53 灯籠大渋滞

2008.8


 上大岡駅近くを大岡川という川が流れている。川幅は狭く、おせじにもきれいとはいえないのだが、川の両側の道路には歩道が完備しているので、夏休みになると、運動不足がちになるぼくら夫婦は毎晩その歩道をメインにウォーキングをしている。

 お盆も近づいたある日、その歩道の立て看板に「大岡川灯籠流し・15日・7時から」とあった。そういえば最近やっているんだったなあ、7時からならいつも歩いている時間だから、今年はウォーキングがてら見てみようということになった。

 当日、川に着くと、そこそこの人出。屋台も3つほど出ている。灯籠流しが始まったばかりとみえて、一、二挺(「ちょう」と数えるのです)が流れてくる。流し始める所に行ってみると、本格的な灯籠が100挺以上も「出番」を待っていて、それぞれに名前が書いてある。受付もある。どうせ子供だましのドラえもんなどの絵入りの灯籠だろうと内心バカにしていたのだが、そうではなかった。読経の声も聞こえてくる。なるほどこれならいいかもと期待が高まった。

 そこから川を少し下った辺りで、灯籠が流れてくるのを待ったのだが、ちょうどその辺りに、川が大きな石でせき止められている所があって、灯籠がすり抜けることができる間が2箇所しかない。これじゃあ、ここで詰まってしまうなあ、どうしてここに誰か待っていないんだろうと心配する間もなく、案の定、流れてきた灯籠が大渋滞を始めた。

 そこより少し上流では、竿を持ったおじさんが一人で途中にひっかかった灯籠を押したりしているのだが、こっちのお盆帰省の東名高速並みの大渋滞には全然気づかない。そのうち、押された先頭の灯籠は倒れて燃えてしまうし、欄干に寄りかかったおばさんが「あ〜あ、どうしてあのおじさんこっちへ来ないのかしら。」などと呟く。ぼくも調子に乗って、「トンマなおやじだなあ。何やってんだ。」などと文句タラタラ状態となった。

 今年は雨も少なく、川の水も少ないから、「渋滞」は当然予測できたはずなのに、いったいこの行事の企画者は何を考えているのかと、灯籠が結構きれいなだけに腹立たしかった。イベントである以上、事前の準備に怠りがあってはならないはずなのに、何ともお粗末な人たちだ。

 北京オリンピックの開会式のように、とことん準備しつくされているというのもちょっと息が詰まるが、あんまり杜撰なのは、「出てこい責任者!」と息巻きたくもなるものである。


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