18 ガムとゴム

2007.12


 『まるまるちびまる子ちゃん』のクイズのコーナーを見ていたら、こんな問題が出た。「ガムを噛んでいるときに、チョコレートを食べるとどうなるでしょう?」

 そもそもガムを噛んでいるときにチョコレートを口に入れるなどという行為は考えたこともないから、その問題自体にびっくりしたが、その二択の答えというのが「A・ガムが硬くなる。」「B・ガムが溶けてなくなる。」というものなので、そんなのAに決まってるじゃんかと思ったら、10人以上もいる芸人やタレントの解答者の答えが2人を除いてみんなBだったので再度びっくり。バカだなあ。ガムが溶けるわけないだろと思っていると、Aと答えた女性タレントが「だって、チョコレートにはガムを溶かすような、権利? 威力? え? 権力? はないと思います。」なんて、言葉はトンチンカンだが内容は極めてまっとうなことを言うので、そうだそうだと頷いた。

 だってガムってゴムで出来てるわけだろ? それがチョコレートで溶けるなんてあり得ない、もしそんなことがあるなら、車が道に落ちているチョコレートを踏んだらタイヤが溶けることになるじゃないか。絶対Aだ。

 ところが正解はなんとBだった。お台場にいる観光客にガムを噛ませて、そのうえチョコレートを食べさせてみると、「あ、なくなった!」と言うのである。信じられなかった。その後解説があって、ガムがチョコレートの脂肪によって軟らかくなり溶けてしまうのだという。

 ねえねえガムってゴムから出来ているんじゃないの? と焦ったぼくは家内に問い詰めたが、家内も、さあと言葉を濁すばかり。ぼくはこれまでずっと「ガム」と「ゴム」は同じ語源だと思っていたが、ひょっとしてそうじゃないのかなあと風呂に入りながらも気になってしかたがない。それで風呂上がりに調べてみた。

 「ガム」も「ゴム」も英語では「GUM」で、やはり同じ言葉だった。そこまでは正しかった。しかし、タイヤや輪ゴムなどの「ゴム」は「ゴムの木」から採取される樹脂を原料とする。(最近では合成ゴムもある。)ところが、「ガム」のほうは、サポジラという木の樹皮からとった樹液(チクル)を原材料とするということだった。粘性の高い弾力のある樹脂であることは共通しているが、木の種類は全然別物である。ぼくらはタイヤのゴムを噛んでいるわけではないのだ。そういえば昔どこかで「チクル」って聞いたことあるなあ。とにかく、これで一安心。


Home | Index | Back | Next