38 「いい感じ」?

2004.7


 芸能界のことなんてどうでもいいことだけど、根がミーハーなので、どうしても興味をもってしまう。先日もたまたまテレビを見ていたら、離婚騒動の渦中にある高岡早紀が女のレポーターに追いかけられているところが目に入った。

 サングラスをして雨傘をさした高岡早紀が、どうやら家の前で張り込みをしていたらしいレポーターにつかまり、しつこくインタビューを迫られている。矢継ぎ早に発せられる質問に、高岡はほとんどまともに答えられない。はぐらかしたり、ごめんなさい急いでいるんでなどといって足を速めたりするのだが、レポーターは食らいついたスッポンのように執拗に質問を投げかける。高岡は、頭が真っ白といった状態で、逃げだそうとする。すると、すかさずレポーターが「ファンの方々も心配していると思うんですが。」と言った。高岡はその言葉に、ハッとしたように立ち止まった。芸能人の悲しさなのか、ファンという言葉には弱いのだ。そこをちゃんと計算してつけ込むレポーターという種族は本当にえげつない。ちゃんと話さなきゃと思ったらしい高岡だったが、やはりはどうにも答えようのないことばかり。もういい加減にしてよとばかり、また足早に歩きだした。またカメラの追跡が始まる。

 いったい、いつまで追いかけるんだ、しつこい奴らだなあ、とイライラしながら見ていると、ようやく道の折れ曲がったところで、カメラはとまった。高岡の後ろ姿にむかって、「明日の保坂さんの会見はご覧になるのですか?」とまたまた質問。さっさと行ってしまえばいいのに、振り返ってなんとか答えを絞り出して、高岡は去っていった。

 VTRが終わり、キャスターの峰竜太に画面が切り替わった。その第一声に思わずのけぞった。満面の笑顔に明るい声で「いやー、いい感じですねえ。」

 バカ! どこが「いい感じ」なんだと、思わず叫んでいた。このVTRのいったいどこに、蛇みたいにしつこい女レポーターに苦しみあがく高岡早紀以外のどんな「いい感じ」の映像があるというのか。普通だったら無視して逃げてしまうところなのに、一生懸命答えてくれたのが「いい感じ」だったということなんだろうが、お前たちの行動の「いやな感じ」はそれで帳消しなのか。

 翌日の保坂尚輝の記者会見はそれこそ噴飯もので、それについても言いたいことは山ほどあるが、バカバカしいのでやめておく。というか、保坂の記者会見まで見ている自分がいちばんのバカである。


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