88 パンツ一丁獅子奮迅

2001.8


 

 

 これで二度目である。

 土曜日の午後、外出から帰ってパソコンでメールを書き始めたとたん、突然パーンという激しい音とともに電気が消えた。雷である。外にいた時から、どんよりとした雲の下に異様な熱気がたまっているのが感じられたが、ピカピカ光っていたわけでも、遠くでゴロゴロ鳴っていたわけでもない。初めの一発が、我が家の10メートル以内の電柱に落ちたのだ。これが二度目なのである。

 一度目は5年ほど前。7月の期末試験の最中で、3時頃家に着いた直後にとんでもない雷雨になった。猛烈としかいいようがない雷雨に呆然としているうち、近くの電柱に落雷。電気は消え、ドアホンがけたたましく鳴りだした。受話器を取っても一向に消えない。

 2階のベランダが気になった。我が家は建て替えて間もないコンクリートを使用した住宅で、2階の部屋の外につけた幅1メートルほどのベランダは、排水口が詰まるとプール状態になってしまうという、ちょっとマズイ構造が前から気になっていたのだ。

 2階に駆け上がってみると、やんぬるかな、見事にプールである。それもあと数センチで水が部屋にドッと流れ込む危険な状態。丘の上に立っている家が2階から浸水というのでは、洒落にならない。何とかこの水を抜かねばならぬ。だが排水口がみつからない。あわてて、1階に下りバケツを取ってきて、水を掻いだしにかかった。

 あっという間に、全身びしょ濡れ。なぜか服を脱ぎ捨て、パンツ一丁になる。ものすごい雨が体にたたきつける。雷がバリバリなる。感電しそうだ。だめだ、もっと大きいバケツだ。階段を駆け下りる。足が濡れていて、すべって廊下でころぶ。水を掻いだす。間に合わない!

 そのとき、排水口の場所がわかった。コンクリートの板を持ち上げた。案の定、落ち葉がぎっしり詰まっている。それを取り除くと、水はウソのようにサッとひいた。

 ホッとする間もなく今度は鳴り続けるドアホンを止めようと大奮闘。外出先からずぶ濡れで帰ってきた家内は、パンツ一丁獅子奮迅のぼくを見て立ちすくんだ。

 被害は甚大だった。エアコン、ビデオ、テレビ、電話などが軒並みやられていた。前の家では電子レンジが火を噴いたそうだ。

 さて今回はなんと被害は我が家だけ。パソコン、電話、テレビ関係の部品が壊れた。テレビケーブルの修理にきてくれたオジサンが気の毒そうに言った。「実際、雷が落ちやすい家ってあるんだよ。」

 まったく冗談じゃないッス。












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