寂然法門百首 29
2020.9.21
蘭菊擅美
さまざまに匂ふ籬の秋の花色をも香をも誰か分くべき
半紙
【題出典】『法華文句』一・上
【題意】 蘭菊擅美 蘭菊美を擅(ほしいまま)にす
(経文を細かく分析するのは人情であって、)蘭や菊のように(注釈は)思うままにその美を競っている。
【歌の通釈】
様々に匂い咲く垣根の秋の花(細かさを極めた注釈)は、色も香りも(注釈の優劣も)誰が区別できることができようか。
【考】
25番歌に続き、煩雑な注釈をテーマにしたもの。蘭や菊がその美を競うように、我も我もと細かく注釈を付す。その多くの注釈を、垣根に咲き乱れる秋の花(蘭菊)にたとえた。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)
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なるほど、経文じゃなくても、たとえば自分の好きな詩などには、どうしても「注釈」を加えたくなるものだ。