78 アップルテレビで「座頭市」を観た
2011.1
アップルテレビというものがある。小さな弁当箱みたいなモノだが、これをテレビにつなぐと、ほぼ自動的に自宅のパソコンの無線ランにつながり、映画をレンタルしたり、購入したりすることができるようになる。
こう書いても、どういうことなのかをイメージすることは難しいだろうが、要するにレンタルショップでDVDを借りてくるのと同じだが、違うのはテレビの前にいながらにして、映画を瞬時に借りて見ることができるということだ。不精者にはもってこいというわけだ。
アメリカではこういうことはもうかなり前からできるようになっていたのだが、日本ではつい数ヶ月前から可能になった。洋画もあるが、日本映画もかなりある。どちらも新作だと500円、旧作だとだいたい300円で、48時間の間は何度でも見ることができるし、一時停止もできるし、早送りもできる。つまり48時間の間はDVDを持っているのと同じである。いうまでもなく48時間たつと、もう見ることはできない。見たければ、また500円なり300円なりを払ってレンタルするというわけだ。
こういう便利なものがあるぞと、映画好きの友人に教えてあげたら、「たまっていかないのが嫌だ。」と言う。電子書籍も、モノとしての本がたまっていかないのが嫌なのだともいうのだ。そうじゃないだろ。たまっていかないのがいいんじゃないか。いくらたまったって、あの世へ持って行けるわけじゃないんだよ。君の持っている数千本のビデオをはやく捨ててしまいなさい、と忠告しておいたが、やはりダメだろう。
ぼくも昔、といってもつい1年ほど前までは、モノがたまっていくのが快感だった。本もビデオもDVDも、何もかも、ため込むことが好きだった。今は、減っていくのが快感となった。
で、年末、バラエティばかりで見るテレビもないので、初めてアップルテレビでレンタルした。『座頭市物語』だ。勝新太郎の座頭市シリーズの記念すべき第1作。座頭市はかなり見ているがこれは初めてだった。モノクロの画質のよさにまずびっくり。三隅研次の演出も冴えわたり、当時の日本映画の質の高さを改めて実感した。
ストアには若い人の「批評」があって、いわく「北野さん以降しか知らなかったが、元祖は凄くいい!」
やれやれ。「北野さん以降の座頭市」か。思ってもみなかったなあ。平成も23年。あと1年で、ぼくが生まれた昭和の24年に並ぶのだ。そう思えば不思議ではないか。