9 パフィーが好き

1998.5


 パフィーが好きだ。いい年して、何だということになるが、しかし、好きなのだからしょうがない。

 アイドル歌手というのは昔から結構好きで、南沙織とかアグネスチャンとか(今は好きじゃないが)、あるいはキャンディーズとか、まあいろいろだった。で、最近はなにしろ日替わりランチみたいにぞくぞく登場だから、さすがについていくのがしんどい。それに昔みたいに多くの歌番組がないから、たまにミュージックステーションあたりで見ても、ああ川本真琴ってこんな子だったんだとか、びっくりする。名前は聞いていたり、歌は知っていても、顔を見ることがなかなか出来ない。昔の歌謡番組全盛の頃だったら、そんなことはなかった。まあ、それはいい。パフィーのことだ。

 「ぱぱぱぱパフィー」というフザケタ番組がある。見方によっては、よくもまあこんな幼稚な、あほらしい番組が作れるなあということにもなるのだが、しかしこの番組でのパフィーの姿を見ていると、心底羨ましくなってしまうのだ。

 パフィーの二人がどこまで、「地」を出しているのか知らない。どこまで演技なのかわからない。しかし、何だか妙に自然なのだ。「見せる」とか「聞かせる」とかいう意気込みがない。何だか、ほやほやしていて、だれているようで、やる気がなさそうで、それでいて、時々、キラッと光ったりする。何にも考えていないようで、時々、ハッとするような反応をみせる。

 二人が並んでだらっと座って、のんびりどうでもいいことしゃべっているのを見ていると、世の中の不況とか、世界の飢餓だとか、民族紛争とかが、ぜーんぜん意味がないものに思えてきてしまう。世界が無化して、ただ、なんだかふんわりしたワッフルみたいな女の子だけが残る。

 何やってんだ、もっと真面目に考えろ、世の中大変なんだぞ、どんな枕で夜寝るかなんてことで、くらべっこなんかするな、などと怒る奴もいるだろう。でも、パフィーには関係ない。