第2回 受動喫煙

第1回 女性の喫煙率
第2回 受動喫煙
第3回 そろそろ禁煙してみませんか?
第4回 現代タバコ事情
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「自分のタバコはいいけれど、他人の煙はいやなんだよなあ」「置きタバコの煙は、なんだか苦しくていやですね」ふだん喫煙する人の中にも、このようにおっしゃる方があります。いつもは平気で吸っているのに、なんだかわがままな気もしますが、これには理由があるのです。

タバコの煙は、喫煙者が吸う主流煙と、タバコの先の点火部から立ち昇る副流煙から成り立っています。この副流煙は主流煙と比べて、高い濃度の有害物質が多く含まれています。例えば発ガン物質のベンゾビレン4倍、一酸化炭素5倍、アンモニア73倍、ホルムアルテヒド50倍、等々。「受動喫煙」では、この副流煙を自分の意志とは関係なく、常に呼吸とともに肺の奥まで吸い込んでしまいます。

副流煙は粘膜刺激が強いため、ほんの数秒間鼻先をかすめただけでも、鼻や眼やのどの痛みが起き、無意識こ呼吸は抑えられます。これは有害なガスなどが鼻から入ってきた時に、それ以上吸い込まないように起こる身体の防御反応です。また、受動喫煙によって身体の血管が収縮し、血液の流れが悪くなります。

これらの反応によって身体の細胞への栄養分や酸素の運搬などが妨げられます。このような状況が1時間以上に及ぶと、血液中の一酸化炭素が増え酸欠状態となり、心筋はさらに多くの酸素を必要とするようになります。心臓の血管や気管支にも収縮が起きるため、狭心症や喘息などの持病のある人にとっては、命に関わる事態ともなるのです。これらの変化は自分では気がつかないことも多いのですが、喫煙者のいる職場に働く皆さんには必ずといっていいほど起きている反応なのです。

こういう職場では頭痛が起きたり、咳がでる、目が痛いなどの苦痛を感じる人も多いのですが、皆さんの職場ではいかがでしょうか?受動喫煙によるこれらの身体の反応は、常習喫煙者よりも非喫煙者に強く現れますから、分煙できていない職場では、非喫煙者の方は大変つらい思いをなさっています。なんだか少し大げさだなあ、と感じられる方もおられるでしょうが、ここまで書いてきたことは、すでに多くの医学的研究により認められている、紛れもない事実です。タバコをお吸いになる方は、どうぞこの事実を心にとめておいてください。

「吸ってもいいですか」と優しい言葉をかけられ、人間関係を気遣い「どうぞ」と答えてしまう。それでもやはり吸われれば苦しいというのが、非喫煙音の本音ではないでしょうか。

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