63 犬の声

2008.10


 アップルが出した「iPhone」は、どうも日本ではあまり売れていないような気がする。ぼくも発売当初はスゴイと感動してすぐにでも買おうかと思ったくらいだが、考えてみればケータイはどうも苦手で、いまだにケータイでメールを出したり受けたりすることはほとんどない。帰りに買い物をしてきて欲しいというケータイメールを出したのに、ぼくが全然見ないために買ってきてもらえないという苦汁をなめた家内はとうとうメールでの連絡を諦めてしまったぐらいで、そういう人間が「iPhone」を買ってもどうしようもない。もちろん「iPhone」を買うということは、インターネットにアクセスしてウェブを閲覧することのほうに重点を置くことになるわけだが、それも多分しないだろうということで、「iPhone」購入は見送ったわけである。

 アップルの熱狂的なファンであるぼくとしては、ちょっと義理が悪いという感じはあるが、使わないものまで買うほど経済的な余裕があるわけではないから、まあ仕方がない。

 ところでこの「iPhone」のCMは、発売当初はアップルのCMとして流れていたのだが、最近になってソフトバンクのCMとして流れるようになった。ソフトバンクのCMが、白い犬のお父さんに黒人の兄と上戸彩の妹、それに樋口可南子のお母さんという実に変な家族というコンセプトで流れるようになってだいぶ経つような気がするが、はじめのうちは犬がお父さんという設定のあまりのばかばかしさに呆れていたものの、犬以外の家族の豪華さ(?)に、ついつい見とれているうちに、これはCMとして傑出しているのではないか、それに比べて最近のauの「auの庭で。」というCMにはインパクトがない、これはソフトバンクの勝ちだ、なんて思っていた矢先、家内が、この犬のお父さんの声って、○○だって知ってた? と実に意外なことを言った。新聞に書いてあるというのだ。

 驚いた。そうだったのか。そうと知ってから聞くと、なるほど○○の声だ。今まで上戸彩はやっぱり可愛いとか、樋口可南子のお母さんもクールでいいなんてことばかりが頭にあって、この犬の声は誰だなんて一度も意識したことはなかった。意識して聞かないと、誰の声なのかなどということは到底分からないものなのだなあと実感した。

 ○○が誰なのか、知らない方は来週までにしっかり意識して聞いてみてください。答えは来週のエッセイにて。


 

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