第1回 女性の喫煙率

第1回 女性の喫煙率
第2回 受動喫煙
第3回 そろそろ禁煙してみませんか?
第4回 現代タバコ事情
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 時折、道行く女性の歩行喫煙を目にします。昨年の成人喫煙者数は全体としては減ってきているのに、道ばたでの喫煙者は増えているような気もします。どうしてでしょうか。

 これには屋内での喫煙が許されないようになってきたことも大きく関わっています。厚生省からは「公共の場における喫煙のあり方」が、さらに労働省からも職場の「喫煙対策ガイドライン」が示され、私たちが職場で快適に働くためには、室内の空気をタバコ煙で汚さないようにする必要があることがはっきり示されました。

 どうして今、タバコがそんなに問題になっているのでしょうか。最近クロースアップされてきたのは、タバコは吸う人ばかりか、その周囲の人の健康も著しく害するという点です。これを受動喫煙といいますが、この健康への影響は、以前考えられていたより大きいということが医学的にもわかってきたのです。これについては、多くの皆さんが興味をおもちでしょうから、次回に詳しくお話しすることにしましょう。

 最近若い女性の喫煙が目立つようになったのには、もう一つ理由があると思います。米国では、喫煙でガンや心臓病や肺気圏こ躍りやすくなることが、一般の人たちにも広く知られるようになりました。いったん怖さを知ると、命を縮めてまで吸うのはばからしいと、喫煙者の割合が半減しました。そこでタバコ会社は、米国の喫煙者の減少をカバーするため、日本などアジアの国での積極的な販売戦略を展開しはじめました。

 もともと、日本の女性は1割程度の人しかタバコを吸いません。そこで「タバコはファッション」と若い女性向けの宣伝を強化しはじめました。若い世代が喫煙者になれば、これから長い間お得意様となるからです。悲しいことに医学的な研究に基づいた本当のタバコの害については、日本ではなかなか私たちの目に触れません。そのため華やかなCMの影響が強くなって、若い世代は誤った選択をしてしまいます。ところがタバコの実像は、テレビやポスターの爽やかなイメージとはまったく逆のものなのです。

 皆さんにはタバコの本当の姿を知ってもらうために、これから1年かけてわかりやすくお話ししていきたいと思います。タバコを吸う人は、最終回まで読みながらじっくり考えるのもいいでしょう。誰にとっても禁煙は早いほうがいいのですが、また「いつでも止めどき」でもあるのですから。

 阿部眞弓先生の次回の連載予定は「受動喫煙について」です。お楽しみに。

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