[歩き方の基本]

 ザックを背負って不整地を歩くトレッキングでは、当然、それなりの歩き方のコツがあります。手ぶらで街を歩くときのように無防備な歩き方では、石に躓いたり、木の根やぬかるみに足をとられたて転んだりしてしまいます。第一、重い荷物を背負っているので、それなりの歩き方をしないと疲れてしまいます。
 これから、斜面や岩場、渡渉といったシチュエーション毎に、それぞれの歩き方のコツを紹介していこうと思いますが、その前に、どんな場合にも共通して言えることがあります。それは、歩幅を短く、ゆっくり歩くということ。それから、足の裏全体で地面を踏みつけるようなフラットウォーキングを心がけるということです。アウトドアフィールドを歩く場合はアップダウンを繰り返す場合が多く、とくに斜面を登る場合では、歩幅を大きくとっているとそれだけ1モーションでの運動量が大きくて疲れてしまいます。また、足元には石が転がっていたり、ぬかるんでいたりしてスリップしやすく、そんなときに歩幅を大きく取っていると、咄嗟の対応が難しくて転倒しやすくなります。
 それから、とくに朝は、歩きはじめる前の準備運動も大切です。まだ目もしっかり覚めていない状態で、筋肉も固まったままザックを背負って歩き出すと、足の故障や転倒など思わぬトラブルを招きやすくなります。朝食を食べる前か、歩き出す前には、軽いストレッチや体操を行って、筋肉をほぐすようにしましょう。
●追記
 歩幅を短く、足をフラットに地面につけるというのが、不安定な足場のときの歩き方の基本ですが、最近では、フットウェアにもいろいろな種類のものがあるので、それぞれに合った歩き方があります。アウトドアシューズといえば、以前は、足首を守るという観点からブーツタイプが主流で、ソールも硬くて反らないものがほとんどでした。こういったフットウェアだと、足首が自由に動かず、ソール全体をしっかりと足場に載せないとすべりやすいので、フラットウォーキングが強調されたのです。
 最近は、気軽にアウトドアを楽しむというコンセプトから、ナイロンアッパーに軽く柔らかいソールのランニングシューズタイプの製品もたくさんあります。これらは、へビューデューティなブーツに言われるほどフラットウォーキングに気を使う必要はありません。でも、気軽な反面、プロテクションが十分でないので、ヘビーデューティブーツ以上に足首の捻挫や岩に挟んでの打撲などには気をつけなければなりません。
 ようは、歩くことも一つの技術であるということを意識して、そのときどきのシチュエーションと自分のスタイルに合わせた歩き方を意識することが大切です。

before
next
step10