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まことに、庭は庭なりに、新緑のなかで、一日の心を得てシーンと澄んでいる。

これを読んで、目の洗われる思いがした。「 庭は庭なりに」とはどんなことだろうか。「一日の心」とは何だろうか。それらがはっきりとは分からぬままに、明るく澄み切った緑の庭が思い浮かぶ。静まりかえった時間というものが、木に濡れてきらきらと光るような新鮮さで、そこに立ち現れていると思える。

 


 

引用句は、菱山修三の詩「庭前」の一節。
本文は、山村修『気晴らしの発見』新潮文庫


 

 

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