお勧めします、といった内容のメールが届いた。もちろん、無料で交換するということで、車でいえばリコールである。

 さっそく、アップルに電話して交換にはどのくらい時間がかかるのかと聞いたところ、1週間から10日はかかるということだった。夏休みで時間もたっぷりあるから、CDをパソコンに取り込んだり、電子書籍化をせっせとやったり、エッセイを書いてアップしたり、それこそほとんど一日中パソコンの前に坐りっぱなしという状態の日々だというのに、10日も、マックなしで暮らせなんて、あんまりひどすぎる。何とかしてと泣いて訴えたかったが、アップルの方では、もうひたすら謝るばかりで、いつもながらの彼らの誠実さに、まあいいですけどね、ぐらいしか言えない。

 この夏休みに、マックとしばらく離れて暮らすか、それとも学校が始まってマックを使う時間も減ったときに修理に出すかを、今日一日モンモンとして悩んだ。で、結局、すぐに修理に出すことに決めた。今なら、趣味では使うが、それほど大事な仕事もない。9月になれば、今度は大事な仕事で使うことが多くなる。それなら、答は考えなくたって分かっているようなもんだが、しかし、やはり、この新しいマックとたとえ10日でも離れるなんて、耐えられない、という気分もあるのだ。それでも、やっぱり、しばしの別れを選んだというわけだ。とんだ愁嘆場である。

 最終的に決断して修理依頼をしたときのアップルの担当者が若い女の子だったせいか、せっかく新しいマックも買って、新しいOSもインストールしたばかりなのに、こんなことになってショックだよとつい愚痴ってしまった。そうしたら、女の子は、そうですよね、すみません、新しいオモチャを買ってもらったばかりの子がそれを取り上げられるようなものですものね、と同情してくれた。何言ってるんだ、そんなこと言っていられるバヤイか、と怒鳴るところなのかもしれないが、ほんとうにその通りなので、妙に慰められた気分になり、まるで娘を嫁に出すような心境になってしまって、どうぞよろしくお願いしますと言ったら、さすがに恐縮して、とんでもないです、きちんとしたハードディスクに交換してお届けしますから、ご不便かけて申し訳ありませんが、どうぞしばらくお待ちくださいと言った。

 いつも思うのだが、アップルのコールセンターの人たちの対応は気持ちがいい。居丈高なところ、投げやりなところがどこにもない。こういうところがアップルが好きな理由でもあるのだ。

 さて、うちのマックは明後日の夜、ヤマト運輸に引き取られ、家を出て行く。エッセイの更新も、その間できないかもしれない。ノート型のマックがあるから、できないことはないのだが、まあこの10日あまりは、しばらくパソコンから離れた生活をしてみようと思う。それもまたいいかもしれない。


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