41 冷房嫌い?

2004.7


 終業式にはなぜかどこの学校でも校長先生がお話をするしきたりになっていて、生徒の頃はもちろんのこと、教師になってからも、結局ずーっと聞き続けてきたことになる。教師生活32年だから、終業式、始業式、それに卒業式とあわせると、その手の話を、最低でも200回は聞いてきた計算になる。なんとも因果なことである。

 もっとも、教師になってからは、適当にさぼるということもできないわけではないから、式の最中に会場を出て、外の景色を眺めていることだって可能ではある。しかし、まあ、せいぜい20分ぐらいの話を聞きたくないから外に出ているなんていうのも大人げない話、我慢して聞くことに結局はなる。

 この1学期の終業式の校長の話も、冷房もない講堂で、窓を最大限に開けて聞くことになったのだが、話の冒頭、校長は、暑いからといって冷房ばっかりつけていると、汗腺がうまく働かなくなってしまいます、なんてことを言った。

 いつもなら、何を言ってるんだ。この暑さの中、冷房なしでどうやって暮らすんだ、と腹の中でブツクサ言うのに、そのときなぜか、そうだなあ、この夏は冷房をやめようかなあ、と思った。

 こういうことが、ぼくにはときどきある。何の前触れもなく、突然の方向転換がやってくるのだ。その転換が一生を左右したこともあるし、半年ぐらいで元に戻ってしまったこともある。前者の例が、都立高校の退職と栄光学園への就職であり、後者の例が、数年前の自動車通勤の中止である。(通勤定期まで見せびらかして、車をやめたことを言いふらしたので、とっくに車通勤に戻っているのに、まだぼくが電車で通勤していると思っている同僚もいる。)

 で、終業式の翌日から、さっそく脱冷房の生活を始めた。といっても、完全に冷房を使わないということではない。出来る限り使わないという程度だ。それでも、午前中のパソコンに向かっての仕事も、冷房を切り、窓を開け、扇風機をぶんぶん回してやっている。もちろん、ランニングシャツにパンツ一枚というアラレモナイ姿である。下着のパンツではどうもかっこわるいから、薄手の短パンを買おうかと家内に言ったら、一蹴された。どうせ、長続きするわけないというのである。

 その判断はかなり妥当なものと思われるが、さて例年にない猛暑というこの夏、かえって闘志も湧いてこようというもの。その挙げ句、夏の終わりごろにはすっかり冷房嫌いになっているかもしれない。


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