66 野鳥ふたたび

2008.11


 自分がやっていることに関して、自分より数段上手の者がいると、とたんにやる気を失う人と、かえって対抗心を燃やしてやる気を出す人がいると言われるが、実際には人によるというよりは、その時の気分によると言ったほうが正確なような気がする。B型人間は、周りがやる気があるとやる気を失うという天の邪鬼だというような説は、B型のぼくとしては、「確かに。」と納得する面が大いにありはするのだが、しかし、それも時と場合によるなあというのが実感だ。

 誰でも気分が落ち込んでいる時には、何があっても気に入らないし、そればかりか更に落ち込むきっかけとなってしまう。だから落ち込んでいる人に、「がんばれ。」と言ってもかえって逆効果だと言われもするのだ。

 一昨年の冬、野鳥の撮影に夢中になっていたのに、昨年の冬は一度も撮影に出かけなかったのも、きっかけは、ある人のブログにあった舞岡公園の野鳥の写真だった。それを見た時、その素晴らしい映像に思わずため息が出て、これはもうかなわないと思ったら、急にやる気がしぼんでしまった。自分の持っているカメラもレンズも、その人のものと比べると明らかに貧弱だったことも加わって、すっかりいじけてしまって、「もういい。やめた。」ということになってしまったのだ。たぶん、その時、そのこととは全然関係ないことで気分が落ち込んでいたのだろうと思う。もちろん詳しいことは覚えていない。

 10月に念願の新しいカメラ(Nikon D90)を買ったのだが、多忙でなかなか撮影のチャンスがなかった。11月に入ったら、晴れの日が少なくてカメラを持って出かけることもできない。それが久しぶりの秋晴れ。とにかく一番長い望遠レンズをつけて近くの久良岐公園に出かけた。コナラやプラタナスの黄色い葉が美しくて、しばらく撮っていたが、突然、ピピッと聞き慣れた鳥の声。カワセミだ。

 声のした方を見ると、池の端で対岸にビデオカメラを向けているオジイサンを発見。そのレンズの先にカワセミの姿。鳥を見つけるには、まず鳥を撮っている人を見つけよだ。

 対岸のカワセミを望遠で撮っていると、すぐ近くまで飛んできて、すぐ目の前の手すりにとまった。まるで「撮って下さい。」と言っているかのようにポーズをとる。鳥をカメラのファインダーに捉えてバシャバシャとシャッターを切るのは、やはりたとえようもなく楽しい。今年の冬はまたせっせと鳥を撮りに出かけることになりそうだ。


*この日撮った鳥の写真は、こちら「横浜の鳥2」をご覧下さい。

*または、こちら「Daily Photo」をどうぞ。

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