寂然法門百首 30
2020.10.4
経行林中
紅葉ばの散る木の本をながむれば色にめづとや人は見るらん
半紙
【題出典】『法華経』序品
【題意】 経行林中 林中に経行(けいこう)す
林の中を歩き回り修行する。
【歌の通釈】
紅葉の散る木の本をながめていると、色を愛でていると人は見るのだろうか。
【考】
題の林の中での修行を、花が散り葉が落ちるのを見て無常を感得する「飛花落葉観」として詠んだもの。(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)
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花への執着を「色にめづ」として、仏道の立場からは咎める歌も当時あったが、寂然は、そういう見方は浅いとして、「色を愛でる」ことも、真理を感得する機縁となると言っているそうです。