1997年5月下旬

<5月21日>
 ◇ 今日はとあるところで一杯やりながら、いろいろお話など。どうもお二方ごちそうさまでした。とはいうものの、サクラ大戦、残酷な神が支配する、エヴァ、なんて話題が出る飲み会って普通だろうか。いや普通だろう、と自分に言い聞かせる。もしかすると、日本のマルチメディア業界の裏側を覗いてたのかもしれないし。(帰宅したらメールで、火浦功伝説があるけどどう、なんてメールもきてるし) とほほ。ちなみに僕は、広報というのは会社の客観度をはかるバロメーターだと思っている。だから、某社はそういう意味では、やっぱりオタクの会社だったんだなーと、印象を新たにした。やれやれ。

 △ 雨が突然降り出した。雨は燃えるぜ。なんというか、ネガティブな印象もあるけれど、強い雨はなんだか違う一日を迎えられそうである。いや、もうそんな年ではないんだけど。

 ○ 僕はカレーが好きだ。いや、だからといっても、なんともいいようがないんだけど。今の住居の近くには、これといったカレー店がそれはないのもストレスの理由だ。がしかし、それはさておき、「ママにもたたかれたことないのに」とは、懐かしいセリフだな。やはり、マニアのリアクションが大きいのだろうか。 スポーティーな姫宮アンシーはかなりラブリーであったけれど。わざわざぶりぶりするのも鼻血ブーである。ああ、俺も壊れているのかな?「色ぼけ」ってやつか?
 幾原監督というと、セラムンでもどたばたエピソードが印象に残っていたけれど、今回のエピソードもその影響下だろうか?
 疑問符ばかりのウテナ曜日であった。

 □ もののけ姫はなかなか暗い内容のようだし、エヴァは上映館の確保がポイントのようだ。 

<5月22日>
 ◇ 今日も一杯飲んで帰宅。昨日の日記を読み返すと、明らかに酔っていることが分かる。帰宅後にさらにビールを1リットル飲んだのが原因だろう。今日は昨日にくらべると、はるかにしらふではある。昨日は日記を書いたのち、水木しげるの「トペトロとの50年」(扶桑社 1300円)を読了。人生がいろいろであることを実感する。

 △ 今日会社に占い師が登場。(いったいどんな会社やねん)。誕生日から占うに、僕は「草」であり「火」の要素が少ないとのこと。この火をどのように取り込んでステップアップしていくかは、25歳から35歳までの10年間で決まるという。
 簡単な推理だね。まず、ぱっと見で、僕はキャラクターが薄いから、もっと積極的な方がいいというアドバイスがあって、そこに占いらしい論理が張り付いてる、という感じ。だいたい、いわゆるサラリーマンにとって25歳から35歳がまず第1ステップになるのは当たり前だ。そもそも、人生にとって「大切」といわれたら、大切でない時期なんてないんだし。
 さらに、おそらく占い師は僕が昭和43年生まれということから、中途入社である(実際そうなわけだし、彼に僕は新人として紹介された)可能性を念頭に入れてしゃべっていた。そこでも、前の会社云々ということには触れず、「この道を今回選んだのは」と、さりげなく言っていたあたりにテクを感じた。
 というわけで、占いとは上手な大道芸である、ということを今日改めて実感したのだった。

 ○そういえば、知人からの極秘(笑)連絡で、前の会社の社長が死んだそうだ。そうか。ついに。で、後任は、やっぱりは元ラガーマンの酔っぱらいなんだろーか。

<5月23日>
 ◇ 夜中にテレビで「SPEED」が歌い踊る様を眺める。僕は、右から2番目の地味な彼女がいいな。おそらく一番歌が上手い(というか、声がいい)んじゃないのかな。名前はなんというのだろーか。4人をちゃんと見たのは初めてだから、区別がついてないかもしれないけれど。
 まあ、歌詞そのものは、「高度資本主義社会」((C)村上春樹)という感じで、自分の欲望を肯定しきることで、アイデンテティを保とうとしているようなイメージがなきにしもあらず。それが、いいか悪いかの判断は保留しておこう。でも、あれが今の若い衆の「気分」なんだろうなあ。

 △ 今更ではあるが「E0」がいい。といっても、ゲームではない(笑)。マイケル・ナイマンの音楽が、である。実は買おうと思っていたらCDをもらう機会があった。で、時々かけているのだが、ナイマン節ビシバシで、ゲームなんかどうでもいいくらい楽しい。この音楽を聞きながら、僕は決して知ることのない宇宙船内のドラマに思いを馳せるのもまた一興である。 ところで、「リアル・サウンド」のCDってどーなるんだろーか。攻略ビデオみたいに、完全ストーリー版CDとか出たりして。

 ○ ふふふ。ようやく「ときメモ」2度目を終了。眼鏡っ娘、如月未緒でエンディング。かなりいい調子だったので、藤崎詩織ともなかなかよさそうな雰囲気ではあったのだが、伝説の樹の下にいたのは如月未緒ちゃんだったのだ。これだったら、失敗してでも、藤崎詩織にいっとけばなー、とか思わないでもない。まあ、98年のバレンタインのチョコはこれまで最多の7個だったので満足しよう。
 それにしても、やはりサクラ大戦買わなくちゃいけないんでしょうかねえ。いや。絵はこっちよりずっといいのは分かってるけど・・・。

 それはさておき、詩織と言えば、佐倉詩織を思い出すのは俺だけだろうか。「瀬戸内少年野球団」公開当時のバラエティー(角川の、ね)とか買っちゃったもんなー。テレビ版「アスカ組」でひばり様をやっているのを見て以来だなあ。そういえば、九楽アスカは、小高恵美だったッスよねー。今は怪獣を探知する超能力者になってるけれど・・・。

 □ 「新潮45」を購入。ペルーの一件、それに、東電OL殺人事件のノンフィクション、柳美里の一連の騒動に関する意見表明など。
 丁寧に読んでから、意見を書くつもりだけれど、簡単に。僕はサイン会をつぶすという今回の脅迫は、言論弾圧の動きであると思う。ただ、サイン会そのものが、言論活動であるとは当然、思っていない。問題なのは、脅迫する側の意志なのだと思う。  

<5月24日>
 ◇ 雨の中、渋谷へ出かけて、買い物とカラオケ。bunkamuraにもちくっと立ち寄る。カラオケはここのところ新曲を仕入れていないので、ほとんどの歌が虫干し状態(^^;。でも、自由に歌うのは久しぶりはだったので燃えた。買い物は、先週少ない路銀をはたいて購入したズボンを裾直ししてもらったはずなので、それを回収。ロフトへちくっと立ち寄って、アロマオイルのラベンダーの香りに、少々時を駆ける。残念ながら、土曜日の実験室に至るには量が少なかった。

 △ 新潮45について、いろいろ書こうと思っていたのだけれど、今改めて読み返すと自分の言いたいポイントは昨日で言い尽くしているなあという感もあって、もう一度わざわざ説明しようという気持にもならないなあ。
 ペルーの一件については、良くも悪くも青木大使が、普通の官僚だってのが(持ち上げられた)後で明らかになったために、キャラクターが混乱した。それが最大のボタンの掛け違いでしょう。当然勘違いした人は本人だけではないですけど。でも、被害者にして責任者が、フジモリ大統領と同じヒーローの態度しちゃまずいでしょ。
 柳美里氏のサイン会妨害について。まあ、いまさら感想を書くなんて本当に恥ずかしいことだけど、なんつーか、僕はスロースターターだからしょうがない。で、結論から言えば、こういう妨害がする側の意志こそが問題なのだ。今回の人物は別にサイン会そのものが許せなかったのではなく、彼女の発言などが許せないと感じたからこそ、サイン会を標的に選んだろ思う。これですでに言論への干渉だと思う。サイン会はあくまでも象徴的な出来事であり、本当の狙いは別にあったのだと思う。だから、サイン会が、ファンサービスだという一言で切り捨てるのは、ちょっと違うような気がする。サイン会そのものは、ファンの集まりだけれど、それを攻撃する側の論理は、単なる非ファンというより、発言を押しとどめようとという意見が強く現れているのではないだろうか。

 ○ 夜は一杯やって、それから寝る。 

<5月25日>
 ◇ なんつーかシャトー・マルゴーのない「失楽園」みたいな一日(笑)。映画を見に行くつもりが結局一日を自宅で過ごした。知り合うほどに深くなる、とでもいいましょうか。昼は、宮崎駿演出の名探偵ホームズ、そのあとは士郎正宗のブラックマジックという今更ながらのアニメ三昧。夜は、LDで「バック・トゥ・ザ・フューチャ」を、見てシナリオがべらぼうに精密であることに感動する。

 △ 夕御飯は、居酒屋でビールをジョッキで4杯、その後350ミリリットルを3本、後でさらに同じ缶ビールを3本、と、近年まれにみるハイテンションな一日でした。さすがに、酔っぱらってゲームをやろうとしたら眠りに落ちてたけど。でも、ここしばらく体重ってのはあんまり変わってないんだな、これが。これは、もっと飲んでもいいよって体が言ってるってことだろー。

 □ このごろ、悪夢見る率がもの凄く高い。金縛りなんてほとんど経験してないぼくがこの1週間に2度も体験しているのも、その影響下にあるからだろう。
 金縛りの一回目は、非常に普通な内容で、視界の外に人物の存在を感じながらも体は動かないといったもの。一声声を挙げようと思っても、舌は動かないという状態。
 第二回は、もっと具体的な実感があった。僕の隣に寝ている人物の(男性)の手が、僕の腰の下にあって、握ると暖かくてしっかりとした手ごたえがあったりする。不思議だ。
 まだ新しい環境になじんでないってことかもしれないけれど。

<5月26日>
 ◇ 新創刊された「週刊アスキー」を買う。見てみると、第2SPA!というよりは、週刊PANJAといったイメージを持った。

 △ 会社に持っていったパソコンがさっそく不調になった。ネットへの接続ができなくなったのだ。もしかすると、モデムがいかれたのかもしれない。また、物いりだなあ。やれやれ。

 ○ 日中は日記にあれこれと書こうと思うのだけれど、一杯やって帰宅して寝ると、すっかり何を書くか忘れている時がある。というわけで、今日の日記は極めて短いのだった。
 会社から、とりみきの「遠くへいきたい」(新装版)と、PS版「攻殻機動隊」のデモを持ってくる。北久保氏担当のアニメ部分は確かにすげえなあ。

<5月27日>
 ◇ 「WIRED7月号」を買った。日本映画に不在なのは、優秀なプロデューサーではなかろうか。特に大手映画会社の企画力のなさというのは、そこに起因しているような気がする。周防正行監督も伊丹十三監督も、そのプロデューサー的センスをもっと評価されるべきだろう。(伊丹監督はちょっとそっちに傾き過ぎの気もするが・・・)。メジャーのプロデューサーは、原作付きでもいいから、マスに受ける娯楽映画の分野で、もっと真剣に企画を練ってほしい。それが今の日本映画の一番弱いところなのだから。

 とはいうものの、この号は特集以上に、押井守のコラムと爆笑問題の新連載が狙い目だった。どちらも個人的には満足できた内容である。押井監督のコラムは、それだけで攻殻機動隊論が書けるヒントに満ちた一本。

 △ 「教科書でおぼえた名詩」(ネスコ・文芸春秋 1400円)。泣ける。正統な文学者でない僕にとって、こうした手軽な本は便利でうれしい。そういえば、東京には空がないそうである。しかし、その思いを「あどけない」とまとめてしまう男ってのもなんだかいやな奴ではある。
 それと平行して、「裏パソコン通信の本’97」(三才ブック 971円)も読む。うーん。やっぱりディープだなあ。映画「(ハル)」のような世界はどこに〜。いや、ないとはおもわないけど〜(笑)。←歌ってどうする。(失笑)
 それから、荒木経惟写真全集18「緊縛」(平凡社 2700円)も。綾波レイ・ライクな、包帯ヌードなどもあって、なかなか(アーティスティックな意味で←不必要ないいわけ)刺激的であった。
 以上は、会社でくすねてきた本。財布が助かるぜ。

 ○ トゥナイト2で、カビ対策特集。布団を天日干しすべし、とはいうものの今の僕の部屋では難しいなあ。幸いマットレス式の布団だから、湿気には強いけれど。布団乾燥機でも買おうかなあ。それより、モデムが最初かなあ。今日も古いパソコンは不調で、役立たずだった。

 なんだか書き残したような気もするけれど・・・。今日はこのへんで。

<5月28日>
 ◇ 1日遅れで、なんだかなー、なのだが。セガとバンダイの合併話が破談になった。いくつかの報道から推察するに、バンダイは全然社内がまとまってなかったのに、トップの間だけで話が進んでいたというのが実体のようだ。これは想像だけど、単に合併反対というより山科社長の人望やこれまでの経営手腕への批判がこれを機会にストレートに現れたんじゃないだろうか。口でいわれるほど、「家庭的」な社風ではないのでは?
 個人的には、何をやろうとしているか今ひとつピンとはこなかったものの、セガバンダイには「何かすごそうだ」という印象を持っていた。だから、今回の破談については、「合併で新しい何かが見られるはずだったのに、残念」といったところである。まあ、他人の不幸は蜜の味ではあるけれど・・・。
しんぶん ちなみに、僕個人が考える破談の戦犯は山科社長である。

 と、ここまで朝刊を読まずに書いた。

 で、読んでの感想はあまり変わらなかった。もっとも、社内の批判は結局、経営手腕よりやはり合併アレルギーというところにあったようだ。でも、朝刊段階ではやめないようなことを言っていた山科社長は、後任も決めずにさっさと退任。ふざけるな。こうした、童貞坊ちゃんぶりは許し難い。ああ、俺80年代オタクの正統派として、もともとバンダイには批判的だし。(スポンサーとしての態度、ね)
 しかし、こんな自分勝手な退任を許すなんて、家庭的というのは裏返せば「家父長的」なのだなあ。ああ、これは僕の前つとめていた会社のことを少しばかり思い出しました。

 西武浜北店(静岡県浜北市)も、完成すれば(笑)、県西部は一つの流通の実験場になったと思うのだけれど、計画が頓挫して、それはそれでおもしろいしね。今回の事件は第3者の僕にとってはそれと同じなのだった。

 △ 神戸市で小学6年生猟奇殺人事件。「酒 鬼 薔薇 聖 斗」(さかきばらまさと?)というのは、萩原聖人(はぎわら・まさと)をもじり損なった(あるいは故意にずらした)のではないかと思うのは俺だけだろうか。

 □ 某所でときどき覗く日記としてご紹介にあずかった。ありがたいことです。

 ○ そういえば5月24日に4000アクセスに到達。だいたい1月1000アクセスというところで安定しているようである。定期的に訪れてもらってる方、時々覗いてもらっている方、どうもありがとうございます。 

<5月29日>
 □ ロームのCFにジェフ・ゴールドブラムが登場している。これ、明らかに彼が演じた科学者のイメをージの延長線上にある役だ。とはいうものの、彼の演じた役はどこかB級の匂いが漂う、科学者なのだ。ハエ男といい、カオス理論を語った後はケガしてるだけの数学者といい、地球製のOSで円盤のコンピュータをハッキングする技術者といい、彼はいわゆる「SF映画」につきもののうさんくささを一手に引き受けている存在のように思うのは、僕だけだろうか。
 というわけで、この話題が前作以上に一本調子(らしい)「ロスト・ワールド ジュラシックパーク2」の公開記念としよう。

 ◇ パイオニアがLD・DVDコンパチプレーヤーへの乗り換えキャンペーンを実施中。もの凄く、惹かれるものがある。けれど、もともとお金がないので、乗り換えようがない(^^;。先日は、某産業専門誌の一面でエヴァのDVD発売について、掲載されていた。これも食指が動く大きな一因だけれど、当面の間は我慢我慢。それにしても、DVDの映像再生にはアニメポジションというのがあって、その色調はエヴァを基準に決められたという噂は本当だろうか?  

 △ 酔っぱらって書いた、昨日の山科社長批判を読み直す。セガとの関係をどう予想(僕は現状をしらないので)するか、という視点がないことに気づかされる。
 だいぶ昔に書いたけれど、僕はセガにはそれほどプラス、マイナスともにはっきりしたイメージを持っていない。大川功会長はちょっと見たことがあって、確かにワンマンというオーラは満ち満ちているなとは思ったけれど、企業観みたいなものはよくわからなくて、その程度の認識である。
 だから、僕の山科戦犯説というのは、むしろバンダイ社内での社内政治においてという限定付き、 と補足しておく。ボトムアップにしろ、トップダウンにしろ、社内世論を汲み上げ、まとめるということが全然出来なかったというのは、やはり社長として大きな失態だと思う。
 もともと、オーナー企業というのに、あまり好意的でないと僕の基本姿勢がこの意見には大きく左右している。これは偏見といわれてもしかたがないかも(^^;。

 ○ はてさて。1日遅れだが、今回のオンエアで、ご贔屓キャラは、桐生冬芽に決定!。次点は、バラの花嫁の時の、姫宮アンシー。特別賞は、主人公らしく凛々しい天上ウテナである。
 というわけで、偽名日記は、桐生冬芽の行動を支持します。

<5月30日>
 ◇ ついチェックし忘れていたBSマンガ夜話を見る。題材は「川原泉」。それだけで、泣ける。いや、僕はだいぶ後発なファンではあるので、あまりえらそうには語れないのだが、少々書く。
 えー、僕の思う川原マンガの特徴は、自閉的であるというところです。主人公の「こうした私の気持ち」を分かるのは、世間に対応しているように見えるけれど実はやはり同じ違和感を持っている男性であるという点だと思う。つまり、これは自分のことは自分にしか分からないという、閉塞感(究極の自己肯定)が裏に強烈にある(あった?)と、思う。それが、俺を悲しくするのだ。(T T)。そこに性が不在であることも泣ける理由の一つだ。僕はもうそんな時期を過ぎてしまったけれど・・・。
 80年代の白泉社を呼んでいない人はこういった感覚を味わってないからなー。(喧嘩売ってるみたいですなあ、いえいえ)
 
 ああ、番組中で、週刊SPA!で全力投球の連載をしている(はず)の岡田斗司夫さんが、週刊アスキーの自身の連載について言及。いや、だからなんだってこともないんですけど。週刊アスキーが岡田さんがプロデビューできるくらい続くことを祈る。俺も買うから(笑)。
 それから、いしかわじゅん氏は、前回よりずいぶん女性関係ネタでいじめられているなあ(笑)。ざまあみろ、とは言い過ぎか?この番組はなんだかマンガの感想より生な人間関係がわずかにほのみえるところが別の楽しみになってるな。サブテキストは噂の真相か?元(?)奥さんの一人暮らしの文庫も出たことだし、ねえ。

 □ ニュース23は、きわめて活字文化的な番組である。ちなみに、ニュースステーションはやはりテレビ的な番組だ(だった)と思う。もっとも、それを10年もやれば臭くなるけどね。
 ともあれ、カンヌのカメラドールは、河瀬直美監督は27才とは思えない貫禄。しかも関西系のなまり。こういうのを見ると、東京だけがセンスを生み出すところではないことが分かる。むしろ東京とは生むのではなく、消費する場所なのだ。この映画を見ると、泣けそうな予感である。
 ともあれ、じーさんの若い娘のダブル受賞は底力と層の厚さ(本当に厚いのか?)が実感できてめでたい。

 ○ 一応、書いておく。例えば、エヴァを日本のアニメとして論ずるときに、監督の来歴を分析することで、それに類するこれまでの作品との関連を論ずることはできる。でも、もっとマクロな視点で見てしまえば、どんな過去の日本製アニメとだって関連を論ずることは可能だろう。ましてや、登場人物の本質についていろいろ考えた河瀬監督の演出が、日本的なものの代表である小津と比較されても、それはそれで映画論になるはずなのだ。
 問題は、それを単純な影響として書くのでなく、時代という通奏低音をどこまで捉えているかどうかが、その批評の寿命を決めるのだ。

 △ 突然思い立って、動画的迷宮「攻殻機動隊」を更新。天使というモチーフについては後日もう少し付け足すかもしれない。しかし、こうして重箱の隅をつつくと、つついただけのものが出てくる映画というのはやはりいいねえ。それがこっちの勝手な読みとりにしても、だ。久しぶりに映画について楽しく理屈をこねることができた気分。

<5月31日>
 ◇ それは、1977年というから僕が8才のことだ。と書き出せば、もうタネが割れてしまうから、先に書いてしまうけれど「スターウオーズ 特別編」を見てきた。僕はすごいスターウオーズマニアではないのだが、その時代の空気というのを濃厚に吸って育ったことは明らかな事実だ。宇宙モノの映画は好きだしね。ちなみに個人的に好きで、同時に駄作だと思っている映画は「2010年」。

 それはさておき、SWを劇場で見るのは3回目(2回目は、日本語版)だが、改めて見直して気づいたのは、ジョージ・ルーカスって監督やめてよかったね(2作目だけあって思ったより下手だった・笑)、ということと、この映画がやはり決定的にアメリカ映画の娯楽性方向を変えたという点。 予告編で「ロストワールド」が流れた後に、本編を見るとよけいにそういう印象は強くなる。ともあれ、古典的な物語とわかりやすい登場人物(一本調子でヒネリのないシナリオともいう・笑)をどうどうと語る(語った)という功績は決して消えることはないだろう。映画は夢や神話を語るのにも適しているメディアということがよく分かるしね。

 もし、僕に子供(息子)が生まれたらこの映画はオススメするだろう。親子で遊ぶときはチャンバラゴッコではなく、スターウオーズごっことして教えて、ついでに「あいむ・よー・ふぁーざー」と、ベーダー卿のセリフでもかましてやろう。(失笑)
 ああ、でもその前に見せるなら「どうぶつ宝島」とか「長靴をはいた猫」「パンダコパンダ」だな。

 ○ さて、SWの2年後に僕らが出会ったのは、機動戦士ガンダムである。なにしろ当時の友達と熱狂しまくった。「すげー、敵のロボットが量産されてる」「武器がたまぎれになる」「コアブロックって共通のパーツなんだ」。それは驚きの連続だった。諸般の事情でテレビ放映が見られなかったぼくは、毎週友人の語るガンダムに胸をときめかせたものである。
 だから「卒業旅行 日本から来ました」で、主人公が子供時代(テロップでしっかり1979年と出る)にガンダムのTシャツを着ていたりすると、金子監督の芸コマなところに感動するのである。

 なぜ、こんな昔話を書いたかといえば、先日「GAS BOOK」なるCDーROMソフトを購入したからだ。アート色の強いCD−ROM本体はともかく、ブックレットなどにもガンダム関連の話題が掲載されているはからということだったが・・・。まあ、本の方の内容はウスウスでした。士郎正宗のページがすべて、ドミオニオンの欄外からの再録というのは、サギというかなんというか。
 それにしてもポール・バーホーベンの「宇宙の戦士」は、パワードアーマーが出てこないとか?それじゃサギだな。まあ、今度もゴ−ルデン・ラズベリー・アワードを目指すんだろうか(笑)

 △  PG。これを書くかどうかは迷うところれはあるのだが。


もっと過去

偽名日記へ

RN/HP

もう少し未来