5 iTMS

2005.10


 iTMS(アイチューンズ・ミュージック・ストア)が日本でオープンしてから2ヶ月がたった。興味のない方には何のことやら分からないかもしれないから、一応説明すると、iTMSとは、アップルコンピュータが運営している音楽配信サイトである。ここから、音楽を直接購入することができる。もちろん、CDとかを通信販売で買うということではなく、音楽を自分のパソコンにダウンロードするという形をとるので、ネット配信というのである。

 値段は洋楽は一曲150円がほとんどだが、邦楽(日本の歌謡曲とかポップスとか)は200円のものも多い。30秒間の視聴ができるので(ウインドウズユーザーは、案外このことを知らないが、曲をダブルクリックすると試聴できます)、全然知らなかった曲でも買う気になることがある。

 欧米ではすでに2年ぐらい前からオープンしていたので、日本でのオープンはまさに「待ちに待った」という感じで、オープンから4日で100万曲が売れたというのも頷ける。かくいうぼくも、オープンした8月8日には、記念にアルバムを一枚買った。こんなオジサンまで買うのだから、4日で100万曲というのも当然である。もっともその後の売れ行きがどうなのかは一向に情報がないが。

 日本のレーベルでは、まだ参加が少ないので、例えば演歌を探しても、美空ひばり、都はるみ、森進一などといった大御所はまだ買うことができないが、ほとんど名前すら聞いたことのない歌手の歌がかなりたくさんある。それを片っ端から視聴していると、ほとんど時を忘れる。由紀さおりと安田祥子姉妹の童謡とか唱歌などは、今まで馬鹿にしてたのだが、視聴しただけでもよさがわかる。こまどり姉妹の「三味線姉妹」などは、聞きたくても聞けなかった曲で、思わず「全曲集」を買ってしまった。そうかと思うと、外国の今までまったく名前もしらなかったような人のエレクトロニック音楽を衝動的に買ってしまい、聞き惚れるという事態も発生している。

 iTMSのよさは、気軽に買えるということだけではなく、レンタルショップなどではほとんど迫害されているといっていいオジサン向きの演歌があったり、どういう曲かレコードショップでは確かめようもない未知のジャンルの音楽がごく身近になるという点にある。

 あとは、どれだけ購買の欲望を抑えられるかだが、まあ「大人買い」できる年頃になったことだし、少々贅沢をしようかと思っている。


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