11 ひどすぎるぜ「純と愛」
2013.2.3
いったい何やってんだかと腹立たしい。NHKの朝ドラ「純と愛」である。
教え子が出演した「どんど晴れ」以来、朝ドラを見る習慣ができてしまい、それ以来、風が吹こうと地震がこようと、たとえどんなにつまらなかろうと、全回欠かさずに見て来た。今まで、いちばん面白くなかったのは、「つばさ」だけれど、まあ、視聴率を下支えしてやろうというくらいの気分で見続けた。しかし、「純と愛」は、それを遙かに下回る。
特に、「後半戦」が格段にダメになった。ドラマが崩壊している。
すべては脚本に責任がある。脚本は、「家政婦のミタ」の遊川和彦。「家政婦のミタ」の大ヒットに目が眩んだNHKがお願いしたということだろうか。遊川は、朝ドラの枠を壊すとかいう意気込みのようだが、その意気込みがことごとくはずれている。壊す、というモクロミだけが、表面に出てしまい、肝心のドラマがどこかへすっとんでしまっている。
こんなドラマを真面目に論じてもはじまらないが、それにしても、腹立たしい。最近では、視聴者の予想を裏切ってやろうという高飛車な姿勢が露骨で、「そうなると思っただろう。バーカ。そんな単純なドラマはオレは書かねえよってんだ。」という遊川の顔がテレビモニターの向こうに透けてみえる。
どうせ朝ドラをみているヤツなんか、水戸黄門を喜んでみるようなアホで単純な高齢者だろう。そいつらは、どこをみても善人ばかりで、ヒロインは、暖かい人たちに囲まれて、ドジだけど頑張っているみたいなドラマ──たとえば「梅ちゃん先生」みたいな──を期待しているんだろうけど、そうは問屋はおろさねえぜ、って言いたいのだろう。
そうした大衆への蔑視というか、見くびりみたいなものが、遊川にはあって、いい気になって書いているとしか思えない。もちろん、視聴率は低い。けれども、どうやら現場はそんなことは気にしていないらしく、盛り上がっているというようなことがNHKのサイトには書いてあった。ほんとにそうだろうか。
余貴美子とか、映見くららとか、若村麻由美とか、岡本玲とか、十分に魅力的な女優陣を配しながら、それがまったく生きていない。彼女らは、あの撮影現場で、ほんとに納得して演じているのだろうか。心の中では、フン、バカバカしいって思っているのではなかろうか。
宿屋の部屋に閉じこもったお客を外に出そうという「作戦」のギャグの数々とか、純が「笑わない客」を笑わせようとして繰り出すお笑い芸人のモノマネのギャグとか、もう、ほんとに役者が可哀相なくらいつまらない。夏菜は、それでも一生懸命頑張っているが、それがかえって痛々しい。やだろうなあ、あんな演技って思ってしまう。遊川は役者も大事にしていない。自分さえ目立てばいいのだ。
そういえば「家政婦のミタ」にしても、あんまり話題になるから、ちょっとミタことがあるのだが、何だか親子がふざけ合うようなシーンのあまりのひどさに5分で見るのをやめた覚えがある。とすれば、遊川の脚本は、別に「家政婦のミタ」ではすばらしかったけれど、「純と愛」でズッコケたというのではなく、最初から酷かったということなのだろうか。
そんなにつまらないなら見なけりゃいいじゃんと人に言われたが、せっかくここまで何年も欠かさず見てきたのに、こんなことでへこたれてなるものかという変な意地みたいなのがあって、最後まで見届けようと思っているが、予告を見る限り、今週もますます変な展開になっていきそうで憂鬱である。あ〜あ、「梅ちゃん先生」はよかったなあ。