64 初夢

2005.1


 エッセイを毎週自分のホームページに掲載するということを始めたのは、1998年の3月である。何事も長続きすることのないぼくのことだから、いちおう100回書くということを目標にした。それで「100のエッセイ」と題したわけだが、それが完結するなんて到底思えなかった。

 最初の頃、何回か抜かしてしまったことがある。週1回なんて別に守る必要もないとたかをくくっていたところがあった。ところが、最初からぼくのホームページを見ていた当時の教え子から、何で更新に手を抜くのか、そんなことをして「腐っていく」ホームページがごまんとあるんだぞという、なかば脅迫めいたメールがすぐに来た。

 このメールに震撼した。ぼくの怠け癖がすぐに見抜かれたということと同時に、インターネットという道具の信じられない伝達の速さを実感して、ぼくの体内の細胞が震え上がったのだった。

 それまでに何冊もの同人誌を仲間と作り、いろいろなところに配ったりしてきたのだが、反応など皆無に近かった。それなのに、ホームページに掲載するエッセイを1回抜かしただけで、すぐに叱られた。これはすごいことだと思った。それならとことんやってみようと思った。

 あれからかれこれ7年。以後二度と抜かしたことがない。毎週必ず掲載してきた。(はずだ)内容など二の次になった。とにかく週1回書くことだけが「使命」のようになってしまった。

 そうこうしているうちに、100回に到達した。このときの喜びは例えようもなかった。こんなことが自分にもできるんだという得も言われぬ達成感があった。その勢いで第2期へと突入し、気がついてみれば第4期もとうに半ばを過ぎてしまった。こうなると達成感などどこに求めようもなく、ただやめたくないという変な意地みたいなものだけがぼくを動かしているようだ。

 とにかくどんなことがあろうと、更新はするのだという意志だけでここまで来たと思いがちなぼくだけれど、それなりの健康にも恵まれたということだし、時々に反応してくださる「読者」あってのことでもあるので、自分の意志の強さを自慢してもはじまらない。ただ感謝あるのみである。

 これからまた新しい1年が始まろうとしている。どこまで書きつづけられるかわからないが、さしあたって「1000」を一つの目標に据えようと思う。そして「1000のエッセイ」という分厚い辞書のような本を作ってみようかと思う。それがぼくの「初夢」である。


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