<佐渡 裕 特別レッスン>


’02.11.26,雨がぱらぱら。
今日は佐渡練の日。あぁ,雨か…早くに並ばにゃいかんのに。

ということで,16:15開場にもかかわらず,14:45頃には既に玄関前に来ていました。
さすがに
ポールポジションをゲット!
程なく,顔を知ってる方がちらりほらりと来る。ものの10分ほどに,もう10名ぐらいの列ができました。
スタッフは,まだ2時間近くありますよ,体調のこともありますから…とか気遣ってくれますが,
「はぁ,承知で並んでますんで」
と答える。そのうち,雨がぱらついたりすることもあって,玄関の中に入れてくれることになりました。
スタッフの皆さん,多謝!
前のレッスンが終わり,開場。目指すは,テノールとバスの境界,最前列!
さすがにポールポジションは最強の証,
最前列男声境界を確保

#よっしゃ!


しばらくして,MBSの方から,簡単な説明,注意事項がありました。
そして有元先生登場。ピアノは藤沢先生。大阪Gでは,一度指導いただきましたね。
今回の練習は,大阪Gと神戸クラス,それとグループ参加の一部。
なんと,東京はおろか,北海道からこられているグループもいらっしゃいました。拍手!

まずは,背伸び,首を回して,腰を回して,お隣さんの肩たたき。そして,笑顔の練習。
発声練習は“ま”から。ついで,“ば”
低いところから,高いところまで上げていきます。…はっは〜,やるな,あれを。(笑)

「はい,アルトの方で最後まで歌った人!」「…」「はい,今手を上げた人,ソプラノへいってくださ〜い」


<Freude!>

そして,佐渡さん,上から登場。皆さん,拍手でのお迎えです。
「まずは,声を聴かせてください」ということで,”Freude !”
「おぉ,ええ感じやなぁ!
音程,ぜんぜん合ってへんけど!
この Freude,シラーの言うところの「Alle Menschen の Freude」でもいいんですが,
もっと個人的な Freude の方がいい,そのほうがもっと感情が込められるから,なんですね。
もう,何度も何度もやりましたね。
「身振り手振りをいれたらアカンなんて,ベートーベンは書いてへん。本番でもやったらええねん!」
ということで,Freude ! も手振りを入れて発声。
確かに良くなりますね。


<Deine Zauber>

次のDeine Zauber〜。
ぶるん,ぶるん,ぶるん,ぶるん…が”Deine Zauber binden wieder”と合うようにアクセント
(とはいいませんでしたが)を効かせてること。
Alle menschenがBruderになる…全世界の人々が兄弟となるというくだりは深い懐で
包み込むように歌うこと。


<Ja ! >

これは,「
そうだ!」という意味。
これまでのAlle menschenがBruderになるということに対し,そうだ!そうだ!と賛同するところなんですね。
だから,ここも諸手を上げて賛同する,そんな感じで”Ja !”と出なくてはならない,と。
そして,前のDeine Zeuberがぶるん,ぶるん,ぶるん,ぶるん,という感じなら,ここの”Ja! wer aus nur”は,
ダン ダン ダン ダンという感じ。
”Und wer's nie gekonnt,der stehle 〜”の”nie”は否定を示しており,強く。
そして,”weinend sich aus diesem Bund”は役者になったつもりで言い放つ。
そう,これまでのレッスンでも,芝居がかったところ,と教えていただきました。


<Kusse>

ここはアルトとバスがダン ダン ダン ダンと,縁の下の力持ちとして支える。
そしてソプラノとテノールがダ ダ ダ ダ ダ ダ ダと駆け抜けていく。
アルトは途中,少しだけ(笑)ダ ダ ダ ダに参加します。
スピード感が要求されるところですね。
そして,”Und der kerub 〜”で,4パートが一緒になって訴えかけていく。
ここで出ている”Gott”は直訳すれば神なんですが,佐渡さんの解釈では,キリスト教でもなく,仏教でもない,
宗教やなんかには関係なく
神々しいもの,という感じ(に,小生は受け取りましたが)。

最後のGo------------------tt
「ここ,息,ついでくださいね。でないと,死んじゃいます(笑)。Gott,神ですよね。神に見取られて
死んでしまいますから,息はついでくださいね」

う〜みゅ,たしかに長いぞ…けど,息を継ぐタイミングもこれはこれで難しいなぁ。

最後の子音,「っと!」が重要なんですが,その前の
「お(っと!)」も必ずいれること。


<マーチ>

ここは,テノールソロだけが英雄なのではなく,コーラスの一人一人が英雄なんだ,と。
マーチというだけあって,アクセントのつけ方も「いち,に! いち,に!」の
に!の方につけないと
締まらないとのことで,”Laufet”の”fet”にアクセントをつけなさいということでした。
”freudig”なら,”dig”に。
また,バス,テノールと続く”freudig”は,一度目(バスだけ)よりも2度目(バス,テノール)を,
2度目よりも三度目の”freudig”を大きく強く歌わないと,さまにならない,とも。

そして,「うん,もう8回目やけど,恒例になったからなぁ」と壇上から降りてくださる。

よっしゃ!


<20/10,000>

もう手を伸ばせば触れられる位置にマエストロいるんですよね,おぉ!
いきなり「んーと,何歳かな?」とマイクを向けられる。
「36です」「僕より下やね」「こちらは?」とお隣のバスの方にマイクが向けられる。
「72歳です」おや,なんと,ダブルスコアじゃん。
「あ,こっちは?」と,このクラスのたぶん最年少と思われるお子のところへ。
「9歳」
「ここでは,みんな同級生。地球規模で見れば,高々しれてるやないですか。
みんな同級生ですよね?」
72歳のバスの方,「うんうん。」
9歳のお子に「みんな同級生ってゆうてもろたで,君も一緒や」
みんな平等とかそういうこともあるんでしょうが,このマーチでは年も職業もなんにも関係ない,
みんなが英雄!ってことです。

さぁ,レッスン再開,ちゃんと場
所を空けてお待ちしておりました!(笑)
佐渡さんと肩を組み,マーチを歌います。
もう,頭ん中は真っ白…

#20/10,000の至福の時!


<M>

このMに入る前の静かな旋律,これは戦いのあとの煙が残ってるさなか,勝ったか負けたかわからない
ような状態なんだそうで,それがだんだんと晴れてきて,勝ったことがわかる,みんなが集まってくる,
そして”Freude !”と歓喜が爆発するところなんですね。
それだけに,Freude !の意味は大きく,冒頭の男声だけの”Freude”よりももっと大きく強く,我々の喜びを
ぶつけないとだめなんです。
だから,当然,この”Freude”も熱が入ります。
「あそこに観覧車が見えますよね。一周,20分くらいかかるんかな?それを
一気にぶるん!ってまわす
くらいの勢いが欲しいなぁ。」
これも身振りを加えて,やります。
「ほら,腕が上がりきってない人がいるでしょ,だめだめ,もっと上に突き上げないと。なんなら2回,回してもいい」
同じフレーズが繰り返されるんですが,これまでのレッスンでは,「もっともっと!」と言われつづけました。
けど,今日はテンションが下がりませんね。
Nのところ,BruderはFreudeと並ぶ,重要句。ここは何度か手直しされた…ような?


<Ihr sturzt ほわんほわん>

”Ihr sturzt nieder”のところ,”Ihr”はしっかりと伸ばす。
「”sturzt”のところで合図するから,しっかり伸ばして!まだ足りない」
そして,”nieder”。ここは柔らかくふんわりと。
「まだまだ硬いなぁ。イタリアの三角のチーズみたいや」
「そう,
ぶたまん思い出して。ふっくらとふんわりと,ほわんほわんと」
「んー,いっそのこと,”
ほわんほわん”に歌詞,変えよか!(笑)」

で,実際に”ほわんほわん”で歌いましたね。(笑)

「そう,その感じ,忘れんとってや!」
”Ahnest du”のところは,毛穴から愛情がむにゅ〜っと出てくるような気持ちで。
次は問題の”Such ihn 〜”。
多分,歌う方もこれまでのレッスンや練習CDなんかを聴いて知ってるはずなんですが,大きいんですね。
「大きい。大きすぎる。もっと,も〜っと小さく!」
1000人近くいるはずなのに,
聞こえるか聞こえないかというぐらい,小さくなる。
「そう,それが欲しい」「”ず”じゃなくて,”ぞ”っていう感じでいい」
ff の”Welt ?”からやりなおし。けど,「あかん,大きい」とダメだし。
ここは強弱,緩急が重要視されるところなんですね。
ようやくOKを貰い,次へ進む。
”uber Sternen mus er wohnen”のところ,指揮を見てるとちゃんと合図してくれてますね。


<フーガ>

アルトの”Seid”は何度か手直しされてました。これまでのレッスンのことを考えると,
かなりパキーンと立ちあがってた様に思うんですが,それ以上のことを要求されてるんだ…
ここは噴水に例えられていました。びゅっびゅっびゅっびゅっと水が出るが如く歌い,
それが各パートの噴水が交じり合って,ひとつの噴水になると。
各パートに出てくる”Freude !”ここもしっかりと巻き舌で,歓喜を表すこと。
フーガが終わり,この後に続く,”Bruder”。これまでに何度もいわれている重要句,
しっかり感情を込めて歌うこと。


<S>

ソロの部分から伴奏が入り,コーラスの”Deine Zauber 〜”に入る。一通りやって,
「入るところ,わかった?」「合図,出します。
ブロックサイン付きや!よう見といてね」
「ホイ,ホイ!」って感じのブロックサイン(笑)。←どんな感じやねん!
”Alle”のでだしはやはり,手直しされました。
「(ポン)あ!」の感じ。「そしたらね,ポンの所で頷いて。で,顔を上げて”あっ”って感じ,やってみて!」
うん,いい感じに揃います。
そしたら,佐渡さん,いきなりキューを出す。我々も遅れず”あっ”。
ここは”Alle menschen”が”Bruder”となる様に歌うところ,特に重要なポイントです。


<Prestissimo>

さあ,佐渡練も終局です。
あまり手直しされなかったような…最後の”funken”ですが,”(fun)ken”をしっかりと発音すること。
そして,”fun-ken”ではなく”funken”という感じで,続けて歌うようにすることとなりました。


<一度きりの本番>

今回,しきりに「本番は一度きりですからね!」といわれていました。
確かにその通り。でも,萎縮することなく,間違えてもいいから,”Freude”を体一杯で表現する。
そのためにこれまでレッスンしてきたんですからね。
で,「間違えても…失敗すれば,総監督の責任,そんときは謝ります」
佐渡さんにあやまらせないように,頑張らねば。

変わった!
あんなに変わるんですよね。
もちろん,花月先生,有元先生のご指導という下地があってのこと。その上に佐渡カラーを塗っていったんですね。
これまでのレッスンでも,初回よりは2回目,2回目よりも3回目,と回を追う毎に声が変わっていくのがわかりましたが,
これほどまでに変わるとは…まさに,佐渡マジック。
あとはこの色を,本番までしっかり持って行かねばなりません。さぁ,このテンションで乗りきるぞ!



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