38 水族館の楽しみ

2008.5


 中学2年生の遠足の引率で、新江ノ島水族館へ行った。

 旧江ノ島水族館へ行ったことはあるが、それが何十年前のことか記憶にない。その水族館が全面リニューアルのために一時閉館となる数年前、実はそこはクラゲの展示で有名だということを知った。家内の父が、風景写真に行き詰まり、そのクラゲの撮影に訪れたことを聞き、行ってみたいなあと思っているうちに、一時閉館となってしまった。

 開館したのが4年ほど前のことで、クラゲはどうなっているのか、その他の展示はどうかなどと気になってはいたものの、やはりわざわざ出かけていくだけの熱意と余裕に欠けるところがあって、結局行かずじまいになっていた。遠足の引率となれば、有無を言わせずだから、不精者には絶好の機会である。第一、入館料もタダというのがいい。

 セコイことを言うようだが、最近の水族館というものは、設備や展示の豪華さに比例してか、入館料がやたら高い。八景島シーパラダイスがオープンしたときも、その豪華な水族館が話題となり、ちょうどそのころ熱帯魚の飼育に夢中になっていたこともあって、オープンしたらすぐに行こうと思っていたのに、いざオープンとなって入館料が大人2400円というのを見たとたん行く気がしなくなった。実際にそこを訪れたのは、オープンして14年もたった昨年のことで、これは孫の引率というきっかけがあったからだった。

 別に、お金に困っているというほどでもないのだが、どうも、「金はつまづきの石」である。

 さて遠足のほうだが、5月2日、大型連休のまっただ中ということもあり、小学生がイワシの群れのように右往左往していた。ほとんが低学年で、彼らはすさまじい好奇心を見せつけてくれた。「あ、エイだ! エイだ!」と10人ほどが一斉に叫びながら目を凝らしたかと思うと、あっという間に別の水槽へと瞬間移動。その声のうるさいことといったらない。しかしいつもなら苦々しく思う事態なのに、その日ばかりは、かえってそのうるさいほどの歓声が心地よく響いた。

 巨大な水槽にエイやらサメやらイワシやらが泳ぐ様を、大人しく見ているような子どもはかえって気味が悪い。はじけるような好奇心と輝く目こそ、人間の証だ。日本の未来は明るい。

 そんな柄にもないことを思ったのも、ぼく自身がクラゲの水槽に心から感動していたからかもしれない。200枚ほどの写真を撮っても、飽くことはなかった。


10枚ほどの写真がこちらにあります。

またこちらにはクラゲの31枚の写真があります。


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