寂然法門百首 32
2020.10.31
乃至以身而作床坐
山おろしに霰散る夜の寒き夜は玉の姿ぞ床と成しける
半紙
【題出典】『法華経』提婆達多品
【題意】 乃至、身をもって床坐となす。
自分の身を(仙人の)椅子代わりにする。
【歌の通釈】
山から吹き下りる風に加え、霰が降り散る寒い夜は、仏がその尊い身を床となしたことだよ。
【考】
釈尊が国王であった時、法華経を知るために阿仙人に仕え、その身を仙人の床坐となした。この場面を、山おろしが吹き荒れる冬の霰の夜の情景の中で詠んだ。出家は厳しい冬の勤行を、仏のこうした行を思い起こしながら耐え忍んだのだろう。(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)