97 『サザエさん』は変

2009.6


 日曜日の夕方は、大相撲がないときは、たいていはまず『笑点』を見て、その後『ちびまる子ちゃん』を見て、それから『サザエさん』を第2話まで見て、後はNHKの気象情報を見る、ということになっている。

 『ちびまる子ちゃん』はつい最近始まったような気がしていたが、今年でもう放送20周年を迎えるということで、まずはめでたい限りである。毎回似たような話でありながら、やはりつい引き込まれる面白さがあり、これを20年も続けてきたというのはたいしたものだ。

 たいしたものだというのなら『笑点』は放送40周年だというから、これこそ超たいしたもので、一昔前より最近のほうがずっと面白くなっているのだから、超を何回でもつけたくなる。

 で、『サザエさん』はどうなのかというと、放送開始が1969年だというから、これも40年を超え、しかも視聴率も平均25パーセントをキープしているそうだから、スゴイとしかいいようがない。けれども、この『サザエさん』というアニメはどうも気に障る。見ていて、不愉快になることがはなはだ多い。『ちびまる子ちゃん』とのギャップがあまりに大きいということもあるのだが、どうしてこうも変な話を考えつくのかとつくづく不思議に思うことが度々なのだ。

 先日の話などはその最たるもので、マスオさんの会社の若い同僚が昼食にお弁当を広げている。マスオさんが、いいねえ愛妻弁当かあなどと言うと、その男は、いや、子どもの弁当の失敗したほうを持たされるんです、ほんとうは外でカツ丼でも食べたい気分なんですけどねえ、とぼやく。すると、じゃあぼくがそれ食べてあげようかとマスオさん。ここまではまあ許せる。

 ところがその次の展開に驚く。その男は、じゃあ100円でどうですかと言う。自分が食べたくない弁当を人に売るとはどういうことなのかと呆れていると、マスオさんがまた驚くべき反応をする。え、いいのかい? 何とその申し出を喜ぶのだ。今どき100円のランチを食べられるなんてラッキーだと言い、更に、このまま1月も続ければだいぶ小遣いも浮くから、その時はぼくのおごりだと、ノリスケさんに自慢。え、じゃあ今日はぼくのおごりですか? とノリスケ。

 なんでこうも話がしみったれているんだろう。いったい『サザエさん』は誰に見てもらおうと思って作っているんだろうか。視聴率25パーセントなんて、いったい誰が見ているんだろう。

 あ、オレか……。


Home | Index | Back | Next