寂然法門百首 28
2020.9.7
故仏説為生死長夜
秋の夜の明くる待つだにあるものをいかにすぎにし夢の中ぞも
半紙
【題出典】『往生要集』大文一
【題意】 故に仏説いて、生死の長夜となしたまえり。
(真実の悟りを開いていない時は、常に夢の中にいるようなものだ。)だから仏は「生死の長夜」と説いたのだ。
【歌の通釈】
眠ることなく秋の夜が明けるのを待つことさえあるのに、夢の中でどうやってむなしく過ごしてきたのだ。
【考】
秋の夜長、夢の中でむなしく過ごしたことを嘆く。題の「長夜」から秋の夜長の歌とした。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)