23 土曜日問題

2002.4


 この四月から全国の公立学校が全面的な学校五日制に入ったわけだが、その最初の土曜日、全国各地で、子供たちを対象に様々な催し物が開催されたとテレビでは報道された。埼玉県では、親と子の料理教室。オトウサンが頭に布を巻き付けて、慣れない手つきで野菜なんか切って、嬉々としてインタビューに答えている。こういう映像を見るにつけ、なんか違うんじゃないかなあと不思議な気分になる。

 これから、ずーっと続くはずの土曜日休校。何十年もこんなことできるわけないと分かっていながら、なぜ、やるのか。こういう過ごし方もありますよと、自治体などが教えてくれているのだろうが、それこそ「よけいなお世話」というものではないか。

 土曜日が休みになったら、あとは勝手に各自過ごせばいいじゃないか。「どう過ごせばいいか分からない。」なんていう甘ったれた親の意見なんて無視すればいい。休みになった土曜日の過ごし方も分からないような国民が、どうして「モンカショウ」(ああ、この間抜けな響き、どうにかならないもんだろうか。)のいう、「生きる力」を養えるというのだろうか。つくづく情けないことである。

 学力低下が言われてるじゃないですか、土曜日に伸び伸び過ごさせたいとは思うけど、他のお子さんが塾なんかに行ってどんどん差がついてしまうんじゃないかと心配です、というオカアサン。困ったものだ。こういう人は、「土曜日に塾に行くことを学校で禁止してください。」とかきっと言い出すに違いない。

 そもそも、土曜日が毎週休みになったからといって、学力が低下するものだろうか。これまでだってさんざん子供は遊んできた。小中学校の教科書が易しくなったからといって、それが原因で学力が低下するものだろうか。むしろ、学力が低下したから教科書が易しくなったというほうが正しいだろう。小中学校の教科書から鴎外・漱石が消えたと大騒ぎしているが、今の小中学生に鴎外・漱石を教えることができると思っているほうがよほどおかしい。親だってまともに読んじゃいないじゃないか。学力低下はむしろ大人の問題なのだ。

 遊びたいヤツは遊べばいい、勉強したいヤツはすればいい。それぞれに人生はあるだろう。お上が口を出す問題ではないし、ましてお上に教えを乞う問題でもない。


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